女子に追いかけられて死んで転生した:ヌルゲーで異世界生活:

涼雪 涼

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信仰都市ギャンヴェル編

40 悪魔の少女

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 黒く短な角。しなやかに揺れる尻尾。

「あ、悪魔ぁ!?」

 思わず絶叫する。何だよそれ!予想外にも規定外にも程があるだろ!

「あによ!文句ある!?聞いたげるけど不躾な事だったらただじゃ済まさないんだから!」

「ああ!違う違う!あんたを引取りに来たんだ!」

 悪魔の少女はその言葉を聞いた瞬間、顔が陰った。

「父さん、は?」

「死んだ。正しくいえば、俺が殺した」

 黙っていてもだらだらと話が伸びるだけだ。それを防ぐ為にも俺は素直に真実を告げる。するとあっさり少女は納得していた。

「そう。また、死んだのね」

「また、とは?」

 マグが疑問を少女にぶつける。

「あたしは、世界を終わらせることの出来る力を持つ悪魔なの。悪魔としての名前はない。人間としての名前は沢山あるのにね」

「それって」

 少女は手招きをし、

「立ち話じゃ長くなるわ。お茶、出すから中へどうぞ」

 そう言って中へと入っていった。それに続くように俺達も中へ入っていく。

 通されたのは、沢山の絵画が飾られた大きな広間だった。赤色の絨毯には金の刺繍が施されており、その上には革張りの3人用ソファが二つ置かれていた。なんともまぁ、贅沢もここまで尽せばもう分かんねぇな。

「今、お茶を出すから待っててね」
 
「お構いなく」

 そう言うフェイを少女はまじまじと見つめる。

「な、何でしょうか」

「綺麗な髪ねぇ。あなた、魔女かしら?」

 瞬間、フェイは殺気を露にする。わ、わお。ここまで敵意剥き出しなの初めて見たわ。怖いっていうか恐ろしいっていうか…。

「それが何か?」

「あ、ごめんなさい…。あなたが魔女って言われるのが嫌だとは思わなくて」

 ?どゆこと?魔女と言われて喜ぶやつがいんの?グレートだぜ、そいつぁ。

「いえ、気にしないでください。私が異質なだけですので。さて、あなたのことを話してください」

 少女は再び顔が陰る。

「どこから話せばいいのかしら。あたしはね、作られたの」

 作られた?何それ、カプセルとかに入れられるみたいな?余程間抜けな顔をしていたのか、リヴィアンがため息混じりに説明する。

「神製造。ある意味合成生物キマイラとかホムンクルスに近いわ。でもそれはこの世界で禁忌の法になっている。その方を犯せば死刑に値するのよ」

 禁忌、ねぇ。

「え?でも、君は悪魔だろ?それなら創造神はおかしくないか?」

 俺の問に答えたのは以外にもフェイだった。

「神製造は失敗すると悪魔になるんです。失敗した悪魔は稀にですが強大な力を持つことがあります。製造者の中にはその力を欲する者も少なからずいたのでしょう」

 自分で話していても気分が悪くなるのか、しかめっ面で説明してくれた。

「その子が言った通り、あたしはその稀に当たったの。自然界や自然現象の全てを操る。それがあたしの力。それを知った時は自分が怖かった。でも、その力を必要とする人がいるのだと、初めて出会った聖職者に言われた。そうかもしれない、最初はそう思ってた。だけど、現実は非情だったわ。その聖職者は禁忌に触れたと濡れ衣を国の軍に着せられて、殺された。その後も何度か聖職者に養子として育てられた。でも何度やっても決まって養子にした聖職者は殺されるか、病で死ぬかのどちらかだった。今回もそう。殺された。みんな最期に私を見る目は憎しみだけがこもってた」

 少女は涙を堪えるように歯を食いしばり、話を進める。涙は目からこぼれ落ちる寸前だ。

「今回の父さんも、憎しみがこもっていたに違いないわ!あたしのせいで財産に困って、途方に暮れていたもの…。でも、ある日父さんは沢山ガルド金貨が入った小袋を持って帰ってきた。今日は豪勢なご飯にしようなって。今思えばおかしいと思ったわ。何でそんなにガルド金貨があるのか、父さんは身を売ったの!嫉妬の魔王に!体の余すところなく!あたしのせいで死ななくてもいい命が危険に晒される。もう、これ以上はダメなの…。ねえ、あなた」

 少女は俺を見る。その目はすがるような目だった。もう、殺してくれと目で訴えていた。だが、俺の選択肢は

「殺すのはナシだ」

「え」

 すがる目から、怒りと憎しみのこもった目線。だから俺は言ってやる。

「世界を終わらせる力を持っている!あっそう。あたしのせいで人が死ぬ!だから?」

「あなた、何言って….。人が死ぬのよ!?尊い命が犠牲になってあたしだけがのうのうと生きてる!あなたに分かる!?人が目の前で次々死んでいって!あんたに、わかるはずないじゃない!」

 俺に殴りかかろうとする少女をフェイとリヴィアンで止める。マグは完璧傍観者モード。偉そうに腕を組んでニヤニヤと俺を見る。幼女の面だからか偉そうというよりはドヤ顔。

「分かんねぇな」

「ーーーーーーーーッ!!!じゃあっ!」

「でも、お前が幸せになろうとして他人が死ぬならそんな世界終わらせちまえばいい」

「ッ!?」

 そうだ。幸せになろうとして何がいけない?他人を差し置いて幸せになってはいけないのか?そんなら世界は幸せなやつなんて一人ぽっちもいねぇよ。幸せはな、自分で作るんだよ。

「幸せを認めようとしねぇ世界なんて壊せよ。破壊して破壊して、それでも気が済まないなら時空ごと吹き飛ばせ。生きてちゃいけない命なんてねぇよ。お前は結局何もしなかったんだ。人が死んだ。悲しい。ハイそれで?手前勝手に恨みながら死んだなんていうな!ファナティック司祭は!死に間際に俺に言ったんだ!を頼むってな!手前のことを娘といったやつが恨みながら死ぬわけねぇだろ!ただ一心にてめえを守りたかったんだろ!」

 俺は感情の流れに逆らわず流されるがまま、怒涛の勢いで話す。もうね、我慢の限界だわ。

「だから殺して欲しいとか死にたいとか言うんじゃねえ」

 俺は少女をじっと見据える。そして、俺は彼女に名前を聞く。

「あんたの名前は?」

 しばらくだまっていた少女だが何かを吹っ切ったように顔を上げる。

「ノア=クローバー」

「よろしくな!ノア!」

 こうして新たな仲間が増えた。食費とか大丈夫かなぁ。
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