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第1章 禁断の魔道士
魔道竜(第1章、33)
しおりを挟む「ある日、街に買い物をしにでかけたの」
結婚式の日取りも決まり、あらたな新居に必要な物を買い揃えようとその日は意気揚々として街のショッピングモールを巡っていた。
折よくたまたま立ち寄った古めかしいその店先に飾られたオルゴールに心をひかれ、そのまま店内にはいり、無造作に置かれた家具の一つ一つを手にとってみていると、その店の店員が彼女にこう尋ねたという。
『いつ結婚式を挙げるんですか?』と。
彼女ははち切れんばかりの破顔をうかべ、律義に答えた。
『今週の末日には』
妙な店員だとその時は首をかしげながらも店をあとにした。
この島の島民ならば誰もが彼女の結婚式の日取りを知っている。他の店では、おめでとうコールがなりやまなかったぐらいだ。
聞けばその誰もが知ることを尋ねたのはその店の店員だけだったとか。
ゆえに不信感をつのらせるものの、数いるなかにはそんな人もいるのね、の一言で片付けてしまったいうのだ。
その日から数えて二日後の真夜中のことだった。彼女が連れ去られそうになったのは。
「それで?」
あの日のことを思い出すだけで彼女は吐き気におそわれる。口に手のひらをおしあて、なんとかそれをこらえる。
しかしそれでもあふれでる湿り気をおびた冷たいものがあとからとめどなくこみあげ頬をつたわせる。
「そこであなたは何かを見てしまったのね?」
彼女は小さくうなずいた。
「それは思い出すだけでもおぞましい恐ろしい光景だった……」
この世のものとは思えない虚無。はげしい脱力感に苛まれ、何も感じない、苦痛ですらも。
そんななか、何かに麻痺するかのように狂った人々が酔いしれ陶酔にひたる。大きな石像の御神体にむかって一心不乱に祈りをささげるさまは見るからに怪しげな光景だ。
『儀式をはじめる』
その一言を耳にし、意識は覚醒へと導かれた。
それと同時に我が身のおかれた状況がタダごとではないことにも気がついた。縛り上げられていたのだ。それも木に巻き付いた蛇のように。
『おや、起きちまったのかい、寝たままだったなら痛みも感じることもなく終わっていただろうに』
『お……わる? 何を……』
その朽ち果てた幹の真下から尋常ではない熱気を感じる。火の河だ。
『これは…溶岩? 』
溶岩、御神体、謎の洞窟、とくればこの島の伝説に直結される。
『まさかここは……伝説の炎の聖域?』
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