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スリーステップ
あとがき
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「…………」
「はぁっ……」
「…………」
「っふぅ……」
「…………」
「ごめんなさい。私が喋らないことには何も始まりはしないわよね。本当にごめんなさい」
「っはぁ……」
「思い出すんじゃなかった。あんな男の事。
あれからずいぶんと時間が経ったから記憶の整理のためにと思って記憶を覗いてみたのだけれど……酷いものね。
この章の冒頭で何だかミステリー小説みたいだ、なんて戯けていた自分が馬鹿みたい。
実際馬鹿ね、私。
鉄女である私を怒り狂わせたあの男のスリーステップ、か……。
スリーステップ目のあの一話だけで充分よ。
ワンステップ、ツーステップはどうでもいいわ。別段何か酷い事をやられたわけではないし。
そうなると……鉄女である私を怒り狂わせたあの男のワンステップ、というタイトルに変えた方がいいのかしら?
けれど、もう語ってしまった後なのだし今さら変えたってどうしようもないわよね。
っはぁ……。
本当、本当あの男。いったい何なのかしら。
実の娘にあんな酷いことを言うだなんて。
気は確かなのかしら。いいえ、確かではないわね。あんな男。
けれどまぁ、鉄女と呼ばれていた私にあれほど熱く激しい感情を呼び起こさせたあの手腕はある意味で見事だわ。
ふむ。
ここで一句、読もうかしら。
あの男、
許してなるか、
あの男。
ふむ、私の人生を表す一句だわ。
さて、最高の一句も出来たことだしそろそろ本題に入りましょうか。
と言うわけで【鉄女である私を怒り狂わせたあの男のスリーステップ】なのでした。
感情の起伏が極端に乏しい鉄女が怒り狂ったその理由とは? という謎を追う新感覚ミステリー小説もこのへんで幕引きよ。
……って、このお話って、そんなジャンルの物語だったかしら?
単に私が記憶の整理をするために順序立てて語っただけの、一種の伝記のようなものの筈なのだけれど……。
いつの間にミステリー小説にとって変わったのかしら?
まして意味不明の、新感覚だなんて……。
どの辺が新感覚なのよ。
うん……分からない。
まあ、私自身ミステリー小説を書いてみたいという欲求はあったのだけれど、これをミステリー小説だと言ってしまうとミステリーファンの方々から大目玉をくらいそうだわね。
えっ? いえいえ。反論なんてもちろんしません。真摯に受け止めさせていただきますとも。
怒りません、怒りませんよ。私が怒るのは娘の事に関することだけです。
怒りの感情を手に入れたと言えど、いつも怒っているわけではないのです。
大切な存在ーーーー最愛のアリシアの身に何か起きた時だけです。
えっ? ペテン師の娘と言われたら?
それは……それ……は……。
対応に困ります。意地悪はやめて下さい。
ではでは、雲行きが怪しくなってきましたので私はこの辺で失礼致します。
逃げるが勝ちと言うでしょう? ふふふっ。
今作は少しは楽しんで頂けたでしょうか?
あなたをわずかにでも笑顔に出来たのなら最高の幸せです。
あなたを一瞬でも笑顔にしたい、アーリィ・アルバートでした。
「はぁっ……」
「…………」
「っふぅ……」
「…………」
「ごめんなさい。私が喋らないことには何も始まりはしないわよね。本当にごめんなさい」
「っはぁ……」
「思い出すんじゃなかった。あんな男の事。
あれからずいぶんと時間が経ったから記憶の整理のためにと思って記憶を覗いてみたのだけれど……酷いものね。
この章の冒頭で何だかミステリー小説みたいだ、なんて戯けていた自分が馬鹿みたい。
実際馬鹿ね、私。
鉄女である私を怒り狂わせたあの男のスリーステップ、か……。
スリーステップ目のあの一話だけで充分よ。
ワンステップ、ツーステップはどうでもいいわ。別段何か酷い事をやられたわけではないし。
そうなると……鉄女である私を怒り狂わせたあの男のワンステップ、というタイトルに変えた方がいいのかしら?
けれど、もう語ってしまった後なのだし今さら変えたってどうしようもないわよね。
っはぁ……。
本当、本当あの男。いったい何なのかしら。
実の娘にあんな酷いことを言うだなんて。
気は確かなのかしら。いいえ、確かではないわね。あんな男。
けれどまぁ、鉄女と呼ばれていた私にあれほど熱く激しい感情を呼び起こさせたあの手腕はある意味で見事だわ。
ふむ。
ここで一句、読もうかしら。
あの男、
許してなるか、
あの男。
ふむ、私の人生を表す一句だわ。
さて、最高の一句も出来たことだしそろそろ本題に入りましょうか。
と言うわけで【鉄女である私を怒り狂わせたあの男のスリーステップ】なのでした。
感情の起伏が極端に乏しい鉄女が怒り狂ったその理由とは? という謎を追う新感覚ミステリー小説もこのへんで幕引きよ。
……って、このお話って、そんなジャンルの物語だったかしら?
単に私が記憶の整理をするために順序立てて語っただけの、一種の伝記のようなものの筈なのだけれど……。
いつの間にミステリー小説にとって変わったのかしら?
まして意味不明の、新感覚だなんて……。
どの辺が新感覚なのよ。
うん……分からない。
まあ、私自身ミステリー小説を書いてみたいという欲求はあったのだけれど、これをミステリー小説だと言ってしまうとミステリーファンの方々から大目玉をくらいそうだわね。
えっ? いえいえ。反論なんてもちろんしません。真摯に受け止めさせていただきますとも。
怒りません、怒りませんよ。私が怒るのは娘の事に関することだけです。
怒りの感情を手に入れたと言えど、いつも怒っているわけではないのです。
大切な存在ーーーー最愛のアリシアの身に何か起きた時だけです。
えっ? ペテン師の娘と言われたら?
それは……それ……は……。
対応に困ります。意地悪はやめて下さい。
ではでは、雲行きが怪しくなってきましたので私はこの辺で失礼致します。
逃げるが勝ちと言うでしょう? ふふふっ。
今作は少しは楽しんで頂けたでしょうか?
あなたをわずかにでも笑顔に出来たのなら最高の幸せです。
あなたを一瞬でも笑顔にしたい、アーリィ・アルバートでした。
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