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2章 お茶会
20 怪しげな気持ち
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王国一の美しさと言われるジェシカ様のお顔をこれほど間近から拝見していると、ついうっとりと我を忘れて眺めてしまいます。
決して大袈裟ではありませんがリンゴひとつ分くらいの大きさしかないお顔、大きく開かれた二重まぶたの奥には目の覚めるような金の双眸、小さく背の高い鼻筋、可愛らしくぷっくりとした下唇、綺麗な丸いカーブラインが特徴的な小さなお耳、それらが絶妙なバランスで配置されたジェシカ様のお顔はまさに神様がお創りになった最高傑作と言えるでしょう。
私にもジェシカ様のせめて半分くらいの見た目の良さがあればよかったのですけれど、そう上手くはいきませんよね。何事も。
しかし、見れば見るほど見事な造形美ですね。さきほどから胸が高鳴って仕方ありません。
あのお顔を指先でそっと撫で、指に髪を絡めて撫で下ろしたらどれほど心地よいのでしょう。きっといつまでもいつまでも、そうしていられるでしょう。
そして私の腕の中、可愛らしい寝息をたてながら愛らしい寝顔を覗かせるジェシカ様の額にそっと口づけを落とす。
「…………」
私はいったいどうしてしまったんでしょう。何で私がジェシカ様にそんな……し、失礼すぎます。不謹慎です。無礼です。
ジェシカ様の美しさにあてられ変になってしまっていたようですね。ジェシカ様のような方を傾国の美女というのでしょう。確かにジェシカ様のためになら国のひとつくらい傾けたくなる気も分かります。
同性の私でさえ変な気持ちにされてしまうのでは、男性から見たジェシカ様のお姿は更にとても魅力的に見えるんでしょうね。
まさに喉から手が出るほど欲しい存在。
夜、ランプの明かりに群がるたくさんの虫たちのように、ジェシカ様の元にはたくさんの男性達が集まってくるのでしょう。
ですが、ジェシカ様はすでにキングス・ウィンチェスター王太子殿下と御婚約を交わされているので、あくまで少し離れた場所から羨望の眼差しで見つめる事しか出来ませんが。
などと、そんな事をつらつらと考えていると、ふとジェシカ様と目が合っていまいました。
鮮やかな金色の髪に負けないくらいの存在感を放つ金の双眸が私を見つめます。
そして、ジェシカ様はベアトリック様達の方へちらり視線を送りカップに口をつけたまま苦笑いを浮かべ、
「……あはは……すごいね……」
そう、ジェシカ様にお言葉をかけて頂き、私の意識は一気に現実世界へと引き戻されます。
「ーーーーは、はい」
ジェシカ様は丁寧な動作でカップをソーサーの上に置くと、少し私の方へと身体の向きを変えて、
「ローレライはさ、これからどうするの?」
と、小首を傾げながら聞いてきました。
私はジェシカ様が何について質問しているのかよく分からなかったので、ジェシカ様同様、小首を傾げて聞き返しました。
「はい? 何がでしょう?」
「これからよ。これから。アシュトレイ卿の他に良い人とかいないの?」
ジェシカ様はまるで無邪気な子供のように椅子の座面に両手をついて、顔を近付けてきます。
何度も言いますが本当に可愛らしい。男性としてこの世に生を受けたかったと、この日この瞬間始めて思いました。
たとえ男性として生まれていても相手にしては貰えないでしょうが……。
「それは……残念ながら今のところ……」
「そうなの⁉︎ 誰か紹介してあげようか? アシュトレイ卿より好条件な人いっぱいいるよ?」
ジェシカ様は少し興奮気味にそう仰いますが、私は首を縦に振ることが出来ませんでした。
当たり前です。
自分自身の何が悪かったのかが未だ分かっていないのですから、そんな状態のままで別の男性とお会いしてもまた嫌われてしまうだけですからね。
せっかくご紹介くださったジェシカ様にもご迷惑をおかけしてしまいますし。
