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第2章
98 王子様《前編》
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最新順にしてスワイプしてみると、今日の日付で呟いている人がずらっとあふれた。
《さっき街中でアオくん激似な人とアキくん激似な人を見かけた~!!σ̴̶̷̤ . σ̴̶̷̤ ♡でもアキくん激似な人はサングラスしてて目元見えないしいつものアキくんのヘアメとも違ったから普通に別人だと思う~( ・ᴗ・̥̥̥ )あとアオくんはあんな垢抜けてない笑笑》
(うわ、別人だと思われてる……。最後の言葉おいっ!)
《なんか目撃情報出てるみたいだけど、私アオとすれ違っても100%気づかない自信あるわ。一般人すぎて。アキくんはどんなに顔隠してても一瞬でわかるよ。LIVE行った時天井席から見ても発光してたもん。ちなアオはモブすぎて背景と同化してた》
(おい!!! それ関係ないだろ……! 今!!!)
《昼休みで来たらTLざわざわしててビビる!! ごちゃまぜの目撃情報(アキ&アオ??)出てるの? 気になって午後の仕事に身が入らないんですが!!! どゆこと??! 場所は!?》
《色んな人の目情まとめるとアキくんとアオくんで外でなんかの撮影してたっぽい、? なんの動画だろうね。楽しみだね。ドライヤーの案件ぶりのこの組み合わせ!》
《今アキアオくんが話題ですがこの二人がプラベで遊ぶイメージないから仕事だろうな~。いいなー私も生のアキくん見たい~~~》
(うあーー……動画とか仕事だって思われてる! ちゃんとプラベなのに……!!)
俺はもどかしい気持ちになりながら、今度は話題順に変えた。
話題順にしたら、いいねやインプレッションが多かったり反響の大きいポストが上から並ぶ。
一番上に出てきたのを見てみると、詳しくレポートしている人がいた。
《人生で一番びっくりすることが起きた。私の最推しアキのポスターを駅で見かけたから写真に撮ってたら推しに似てる長身サングラスマスクのイケメンが向こうから歩いてきてポスターの前に立ってえ?え?と思って近くでガン見してたらアオに似てる人が駆け寄ってきて二人の青年が謎のイチャイチャし出して自分でも何を言ってるかわからない。病院に行った方がいいのかもしれない。心臓バクバク。まじ手の震えやばどしよ》
《DMで詳しく教えてください!》《どこの駅ですか?》《本物だったんですか?》《イチャイチャってどんな感じですか!?》などのリプがついている。
主は気づいていないのか本当に病院に行ったのか誰にも返していない。
俺は画面を戻り、その下の別の人のポストに視線を移してみた。
《駅にごちゃまぜのアキに似てる、尋常じゃないオーラのイケメンが居たんだけど撮影かな!? 誰が話しかけるか、周りの女の子たちめっちゃ牽制し合ってた! そしたらさ、大きめの眼鏡かけてる大学生ぽい年下の男の子? が走ってきて、イケメンと絡み出した! 身長差すごくて可愛かった! 眼福~~! でもすぐいなくなっちゃったよ……。結局なんの撮影だったんだろう??(;~;)》
(だ、大学生ぽい……!? まじ!?)
やっぱ、片方が俺だと気づかれていない。髪型と服装でそんなにバレない度が上がるというのだろうか。驚きだ。
続いて別のポストを見ると、こっちはリプ欄で会話が繰り広げられているようだった。
《今さっき目の前でアキくんがマスク外すとこ見た。(多分)アオもいた。芸能人と遭遇したの初めて。都会ってすげぇや……我放心》
《ほんとですか!? どんな感じでしたか!? あっFF外から失礼しますっ。ファンなので詳しく知りたいです……!》
《ほんとです。詳しく……えっと、遠くて会話内容はよく聞こえなかったんですけど、アキくんがアオの顔を上に向けさせて身だしなみチェック? みたいなのしてました。ほっぺにまつ毛とかゴミがついてたのかも。それ取ったり、アオの髪の毛がボサボサすぎたからかアキくんが手で直してあげたりしてました。その後なぜかアオが急にキレてアキくんに頭突きかまして、わーわーと揉めてました》
《どういう状況!?!》
「……!!!」
(あーー誤情報! 誤情報だーーっっ!!)
周りからはそう見えていたのだろうか。これじゃあ、秋風は親切にしてくれたのに俺が突然頭突きで答えたヤバいやつみたいである。
(違うわ!! うう、でも、めちゃくちゃ拡散されてるし……! はぁ……なんでだよ……っ)
あいつは俺の髪の跳ねを直してくれたりなんかしてなかったぞ。
むしろ、わしゃわしゃ掻き回して余計にボサボサにして遊んでいる感じがしたし、言葉でも俺のことをからかってきたから、俺は怒ったのだ。理由もないのに突然怒ったわけじゃない。
(くそっ……弁解してぇ……)
否定したくてもできない。配信者が一ファンの人のポストを拾って反論してしまえば、その人がみんなの前に晒されてしまうし、マナー違反だ。そんなことしたら最悪燃える。SNS怖い。
(はぁ……)
俺はモヤモヤする気持ちを押さえつけてアプリを閉じた。急にキレたというのは冤罪すぎるが……仕方ない。ここは飲み込もう。
そもそもいつも配信上で不機嫌な顔をしていて、すぐに怒るヤツというイメージがついてしまっている俺の方に問題があるわけだし。
反して、秋風はずるい。普段の行いとイメージが良すぎて、どんなに頓珍漢な挙動をしたとしてもファンが勝手に良い意味で脳内補完してくれるのだから……。
「……」
(……ていうか、意外と具体的な駅名が出たポストがなかったような?)
みんな律儀に場所はぼかしてくれていた。
そういえば、ミュージカルの日四人でカフェにいたら、ファンに囲まれてしまい騒ぎになった時があった。
あの時盗撮にガチギレした珀斗が、後日の配信で注意喚起を出したんだっけ。
今後ごちゃまぜを街で見かけたとしても具体的な場所は書くな、集まってくるな、と。囲まれて移動できなくなると活動に支障も出るし迷惑だ……って。
そんなことを言われても、もちろんリスナーではない人たちは配信なんて見てないから、守らないだろうけど。
良心的なリスナーに限っては、ちゃんと珀斗の言葉を守ろうとしてくれているのだろう。
「良かった……」
具体的な場所が明かされていないおかげで、聞きつけたファンが色んな街からどんどんここに押し寄せてくるということはなさそうで助かった。
(……でも、仕事だと思われてたのは問題だな?)
試食会は仕事だから、正直正しいのだけど……。
しかし、今日はプラベBL営業(勝手に)なので、仕事じゃなくプライベートだと思ってもらわなければダメなのだ。
(うん、やっぱり昨日考えてたやつをやらないと!! プライベートだとわかるツーショットを載せるんだ……!)
蔓延っている別人説も、本物の写真さえあれば払拭できるはずだ。
どうにか秋風とSNSに載せる用のツーショットを撮る良いタイミングはないか……と考えていたら、絆創膏の調達に行っていた秋風が戻ってきた。
「はぁ、はぁ……ごめん、波青。お待たせ」
「あ! いや、ありがと! 早かったな……、?」
秋風の手にショッパーがぶら下がってるのに気づき、俺は首をかしげた。
絆創膏を買いに行ったと思ったのだけど、他にも買い物をしたようだ。
「ついでになんか買い物してきたのか?」
「! あ、これは……靴を買ってきちゃった」
「えっ!?」
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