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恋人編
第11話「誰にでも変化は訪れ、故に人の未来は不確定である」①
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――真白に一世一代のプロポーズをしてから、しばらくが経った。私は優花里と玲菜と共に、チェーン店の喫茶店にてぐだぐだと話し込んでいた。
「――なるほどねぇ。それで、無事にヨリを戻せたってわけね」
優花里がニヤニヤと頬杖をつきながら言う。私は顔を赤くしながら、「そうだけど。なんでお前、そんなにニヤニヤしてんのよ」と、手元のストロベリーシェイクを飲み込んだ。
「いやあでも、まっっっっっさかプロポーズまで済ませちゃうなんてねぇ。恋のABCとか言うけど、いくらなんでもステップ飛ばし過ぎでしょ」
「イイじゃんか別に! あ~、マジ恥ずい。いくらテンション上がってたからって、ちょっと、マジで臭すぎんだろ」
「まあ恋愛なんてそんなモンでしょ。みんな好きな人といる時は、そうやってロマンチックな雰囲気に酔っちゃうものよ」
優花里がへらへらと笑いながら私に言う。フォローしているような口ぶりだが、表情は完全に私をからかっている。
いや、でも、まさか恋愛嫌いの私がこうも甘酸っぱい経験をするとは。性根が陰キャのクソ女故、ロマンチックとか言うキラキラとしたラッピングで包み込んだ自己満足行為とは縁遠いと思っていたのだが。
頭の中に、あの日の光景が浮かぶ。アイツの体を抱き寄せて、思いの丈を伝えたあの瞬間を。私は「あ~」と爪を立てて頭を掻き、蒸気のように熱いため息を吐いた。
「……でも、よかったの、詩子?」
と、玲菜がやや眉尻を下げて私に言う。私は「ん? なにが?」と首を傾げて、彼女へと応答する。
「いや、だってさ。……アンタ、結局河野くんの家族と関わることになるんだよ? だって、それが原因で一旦は別れたんでしょ?」
「……まあ、それはイヤだけど。でも、決めたの。今度はどんだけ嫌なことがあっても、私は真白を大好きでいるって」
私は顔を上げ、玲菜を見つめて言い返す。すると玲菜はへにゃりと笑い、「そっかぁ。なんて言うか、愛だね。凄いね」と楽しそうに言った。
な、なんだよ、その表情。私は玲菜の言葉にむずむずとして、「別に、そんな大層なアレじゃないけど……」と口を尖らせた。
「じゃあさ、詩子。せっかくヨリを戻したんだしさ、ね、どうかな?」
と、優花里が笑いながら私に話しかけて来る。私は困惑しながら、「え? は、え? 何が?」と首を傾げた。
すると優花里は、更にニヤリと笑い、そして、囁くように私に言い放った。
「……海、行こうよ。河野くん誘って、みんなでさ!」
「は? ……え? 海? なに? 素潜りでもするの? 密漁?」
「ンなわけないでしょ。フツーに遊びに行くの! 水着買って! ビーチに!」
私はぽかんと口を開けて、彼女の言葉を聞き流す。が、しばらくして、ようやく彼女の言葉を理解して、「え、ええええええ!?」と声を張り上げてしまった。
玲菜が「ちょっと、詩子、うるさい!」と耳打ちをする。私はハッと頭を下げ、きょろきょろと辺りを見回してから、ギロリと優花里を睨みつけた。
「んな……! 無理、無理! ていうか、なんでいきなり!」
「そりゃあ、だって、もう夏休みだよ? 夏に恋人と行くんなら海一択でしょ! 青春の花形だよ!」
「いやいやいや! 無理だって! だって、そんな、急に言われても……何も準備してないし……わ、私、下っ腹出てるし……これで水着とか、その……」
「なんだよ。アンタ、河野くんと散々ヤりたいって言ってたじゃん。どのみち腹ァ見せるんだから、別に水着でもいいでしょ」
「無理ィ! 水着と裸じゃあ全然違う! だって、だって、乗っかるじゃん! 水着だと!」
私はぎゃんぎゃんと優花里に抗議をした。
いやいや。断固拒否だ、こんなの。こちとら小太りのメス豚だぞ。
夏と言えば海だとか、そんなモンはスタイルの良い一軍女子だけの特権なんだよ。私みたいな微オークが水着なんぞ晒したら、良い所紐で巻いたハムだ。
「でも、詩子さ。河野くんに水着晒せば、ワンチャン悩殺して、もっと良いことできるかもしれないでしょ? 念願じゃん、アンタの」
「……いや、でも……私でそんなの、ちょっと……」
「できる。……詩子。アンタのそのムカつく乳は一体なんの為に付いているの? 乳が前についているのはね、前に前に進むためでしょ?」
「のび太の先生か! 言ってることわけわかんないし!」
「とにかく! デカい乳に絆されない男はいない! 私が断言する! お前の乳はそのだらしない腹なんかには負けない! 絶対に!」
優花里がぐっと私に身を乗り出して来る。私は体を少し逸らしながら、「なんでお前今日そんなに必死なんだよ」と突っ込むと、悩ましくため息を吐き、姿勢を整えた。
……まあ。そりゃあ、乳には自信があるけどさ。最近ちょい育ったし。
私はむにゅりと、自分の胸を軽く揉んで、口を尖らせる。と、優花里が「どう?」とダメ押しで私に迫り、私はぐっと奥歯を噛み締めた。
「……まあ、いいよ。……行くよ、海」
「おっしゃあ! これで四郎と海行く口実が出来た!」
「アンタ、元々グループデートするつもりで誘ってたの?」
「そりゃあ、どうせなら人数多い方が楽しいじゃん」
優花里はそう言ってケラケラと笑った。言いたいことはわかるけど、陰キャの私にはいささか合わない感性だ。
私は『まあ、仕方ないか』と内心で呟き、ため息を吐いた。すると、傍らの玲菜が優花里に縋り、「優花里~~! 私をハブんないでよ~~!」と泣きつくように言った。
「わーってるって。今度こそいい彼氏見つけような」
「頑張って、カッコイイ彼氏作るんだから!」
玲菜は『頑張るぞい』とでも声が聞こえて来そうな感じで胸の前で拳を握り締めた。そう言う出会いの仕方をしているから、イイ男と巡り合えないんじゃないのか?
……まあ。でも、正直、少し楽しそうだって思っている自分がいるのも、確かだ。私は海へ赴く自分と真白の姿を思い浮かべ、ほんのりと顔を赤くする。
……なんか、かわいい感じの水着があればいいけど。私はもう一度ため息を吐き、今後の動向について頭を悩ませた。
「――なるほどねぇ。それで、無事にヨリを戻せたってわけね」
優花里がニヤニヤと頬杖をつきながら言う。私は顔を赤くしながら、「そうだけど。なんでお前、そんなにニヤニヤしてんのよ」と、手元のストロベリーシェイクを飲み込んだ。
「いやあでも、まっっっっっさかプロポーズまで済ませちゃうなんてねぇ。恋のABCとか言うけど、いくらなんでもステップ飛ばし過ぎでしょ」
「イイじゃんか別に! あ~、マジ恥ずい。いくらテンション上がってたからって、ちょっと、マジで臭すぎんだろ」
「まあ恋愛なんてそんなモンでしょ。みんな好きな人といる時は、そうやってロマンチックな雰囲気に酔っちゃうものよ」
優花里がへらへらと笑いながら私に言う。フォローしているような口ぶりだが、表情は完全に私をからかっている。
いや、でも、まさか恋愛嫌いの私がこうも甘酸っぱい経験をするとは。性根が陰キャのクソ女故、ロマンチックとか言うキラキラとしたラッピングで包み込んだ自己満足行為とは縁遠いと思っていたのだが。
頭の中に、あの日の光景が浮かぶ。アイツの体を抱き寄せて、思いの丈を伝えたあの瞬間を。私は「あ~」と爪を立てて頭を掻き、蒸気のように熱いため息を吐いた。
「……でも、よかったの、詩子?」
と、玲菜がやや眉尻を下げて私に言う。私は「ん? なにが?」と首を傾げて、彼女へと応答する。
「いや、だってさ。……アンタ、結局河野くんの家族と関わることになるんだよ? だって、それが原因で一旦は別れたんでしょ?」
「……まあ、それはイヤだけど。でも、決めたの。今度はどんだけ嫌なことがあっても、私は真白を大好きでいるって」
私は顔を上げ、玲菜を見つめて言い返す。すると玲菜はへにゃりと笑い、「そっかぁ。なんて言うか、愛だね。凄いね」と楽しそうに言った。
な、なんだよ、その表情。私は玲菜の言葉にむずむずとして、「別に、そんな大層なアレじゃないけど……」と口を尖らせた。
「じゃあさ、詩子。せっかくヨリを戻したんだしさ、ね、どうかな?」
と、優花里が笑いながら私に話しかけて来る。私は困惑しながら、「え? は、え? 何が?」と首を傾げた。
すると優花里は、更にニヤリと笑い、そして、囁くように私に言い放った。
「……海、行こうよ。河野くん誘って、みんなでさ!」
「は? ……え? 海? なに? 素潜りでもするの? 密漁?」
「ンなわけないでしょ。フツーに遊びに行くの! 水着買って! ビーチに!」
私はぽかんと口を開けて、彼女の言葉を聞き流す。が、しばらくして、ようやく彼女の言葉を理解して、「え、ええええええ!?」と声を張り上げてしまった。
玲菜が「ちょっと、詩子、うるさい!」と耳打ちをする。私はハッと頭を下げ、きょろきょろと辺りを見回してから、ギロリと優花里を睨みつけた。
「んな……! 無理、無理! ていうか、なんでいきなり!」
「そりゃあ、だって、もう夏休みだよ? 夏に恋人と行くんなら海一択でしょ! 青春の花形だよ!」
「いやいやいや! 無理だって! だって、そんな、急に言われても……何も準備してないし……わ、私、下っ腹出てるし……これで水着とか、その……」
「なんだよ。アンタ、河野くんと散々ヤりたいって言ってたじゃん。どのみち腹ァ見せるんだから、別に水着でもいいでしょ」
「無理ィ! 水着と裸じゃあ全然違う! だって、だって、乗っかるじゃん! 水着だと!」
私はぎゃんぎゃんと優花里に抗議をした。
いやいや。断固拒否だ、こんなの。こちとら小太りのメス豚だぞ。
夏と言えば海だとか、そんなモンはスタイルの良い一軍女子だけの特権なんだよ。私みたいな微オークが水着なんぞ晒したら、良い所紐で巻いたハムだ。
「でも、詩子さ。河野くんに水着晒せば、ワンチャン悩殺して、もっと良いことできるかもしれないでしょ? 念願じゃん、アンタの」
「……いや、でも……私でそんなの、ちょっと……」
「できる。……詩子。アンタのそのムカつく乳は一体なんの為に付いているの? 乳が前についているのはね、前に前に進むためでしょ?」
「のび太の先生か! 言ってることわけわかんないし!」
「とにかく! デカい乳に絆されない男はいない! 私が断言する! お前の乳はそのだらしない腹なんかには負けない! 絶対に!」
優花里がぐっと私に身を乗り出して来る。私は体を少し逸らしながら、「なんでお前今日そんなに必死なんだよ」と突っ込むと、悩ましくため息を吐き、姿勢を整えた。
……まあ。そりゃあ、乳には自信があるけどさ。最近ちょい育ったし。
私はむにゅりと、自分の胸を軽く揉んで、口を尖らせる。と、優花里が「どう?」とダメ押しで私に迫り、私はぐっと奥歯を噛み締めた。
「……まあ、いいよ。……行くよ、海」
「おっしゃあ! これで四郎と海行く口実が出来た!」
「アンタ、元々グループデートするつもりで誘ってたの?」
「そりゃあ、どうせなら人数多い方が楽しいじゃん」
優花里はそう言ってケラケラと笑った。言いたいことはわかるけど、陰キャの私にはいささか合わない感性だ。
私は『まあ、仕方ないか』と内心で呟き、ため息を吐いた。すると、傍らの玲菜が優花里に縋り、「優花里~~! 私をハブんないでよ~~!」と泣きつくように言った。
「わーってるって。今度こそいい彼氏見つけような」
「頑張って、カッコイイ彼氏作るんだから!」
玲菜は『頑張るぞい』とでも声が聞こえて来そうな感じで胸の前で拳を握り締めた。そう言う出会いの仕方をしているから、イイ男と巡り合えないんじゃないのか?
……まあ。でも、正直、少し楽しそうだって思っている自分がいるのも、確かだ。私は海へ赴く自分と真白の姿を思い浮かべ、ほんのりと顔を赤くする。
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