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魔功都市ジンフォルド
96 戦争に於いての正論
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「さ、腹ごしらえも終わったし。これからどうする?敵地偵察に来たんだからさ、この国の勢力を見に行くか?」
俺の安直な提案に、ヒュムは頷く。
「そうだな。この国には大層強い魔人がいるって言ってたし。見に行ってみよう。ただし、バレそうになったら戦わず逃げて」
「へ?なんでだよ。とことん戦力を測っておきたいだろ?」
脳筋の考えにヒュムは長い溜息をつく。
「はぁぁぁぁ。本っっっっ当にわかってないんだな。これは敵地偵察だ。見つかれば当然戦争が激しくなる。そうなれば僕らが窮地に立たされるんだよ」
ははぁ。なるほど。窮地に、か。こいつも色々考えてんだな。お兄さん感心しちゃったよ。がしかぁし!
「でもさ。俺は違うぜ。そんなもん一介の旅人が戦争だのどうだのに巻き込まれたところで大した戦力として見られないだろ」
「いや、僕と一緒にいたら」
「お前は逃げればいい」
「はぁ?」
「お前は仲間のために動いてんだ。手前勝手な俺の行動にいちいち付き合う必要は無い。俺も戦って逃げ切れれば、お前にその魔人の強さも教えれる。お前は危険な目に遭わない上に情報まで手に入る。お得なはなしじゃねぇか?」
「あんたイカレてる…」
そうかね?俺にとって世の理不尽は理解してるつもりだし、そんな理不尽は知らん。みんなが理不尽を受け入れてるからお前も受け入れろなんて言われたところで、受け入れるわけないしな。理不尽が人を成長させるなら、それ以外の方法もあるって考えだ。
「イカレてる?はっ。笑わせんなよ?」
「どういうことだ」
「イカレてるのはブリトニアの国王とこの国の国王だろ?戦争してる時点でこの国もお前の国もまともなやつなんていねぇよ」
瞬間目の前が霞む。そして、無重力になり、数秒後重力に引っ張られ、地面に叩きつけられる。
「…ッは…っ!?」
見えたのは先ほど仰いだ晴天空ではなく、ヒュムの足の裏。正しくはヒュムの履いている革靴の底。踏まれてるね。
「貴様、我が国を侮辱するというのか!!」
態度が豹変。でも、ブチ切れるってことは正論なわけで。
「うわぁ!?喧嘩だ!軍を呼べ!」
「早くしろ!店がやられちまう!」
「みんな逃げろ!ここにいたら巻き込まれるぞ!」
一瞬のうちにヒュムの強さを見破った人々は(すげえな)颯爽に走って逃げていく。しかし、人とは好奇心旺盛で、野次馬もいるわけでして。酒場ではどちらが勝つか賭博をしたり(後で金請求してやる)、つまみなどを歩き売りする女性などがいた。
俺は尚も踏まれ続けている。嬉しくはないな。リヴィアンかマグなら考えてたと思う。だが、踏まれるのは気持ち良いものではないな。
「侮辱じゃないぞ。ただの正論だ」
「それを侮辱というのだ!」
「正論が侮辱と思ってる時点でお前もイカレてるな」
ケラケラと俺は見下すような笑いを見せる。それと同時に顔の痛みが増す。
「煩いっ!黙れ!貴様に僕の国の何がわかる!」
「なぁんにも?分かんないから言ってんだしな」
メリッと鼻から音がする。そろそろやばいな。主に俺の顔が。口の中からは鉄の味がする。
そろそろ反撃するか。俺の顔に乗っている足を掴み、思い切り横に引く。ヒュムはバランスを崩し地面に叩きつけられる。
俺は服についた砂埃を払い、立ち上がる。顔の痛みは消え失せ、血も止まっている。が、口の中に溜まった血は消えないので地面に吐く。
「あー。血の味は慣れねぇな。いや、慣れたくないけど」
唐突の反撥にヒュムは理解が追いついていないようでふらふらとした足取りで立ち上がる。
「きさ、ま。許さん!」
ゴウッとヒュムの体から紅の炎が燃え上がる。なのに、ヒュムの体は何事もないように正常に動いている。
「これが赤い竜の力か。え?こんなに強いのん?聞いてないわー」
臨時体制をと構えたその時だ。
