Red Signal

「 さようなら 」

俺と親友の 祐司は 高校生最後 の 夏休み 

とある話題の 廃病院に肝試しに行った ・ ・ ・


俺と祐司は 冗談を言い合っては 真っ暗な 

廃病院を 懐中電灯片手に 恐る恐る探索し 

最後に 異様な空気を放つ噂の

手術室 へ と ゆっくり 足を踏み入れた  


すると 何故か 誰が置いたのか

施術台の上に なにやら古新聞が置いてあり


「 おい 何だよ 凄く古い新聞だぜ これ 」


そう言うと 懐古趣味な 祐司は その 何十年も前の 

古新聞を 懐中電灯片手に 何やら 興味津々に 

読みだした


「 おい スゲーな スげーな ～ 」


少し興奮気味な 祐司に


「 お前って ほんと 物好きだよな 」


と 笑いながら 彼にそう言った 後だったか


急に祐司の顔が真っ青になった ・ ・ ・ 


急にどうしたのか 祐司に尋ねると

祐司は 無言で その 古新聞の記事

の一部を 震えながら指差した ・ ・ ・


「 なんだよ ・ ・ ・ 」


彼が 指差したその記事には 

なんと 俺たちの名前と ここの 

廃病院の名前が載っている


そして その記事の見出しには こう書かれていた


“ 高校生二人 廃病院にて 遺体として見つかる ”


なんだか怖くなり 二人で 手術室 から 出ようとした

その時 俺達二人は 何かに 足をつかまれ 

激しく転倒した . . . 


ふと 目を覚ますと 俺と 祐司 は 手術台に 縛られ

そして そこには 手術着を着た 見知らぬ 大男と

全身 血だらけの ナースが 立っていた ・ ・ ・


「 先生？ 今日は私に何をプレゼントしてくれるの？ 」
  

ナースが 笑いながらそう言うと

手術着を着た その大男が


「 そりゃぁ 君 決まってるだろ ・ ・ ・ 」


大男がそう言うと 突然 錆びついたメスで

俺達に 襲いかかってきた



もう駄目だ !!!



ぐっと目をつぶった その瞬間 ・ ・ ・


走馬灯のように それまで ずっと思い出したく

なかった 壮絶な記憶が蘇る 


そう 俺たちは あの日 あの大男とナースに

殺されたんだ ・ ・ ・ 


そして 何故だか 急に 笑いが止まらなくなり

俺達二人は静まり返った廃病院で ただ ただ

大声で笑った


それから 暫くして 


「 なぁ 祐司 そろそろ 逝こうか 」


そっと 静かな声で彼にそう言うと 


「 そうだな 俺達 ここで 長居し過ぎたんだよ 」


と どこか悲しそうな声で 徐に祐司が手術台から

立ち上がる


俺と祐司は また来た道を戻り

その後 廃病院を後にした ・ ・ ・


「 さようなら ・ ・ ・ 」


ただ 廃病院の不気味さとは裏腹に

上空から見える 町並みは どこか 俺たち

に最後の別れを告げているかのように 


とても 美しい輝きを放っていた ・ ・ ・