ハッタリと適当で世界を救う ～泣きそうだけど最後まで貫く～

第1章

ソフィアって何者なのか？

---

　俺のことを冷ややかな目で見ながらも、なぜか一番近くでサポートしてくれるエルフの超絶美人、ソフィア。

　彼女はいつも俺の言動を**「仕方ありませんね」とため息混じりに受け入れ、時には毒舌を吐きながらも、決して俺を見捨てない。**

（……いや、待てよ？ そもそも、こいつ何者なんだ？）

　気づけば、俺は彼女に頼りきっている。
　この異世界に来てから、嘘が嘘を呼び、俺は"賢者様"として崇められ、逃げ場を失った。

　でも、その中で唯一、最初から俺の嘘を見抜いていたのが――ソフィアだった。


（でも、俺……こいつのこと、ほとんど何も知らないぞ！？）

　そう思い、ある日の夕方――。

「なぁ、ソフィア」

「はい、なんでしょう？」

「……お前、何者なんだ？」

「……はい？」

　俺の突然の質問に、ソフィアは目を瞬かせた。

「いや、その……俺、お前のこと何も知らないなって」

「今さらですか？」

「いや、だってお前、ずっと俺の横にいるし、なんか俺の嘘に付き合ってくれるし……お前の素性、俺だけ知らなくないか？」

　そう言うと、ソフィアは少し考える素振りを見せたあと、静かに答えた。



「……私は王国直属の特別諜報員です」

「は？」

（え、なんかすごいの出てきたんだけど！？）

「正式な肩書きは、王国情報局 特命監察官 ソフィア・ルシフェル」

「ちょ、待て待て待て待て！！ なんだそのカッコいい肩書きは！？」

「簡単に言えば、王国のために暗躍する者ですね」

（そんなヤバい立場の奴が、なんで俺の側にいるんだよ！？）



「ちょっと待て、なんでそんなすごいやつが俺の横にいるんだよ！！？」

「……最初は、"賢者様"が本物かどうかを監視するためでした」

「……え？」

　俺の背筋がゾワッとする。

（つまり、最初は俺の"正体"を暴くために監視してたってことか！？）

「しかし――」

　ソフィアは、少しだけ微笑んだ。

「予想以上に面白い展開になったので、興味が湧いてしまったのです」

「いや、お前の興味で俺の人生が左右されるの、マジでやめてほしいんだけど！？」

「そして、あの時決めたのです。"どうせ処刑されるなら、もう少し長く遊んでみましょう"と」

「やっぱりバレたら斬首確定だったのかよ！！！！」



　俺は混乱しながらも、ソフィアの素性を掘り下げていった。

「ちょ、ちょっと待て……お前、"諜報員"ってことは、戦闘もできるのか？」

「……"少々"なら」

「"少々"ってどのレベルだよ……？」

「……Sランクの暗殺者が10人束になってかかってきても、5秒で片付けられる程度です」

「それ、めちゃくちゃ強いじゃねぇかぁぁぁぁ！！！！」

　このエルフ、ガチでヤバいやつだった。




「……でも、お前がそんなにすごい奴なら、俺に付き合う必要なくないか？」

「面白いからです」

「お前、俺の人生をなんだと思ってんだよ！！」

「……それに」

　ソフィアは、少しだけ真剣な顔になった。

「貴方は――ただの詐欺師ではありません」

「え？」

「確かに、最初は"嘘"から始まった。しかし、その嘘を"本物"にしてしまう異常なまでの偶然と、奇跡的な流れを生み出す力を持っている」

「……」

「私は、それを間近で見てみたくなったのです」

　ソフィアは微笑んだ。

「貴方は、世界を本当に動かしてしまうかもしれませんね」

「……」

（やばい、めっちゃハードル上げられた！！！！！）


---

結論：ソフィアは超ヤバいエージェントだった

　こうして、俺はソフィアの正体を知った。

　王国最強クラスの戦闘力を持ち、情報を操り、影から国を支えているエージェント。
　そんなヤツが、俺の側にいて、俺の嘘に付き合ってくれている。

（これって逆にめっちゃ心強くね！？）

「……ま、これからも付き合ってくれるんだろ？」

「ええ、もちろん」

　ソフィアはフッと笑う。

「賢者様がどこまで追い詰められるのか、じっくり観察し続けますよ」

「俺の人生、モルモット扱いされてない！？」

　俺の胃は、またしても痛み出した。


---