「そこまでだ」
劈くそれでいて周囲に響き渡る声。それは、空から降ってくる。
「おお!精鋭部隊様がご到着だ!」
「アロケル様!」
「アロケル様!」
民衆の声は次第に広まり、ついにはここ一帯がアロケルのコールに包まれる。
アロケル。グリモワールの一つゴエティアによると、地獄の三十六の軍団を率いる序列五十二番の強大な大公爵とされる。アロケルは燃えるような赤い目を持っており、その目を除くと自分の死に様が見えるとされショックでしばらく目が見えなくなるという。天文学などに優れている。
「おい。ヒュム」
「な、なんだ」
「合図するから、お前は逃げろ」
「けど」
「いいか、ジンフォルドに来る前の野営地に戻れ。二日ほど待って俺が来なかったら、そのまま国に帰れ」
俺は慎重に話す。ヒュムも頷く。よし。
「あー、アロケル、だっけ?そのさっきはいざこざがあったけど解決したからさ、もう大丈夫!」
淡い茶色のさらさらとしたショートヘア。キリッとした顔立ち。驚くことに女性だ。軍人だからかきつい性格してそうだな。胸は発展途上と言ったところか。服装はドイツ軍将校が着てそうな服装と見てくれたらいい。俺にゃよくわからん。
「大丈夫、だと?貴様、周りを見てみよ」
言われた通りにあたりを見回す。ヒュムの炎で屋台のものが焦げてしまっていた。
「あーっと。弁償はするからさ。いくらくらいかな」
「民が頑張って作ったものを金で解決しようということか?」
「そういう訳じゃ」
「そういう事だろう?」
話通じないやつじゃん?これ、犬が自分の尻尾追っかけてるやつじゃん!?仕方ないよな。
「ヒュム!逃げろ!」
俺の合図でヒュムは一気に走り出す。民衆はざわめきたち、あちこちで悲鳴や怒号が上がる。
「待てっ!」
追いかけようとしたアロケルのゆく道を俺は立ち塞がって阻む。
「どういうことだ?」
眉を潜め、アロケルは俺を睨みつける。なるべく目を合わせないように俺はニヒルに笑う。
「どう捉えてもらっても構わないさ。まぁ、強いて言うなら、あんたにあの坊主を捕まえさせる気は無いってことくらいかな」
「ほう?」
目を細め、しかし殺気は収めずアロケルは、背中に掛けている大きな銃剣銃に手を伸ばしたのだった。
俺の安直な提案に、ヒュムは頷く。
「そうだな。この国には大層強い魔人がいるって言ってたし。見に行ってみよう。ただし、バレそうになったら戦わず逃げて」
「へ?なんでだよ。とことん戦力を測っておきたいだろ?」
脳筋の考えにヒュムは長い溜息をつく。
「はぁぁぁぁ。本っっっっ当にわかってないんだな。これは敵地偵察だ。見つかれば当然戦争が激しくなる。そうなれば僕らが窮地に立たされるんだよ」
ははぁ。なるほど。窮地に、か。こいつも色々考えてんだな。お兄さん感心しちゃったよ。がしかぁし!
「でもさ。俺は違うぜ。そんなもん一介の旅人が戦争だのどうだのに巻き込まれたところで大した戦力として見られないだろ」
「いや、僕と一緒にいたら」
「お前は逃げればいい」
「はぁ?」
「お前は仲間のために動いてんだ。手前勝手な俺の行動にいちいち付き合う必要は無い。俺も戦って逃げ切れれば、お前にその魔人の強さも教えれる。お前は危険な目に遭わない上に情報まで手に入る。お得なはなしじゃねぇか?」
「あんたイカレてる…」
そうかね?俺にとって世の理不尽は理解してるつもりだし、そんな理不尽は知らん。みんなが理不尽を受け入れてるからお前も受け入れろなんて言われたところで、受け入れるわけないしな。理不尽が人を成長させるなら、それ以外の方法もあるって考えだ。
「イカレてる?はっ。笑わせんなよ?」
「どういうことだ」
「イカレてるのはブリトニアの国王とこの国の国王だろ?戦争してる時点でこの国もお前の国もまともなやつなんていねぇよ」
瞬間目の前が霞む。そして、無重力になり、数秒後重力に引っ張られ、地面に叩きつけられる。
「…ッは…っ!?」
見えたのは先ほど仰いだ晴天空ではなく、ヒュムの足の裏。正しくはヒュムの履いている革靴の底。踏まれてるね。
「貴様、我が国を侮辱するというのか!!」
態度が豹変。でも、ブチ切れるってことは正論なわけで。
「うわぁ!?喧嘩だ!軍を呼べ!」
「早くしろ!店がやられちまう!」
「みんな逃げろ!ここにいたら巻き込まれるぞ!」
一瞬のうちにヒュムの強さを見破った人々は(すげえな)颯爽に走って逃げていく。しかし、人とは好奇心旺盛で、野次馬もいるわけでして。酒場ではどちらが勝つか賭博をしたり(後で金請求してやる)、つまみなどを歩き売りする女性などがいた。
俺は尚も踏まれ続けている。嬉しくはないな。リヴィアンかマグなら考えてたと思う。だが、踏まれるのは気持ち良いものではないな。
「侮辱じゃないぞ。ただの正論だ」
「それを侮辱というのだ!」
「正論が侮辱と思ってる時点でお前もイカレてるな」
ケラケラと俺は見下すような笑いを見せる。それと同時に顔の痛みが増す。
「煩いっ!黙れ!貴様に僕の国の何がわかる!」
「なぁんにも?分かんないから言ってんだしな」
メリッと鼻から音がする。そろそろやばいな。主に俺の顔が。口の中からは鉄の味がする。
そろそろ反撃するか。俺の顔に乗っている足を掴み、思い切り横に引く。ヒュムはバランスを崩し地面に叩きつけられる。
俺は服についた砂埃を払い、立ち上がる。顔の痛みは消え失せ、血も止まっている。が、口の中に溜まった血は消えないので地面に吐く。
「あー。血の味は慣れねぇな。いや、慣れたくないけど」
唐突の反撥にヒュムは理解が追いついていないようでふらふらとした足取りで立ち上がる。
「きさ、ま。許さん!」
ゴウッとヒュムの体から紅の炎が燃え上がる。なのに、ヒュムの体は何事もないように正常に動いている。
「これが赤い竜の力か。え?こんなに強いのん?聞いてないわー」
臨時体制をと構えたその時だ。
「そこまでだ」
劈くそれでいて周囲に響き渡る声。それは、空から降ってくる。
「おお!精鋭部隊様がご到着だ!」
「アロケル様!」
「アロケル様!」
民衆の声は次第に広まり、ついにはここ一帯がアロケルのコールに包まれる。
アロケル。グリモワールの一つゴエティアによると、地獄の三十六の軍団を率いる序列五十二番の強大な大公爵とされる。アロケルは燃えるような赤い目を持っており、その目を除くと自分の死に様が見えるとされショックでしばらく目が見えなくなるという。天文学などに優れている。
「おい。ヒュム」
「な、なんだ」
「合図するから、お前は逃げろ」
「けど」
「いいか、ジンフォルドに来る前の野営地に戻れ。二日ほど待って俺が来なかったら、そのまま国に帰れ」
俺は慎重に話す。ヒュムも頷く。よし。
「あー、アロケル、だっけ?そのさっきはいざこざがあったけど解決したからさ、もう大丈夫!」
淡い茶色のさらさらとしたショートヘア。キリッとした顔立ち。驚くことに女性だ。軍人だからかきつい性格してそうだな。胸は発展途上と言ったところか。服装はドイツ軍将校が着てそうな服装と見てくれたらいい。俺にゃよくわからん。
「大丈夫、だと?貴様、周りを見てみよ」
言われた通りにあたりを見回す。ヒュムの炎で屋台のものが焦げてしまっていた。
「あーっと。弁償はするからさ。いくらくらいかな」
「民が頑張って作ったものを金で解決しようということか?」
「そういう訳じゃ」
「そういう事だろう?」
話通じないやつじゃん?これ、犬が自分の尻尾追っかけてるやつじゃん!?仕方ないよな。
「ヒュム!逃げろ!」
俺の合図でヒュムは一気に走り出す。民衆はざわめきたち、あちこちで悲鳴や怒号が上がる。
「待てっ!」
追いかけようとしたアロケルのゆく道を俺は立ち塞がって阻む。
「どういうことだ?」
眉を潜め、アロケルは俺を睨みつける。なるべく目を合わせないように俺はニヒルに笑う。
「どう捉えてもらっても構わないさ。まぁ、強いて言うなら、あんたにあの坊主を捕まえさせる気は無いってことくらいかな」
「ほう?」
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