アヒルタイガー2

エピソード9

天賦

「ここは…。」
リュウキはゆっくりと辺りを見た。

「目が覚めたか。」
その声は鹿原だった。リュウキが横たわっているベッドの側に腰かけた。

「痛っ…」起きようとしてリュウキはこもった声を発した。

「ぐっ…」痛みでまた、仰向けになった。
ああ、そうだ。ライアンイーグルに襲われ、命からがら逃げてきたんだ。で、見知らぬ怪人に運ばれ…その後、意識が…。記憶が少しづつ蘇ってきた。

「まだあまり動かない方がいい。」鹿原が諭すように言った。

そう、あ、あの怪人…。どうしてオレを助けたんだ…。味方…なのか。
いろいろなことが頭を駆け巡った。


「すいません、迷惑かけて。」
どうやらここは病院のようだ。

「ああ、まあ医者にはなんとか説明しておいたよ。適当に。しかし、私の研究所に君を連れた怪人が来て驚いたぞ。」
と鹿原が言うと、
「な、何か言ってましたか？」
リュウキは間髪入れずに聞いた。

「いいや、「助けてやってください。」それだけだ。すぐに去って行ったよ。何があったんだ？まあ、敵にやられたのは察しがつくが。」

リュウキは経緯を話した。

「ライアンイーグルか…。」鹿原が窓の外を見ながら呟いた。
「ええ、今までの怪人とは全く違います。何もできませんでした。」リュウキはうなだれた。

「最近、世界で太陽に関係する鉱石が盗まれているニュースがあるよな。あれはNEW RECOMBINATION社の仕業だ。すでに太陽鉱石を利用した遺伝子操作の研究が進んでいて、より強靭な怪人を作り出すことに成功しているのかもしれないな。」
「もう、奴らを止めることが出来ないって事ですか。」
「なんとも言えない。あくまで推測だ。」

そこへ恋人のレイナが入ってきた。
「リュウキ！良かったー。目が覚めたの！？心配したよー。ねえ大丈夫？」
ドタバタと走り寄りリュウキの手を取って振り回した。

痛っ、痛っ、痛いんですけどー。
と思ったが、レイナの心配してくれている顔が愛しく、嬉しかった。

その横で鹿原は頬を掻きながら苦笑いしていた。