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第一章
試験案内
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夜の研究室――
サイガは静かに、次なる試作に着手していた。
「術式補助具の第二世代……中級魔法の展開に干渉できるレベルまで精度を高める。
“魔力の制御”を補う装置だ。特にレイアの《烈火連槍》のような三段構成魔法は、制御負担が大きすぎる」
レイアは椅子に腰かけ、腕を組んだままサイガの手元をじっと見つめていた。
「……理論上は、確かに道具で負担軽減は可能。でも、それを実現した人は今までいなかったのよ」
「だったら、俺がやる」
その目に、迷いはなかった。
---
翌朝。
ギルドから届けられた一通の封筒。中には、三人の名前が正式に記された通知書が入っていた。
---
【ギルド通達】
◆対象者:サイガ殿・リュウイチ殿・レイア殿
◆内容:Dランク冒険者としての活動実績と協働依頼達成数を認め、Cランク昇格試験への参加資格を付与します。
◆試験内容:合同依頼型任務(準戦闘・支援任務)
◆実施日:2日後、午前9時 バイス西拠点集合
◆備考:個人ではなく“チーム評価”が主体となります。連携を重視してください。
---
「……昇格試験か」
リュウイチが通知を手に、ぐっと拳を握る。
「ここまで来たんだな、俺たち」
「これで、次の階層に踏み出せる。発明や魔法の枠も、さらに広げられる」
サイガの瞳が静かに光る。
レイアは少しだけ目をそらしつつ、ぽつり。
「……その、Cランクになったらさ。もう少しだけ……正式にパーティ名、考えてもいいかも」
「“レイア様と変な男たち”は無しで頼む」
「なっ……! い、言ってないじゃないッ!」
三人は確かに、次の“壁”の前に立っていた。
Cランク昇格――それは、冒険者としてひとつの「格」が問われる試験。
その先に待つ戦場、技術、そしてさらなる出会いに向けて――
準備は、着々と進み始めていた。
---
ギルドから昇格試験の通知を受け取った日、三人はさっそく準備に取りかかった。
---
― サイガ:支援装置ver.2の仕上げ
研究室。サイガは術式回路の最終調整を行っていた。
今回の試験に合わせて投入するのは、“展開補助機能付き・中級支援装置”。
「魔力安定に加え、展開速度の最適化とタイミング同期機能を搭載。
連携魔法を撃つレイアにとって、“一呼吸分の余裕”を作るのが目的だ」
小型化も進んでおり、ベルトや篭手に取り付けることもできる。
---
マリアが様子を見に来て、お茶を差し出す。
「サイガ様、魔力が乱れておりますよ。そろそろお休みになっては?」
「……もう少しだけ。この“精度”が、合否を左右するかもしれない」
(……そして、“連携”の鍵を握るのは、あの二人だ)
---
― リュウイチ:斬撃と魔力の同期訓練
屋敷裏の訓練場では、リュウイチが剣を振るたび、周囲の空気が揺れていた。
「疾駆、発動――強化、乗せろ!」
動きの中に魔力を通す練習。
剣術Lv3+身体強化+疾駆――3つのスキルを同時に扱うのは、依然として難しい。
だが、リュウイチは妥協しなかった。
「今回は“連携試験”。俺一人で突っ込んでもダメなんだ。サイガの装置と、レイアの魔法と、噛み合ってこそ」
---
「自分の役割を意識しろ。敵の数、動き、仲間の距離――全部読み取れ!」
そうぶつぶつ言いながら、空間認識と動きの“読み”を鍛えていた。
---
― レイア:新魔法の構築
自室の机に向かっていたレイアは、いつものように魔法書を開いていた。
「……《烈火連槍》は確かに強い。でも、発動時間が長い。
もっと“連携向け”に、短詠唱・方向指定型の魔法が必要ね……」
試作していたのは、《火線槍(かせんそう)》――細く、貫通力に特化した魔法。
威力は落ちるが、サイガの補助装置とリュウイチの“動き”に合わせて撃ち込める。
「私だって、“お姫様”じゃない。
試験でちゃんと証明するわ、“今の私”の力を――」
夜。食卓を囲む三人。
それぞれ、心の奥に静かな闘志を宿しながら、
翌日の“昇格試験”に向けて、穏やかで静かな時間を共有していた。
---
試験当日、早朝。
三人はいつもより静かな朝食を済ませ、バイス西部の訓練拠点へと向かった。
ギルドが管理する特設訓練場――“実戦型昇格試験”の舞台。
冒険者たちの殺気と熱気が満ちる場所に、サイガ、リュウイチ、レイアの三人は到着した。
