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最終章 虹の判断
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穏やかに、穏やかに日々は過ぎて行く。
フレッドとシャーロットは、すでにお互いなくてはならないパートナーとなっていた。
側で見ているコーディやジュディは、じれったい気持ちを抱えていたが、黙って見守ることにしていた。
そんなある日、建国際が近付き、式典で使うものを確認するため、フレッドがシャーロットと宝物庫に足を運んだ時のこと。
「シャーロットちゃん、王笏、宝剣、間違いなく確認したよ。明日までには磨いておいてもらえれば、建国祭に間に合うね」
「そうですわね。マントもクリーニングから明日上がって来ますし、式典はこれで大丈夫ですわね」
二人で式典に使うものを確認し、宝物庫を出ようとした時に、フレッドが棚の横を通りかかると、触れてもいないのに一つの箱が棚から落ちた。
落ちたのはベルベットのリングケースで、中から指輪がコロコロと転がり落ちた。
「あれー? 触れてないと思ったんだけどぶつかったのかなあ。ごめん。傷でもついてたらどうしよう…」
フレッドは屈んで指輪を拾い上げようと手に取った。
指輪がフレッドの手の中に収まった瞬間、その指輪は眩いばかりに光出した。
「うわぁっ!」
「フレッド様!!」
光がおさまり、手の中の指輪を見ると、色が鮮やかな虹色に変わっていた。
「シャーロットちゃん、この指輪って」
「はい。即位の時に神官長様からお預かりしたものです。伴侶との婚姻が結ばれるまでは、大事にしておくようにと言われて、宝物庫に仕舞っておりました」
二人は顔を見合わせる。
「は、伴侶がいないというのに、指輪が七色になってしまいましたわ……私、一生独身なのかも……」
「オレが落っことしたから、指輪が変色したのかも……」
二人は顔面蒼白である。
「シャーロットちゃん、すぐに大神殿に行こう! 神官長に事情を話して、もう一度指輪をもらえないか聞いてこよう!」
「そ、そうですわね。もう一度指輪をいただければ解決いたしますわね」
二人は転がり出すように宝物庫を出て、大神殿の神官長に謁見を申し込んだ。
急な謁見だったため、神官長の執務室に二人は通された。
執務室内の長椅子に二人は並んで腰掛け、向かい側に神官長が座った。
「神官長、悪いが人払いをお願いできるだろうか」
フレッドが青い顔でそう言うと、神官長は何かを悟り、人払いをする。
部屋の中には、三人以外誰もいない状況になったのを確認して、フレッドが重たい口を開く。
「実は、シャーロット陛下の即位の時にお預かりした指輪を、わたしの不注意で落としてしまい、拾った途端に指輪が虹色に変わってしまったのだが……。もう一つ指輪を都合してもらえないだろうか」
フレッドはいつになく真剣で、いつもの砕けた口調ではなく、完全仕事モードで神官長に話しかけた。
「ほう。王の指輪を落とし、拾ったら色が変わったと。どれ、見せてごらんなさい」
白い髭を顎に蓄えた神官長は、フレッドから指輪を受け取った。
「確かに、虹色に変化しておる。フレッド様、シャーロット様、申し訳ありませんが、この指輪は即位の時、一度しか作ることを許されておりません。同じものをもう一つ造ることは不可能ですな」
シャーロットはふらっとその場に手をついた。
「そんな……。もう指輪をいただけないなんて……。私はやっぱり一生独身……」
「シャーロットちゃん! 気をしっかり持って! オレがなんとしてでも指輪をどうにかするから! ちゃんと、シャーロットちゃんが伴侶と添い遂げられるようにするから!」
フレッドがシャーロットの肩を抱いて慰める様子を、神官長は微笑ましく見ていた。
「では、婚姻式はいつにしましょうか」
神官長がニコニコと笑ってこちらを見ているが、いくらオレがなんとかすると言っても、そんなにすぐに伴侶が見つかるわけないじゃないか!! とフレッドは心の中で絶叫した。
