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空
空話 5
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空をいく黒い物体ーーUFO。
もちろんナオは最初、飛行機か鳥だろうと思っていた。
それは空をいく黒い物体があまりにも直線的に動いていたからだ。
テレビや雑誌で言われているような予測もつかないヘンテコな飛び方は一切せず、真っ直ぐに、時にやや旋回しながら飛んでいた。
だからUFOではないと思っていた。
だが、飛行機や鳥とは明らかに違う点が一つあった。
それは速度だ。普通、旅客機は時速800Km程度で飛ぶ。
それを地面から見上げた場合、旅客機はゆっくりゆっくりと遠ざかる。
しかし。今、目の前にいるアレは、瞬きすると一瞬見失ってしまうくらいの超スピードで飛んでいる。
感覚でいうと旅客機の5~6倍のスピード、つまりは時速5000Km? で飛んでいるように感じられ、その事でアレの正体はUFOなのではないか? という、可能性がナオの中で少しづつ大きくなり始め、次の瞬間にはアレの正体はUFOであると確信した。
UFOの動きに変化があった。
コーヒーカップのように見えていた空に浮かぶ雲の周りを、UFOがもの凄いスピードで右へ右へと螺旋状に登っていった。
巨大コーヒーカップを登り終えたUFOは、カップの上でくるりと回ってやや左の方向へ飛んだ。
UFOが向かった先、そこにはグニャグニャに曲がりくねった細長い形状の雲があった。
それは先ほどナオがジェットコースターみたいだと思っていた雲で、その雲のレールに沿うようにUFOが極端に速度を落として飛びだした。
しかもその飛び方が変である。上に下に左に右にメチャクチャな飛び方をしていて、ナオにはあのUFOがまるで雲と戯れて遊んでいるように見えて仕方がなかった。
雲のレールを飛び終えたUFOは前方に悠々と浮かぶ、どこからどうみてもソフトクリームにしか見えない巨大な入道雲へと向かって飛び、勢いそのまま入道雲へとダイブした。
そんなソフトクリーム入道雲を見ているとナオの意識は次第に目の前のUFOから、あの日の記憶へと移ろい始めた。
あの子と過ごした、あの日の記憶。
時間にしてほんの数秒間、UFOから意識を切り離し記憶を辿ろうとした所ではっと我にかえる。
しかし、ナオが再び空に意識を集中した時はUFOはすでに姿を消しており夏の青すぎる空が、白すぎる雲がただ当たり前に広がっているだけだった。
「ーーーーしまった」
集中を欠いた自分に腹を立てながら大慌てでUFOを探す。
UFOはといえばナオの予想を遥かに超えた位置、ナオが向いている方向から左に大きく振り返った後方であいも変わらず楽しそうに雲の周りをグルグルと回りながら飛んでいた。
「いたっ! よかった」
安堵するナオの視界の隅には超巨大な入道雲があって、その側をジェット機が通過し飛行機雲を引いていく。
空に引かれた飛行機雲と超巨大な入道雲が上手い具合に重なって、誰がどうみても綿菓子みたいな形の入道雲となった。
「おぉ……」
そんな奇跡とも呼べる光景に思わず言葉が漏れる。
そして、ソフトクリーム入道雲や綿菓子入道雲を見ているとやはりあの子の事を思い出してしまう。
不思議そうに、美味しそうにそれらを食べるあの子の事を。
もちろんナオは最初、飛行機か鳥だろうと思っていた。
それは空をいく黒い物体があまりにも直線的に動いていたからだ。
テレビや雑誌で言われているような予測もつかないヘンテコな飛び方は一切せず、真っ直ぐに、時にやや旋回しながら飛んでいた。
だからUFOではないと思っていた。
だが、飛行機や鳥とは明らかに違う点が一つあった。
それは速度だ。普通、旅客機は時速800Km程度で飛ぶ。
それを地面から見上げた場合、旅客機はゆっくりゆっくりと遠ざかる。
しかし。今、目の前にいるアレは、瞬きすると一瞬見失ってしまうくらいの超スピードで飛んでいる。
感覚でいうと旅客機の5~6倍のスピード、つまりは時速5000Km? で飛んでいるように感じられ、その事でアレの正体はUFOなのではないか? という、可能性がナオの中で少しづつ大きくなり始め、次の瞬間にはアレの正体はUFOであると確信した。
UFOの動きに変化があった。
コーヒーカップのように見えていた空に浮かぶ雲の周りを、UFOがもの凄いスピードで右へ右へと螺旋状に登っていった。
巨大コーヒーカップを登り終えたUFOは、カップの上でくるりと回ってやや左の方向へ飛んだ。
UFOが向かった先、そこにはグニャグニャに曲がりくねった細長い形状の雲があった。
それは先ほどナオがジェットコースターみたいだと思っていた雲で、その雲のレールに沿うようにUFOが極端に速度を落として飛びだした。
しかもその飛び方が変である。上に下に左に右にメチャクチャな飛び方をしていて、ナオにはあのUFOがまるで雲と戯れて遊んでいるように見えて仕方がなかった。
雲のレールを飛び終えたUFOは前方に悠々と浮かぶ、どこからどうみてもソフトクリームにしか見えない巨大な入道雲へと向かって飛び、勢いそのまま入道雲へとダイブした。
そんなソフトクリーム入道雲を見ているとナオの意識は次第に目の前のUFOから、あの日の記憶へと移ろい始めた。
あの子と過ごした、あの日の記憶。
時間にしてほんの数秒間、UFOから意識を切り離し記憶を辿ろうとした所ではっと我にかえる。
しかし、ナオが再び空に意識を集中した時はUFOはすでに姿を消しており夏の青すぎる空が、白すぎる雲がただ当たり前に広がっているだけだった。
「ーーーーしまった」
集中を欠いた自分に腹を立てながら大慌てでUFOを探す。
UFOはといえばナオの予想を遥かに超えた位置、ナオが向いている方向から左に大きく振り返った後方であいも変わらず楽しそうに雲の周りをグルグルと回りながら飛んでいた。
「いたっ! よかった」
安堵するナオの視界の隅には超巨大な入道雲があって、その側をジェット機が通過し飛行機雲を引いていく。
空に引かれた飛行機雲と超巨大な入道雲が上手い具合に重なって、誰がどうみても綿菓子みたいな形の入道雲となった。
「おぉ……」
そんな奇跡とも呼べる光景に思わず言葉が漏れる。
そして、ソフトクリーム入道雲や綿菓子入道雲を見ているとやはりあの子の事を思い出してしまう。
不思議そうに、美味しそうにそれらを食べるあの子の事を。
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