ポーンドット男爵のダイエット奮闘記〜娘の視線が気になりまして

清水花

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終章 やるべき事、変えるべき事

6 辿り着いたスタート地点

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 ジェラールが自身の追い求めていた答えに辿り着いてから、約二ヶ月後。

 ジェラールは健康的な肌艶の頬をわずかに上げて、とても穏やかな表情でその数字を見つめていた。

 ここ数ヶ月、ジェラールの様々な表情を見てきた体重計の針はジェラールのこれまでの労をねぎらい、またその成果を誇示するようにある数値を真っ直ぐに指し示していた。

「ーー77kg……」

 ジェラールの人生最高地点である87kgから一転。信じられない事に10kgの減量に成功していた。

「ーーよしっ!」

 ジェラールは小さくガッツポーズをとり、ダイエットの成果を噛みしめた。

 体重計もその針をわずかに左右に振ってジェラールと想いを共にした。

 ジェラールは自身の腹部に手を当て、柔らかいお肉を豪快に鷲掴みにしようと試みる。

 だが、そこには以前のように手のひら全体で鷲掴みに出来るような量のお肉は蓄えられておらず、指先で摘める程度のお肉しか存在していない。

 お肉によって押し上げられていた腹部の布地も今はすっかり地盤を失い、ひらひらとその身を宙で踊らせている。

 いや、腹部だけではない。

 ジェラールの着ている着衣全体が以前は全くなかった余裕を持って、ジェラールの身体を優しく包み込んでいる。

 ふと視線を上げた先にある姿見に映り込む自身の姿を見ていると、とてもではないが自分の姿だとは思えなかった。

 不思議な感覚だった。

 本当に痩せる事が出来たのだ。

 あれほど必死になって運動に食事に気を使い毎日死ぬような努力を重ねても一向に痩せる事が出来なかったのに、答えに辿り着き、答えを知って、理解して、それに従い生活をしていただけでこんなにも簡単に十分な結果を残す事が出来てしまった。

 自分でやったことながら理解が出来なかった。

 運動、食事制限。ダイエットらしい事をしていたのは間違いなく初期の頃の自分の筈なのに、どうしてこんな……。

 まぁ……単純にやり方を間違えてしまっていた、という事なのだろう。
 
 ジェラールはここ最近の自身の食生活を振り返る。

《朝食》

 何も塗らず焼いた食パン1枚。

 おからパウダー入りブラックコーヒー。

《昼食》

 麺類が好きなので温蕎麦や温うどん(トッピングは主に肉と山芋などなど)

 ※出汁も全て飲む。出汁を飲むとそれだけでお腹いっぱいになる。

《夕食》

 特にリクエスト等なく、提供された物を食べる(ただ、食べる順番には気をつけていた)
 
 例として、大好物の鳥の唐揚げが夕食の場合。

 1、スープから口にする(血糖値の上昇を抑えるとかなんとか……)

 2、サラダ、野菜類を食べる(糖分の吸収を抑えるとかなんとか……)

 3、好物の唐揚げ(一口サイズ)を1つ食べる。

 4、皿に盛られた少量のライスを口に含む。(ライスは常に少なめ。約2~3口分のみ皿に盛る)

 5、その他、付け合わせの漬け物などに手を伸ばす。

 6、再び唐揚げ(二つ目)を食べる。

 7、ライス完食。

 8、腹6分目になるように確認しながら野菜中心に手を伸ばす。
 
 9、最後のご褒美。唐揚げを一つ口に含みよく味わう。

 10、テーブルに居続けるのは危険なので即刻、テーブルから離脱する。

 11、大好物のウイスキーを堪能(これだけは我慢できない……)

 と、こんな感じの食生活を送っていた。

 たったそれだけの事で、これほどの減量に成功してしまったのだった。

 よく分からないが、ようやくダイエットのスタート地点に立つ事が出来たようである。

 ダイエットとは女心のように不確かで、よく分からないものであるとこの時ジェラールは強く思った。

 
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