それに、しばらくの間は男性の方とは距離を置いていたいです。軽くお話するくらいならそれほど苦ではありませんが、恋愛となるとーーーー。
今は一人でそっと静かにしていたいです。
決して大袈裟ではありませんがリンゴひとつ分くらいの大きさしかないお顔、大きく開かれた二重まぶたの奥には目の覚めるような金の双眸、小さく背の高い鼻筋、可愛らしくぷっくりとした下唇、綺麗な丸いカーブラインが特徴的な小さなお耳、それらが絶妙なバランスで配置されたジェシカ様のお顔はまさに神様がお創りになった最高傑作と言えるでしょう。
私にもジェシカ様のせめて半分くらいの見た目の良さがあればよかったのですけれど、そう上手くはいきませんよね。何事も。
しかし、見れば見るほど見事な造形美ですね。さきほどから胸が高鳴って仕方ありません。
あのお顔を指先でそっと撫で、指に髪を絡めて撫で下ろしたらどれほど心地よいのでしょう。きっといつまでもいつまでも、そうしていられるでしょう。
そして私の腕の中、可愛らしい寝息をたてながら愛らしい寝顔を覗かせるジェシカ様の額にそっと口づけを落とす。
「…………」
私はいったいどうしてしまったんでしょう。何で私がジェシカ様にそんな……し、失礼すぎます。不謹慎です。無礼です。
ジェシカ様の美しさにあてられ変になってしまっていたようですね。ジェシカ様のような方を傾国の美女というのでしょう。確かにジェシカ様のためになら国のひとつくらい傾けたくなる気も分かります。
同性の私でさえ変な気持ちにされてしまうのでは、男性から見たジェシカ様のお姿は更にとても魅力的に見えるんでしょうね。
まさに喉から手が出るほど欲しい存在。
夜、ランプの明かりに群がるたくさんの虫たちのように、ジェシカ様の元にはたくさんの男性達が集まってくるのでしょう。
ですが、ジェシカ様はすでにキングス・ウィンチェスター王太子殿下と御婚約を交わされているので、あくまで少し離れた場所から羨望の眼差しで見つめる事しか出来ませんが。
などと、そんな事をつらつらと考えていると、ふとジェシカ様と目が合っていまいました。
鮮やかな金色の髪に負けないくらいの存在感を放つ金の双眸が私を見つめます。
そして、ジェシカ様はベアトリック様達の方へちらり視線を送りカップに口をつけたまま苦笑いを浮かべ、
「……あはは……すごいね……」
そう、ジェシカ様にお言葉をかけて頂き、私の意識は一気に現実世界へと引き戻されます。
「ーーーーは、はい」
ジェシカ様は丁寧な動作でカップをソーサーの上に置くと、少し私の方へと身体の向きを変えて、
「ローレライはさ、これからどうするの?」
と、小首を傾げながら聞いてきました。
私はジェシカ様が何について質問しているのかよく分からなかったので、ジェシカ様同様、小首を傾げて聞き返しました。
「はい? 何がでしょう?」
「これからよ。これから。アシュトレイ卿の他に良い人とかいないの?」
ジェシカ様はまるで無邪気な子供のように椅子の座面に両手をついて、顔を近付けてきます。
何度も言いますが本当に可愛らしい。男性としてこの世に生を受けたかったと、この日この瞬間始めて思いました。
たとえ男性として生まれていても相手にしては貰えないでしょうが……。
「それは……残念ながら今のところ……」
「そうなの⁉︎ 誰か紹介してあげようか? アシュトレイ卿より好条件な人いっぱいいるよ?」
ジェシカ様は少し興奮気味にそう仰いますが、私は首を縦に振ることが出来ませんでした。
当たり前です。
自分自身の何が悪かったのかが未だ分かっていないのですから、そんな状態のままで別の男性とお会いしてもまた嫌われてしまうだけですからね。
せっかくご紹介くださったジェシカ様にもご迷惑をおかけしてしまいますし。
それに、しばらくの間は男性の方とは距離を置いていたいです。軽くお話するくらいならそれほど苦ではありませんが、恋愛となるとーーーー。
今は一人でそっと静かにしていたいです。
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