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3章 同性愛と崩壊する心
18 とっ、取り乱しています。
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アレク様がお帰りになられて少しして、私とアンナは台風が過ぎ去った後のような安堵感と不安感を感じながら、なかなか屋敷の中へと入れずにいました。
それは一刻も早く屋敷の中へと逃げ込みたいと言うよりも、外の風に当たって景色を眺めながら気持ちを落ち着けたいと思ったのでしょう。
二人で忙しなく広大なジャガイモ畑を眺めていると、アンナが口を開きました。
「どっ、どうするんですか? お嬢様」
「なっ、何が?」
「なっ、何がってさっきの話ですよ」
「あっ、ああ、さっきの、アレク様の話ね。アンナはどう思う?」
「なっ、何で私に聞くんですか⁉︎」
「だっ、だってアンナ、アレク様の屋敷に誘われていたじゃない」
「あっ、あれは違います。そんなんじゃありません。それよりもお嬢様でしょう⁉︎」
「わっ、私⁉︎」
「そっ、そうですよ! けけけっ、結婚を申し込まれたんですから!」
「そっ、そうなの⁉︎ 知らなかった……」
「しっ、知らないはずないでしょう⁉︎ 目の前で見ていたでしょう⁉︎」
「さっ、さあ……どうかな……最近私ボーッとしている事が多いし、全く気が付いていないのかも……」
「なっ、何ですかその理屈⁉︎ そんな訳ないでしょう! それに明らかに鳥見だ……取り乱しているじゃあないですか!」
「そっ、そう? きっとアンナの気のせいよ。よく考えてみて」
「そっ、そうだ。お嬢様! あの方、アレク様っていったい何者なんですか⁉︎」
「なっ、ななな、何者って⁉︎」
「ぜっ、絶対マザコンですよアレ!」
「マッ、マザコン⁉︎ アンナ、言葉は適切に使わないと……アレク様は、きっと、お母様の事が、大好きなのよ」
「ごっ、ごめんなさい。マザーコンプレックスです」
「ちっ、違うわ、アンナ。適切にって、そういう意味じゃない。略すなって意味じゃない」
「しっ、しかも最後の方なんか、お嬢様の事呼び捨てにしていましたよ⁉︎」
「ふっ、ふぇ⁉︎ そうだった⁉︎」
「なっ、何て変な声出すんですか! お嬢様らしくない!」
「よっ、呼び捨ての事は覚えていないけれど、なんかすごく上から目線だなっていうのは何となく覚えているわ!」
「そっ、そっ、そっ、そうですよ! いきなり押しかけてきて私のお嬢様にいったい何を言ってくれてるんですか、あのお方! しかも、お嬢様の匂いを嗅いでいい香りだ、なんて……怖すぎますっ!」
「ちょっ、ちょっ、ちょっ、ちょっと落ち着いて! アンナ落ち着いて! あなた何だかおかしな事を口走っている」
「おっ、おかしな事ならお嬢様だってーーーー」
そこでお互い冷静に見つめ合います。
「そっ、そろそろ中に入りましょうか? アンナ」
「でっ、ですね。すっかり舞い上がってしまっていました」
私とアンナは何度も深呼吸しながら屋敷へと戻りました。
それは一刻も早く屋敷の中へと逃げ込みたいと言うよりも、外の風に当たって景色を眺めながら気持ちを落ち着けたいと思ったのでしょう。
二人で忙しなく広大なジャガイモ畑を眺めていると、アンナが口を開きました。
「どっ、どうするんですか? お嬢様」
「なっ、何が?」
「なっ、何がってさっきの話ですよ」
「あっ、ああ、さっきの、アレク様の話ね。アンナはどう思う?」
「なっ、何で私に聞くんですか⁉︎」
「だっ、だってアンナ、アレク様の屋敷に誘われていたじゃない」
「あっ、あれは違います。そんなんじゃありません。それよりもお嬢様でしょう⁉︎」
「わっ、私⁉︎」
「そっ、そうですよ! けけけっ、結婚を申し込まれたんですから!」
「そっ、そうなの⁉︎ 知らなかった……」
「しっ、知らないはずないでしょう⁉︎ 目の前で見ていたでしょう⁉︎」
「さっ、さあ……どうかな……最近私ボーッとしている事が多いし、全く気が付いていないのかも……」
「なっ、何ですかその理屈⁉︎ そんな訳ないでしょう! それに明らかに鳥見だ……取り乱しているじゃあないですか!」
「そっ、そう? きっとアンナの気のせいよ。よく考えてみて」
「そっ、そうだ。お嬢様! あの方、アレク様っていったい何者なんですか⁉︎」
「なっ、ななな、何者って⁉︎」
「ぜっ、絶対マザコンですよアレ!」
「マッ、マザコン⁉︎ アンナ、言葉は適切に使わないと……アレク様は、きっと、お母様の事が、大好きなのよ」
「ごっ、ごめんなさい。マザーコンプレックスです」
「ちっ、違うわ、アンナ。適切にって、そういう意味じゃない。略すなって意味じゃない」
「しっ、しかも最後の方なんか、お嬢様の事呼び捨てにしていましたよ⁉︎」
「ふっ、ふぇ⁉︎ そうだった⁉︎」
「なっ、何て変な声出すんですか! お嬢様らしくない!」
「よっ、呼び捨ての事は覚えていないけれど、なんかすごく上から目線だなっていうのは何となく覚えているわ!」
「そっ、そっ、そっ、そうですよ! いきなり押しかけてきて私のお嬢様にいったい何を言ってくれてるんですか、あのお方! しかも、お嬢様の匂いを嗅いでいい香りだ、なんて……怖すぎますっ!」
「ちょっ、ちょっ、ちょっ、ちょっと落ち着いて! アンナ落ち着いて! あなた何だかおかしな事を口走っている」
「おっ、おかしな事ならお嬢様だってーーーー」
そこでお互い冷静に見つめ合います。
「そっ、そろそろ中に入りましょうか? アンナ」
「でっ、ですね。すっかり舞い上がってしまっていました」
私とアンナは何度も深呼吸しながら屋敷へと戻りました。
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