僕の大学生活と人間関係について

midoricho

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僕の大学生活と人間関係について

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急に思い立ったので、今思っていることを記録に残しておくとする。これの主な目的は備忘録だが、それだけじゃなく、10年後20年後に読み返して、「それっぽい言葉を書くことに憧れている痛いヤツだったなぁ」とむずがゆい気持ちになりたいのだ(ちょっとMなのかもしれない)。ただ、僕にも承認欲求というものが(割と強く)あるので、何かの間違いでこれを読んだ人は、こっそりと感想を教えてくれると嬉しい。

なかなかキモい導入をしてしまったが、それはともかく今は2024年の2月末だ。大学卒業を間近に控え、分かりやすく感傷的な気分になっている。こういうタイミングなので、大学生活を振り返った話を書こうと思う。ただ、書く内容自体は、何番煎じだよってくらいのよくある話だ。だけど、僕にとっては、文章にして整理しないと落ち着かない事でもある。

僕の大学2年生の1年間、最悪だった1年間のお話。
(余談も余談だが、小学生の時に少しでも強く見られたいからと一人称を「俺」にして、そのままずっと変えられていないが、本当は「僕」の方がしっくりくる)

 大学1年生はとある感染症の影響で、ほとんどオンラインだった。僕が上京したのは2020年の9月で、サークル活動も多くが制限をされていた。それでも少しずつ新歓のお誘いを耳にするようになり、なんとなくで草野球サークルに入った。シンプルに緩―く野球がしたかった、本当にそれだけだった。結論から言ってしまうと、僕はこのサークルにとことん馴染めなかった。大学1年の終わりごろから、いわゆる新歓コンパや飲み会に行くようになったのだが、本当に話に入っていけなかった。そういった飲み会には、小説と漫画ばっかり読んできた、ファッションにも無頓着で大した趣味もない僕のような人間はいなかったのだ。○○のライブに行った話、服のブランドの話、最近ギターを買った話…、聞くだけならまだいい。「へぇー」「やばいっすね」「いいなぁ」、大概はこういった便利系相槌でなんとかなる。ただコミュニケーションというのは、当たり前だけど自分のエピソードも話さないといけない。でも、少なくとも福島のド田舎から上京したヤツに、服とかアクセサリーとか酒とかタバコとか、○○の部屋に泊まってオールしたとか、人に話せるくらいのオシャレな趣味とか、そこの飲み会にいる人間の興味を引く話ができるはずもなかった。

 そして何よりしんどかったのは恋愛の話だ。だれからともなく、彼氏彼女がいるのか・どんな恋愛をしてきたのか・どんな人がタイプかという話になる。別に恋愛話に興味がないなんて言うつもりはない。人並みに興味はあるし、友人の色恋話も普通に気になるが、そもそもこの手の話は、他のどんな話よりも「本当の友達だけ」に話したいものじゃないのだろうか?噂話に一番なりやすい恋愛系の話は、少なくとも「ほぼはじめまして」で話すことではない。こう考えているのは結構少数派なのだろうか。そしてこの話は、テーブルに異性(僕から見れば女性)がいると、ある一定のモラルのラインで留まるのだが、男性しかいないと一気に下世話な方向にシフトチェンジした。このサークルの男性陣は、今まで自分が出会った人間の中でもトップクラスにそういう話を好む連中が多かったのだけれど、それも合わなかった。1個のネタとして話すなら自分もたまにするが、そんな頻繁にする?ってくらいにはそういう話になって、そのたびにずっと苦笑いだった。
 
 極めつけは、飲み会の最中、もしくは終わり際、必ずと言っていいほど行われるインスタの交換だ。あんまり分けるのは好きではないけど、いわゆる「陽キャ」の人たちにとっては、インスタをやってないなんてありえない、というくらいには当たり前のものなのだろう。そう、僕はインスタをやっていない(できない)。正確に言えば、友達とフォローし合うためのアカウントを持っていない。好きな野球選手やお笑い芸人とかを100人くらい雑にフォローしたアカウントしか持ってないのだ。それを言うと、その飲み会にいた人もれなく全員に「なんで???」と言われる。もはやインスタは必須なのかなとも思ってしまったくらいだ(実際そうなのかもね)。

ちょっと話はそれるかもしれないけど、僕がインスタをやってない(できない)理由は2つだ。とってもシンプル。見ててしんどいから、投稿することがないから。一度見せてもらった友人のアカウントには、キラキラしている写真がいっぱい載っていた。もちろんインスタも人によって様々で、そんなんばっかでもないんだろうけど、友人の投稿を見ると僕は恐らく「どこか(遊びに)行かなきゃいけない」「何かしなきゃいけない」といった気分になる。僕の休日は、朝とは言えない時間に起きて、漫画や小説を読んで、野球を見て、夜遅くまでゲームをする。これが僕にとって一番落ち着く流れで、そこそこ幸せな休日なのだ。しかし、情けない話だけど、そこそこ幸せなはずなのに、「友達との旅行」とか「海までドライブ」とか「BBQ」とか、そういった華やかな友人の写真と比べて、「僕は1人でいいや」と思えるほど、僕は孤独主義じゃない。1人は好きなくせに、孤独は嫌だという矛盾を見つけてしまうから、インスタは見たくない。そして、そういった休日を過ごすヤツに投稿することも存在しないのだ。例えば僕がペットを飼っていたり、写真が趣味だったりしたらそれ用のアカウントをつくれるのだろうけど、それはできない。その友人のアカウントには、家族との写真、友達との写真、果てには恋人との写真も載っていた。これは誓って嫌味でもなんでもなく、純粋な尊敬なのだが、インスタとかラインのアイコンとかで、「自分が写っている写真を自分から多くの他人に見せる」という行為ができる人、本当にすごい(どう書いても嫌味っぽくなる、申し訳ない)。意外かもしれないけど、僕は写真に撮られることも、それを後で見返すことも結構好きだ。でも、例えば自分が写っている写真を、その場にいなかった友人に「見せて」と言われて、実際に見せる瞬間、本当に耐えられないほど恥ずかしくてたまらない。顔がすごい熱くなって、スマホを取り上げたくなってしまうのだ。「誰かに見られること」を明確に想像できてしまうインスタは、やっぱり僕には向いてないと思う。特に恋人との写真なんて、フォルダの奥の奥の方に隠して、自分たちだけで見返したいと思ってしまう。

 すごい長いことインスタのことを書いてしまった。さっきも書いた通り、僕はかなり「陽」の傾向が強いサークルに入ってしまったと気付いたのだが、僕はそんな中でもこのサークルに馴染もうと必死だった。今思うとなんで早いとこ逃げなかったのだろうと思うが、幸せだったことに僕はクラスとかの集団単位で悩んだことがあまりなかった。だから逃げるという選択肢はなかったし、野球以外に興味があるサークルもなかった。また1から探す気力も勇気もなかった。

ただ、僕の想い虚しく、サークルの他の人間は僕をこう評した。「真面目だね。」

もちろん褒め言葉では全くない。ここで言う「真面目だね」は、「話しててあんまり面白くないやつ」とほぼ同義だ。まあそりゃそうだという感じだ。みんなが盛り上がる話では(無理して)ただ笑っているだけで、たまに「レポートやってねぇ」とか「単位やべぇ」みたいな話があった時は、大概終わらせていたし単位も取れてた。シンプルに嫌味なやつだ。でも僕はそれに気づかないふりをした。「真面目なやつ」が純粋な褒め言葉で、そのサークルで受け入れられていると自分に言い聞かせながら過ごした。

2年生になると、グラウンドを借りて野球をやるようになった。野球は楽しかった。野球をやってる間は自然と野球の話になって、あまり話が合わない人とでもある程度話せた。でも、休憩時間とか飲み会になるとやっぱり駄目だった。片隅でただなんとか合わせるだけの時間。楽しくなかった。僕はだんだんと逃げるようになっていった。休憩時間はわざとグラウンドの遠いところまで水を買いに行って、飲み会には理由をつけて行かない。当たり前だけれど、そんな僕に対してわざわざ話しかけてくれるような人は少ない。同期はどんどん仲良くなっていく。気を遣ってくれる人もいて、ドライブとか遊びに誘ってくれた。そこでもとりあえず愛想よくしてるだけ。無理しているのはバレバレだった。それでも夏ごろまでは頑張って通っていた。6月ごろに高校時代から付き合ってきた彼女と別れて、このままだと居場所がなくなってしまうとも思っていた。だから野球をやるときだけはなんとか通って、このサークルにしがみついていた。ある日、ふいにサークルの同期の1人、割と話せるほうだと思っていたやつが、半分イジるような、半分責めるような口調で言った。「また野球だけ来たんだね。」これは決定打だった。なんとか合わせようとしてきて、受け入れられていると言い聞かせて来たみじめな僕が、このサークルに居場所を作れていない事の証明だった。その日を境に、僕は野球にも行かなくなった。

ちょっと時系列はおかしくなるけれど、彼女と別れた話も書いておこう。これは備忘録だけど、また前の彼女と別れてから恋人ができていない僕は、本当の意味で彼女を忘れられていない。未来の僕が、この彼女をしっかりと忘れてくれていることを信じて(ここ読み返してみるとだいぶきもいね)。といっても大した話じゃないから書けることは少ない。これといった原因はないのだ。ただ、上手く大学になじめて居場所を作れた彼女と、コミュニティを広げられず過去の人間関係に縋るしかなかった僕とで、優先順位が異なってしまったということだと思う。目に見えて彼女の方からの連絡が少なくなった。少しずつ彼女の中の「僕に会うこと」の優先順位が下がっていったことを、僕は目を背けながらも理解していった。ある日突然思い立った。もう一ヶ月近く会ってなかったはずだ。僕は電話をして「会って話がしたい」と言おうと思った。でも彼女は電話に出なかった。「今は忙しいから会えるようになったら言うね」というような返信が来たことを覚えている。僕はラインで「別れよう」と言った。既読になっただけで返信はなかった。それっきりだ。これが大学2年の6月あたりのことだ。

