20 / 118
貿易都市グリゴレオ編
20 ルシファーの贈り物
しおりを挟む
前回のあらすじ。
「城が家だった」
'言ってないで早く入ってください'
入りたくないというか、見たくもない。え?可哀想にも限度ってやつがあるだろ?なにこれ、国民からのいじめですか?
「私も最初来た時はびっくりしたわ。だって魔王が住んでるのって大きなお城とかじゃない?なのにルシファー様ったら皆に迷惑がかかるからって言ってこんな質素な小屋に住んでるの」
これ、魔王の尊厳失われてると思われるのですがどうですか?マグさんの意見を聞きたいところです。
'あの魔王には尊厳もクソもないのでいいんではないですか?'
hooooo!辛辣ぅ!マグさん辛辣ぅ!尊厳あったじゃん、最初登場シーンかっこよかったじゃん!平気でひとを殺してたじゃん!
'あら?気付いてなかったのですか?'
え、ちょっとちょっと待って待って!もしかしてアレ?第3話くらいの時のあれ!?あれのパターン!?
'あの男、ドッペルゲンガーですよ?'
「ここの街、魔物潜んでる確率高すぎだろぉ!!」
その突っ込みにリヴィアンが小さく肩を震わせる。
「きゃっ!?な、何よいきなり!びっくりするじゃない!」
ぷくっと頬を膨らまして俺を睨む。
「全く、まぁいいわ。早く入って。ルシファー様がお呼びよ」
「なぁ、そのルシファー様ってのずっと言ってんの?」
その質問は地雷だったらしく、リヴィアンは顔を真っ赤にして
「ーーーーーーッ!!次言ったら殴ってやるんだからーーー!!」
と叫び小屋の中に入っていった。
'デリカシーの欠片もないですね'
何か俺悪い事言った?よくよく考えてみるもやはり理由が分からない。
小首を傾げつつ小屋兼お城に入っていくのだった。
○ ○ ○
「お、お邪魔しマース」
扉のむこうに誰か人影がある。
「よく来たな、馬鹿な転生者よ」
ルシファーがテーブルの椅子に鎮座していた。腕を組み、魔王の尊厳を保とうと試みているのが丸わかりな顔で。
ってか、脂汗ダラダラじゃん!火をつけたら発火するくらいテカテカじゃん!びびってるよな、こいつ。
「おい、見栄を張るな」
突っ込んでみる。
途端、ルシファーの顔がみるみる青くなっている。これぞ顔面蒼白ってやつだろうか。
な、情ねぇ…。
'言ってあげないでください。可哀想でしょう?生まれたての仔鹿が見栄を張っているのですし'
お前は容赦の欠片もねぇな。まぁともかくちゃっちゃと用を済ませるか。
「で、用事ってのは?」
「ふ、ふっふっふ。き、き貴様になな名前をさずけてややろう…。さすれば貴様は今以上の力を持てる…」
うわぁ、見ていて痛々しい。痛々しいよ。や、やめてっ!め、目の前が霞んで…。
「ルシファー様、失礼ながら汗だくでございます」
リヴィアンに指摘され言葉を詰める。が、もう一つ
「名前ならあるんだけど」
この質問を好機と見たのか、ベラベラと口を動かし始める。
「よく言った。その質問を待っていたのだよ。君の今持っている名前は前世のものだ。即ち、君は前世という鎖で縛られているということになる。だからブエルと闘った時、魔力が押さえ込まれてて全力を出せなかったという事だ。なので、その名前を捨て、この僕魔王ルシファーの贈り物を受取れば君は力を最大限に引き出せると言いたいのだ。名前には魔力が宿っている。そのおかげでこの世界の人類や魔物、魔王達は魔力を使えている。今、ここに誓え。名前を捨てる、と」
名前を捨てる。それは最川を泣かせた、濡れ衣を着せさせてしまったと思わせてしまった罪を俺、妻突氷軒を捨てるということになる。罪を背負いつつこの異世界を生きるそれが現世の今の俺の罪滅しなのではないのか?
