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月曜日

月曜日

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 僕と君が出会ったのは放課後の高校の屋上だった。
 僕は小さい頃から空を翔んでみたいという憧れが強く、登場人物が空を翔んでるアニメが大好きだった。だから、放課後の屋上のフェンスに寄りかかり空を見上げるのがルーティーン。屋上が立入禁止の高校が多かったためたまたまこの高校は簡単に出入りできてラッキーだった。
 今日もいつも通り自販機で買ったソーダを片手にゆっくり流れる雲を見たり、夕暮れの景色を眺めていた。また、今日は月曜日だったため疲れて眠たく寝そうになっていた。すると今居るフェンスの反対側から物音が聞こえた。何事かと思い振り返る。
 翔斗「え、な‥に…して?!」
 同じ高校の女子生徒がフェンスの反対側に移るところを目撃してしまい動揺し、体が硬直した。
 翔斗(?!?!これって自殺?しようとしてるってことか?何て声を掛けるべきか分からねぇ、止めるのが普通は正解なんだろうけどどうすれば、、)
 頑張って頭を働かせ何が最適解か考えたが分からない。そんな時に女子生徒がこちらを振り返る。
 女子生徒「見なかったことにして帰ってください。私はこれから死ぬので。」
女子生徒はゆっくり前に重心を傾ける。さっきまで眠たかったのが嘘のように目が覚め、僕は咄嗟に腕を掴んだ。
翔斗「す、すみません。見なかったことには出来ないです。正直止めることも正解か分からないです。なので、、」
(どうしよう、この後何を言おう。どうすれば、)
「良ければ一緒にとびませんか!!!!」
焦って破天荒な事を口走ってしまった。
女子生徒「?!」
翔斗「ご、ごめんなさい!実は僕もずっと空を翔んでみたくて、君も飛びたいと思ってるなら我儘言って悪いんだけど死ぬ前に僕と一緒にスカイダイビング行ってくれない?!」
女子生徒に飛ぶ勇気があったからこんな事を言ってしまった。
女子生徒「あははははは、こんな事言われたの初めてだ。私、前に飛ぼうとしたら生きてたら良いことあるよ!とか死ぬのは絶対駄目って言われたから。」
笑ってokしてくれるとは思ってなくて驚いた。これが正解だったか分からないけど、取り敢えずは安心した。
翔斗「はは、そうなんだ。じゃあ早速来週の日曜日に一緒に翔ばない?その後は出来れば死なないで欲しいけど別に好きにしてくれて構わないからさ。」
女子生徒「分かった。けどスカイダイビングってお金かかるよね?私お小遣い貰ってないしアルバイトもしてないから行けないかも。」
翔斗「俺が言い出したんだからお金は俺が持つよ。バイトはしてないけどお小遣いはまぁまぁ貰ってるし。それはそうと名前聞いてなかったね。俺は翔斗っていうんだ。1週間の間良かったら仲良くして欲しい。」
女子生徒「ありがとう。私は舞華って名前だよ。短い間だけどよろしくね!」
それから舞華は少し俯いて
舞華「死ぬ前に思い出が作れそう…」
と、呟いた。舞華の中で死ぬ事は決定していて僕は少し寂しくなった。
翔斗「………うん、分かった。じゃあこの1週間でやり残した事があれば手伝うよ。」
舞華「ありがとう!じゃあまた明日、放課後校門前に来て欲しいな。」
翔斗「了解!じゃあまた。」
月曜日はこれで終了した。
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