フレッドとシャーロットは、すでにお互いなくてはならないパートナーとなっていた。
側で見ているコーディやジュディは、じれったい気持ちを抱えていたが、黙って見守ることにしていた。
そんなある日、建国際が近付き、式典で使うものを確認するため、フレッドがシャーロットと宝物庫に足を運んだ時のこと。
「シャーロットちゃん、王笏、宝剣、間違いなく確認したよ。明日までには磨いておいてもらえれば、建国祭に間に合うね」
「そうですわね。マントもクリーニングから明日上がって来ますし、式典はこれで大丈夫ですわね」
二人で式典に使うものを確認し、宝物庫を出ようとした時に、フレッドが棚の横を通りかかると、触れてもいないのに一つの箱が棚から落ちた。
落ちたのはベルベットのリングケースで、中から指輪がコロコロと転がり落ちた。
「あれー? 触れてないと思ったんだけどぶつかったのかなあ。ごめん。傷でもついてたらどうしよう…」
フレッドは屈んで指輪を拾い上げようと手に取った。
指輪がフレッドの手の中に収まった瞬間、その指輪は眩いばかりに光出した。
「うわぁっ!」
「フレッド様!!」
光がおさまり、手の中の指輪を見ると、色が鮮やかな虹色に変わっていた。
「シャーロットちゃん、この指輪って」
「はい。即位の時に神官長様からお預かりしたものです。伴侶との婚姻が結ばれるまでは、大事にしておくようにと言われて、宝物庫に仕舞っておりました」
二人は顔を見合わせる。
「は、伴侶がいないというのに、指輪が七色になってしまいましたわ……私、一生独身なのかも……」
「オレが落っことしたから、指輪が変色したのかも……」
二人は顔面蒼白である。
「シャーロットちゃん、すぐに大神殿に行こう! 神官長に事情を話して、もう一度指輪をもらえないか聞いてこよう!」
「そ、そうですわね。もう一度指輪をいただければ解決いたしますわね」
二人は転がり出すように宝物庫を出て、大神殿の神官長に謁見を申し込んだ。
急な謁見だったため、神官長の執務室に二人は通された。
執務室内の長椅子に二人は並んで腰掛け、向かい側に神官長が座った。
「神官長、悪いが人払いをお願いできるだろうか」
フレッドが青い顔でそう言うと、神官長は何かを悟り、人払いをする。
部屋の中には、三人以外誰もいない状況になったのを確認して、フレッドが重たい口を開く。
「実は、シャーロット陛下の即位の時にお預かりした指輪を、わたしの不注意で落としてしまい、拾った途端に指輪が虹色に変わってしまったのだが……。もう一つ指輪を都合してもらえないだろうか」
フレッドはいつになく真剣で、いつもの砕けた口調ではなく、完全仕事モードで神官長に話しかけた。
「ほう。王の指輪を落とし、拾ったら色が変わったと。どれ、見せてごらんなさい」
白い髭を顎に蓄えた神官長は、フレッドから指輪を受け取った。
「確かに、虹色に変化しておる。フレッド様、シャーロット様、申し訳ありませんが、この指輪は即位の時、一度しか作ることを許されておりません。同じものをもう一つ造ることは不可能ですな」
シャーロットはふらっとその場に手をついた。
「そんな……。もう指輪をいただけないなんて……。私はやっぱり一生独身……」
「シャーロットちゃん! 気をしっかり持って! オレがなんとしてでも指輪をどうにかするから! ちゃんと、シャーロットちゃんが伴侶と添い遂げられるようにするから!」
フレッドがシャーロットの肩を抱いて慰める様子を、神官長は微笑ましく見ていた。
「では、婚姻式はいつにしましょうか」
神官長がニコニコと笑ってこちらを見ているが、いくらオレがなんとかすると言っても、そんなにすぐに伴侶が見つかるわけないじゃないか!! とフレッドは心の中で絶叫した。
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