「大丈夫」
ふと、声がかけられる。前を見据えるとリヴィアンとルシファーが優しく俺を見ていた。
「貴様が負うのは罪か?それとも罪名か?違うだろう。貴様は今、リヴィアンと言う少女の命を預かることになる。そして、その命は強く芯の強いものではない。脆く柔らかい。触れるだけでも傷がついてしまうのかもしれない。貴様は過去に囚われている場合ではない。静かに平穏を求めて闘うのだろう?なら」
そこでにこやかな顔から、魔王の威厳を込めた顔つきになる。そこには確かな尊厳が宿っていた。
「迷うのは筋違いだ」
やはり、歳が違いすぎる。数千年以上この異世界を見てきた奴の意見は説得力があり過ぎる。
息を整え、頷く。
「誓おう。俺は今の名前を捨てる!」
ガタッと勢いよくルシファーは立ち上がる。そして叫ぶ。
「よくぞ言った!七天大魔王のルシファーが貴様に名を与える!トリスト!貴様は今からそう名乗れ!」
瞬間、目の前が闇に包まれる。またか、と思いつつ重力に任せて倒れたのだった。
「城が家だった」
'言ってないで早く入ってください'
入りたくないというか、見たくもない。え?可哀想にも限度ってやつがあるだろ?なにこれ、国民からのいじめですか?
「私も最初来た時はびっくりしたわ。だって魔王が住んでるのって大きなお城とかじゃない?なのにルシファー様ったら皆に迷惑がかかるからって言ってこんな質素な小屋に住んでるの」
これ、魔王の尊厳失われてると思われるのですがどうですか?マグさんの意見を聞きたいところです。
'あの魔王には尊厳もクソもないのでいいんではないですか?'
hooooo!辛辣ぅ!マグさん辛辣ぅ!尊厳あったじゃん、最初登場シーンかっこよかったじゃん!平気でひとを殺してたじゃん!
'あら?気付いてなかったのですか?'
え、ちょっとちょっと待って待って!もしかしてアレ?第3話くらいの時のあれ!?あれのパターン!?
'あの男、ドッペルゲンガーですよ?'
「ここの街、魔物潜んでる確率高すぎだろぉ!!」
その突っ込みにリヴィアンが小さく肩を震わせる。
「きゃっ!?な、何よいきなり!びっくりするじゃない!」
ぷくっと頬を膨らまして俺を睨む。
「全く、まぁいいわ。早く入って。ルシファー様がお呼びよ」
「なぁ、そのルシファー様ってのずっと言ってんの?」
その質問は地雷だったらしく、リヴィアンは顔を真っ赤にして
「ーーーーーーッ!!次言ったら殴ってやるんだからーーー!!」
と叫び小屋の中に入っていった。
'デリカシーの欠片もないですね'
何か俺悪い事言った?よくよく考えてみるもやはり理由が分からない。
小首を傾げつつ小屋兼お城に入っていくのだった。
○ ○ ○
「お、お邪魔しマース」
扉のむこうに誰か人影がある。
「よく来たな、馬鹿な転生者よ」
ルシファーがテーブルの椅子に鎮座していた。腕を組み、魔王の尊厳を保とうと試みているのが丸わかりな顔で。
ってか、脂汗ダラダラじゃん!火をつけたら発火するくらいテカテカじゃん!びびってるよな、こいつ。
「おい、見栄を張るな」
突っ込んでみる。
途端、ルシファーの顔がみるみる青くなっている。これぞ顔面蒼白ってやつだろうか。
な、情ねぇ…。
'言ってあげないでください。可哀想でしょう?生まれたての仔鹿が見栄を張っているのですし'
お前は容赦の欠片もねぇな。まぁともかくちゃっちゃと用を済ませるか。
「で、用事ってのは?」
「ふ、ふっふっふ。き、き貴様になな名前をさずけてややろう…。さすれば貴様は今以上の力を持てる…」
うわぁ、見ていて痛々しい。痛々しいよ。や、やめてっ!め、目の前が霞んで…。
「ルシファー様、失礼ながら汗だくでございます」
リヴィアンに指摘され言葉を詰める。が、もう一つ
「名前ならあるんだけど」
この質問を好機と見たのか、ベラベラと口を動かし始める。
「よく言った。その質問を待っていたのだよ。君の今持っている名前は前世のものだ。即ち、君は前世という鎖で縛られているということになる。だからブエルと闘った時、魔力が押さえ込まれてて全力を出せなかったという事だ。なので、その名前を捨て、この僕魔王ルシファーの贈り物を受取れば君は力を最大限に引き出せると言いたいのだ。名前には魔力が宿っている。そのおかげでこの世界の人類や魔物、魔王達は魔力を使えている。今、ここに誓え。名前を捨てる、と」
名前を捨てる。それは最川を泣かせた、濡れ衣を着せさせてしまったと思わせてしまった罪を俺、妻突氷軒を捨てるということになる。罪を背負いつつこの異世界を生きるそれが現世の今の俺の罪滅しなのではないのか?
「大丈夫」
ふと、声がかけられる。前を見据えるとリヴィアンとルシファーが優しく俺を見ていた。
「貴様が負うのは罪か?それとも罪名か?違うだろう。貴様は今、リヴィアンと言う少女の命を預かることになる。そして、その命は強く芯の強いものではない。脆く柔らかい。触れるだけでも傷がついてしまうのかもしれない。貴様は過去に囚われている場合ではない。静かに平穏を求めて闘うのだろう?なら」
そこでにこやかな顔から、魔王の威厳を込めた顔つきになる。そこには確かな尊厳が宿っていた。
「迷うのは筋違いだ」
やはり、歳が違いすぎる。数千年以上この異世界を見てきた奴の意見は説得力があり過ぎる。
息を整え、頷く。
「誓おう。俺は今の名前を捨てる!」
ガタッと勢いよくルシファーは立ち上がる。そして叫ぶ。
「よくぞ言った!七天大魔王のルシファーが貴様に名を与える!トリスト!貴様は今からそう名乗れ!」
瞬間、目の前が闇に包まれる。またか、と思いつつ重力に任せて倒れたのだった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
悪徳領主の息子に転生しました
アルト
ファンタジー
悪徳領主。その息子として現代っ子であった一人の青年が転生を果たす。
領民からは嫌われ、私腹を肥やす為にと過分過ぎる税を搾り取った結果、家の外に出た瞬間にその息子である『ナガレ』が領民にデカイ石を投げつけられ、意識不明の重体に。
そんな折に転生を果たすという不遇っぷり。
「ちょ、ま、死亡フラグ立ち過ぎだろおおおおお?!」
こんな状態ではいつ死ぬか分かったもんじゃない。
一刻も早い改善を……!と四苦八苦するも、転生前の人格からは末期過ぎる口調だけは受け継いでる始末。
これなんて無理ゲー??
俺、何しに異世界に来たんだっけ?
右足の指
ファンタジー
「目的?チートスキル?…なんだっけ。」
主人公は、転生の儀に見事に失敗し、爆散した。
気づいた時には見知らぬ部屋、見知らぬ空間。その中で佇む、美しい自称女神の女の子…。
「あなたに、お願いがあります。どうか…」
そして体は宙に浮き、見知らぬ方陣へと消え去っていく…かに思えたその瞬間、空間内をとてつもない警報音が鳴り響く。周りにいた羽の生えた天使さんが騒ぎたて、なんだかポカーンとしている自称女神、その中で突然と身体がグチャグチャになりながらゆっくり方陣に吸い込まれていく主人公…そして女神は確信し、呟いた。
「やべ…失敗した。」
女神から託された壮大な目的、授けられたチートスキルの数々…その全てを忘れた主人公の壮大な冒険(?)が今始まる…!
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
まったく知らない世界に転生したようです
吉川 箱
ファンタジー
おっとりヲタク男子二十五歳成人。チート能力なし?
まったく知らない世界に転生したようです。
何のヒントもないこの世界で、破滅フラグや地雷を踏まずに生き残れるか?!
頼れるのは己のみ、みたいです……?
※BLですがBがLな話は出て来ません。全年齢です。
私自身は全年齢の主人公ハーレムものBLだと思って書いてるけど、全く健全なファンタジー小説だとも言い張れるように書いております。つまり健全なお嬢さんの癖を歪めて火のないところへ煙を感じてほしい。
111話までは毎日更新。
それ以降は毎週金曜日20時に更新します。
カクヨムの方が文字数が多く、更新も先です。
ダンジョンを拾ったので、スキル〈ホームセンター〉で好き勝手リフォームします
ランド犬
ファンタジー
異世界に転移した佐々木悠人は、召喚でも勇者でもなかった。ただ迷い込んだ先で見つけたのは、王都を望む郊外にひっそりと口を開けるダンジョン。足を踏み入れた瞬間、発動したスキルは
――〈ホームセンター〉
壁を張り替え、部屋を増やし、畑や牧場、カフェまで作れる不可思議な力だった。
気ままに始めたリフォームは、もふもふなネコミミ獣人の少女との出会いをきっかけに、思わぬ変化を呼び始める。
拡張され続けるダンジョンの先で、悠人が作り上げる“住める迷宮”とは――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる