55 / 57
第7章
第55話 終止符
しおりを挟む
ヨロヨロになりながらも立ち上がったジーナだったが、ノーマンが目の前にいる事に気づき、身の毛がよだちそうになったのを感じた。
「怖気づいたか?」
そんな声が聞こえたかと思うと、腰を低くしたノーマンによって掌底打ちが放たれた。腹筋にめり込む気持ちの悪い感触と内臓を揺さぶられ、何かが腹の内側を押し潰そうとしているかのような感覚が湧き起こった。いつか味わった時と酸っぱさと苦さの混ざった味が口の中に充満する。再び装甲車両の車体に叩きつけられて僅かに吐いたジーナは、ノーマンがこちらの顔面へ蹴りを入れようとしたのを確認し、息も絶え絶えにそれを防ぐ。
「これに賭けるか…」
一方、セラムは残された解毒剤入りの弾丸を込めたデリンジャーを取り出してそう言った。すぐに取り出せそうな場所にしまってから刀を掴み、杖代わりに立ち上がると、ジーナが血みどろになりながらもノーマンと殴り合いをしているのを目撃した。すぐさま走り出してノーマンに切りかかるが、あっさりと見切られてしまう。顔面を殴られた後に背後に回り込まれ首を絞められるが、ジーナが無理矢理ノーマンを掴んで爆薬を仕込んだタウロスで後頭部を殴った。
「おい、レイチェル…無線の座標を辿って…迎えに来てくれ」
シモンはジーナが標的に選ばれ、ノーマンの意識がこちらへ向いていない隙を狙って無線で囁く。当然だが返事を待つ余裕などなかった。シモンが何とか近くの貨物を支えに立ち上がっていた時、グルームも格納庫へ空爆が行われる事が決定した事を聞くと、血相を変えながら立ち上がる。直後に爆発音が聞こえ、思わず音がした方を見るとノーマンの頭から煙が上がっていた。
「…やってくれたな」
ところがすぐに触手を顔に覆わせると、後頭部を再生させながらノーマンはジーナを睨みつけた。生命力のおぞましさと再びターゲットに選ばれたという絶望がジーナを微かに硬直させ、空いていた片手で彼女の首を掴む。直後、シモンがアルタイルを足へ向けてぶっ放した。弾丸がノーマンの内腿を掠ると、激痛によって顔が歪む。
その瞬間をジーナは見逃さず、握力が緩んだ拍子に腕を掴み返してへし折った。セラムもタイミングを見計らって脱出すると、ノーマンの背後でグルームが短機関銃のリロードを終えているのを確認する。すぐに手を伸ばすと、シモンもそれに応えて左手の触手で彼の腕を絡めとって自分のもとへ引き寄せる。
次の瞬間、グルームによる機関銃での銃撃が始まった。雨あられのように止むことのない銃撃がノーマンの体を貫き続けていたが弾倉が底をついた後、ノーマンはすぐにこちらへ向かってきた。すぐさまジーナが駆け出して後ろ回し蹴りでノーマンを後退させる。流石にあの量の攻撃は効かないというわけにもいかなかったらしく、回避する余裕が無かった彼は仕方なく素手で受けて止めていた。
「バーカ」
余力が残されてない事が分かった直後に、シモンがそうやって呟きながら触手を操ってノーマンへ巻き付かせ、身動きが取れないように縛り上げる。千切ろうと思えばどうとでも出来るのだが、すぐに本当の目的は拘束では無い事を思い知った。触手を無理やり千切ろうとしていたノーマンに向かって、セラムはデリンジャーに込めている解毒剤付きの弾丸を発射した。ノーマンがたまらず動けるようになっていた右手を前にかざすと、弾丸は右腕へ命中した。
「小賢しい真似を…」
痛みを振り払いながらノーマンは拘束を無理やり解くと、近くにいたジーナへ拳を振りかざして殴りかかった。が、両手で受け止められた後にジーナがこちらを見て笑っているのを見てから、彼は体に起きている異変に気付く。砕かれそうな勢いで拳を握り返され、自分の体が静かに弱り始めている事が分かった。
「解毒剤か!」
先程喰らった弾丸の正体が分かったノーマンが叫んだ瞬間、ジーナのパンチが顔に入った。頬に衝撃が伝わり、地面を大きく転がったがすぐに動こうと立ち上がる。明らかに動きにキレが無くなり、攻撃を受けた際の痛みが増していた。ミュルメクスによる身体能力のアドバンテージが無くなれば、手負いとはいえジーナ達の敵では無かった。
「いつかこんな時が来ないかって、ず~っと思っていた」
睨みつけながら詰め寄り、ノーマンにそう言う彼女の顔はどこか上機嫌であった。ノーマンは背後にシモン達がいる事もあってか、もう逃げ道が無い事を悟る。
「クソが――」
ノーマンが言い終える前に再び拳が入った。背後にいたセラムがよろけて来るノーマンへ回し蹴りをしてさらによろめかせると、その先には折れたライフルの銃身を持ったシモンが待ち構えていた。バットを振る様にスイングした銃身が顔面を捉える。そのままジーナがラリアットをかまして固い床に叩き伏せた。
「こいつはどうする?」
「本来なら捕まえておきたいところだが、他所に根回しをしているとも考えられる。最悪は――」
倒したノーマンの首を掴んで動けないようにしているジーナの傍らで、シモンとグルームが話をしていた時だった。頭上から航空機の飛行する音が聞こえたかと思うと、格納庫の屋根の一部が爆炎と共に崩壊した。嫌な予感がしたセラムが咄嗟にジーナをノーマンから引き離した直後、崩落した瓦礫が地面に落ち、ノーマンの下半身が下敷きになった。
「チッ…思ったよりも早かったな」
「…後で色々聞かせてもらうぞ」
瓦礫に挟まれた苦痛と動けなくなっている状況で悲鳴を上げるノーマンを無視して、シモンとグルームは突如始まった空襲について話していた。攻撃が激しさを増しているのか、あちこちが崩れ落ちて車両などから漏れ出した燃料によってとうとう火が付いた。するとジーナは拳銃をひったくる様にシモンから借りると、血を吐きながらも命乞いをするように手を伸ばしてこちらを見ているノーマンに残弾を全て見舞った。
「…済んだか?」
「ええ」
問答が終わり、崩れそうな格納庫から脱出しようとした時、出口に見覚えのあるネスト・ムーバーが停まっていた。乗車口から同伴している兵士が手招きをしている。
「急いで乗るんだ!」
あちこちで爆発が起き、炎が上がる中で全員が飛び込むようにして乗り込むと、レイチェルは乗っている連中の事はお構いなしでネスト・ムーバーを急発進させた。爆弾が次々に投下され、火の海と化した基地から元来た道を走っていたが、そちらにも既に火が回り始めている。
「もっとスピード上げろ!」
「やってるから黙って!」
周りに急き立てられたレイチェルによってアクセルを踏み込まれたネスト・ムーバーがスピードを上げて離脱した後、格納庫で巨大な爆発が起きる。火の海になっている一帯を上空で確認しながら航空機たちは撤退をしていった。
――――先に帰投していたルーサーは、他の面々が返って来るかどうかを不安も抱えつつ外で待ち侘びていた。何人かの兵士たちは貨物の近くで座っていた彼を労いながら飲み物を渡して話に付き合うなど、気を遣ってくれたが中々気分は落ち着かなかった。
「――じゃあ、まさか政府の連中が?」
「自分達に不利になりそうなものは出来る限り消したかったんだろう。死人に口なしだ」
「なるほどねえ…てかせめて教えてくれてもよかっただろ!?」
「あんな状況で言ってどうする?逃げられたかもしれんだろ」
仲間たちの聞き慣れた声を耳にしたルーサーは、疲労も気にせずに駆け出す。すっかり汚れてしまったネスト・ムーバーから降りて歩いていたジーナ達へ走り寄ると、服に付いている土や血も気にせずに抱き着いた。他の者達も無事を喜んで彼の頭を撫で、手柄を立てた事を褒め合う。
「終わったんだよね?」
「そう、全部終わった」
ルーサーが笑いながら聞くと、ジーナも軽く微笑みながらそう言った。シモンは腰を擦ってから背伸びをすると、二人の肩を叩いて歩き出す。
「よーし、早速飲もうぜ。祝杯って事でよ」
「お前はいつもそれだな…」
一仕事終えた事による疲労感が押し寄せてはいたが、それよりもまず肩の力を抜きたいとシモンは提案をしてくる。正直な所、それほど酒が好きでは無かったセラムは、彼に対して呆れつつ苦言を漏らした。
「まあ…こういう時ぐらい祝っても良いでしょ。そうと決まったんなら準備しよっか。酒ならまだ残ってるはずだし」
レイチェルも賛成側の立場としてセラムを説得しつつ、仲間達に告げると全員もすぐさまネスト・ムーバーへ戻ろうとする。グルームは色々手続きをするためにもう少し付き合ってくれと頼んではみたのだが、「明日にしてくれ」と断られてしまった。
バビロンで活動していたテロ組織であるディバイダ―ズの壊滅と、彼らの協力者であったヨーゼフ・ノーマンの殺害が報じられたのは、それから間もなくの事であった。
「怖気づいたか?」
そんな声が聞こえたかと思うと、腰を低くしたノーマンによって掌底打ちが放たれた。腹筋にめり込む気持ちの悪い感触と内臓を揺さぶられ、何かが腹の内側を押し潰そうとしているかのような感覚が湧き起こった。いつか味わった時と酸っぱさと苦さの混ざった味が口の中に充満する。再び装甲車両の車体に叩きつけられて僅かに吐いたジーナは、ノーマンがこちらの顔面へ蹴りを入れようとしたのを確認し、息も絶え絶えにそれを防ぐ。
「これに賭けるか…」
一方、セラムは残された解毒剤入りの弾丸を込めたデリンジャーを取り出してそう言った。すぐに取り出せそうな場所にしまってから刀を掴み、杖代わりに立ち上がると、ジーナが血みどろになりながらもノーマンと殴り合いをしているのを目撃した。すぐさま走り出してノーマンに切りかかるが、あっさりと見切られてしまう。顔面を殴られた後に背後に回り込まれ首を絞められるが、ジーナが無理矢理ノーマンを掴んで爆薬を仕込んだタウロスで後頭部を殴った。
「おい、レイチェル…無線の座標を辿って…迎えに来てくれ」
シモンはジーナが標的に選ばれ、ノーマンの意識がこちらへ向いていない隙を狙って無線で囁く。当然だが返事を待つ余裕などなかった。シモンが何とか近くの貨物を支えに立ち上がっていた時、グルームも格納庫へ空爆が行われる事が決定した事を聞くと、血相を変えながら立ち上がる。直後に爆発音が聞こえ、思わず音がした方を見るとノーマンの頭から煙が上がっていた。
「…やってくれたな」
ところがすぐに触手を顔に覆わせると、後頭部を再生させながらノーマンはジーナを睨みつけた。生命力のおぞましさと再びターゲットに選ばれたという絶望がジーナを微かに硬直させ、空いていた片手で彼女の首を掴む。直後、シモンがアルタイルを足へ向けてぶっ放した。弾丸がノーマンの内腿を掠ると、激痛によって顔が歪む。
その瞬間をジーナは見逃さず、握力が緩んだ拍子に腕を掴み返してへし折った。セラムもタイミングを見計らって脱出すると、ノーマンの背後でグルームが短機関銃のリロードを終えているのを確認する。すぐに手を伸ばすと、シモンもそれに応えて左手の触手で彼の腕を絡めとって自分のもとへ引き寄せる。
次の瞬間、グルームによる機関銃での銃撃が始まった。雨あられのように止むことのない銃撃がノーマンの体を貫き続けていたが弾倉が底をついた後、ノーマンはすぐにこちらへ向かってきた。すぐさまジーナが駆け出して後ろ回し蹴りでノーマンを後退させる。流石にあの量の攻撃は効かないというわけにもいかなかったらしく、回避する余裕が無かった彼は仕方なく素手で受けて止めていた。
「バーカ」
余力が残されてない事が分かった直後に、シモンがそうやって呟きながら触手を操ってノーマンへ巻き付かせ、身動きが取れないように縛り上げる。千切ろうと思えばどうとでも出来るのだが、すぐに本当の目的は拘束では無い事を思い知った。触手を無理やり千切ろうとしていたノーマンに向かって、セラムはデリンジャーに込めている解毒剤付きの弾丸を発射した。ノーマンがたまらず動けるようになっていた右手を前にかざすと、弾丸は右腕へ命中した。
「小賢しい真似を…」
痛みを振り払いながらノーマンは拘束を無理やり解くと、近くにいたジーナへ拳を振りかざして殴りかかった。が、両手で受け止められた後にジーナがこちらを見て笑っているのを見てから、彼は体に起きている異変に気付く。砕かれそうな勢いで拳を握り返され、自分の体が静かに弱り始めている事が分かった。
「解毒剤か!」
先程喰らった弾丸の正体が分かったノーマンが叫んだ瞬間、ジーナのパンチが顔に入った。頬に衝撃が伝わり、地面を大きく転がったがすぐに動こうと立ち上がる。明らかに動きにキレが無くなり、攻撃を受けた際の痛みが増していた。ミュルメクスによる身体能力のアドバンテージが無くなれば、手負いとはいえジーナ達の敵では無かった。
「いつかこんな時が来ないかって、ず~っと思っていた」
睨みつけながら詰め寄り、ノーマンにそう言う彼女の顔はどこか上機嫌であった。ノーマンは背後にシモン達がいる事もあってか、もう逃げ道が無い事を悟る。
「クソが――」
ノーマンが言い終える前に再び拳が入った。背後にいたセラムがよろけて来るノーマンへ回し蹴りをしてさらによろめかせると、その先には折れたライフルの銃身を持ったシモンが待ち構えていた。バットを振る様にスイングした銃身が顔面を捉える。そのままジーナがラリアットをかまして固い床に叩き伏せた。
「こいつはどうする?」
「本来なら捕まえておきたいところだが、他所に根回しをしているとも考えられる。最悪は――」
倒したノーマンの首を掴んで動けないようにしているジーナの傍らで、シモンとグルームが話をしていた時だった。頭上から航空機の飛行する音が聞こえたかと思うと、格納庫の屋根の一部が爆炎と共に崩壊した。嫌な予感がしたセラムが咄嗟にジーナをノーマンから引き離した直後、崩落した瓦礫が地面に落ち、ノーマンの下半身が下敷きになった。
「チッ…思ったよりも早かったな」
「…後で色々聞かせてもらうぞ」
瓦礫に挟まれた苦痛と動けなくなっている状況で悲鳴を上げるノーマンを無視して、シモンとグルームは突如始まった空襲について話していた。攻撃が激しさを増しているのか、あちこちが崩れ落ちて車両などから漏れ出した燃料によってとうとう火が付いた。するとジーナは拳銃をひったくる様にシモンから借りると、血を吐きながらも命乞いをするように手を伸ばしてこちらを見ているノーマンに残弾を全て見舞った。
「…済んだか?」
「ええ」
問答が終わり、崩れそうな格納庫から脱出しようとした時、出口に見覚えのあるネスト・ムーバーが停まっていた。乗車口から同伴している兵士が手招きをしている。
「急いで乗るんだ!」
あちこちで爆発が起き、炎が上がる中で全員が飛び込むようにして乗り込むと、レイチェルは乗っている連中の事はお構いなしでネスト・ムーバーを急発進させた。爆弾が次々に投下され、火の海と化した基地から元来た道を走っていたが、そちらにも既に火が回り始めている。
「もっとスピード上げろ!」
「やってるから黙って!」
周りに急き立てられたレイチェルによってアクセルを踏み込まれたネスト・ムーバーがスピードを上げて離脱した後、格納庫で巨大な爆発が起きる。火の海になっている一帯を上空で確認しながら航空機たちは撤退をしていった。
――――先に帰投していたルーサーは、他の面々が返って来るかどうかを不安も抱えつつ外で待ち侘びていた。何人かの兵士たちは貨物の近くで座っていた彼を労いながら飲み物を渡して話に付き合うなど、気を遣ってくれたが中々気分は落ち着かなかった。
「――じゃあ、まさか政府の連中が?」
「自分達に不利になりそうなものは出来る限り消したかったんだろう。死人に口なしだ」
「なるほどねえ…てかせめて教えてくれてもよかっただろ!?」
「あんな状況で言ってどうする?逃げられたかもしれんだろ」
仲間たちの聞き慣れた声を耳にしたルーサーは、疲労も気にせずに駆け出す。すっかり汚れてしまったネスト・ムーバーから降りて歩いていたジーナ達へ走り寄ると、服に付いている土や血も気にせずに抱き着いた。他の者達も無事を喜んで彼の頭を撫で、手柄を立てた事を褒め合う。
「終わったんだよね?」
「そう、全部終わった」
ルーサーが笑いながら聞くと、ジーナも軽く微笑みながらそう言った。シモンは腰を擦ってから背伸びをすると、二人の肩を叩いて歩き出す。
「よーし、早速飲もうぜ。祝杯って事でよ」
「お前はいつもそれだな…」
一仕事終えた事による疲労感が押し寄せてはいたが、それよりもまず肩の力を抜きたいとシモンは提案をしてくる。正直な所、それほど酒が好きでは無かったセラムは、彼に対して呆れつつ苦言を漏らした。
「まあ…こういう時ぐらい祝っても良いでしょ。そうと決まったんなら準備しよっか。酒ならまだ残ってるはずだし」
レイチェルも賛成側の立場としてセラムを説得しつつ、仲間達に告げると全員もすぐさまネスト・ムーバーへ戻ろうとする。グルームは色々手続きをするためにもう少し付き合ってくれと頼んではみたのだが、「明日にしてくれ」と断られてしまった。
バビロンで活動していたテロ組織であるディバイダ―ズの壊滅と、彼らの協力者であったヨーゼフ・ノーマンの殺害が報じられたのは、それから間もなくの事であった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
拾われ子のスイ
蒼居 夜燈
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞 奨励賞】
記憶にあるのは、自分を見下ろす紅い眼の男と、母親の「出ていきなさい」という怒声。
幼いスイは故郷から遠く離れた西大陸の果てに、ドラゴンと共に墜落した。
老夫婦に拾われたスイは墜落から七年後、二人の逝去をきっかけに養祖父と同じハンターとして生きていく為に旅に出る。
――紅い眼の男は誰なのか、母は自分を本当に捨てたのか。
スイは、故郷を探す事を決める。真実を知る為に。
出会いと別れを繰り返し、命懸けの戦いを繰り返し、喜びと悲しみを繰り返す。
清濁が混在する世界に、スイは何を見て何を思い、何を選ぶのか。
これは、ひとりの少女が世界と己を知りながら成長していく物語。
※週2回(木・日)更新。
※誤字脱字報告に関しては感想とは異なる為、修正が済み次第削除致します。ご容赦ください。
※カクヨム様にて先行公開(登場人物紹介はアルファポリス様でのみ掲載)
※表紙画像、その他キャラクターのイメージ画像はAIイラストアプリで作成したものです。再現不足で色彩の一部が作中描写とは異なります。
※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
溺愛兄様との死亡ルート回避録
初昔 茶ノ介
ファンタジー
魔術と独自の技術を組み合わせることで各国が発展する中、純粋な魔法技術で国を繁栄させてきた魔術大国『アリスティア王国』。魔術の実力で貴族位が与えられるこの国で五つの公爵家のうちの一つ、ヴァルモンド公爵家の長女ウィスティリアは世界でも稀有な治癒魔法適正を持っていた。
そのため、国からは特別扱いを受け、学園のクラスメイトも、唯一の兄妹である兄も、ウィステリアに近づくことはなかった。
そして、二十歳の冬。アリスティア王国をエウラノス帝国が襲撃。
大量の怪我人が出たが、ウィステリアの治癒の魔法のおかげで被害は抑えられていた。
戦争が始まり、連日治療院で人々を救うウィステリアの元に連れてこられたのは、話すことも少なくなった兄ユーリであった。
血に染まるユーリを治療している時、久しぶりに会話を交わす兄妹の元に帝国の魔術が被弾し、二人は命の危機に陥った。
「ウィス……俺の最愛の……妹。どうか……来世は幸せに……」
命を落とす直前、ユーリの本心を知ったウィステリアはたくさんの人と、そして小さな頃に仲が良かったはずの兄と交流をして、楽しい日々を送りたかったと後悔した。
体が冷たくなり、目をゆっくり閉じたウィステリアが次に目を開けた時、見覚えのある部屋の中で体が幼くなっていた。
ウィステリアは幼い過去に時間が戻ってしまったと気がつき、できなかったことを思いっきりやり、あの最悪の未来を回避するために奮闘するのだった。
【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
冒険あり商売あり。
さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。
(話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双
四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。
「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。
教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。
友達もなく、未来への希望もない。
そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。
突如として芽生えた“成長システム”。
努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。
筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。
昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。
「なんであいつが……?」
「昨日まで笑いものだったはずだろ!」
周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。
陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。
だが、これはただのサクセスストーリーではない。
嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。
陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。
「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」
かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。
最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。
物語は、まだ始まったばかりだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる