女子に追いかけられて死んで転生した:ヌルゲーで異世界生活:

涼雪 涼

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鉱山都市ロイハイゲン編

46 鉱山都市ロイハイゲン

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 港にて。

「それじゃ、お疲れ様っす!」

 ルドは頭を威勢よく下げる。船人なのでルドとはここでお別れだ。

「ああ、お前も新人の教育はしっかりしろよ?」

「ぐぅの音も出ないっす。でも!今回を教訓に新人をビッシバッシ鍛え上げてやるっす!」

「その意気で大丈夫かしら…」

 リヴィアンがルドの気合に呆れた顔を見せる。まぁ、何とかなるだろ。ルドも何かとスペックのいいやつだし。

「スペックだけでは世の中やっていけませんよ」

 冷たく言い放つマグ。それに重ねてニャルも笑う。

「ははは!ルドには無理だろ!」

「いやいや!僕もやればできる男っす!」

「僕って言ってる時点でダメだなぁ!」

 ニャルは偉そうにどでかい胸をはる。んー、こいつら仲いいな。それに、ニャルは海にいた方が楽しそうだ。

「じゃあニャルも船人になったら?」

 冗談混じりで俺はいう。すると周りが静かになる。ん?何かおかしな事言った?そう思い首を傾げる。

「吾は、海にいても良いのか?」

「え、いやまぁここが気に入ったんならいいけど。俺らもお前を束縛するつもりは毛頭ないし。大人しくするなら俺の監視下から離れても問題は無いな」

「よし!ルド!吾もこれからこの船のクルーだ!」

「おお!?マジっすか!いいんですか!?こんな幼女巨乳の女の子をクルーにしてしまって!」

 言葉では否定しているが思い切り喜ぶルド。下心丸出しじゃねぇか。

「ちょっ、いいの?ベルとの約束は?」

「ああ?問題ねぇよ。前にも言ったろ?元々ニャルが悪い訳では無い。じゃあこいつも自由にするべきだ」

 そこにマグが割り込んでくる。

「いいんじゃないですか」

「ちょっ、マグまで…。ってちょっと!」

 マグがリヴィアンの腕をつかんで俺とは反対の方へと連れていく。ところどころ端々しか聞き取れなかったが。

「何よ!」

「ニャルがいなくなれば私達の…が楽になるでしょう?」

「うっ、確かにライバルは減るけど…」

 と、話が決まったのかしぶしぶリヴィアンが頷く。

「オーケーよ。うん、もうなんでもいいや」

 こうしてニャルは海の女になったのだった。まぁ収まるところに収まった、かな?



   ○   ○   ○



 鉱山都市と呼ばれるだけあって、露店などは宝石や魔鉱石だらけだ。街の建物もどこもかしこも金銀や色とりどりの宝石が散りばめられていた。目がチカチカする。

「汚い光景」

 リヴィアンが浮かない顔をしている。生まれ故郷でありその生まれ故郷から亡命していたことを考えると当然だろう。

「みんながみんな目立とうとして、周りのことを見ようとしない」

 リヴィアンの視線の先は薄暗い路地裏。そこにあったのは

「うっ!!」

 瞬時に俺は口元に手をやる。子供の死体。ガリガリに痩せた骨と皮だけの死体。その死体にはきのこやら蝿がたかり、異臭を放っていた。それに気づかないふりをしている街の人に俺は違和感を覚えた。だめだ!吐くな、手を抑えるな、気持ち悪いなんて思うな!

「なんで誰も見向きもしないんだよ…」

「人の命より、富や美貌が最優先って感じですね」

 そう言ってマグは死体を燃やす。

「おい!何して」

「黙りなさい。この子達を弔っただけです。そのまま放って置かれるより燃えて天に昇った方が幸せに決まってます」

 マグは小さな口で歯ぎしりをする。と、すれ違った赤髪の女性とぶつかる。

「ぎゃうん!いったぁ…」

 尻餅をついて女性は呟く。艶のある長い赤髪をそのままほったらかして伸び放題だ。どこか大人びた風貌の女性。

「あっ、すいません!大丈夫ですか?」

 俺はすっと手を差しのべる。いえ別に可愛いからとかそんなやましい下心丸出しでとった行動ではないですよ!?

「んむ?ああ、大丈夫だよ。すまないね。おや、珍しいお方だ。その格好、転生者と見た」

 この女性、なんか、普通の人とは違うような…。

「ええまぁ。色々とありまして」

「ふぅん。ま、いいや。儂は急く用があってな。また近いうち出会うだろう。そのときにまたゆっくり話そうではないか」

 そう言って女性は走って行ってしまった。あの風格であの喋り方、違和感だらけでけれどどこかカリスマ性の潜むような、不思議な人だ。

「あながち間違いではないかもしれませんよ?」

 マグは女性がいなくなってからも女性が走って行った道を睨みつけている。

「ま、取り敢えず今は急がないと」

「いいえ。急がなくていいわ」

 リヴィアンがポツリと呟く。その顔は先程よりかは晴れていた。

「どういう事だ?」

「これから知り合いのところに行くのよ。クロビア公爵邸にね」

 くろ、なに?公爵とか伯爵とかってあんまし分かんないですけど。

「まぁそれは後で説明します」

「あの人なら助けてくれるはず」

 そう自分で言い聞かせるようにリヴィアンは歩く。その顔は自棄に真剣味を帯びていて、ロイハイゲンに入った頃からリヴィアンは笑みを見せなくなっていた。
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