広場には既に数組のパーティが集まっており、各々の装備を点検しながら待機していた。
その中でも特に目を引いたのは、黒い長髪の青年剣士と、双剣を背負った細身の少女のペア。
「……あいつら、バイスの“昇格予備組”の筆頭候補じゃなかったか?」
「“ガイルとシア”って聞いたことある。Cランク級の実力はあるって噂ね」
そんな中、ギルド試験官と思しき男が姿を現した。
短く刈った髪、鋼のような体躯――元冒険者の風格が漂う男は、集まった参加者たちに鋭い視線を走らせた。
「全員揃っているな。では――昇格試験を開始する」
男は淡々と話す。
「今回の試験は、“共同依頼模擬戦”形式で行う。
複数のパーティが同時に任務に挑み、討伐数・連携度・危機対応力を総合的に評価する」
---
◆【試験任務】
◆名称:旧防衛線跡地の魔獣掃討
◆内容:森林地帯に潜伏する魔獣群の排除
◆討伐対象:ミストファング(霧狼種)×10体以上
◆特記事項:霧による視界不良・突発的な魔物の集団行動あり
◆採点基準:安全確保・連携戦術・成果提出
「今回、全参加者には“連携装置”が渡される。これで位置や簡易指示が共有できる。
“個人の力”ではなく、“パーティとしての完成度”を見せてもらう」
サイガが静かにうなずいた。
「装備は万全。試験官が重視するのは“安定した運用と、確実な成果”だな」
リュウイチは拳を握り、気合を入れる。
「霧の中でも、気配は読める。俺の出番だ」
レイアは軽く杖を撫でながら呟いた。
「本気で行くわよ。足は引っ張らないでよね」
ギルド試験官が一歩前に出て、手を挙げた。
「全チーム、配置に移れ。昇格試験――開始だ」
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サイガは静かに、次なる試作に着手していた。
「術式補助具の第二世代……中級魔法の展開に干渉できるレベルまで精度を高める。
“魔力の制御”を補う装置だ。特にレイアの《烈火連槍》のような三段構成魔法は、制御負担が大きすぎる」
レイアは椅子に腰かけ、腕を組んだままサイガの手元をじっと見つめていた。
「……理論上は、確かに道具で負担軽減は可能。でも、それを実現した人は今までいなかったのよ」
「だったら、俺がやる」
その目に、迷いはなかった。
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翌朝。
ギルドから届けられた一通の封筒。中には、三人の名前が正式に記された通知書が入っていた。
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【ギルド通達】
◆対象者:サイガ殿・リュウイチ殿・レイア殿
◆内容:Dランク冒険者としての活動実績と協働依頼達成数を認め、Cランク昇格試験への参加資格を付与します。
◆試験内容:合同依頼型任務(準戦闘・支援任務)
◆実施日:2日後、午前9時 バイス西拠点集合
◆備考:個人ではなく“チーム評価”が主体となります。連携を重視してください。
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「……昇格試験か」
リュウイチが通知を手に、ぐっと拳を握る。
「ここまで来たんだな、俺たち」
「これで、次の階層に踏み出せる。発明や魔法の枠も、さらに広げられる」
サイガの瞳が静かに光る。
レイアは少しだけ目をそらしつつ、ぽつり。
「……その、Cランクになったらさ。もう少しだけ……正式にパーティ名、考えてもいいかも」
「“レイア様と変な男たち”は無しで頼む」
「なっ……! い、言ってないじゃないッ!」
三人は確かに、次の“壁”の前に立っていた。
Cランク昇格――それは、冒険者としてひとつの「格」が問われる試験。
その先に待つ戦場、技術、そしてさらなる出会いに向けて――
準備は、着々と進み始めていた。
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ギルドから昇格試験の通知を受け取った日、三人はさっそく準備に取りかかった。
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― サイガ:支援装置ver.2の仕上げ
研究室。サイガは術式回路の最終調整を行っていた。
今回の試験に合わせて投入するのは、“展開補助機能付き・中級支援装置”。
「魔力安定に加え、展開速度の最適化とタイミング同期機能を搭載。
連携魔法を撃つレイアにとって、“一呼吸分の余裕”を作るのが目的だ」
小型化も進んでおり、ベルトや篭手に取り付けることもできる。
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マリアが様子を見に来て、お茶を差し出す。
「サイガ様、魔力が乱れておりますよ。そろそろお休みになっては?」
「……もう少しだけ。この“精度”が、合否を左右するかもしれない」
(……そして、“連携”の鍵を握るのは、あの二人だ)
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― リュウイチ:斬撃と魔力の同期訓練
屋敷裏の訓練場では、リュウイチが剣を振るたび、周囲の空気が揺れていた。
「疾駆、発動――強化、乗せろ!」
動きの中に魔力を通す練習。
剣術Lv3+身体強化+疾駆――3つのスキルを同時に扱うのは、依然として難しい。
だが、リュウイチは妥協しなかった。
「今回は“連携試験”。俺一人で突っ込んでもダメなんだ。サイガの装置と、レイアの魔法と、噛み合ってこそ」
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「自分の役割を意識しろ。敵の数、動き、仲間の距離――全部読み取れ!」
そうぶつぶつ言いながら、空間認識と動きの“読み”を鍛えていた。
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― レイア:新魔法の構築
自室の机に向かっていたレイアは、いつものように魔法書を開いていた。
「……《烈火連槍》は確かに強い。でも、発動時間が長い。
もっと“連携向け”に、短詠唱・方向指定型の魔法が必要ね……」
試作していたのは、《火線槍(かせんそう)》――細く、貫通力に特化した魔法。
威力は落ちるが、サイガの補助装置とリュウイチの“動き”に合わせて撃ち込める。
「私だって、“お姫様”じゃない。
試験でちゃんと証明するわ、“今の私”の力を――」
夜。食卓を囲む三人。
それぞれ、心の奥に静かな闘志を宿しながら、
翌日の“昇格試験”に向けて、穏やかで静かな時間を共有していた。
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試験当日、早朝。
三人はいつもより静かな朝食を済ませ、バイス西部の訓練拠点へと向かった。
ギルドが管理する特設訓練場――“実戦型昇格試験”の舞台。
冒険者たちの殺気と熱気が満ちる場所に、サイガ、リュウイチ、レイアの三人は到着した。
広場には既に数組のパーティが集まっており、各々の装備を点検しながら待機していた。
その中でも特に目を引いたのは、黒い長髪の青年剣士と、双剣を背負った細身の少女のペア。
「……あいつら、バイスの“昇格予備組”の筆頭候補じゃなかったか?」
「“ガイルとシア”って聞いたことある。Cランク級の実力はあるって噂ね」
そんな中、ギルド試験官と思しき男が姿を現した。
短く刈った髪、鋼のような体躯――元冒険者の風格が漂う男は、集まった参加者たちに鋭い視線を走らせた。
「全員揃っているな。では――昇格試験を開始する」
男は淡々と話す。
「今回の試験は、“共同依頼模擬戦”形式で行う。
複数のパーティが同時に任務に挑み、討伐数・連携度・危機対応力を総合的に評価する」
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◆【試験任務】
◆名称:旧防衛線跡地の魔獣掃討
◆内容:森林地帯に潜伏する魔獣群の排除
◆討伐対象:ミストファング(霧狼種)×10体以上
◆特記事項:霧による視界不良・突発的な魔物の集団行動あり
◆採点基準:安全確保・連携戦術・成果提出
「今回、全参加者には“連携装置”が渡される。これで位置や簡易指示が共有できる。
“個人の力”ではなく、“パーティとしての完成度”を見せてもらう」
サイガが静かにうなずいた。
「装備は万全。試験官が重視するのは“安定した運用と、確実な成果”だな」
リュウイチは拳を握り、気合を入れる。
「霧の中でも、気配は読める。俺の出番だ」
レイアは軽く杖を撫でながら呟いた。
「本気で行くわよ。足は引っ張らないでよね」
ギルド試験官が一歩前に出て、手を挙げた。
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