そんなこんなで、大学2年の夏までに、僕は恋人とサークルの2つを失った。大学に行く授業とバイト以外は、ほとんど引きこもりのように過ごした(バイトと言ってもオンライン学習塾だしね)。長期休暇中は、逃げるように実家に帰った。高校3年の時に発症した突発性難聴の後遺症の耳鳴りが、毎日ガンガン響くようになった。本当に幸運だったのは、高校時代の元山岳部で一緒だった友人と、毎週のようにオンラインゲームをして過ごせたことだ。過去のコミュニティに縋ることは成長してないことの証明だったけど、本当に救われた。それ以外の記憶はあまりない。大学の勉強も、「真面目なやつ」のイメージがなくなると途端にやる気がなくなって、いくつか単位も落とした。嫌だった「真面目なやつ」から、独りになったとたん脱却したなんて、何とも皮肉な話だ。高校時代までの僕は、「クラス」「部活動」というある意味強制的に与えられた場の中で、強制的にコミュニティを作ってもらっていたから友人がいたのだと分かった。「自分から積極的に話しかけて、友人を作りに行って、自分から遊びに誘って、コミュニティを広げる」ことが、僕はとことん苦手だった。人間関係の難しさと自分のふがいなさをとことん肌で感じた大学2年生の1年間だった。

さて、ここまで、大学2年生の自分を憑依させて書いてみたが、当時の自分に言ってやりたい。「悲劇のヒロインぶってんじゃねーよ」と。「w」を5個くらい後ろにつけてもいいくらいだ。「悲劇のヒロインぶってんじゃねーよwwwww」僕は男だからヒロインではないけど、まあ多様性の時代ということで。

だってこんなのよくある話で、人間関係の悩みなんて持ってない人はいないのだ。それは友人との関係かもしれないし、後輩かもしれないし、上司かもしれないし、家族かもしれないし、恋人かもしれないけど、とにかく皆何かしらで悩んでいる。悩んだうえで、何とかしている。ベクトルは色々あるにしても、「とりあえず何とかしている」のが今の社会で生きていけている人たちだ。これは「皆悩んでいるんだから我慢しろ」みたいな話ではなくて、「悲劇のヒロインぶりたいならとりあえず何か努力しろよ」というどうしようもない話なのである。僕は努力をするべきだった。サークルにいたいのなら、少なくとも全体にとって楽しい存在になれるように、積極的な姿勢を見せるべきだった。僕があまり好きではなかったサークルのいわゆる「陽キャ」たちは、価値観は大きく違ったけど、少なくとも僕より遥かに社会性があった。グラウンドを予約して、参加者を集める。いろんな人に話しかけて仲良くなり、大人数で入れる居酒屋を予約して親睦の場を作る。僕は何か1つでも手伝おうとしたことがあっただろうか。自分にとって好きな人間が少なければ運営に携わらなくていいなんて、傲慢すぎる考えだ。そこになんとかしがみつこうとはしていたくせに。その上で、本当にそのサークルに合わないのなら、別のサークルなり団体なりを探して、勇気をもって新しいところに飛び込むべきだった。それまでの人間関係がとことん受身で、友人は自然にできていくものだと信じて疑わなかった僕に対する、当然すぎる結末が大学2年生の1年間なのだ。

正直、その後の2年間で僕は大きく変わっていない。相変わらず人を誘うことも、コミュニティを広げることも、初対面から段階を踏んで仲良くなっていくことも、何もかも苦手だ。休日は1人でのんびりしていて、たまに遊ぶのはほとんど高校の同期で、インスタはやっていない。ただ、少し、ほんの少しではあるけれど「大学の」友人ができた。会話の流れの中ではあるけれど、自分から遊びに誘ってみた、旅行も誘ってみた。飲み会で、割と自然に笑えるようになった。3年になってから出会った人たちが、ありがたいことに接しやすいというのもあるけど、僕にとっては、割と大きな進歩だ。僕の性格は、あんまり生きやすいものではないのかもしれないが、それは周りの人間のせいでも、環境のせいでもなんでもない。全部自分の身から出た錆だ。「悲劇のヒロインぶる」のはもうおしまいだ。他の人よりちょっと世界は狭いかもしれないけど、それでも自分から切り開いていきたい。やっぱり、自分の居場所は自分で作らなきゃね。
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感想 2

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みんなの感想(2件)

たんぽぽ
2024.02.26 たんぽぽ

載せるものがないからインスタやらないって所めっちゃ共感しました!私も必要性感じてないのでやってません笑
 私も特に、浅い関係のときの飲み会苦手です。途中で話ついていけなくなるし…!
この備忘録を読ませてもらって、なんだか今いる友達や親友のありがたさを改めて感じました。

解除
猫狂い
2024.02.26 猫狂い

マイペースが一番だよ
キャラを作る必要は無いよ
友達は自然と残るから大丈夫

解除

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