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本編10 肝胆相照の復讐者 その4
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自分でも信じられない速度で動けた。いや・・・動いていたのだ。
殴られて吹っ飛んだクズも、キリちゃんも呆気に取られている。
「いててて・・・驚いた・・・。本当に驚いたわ、カルディア。あなたを作った甲斐があったわ!凄い誤算だ!結界張ったのに・・・。素手でこれだから武器なら確実に死んでいたわ・・・てか、ちょっ・・・本当に痛いわ。足も腕もバキバキに折れてるんだけど。神じゃなかったら死んでるってこれ!」
顔を腫らしながら、がれきから浮き上がり、折れた歯を吐き出してクズは嬉しそうにそう言った。
「人の心を模倣するように作ったが、まさか他者の心、精神を共感覚で模倣し能力までコピーするとは・・・完璧に”ジャイアントキリング”を模倣しよった。いや・・・もしかしてオリジナルを上回った・・・?
この傷、この痛みは回復で治さないでおくわ。あなたに・・・いえ・・・あなた達に敬意を評して。」
あたしはブツブツ言ってる糞神そっちのけでキリちゃんに抱きつき『わんわん』泣いた。
「キリちゃん・・・キリちゃん。ごめんね・・・足引っ張ってばかりで、ごめんね。」
「ううん・・・ありがとう、カルディア・・・スカッとしたわ。私こそごめんね・・・いっぱい酷いことした。結局最後まで居てくれたのはあなただった。」
キリちゃんが優しくそう言ってくれる。その顔は泣き腫らし目は腫れぼったく、でも優しい微笑みを携えていた。
「いててて・・・いや~。感動の場面ね~。一発入れたご褒美でもあげようかと思ったんだけど。」
ふわふわと浮きながら寄ってきたクズが平然と言う。
「ラ・イ・ブ・ラ・様~。・・・ペインコントロール。」
ずっと遠くで見守っていたアーカイブさんが寄ってきて、手を掲げ満面の笑みでライブラ神に向かって能力を使う。口調もとてもウキウキとしていた。
「ちょ!お前!せこい!い゛だい゛、い゛だい゛、い゛だい゛!!!!オリジナルだったら痛みでショック死してるって!!!」
涙目になって痛がるライブラ神。
「私たち~。ここから出たいんですよ~。」
ニコニコしながら能力を使い続けるアーカイブさん。あ、アーカイブ・・・さん?なんか・・・怖い?
「分かった!分かった!何とか・・・!何とかするって!」
その言葉を聞いてようやく手を下ろし能力を止めるアーカイブさん。
「ふぅ・・・。私も客側として、この場所には不満があるの。”窮鼠猫を噛む”って言う言葉があるのに、この場所に押し込められたネズミ達が我々を噛む機会が無い事わね~。それは我々神側にスリルが無さすぎる。だからこの塔に逆転の一手を設置してあげる。あいつらにバレないようにこっそりね。もうこれ以上は譲歩出来ないわ。運営にバレちゃう。」
ライブラ神はため息をつきながらそう言う。
アーカイブさんはライブラ神に向かって静かに頭を下げた。
「で、カルディア?アンタはなんかないわけ?この私に一発入れたんだし。」
後ろでアーカイブさんが「一発どころじゃないですけどね~。」と言う言葉を無視してライブラ神は私を見据える。
「だったら・・・褒美をくれるならキリちゃんを!キリちゃんを助けて!」
あたしは神様にすがる。
「それは無理ね。報酬には対価よ。妹ちゃんはあそこのピンク髪の子の命と言う報酬の対価として消費されるのよ。そこは私でもねじ曲がらない。」
「そんな・・・」
「ま、違う方法で何とかしてあげるわ~。」
「やめなさい。この子に関わるな。」
キリちゃんが鋭い目で神様を牽制する。
「カルディアも聞いちゃダメ。こんな奴の褒美なんてロクでもないわ。受け取っちゃダメ。」
「でも・・・でも・・・」
「もういいの・・・もう充分だから。ありがとうね。」
そう言って優しく頭を撫でてくれる。
「忘れたくない・・・忘れたくないよ!・・・うう~~~~~~!!」
キリちゃんの胸に顔を埋めてあたしはボロボロ泣いた。
「ま~。一先ずご褒美は保留っちゅうことで・・・私、帰るわ~。暫く、この塔の工事も中止ね。・・・いててててて・・・」
そう言って神様は浮いていき天井へと消えていった。
アーカイブさんは能力でてっちゃんを応急処置してくれて、
「先に出ていますね。あなた達はゆっくりとお別れを・・・」
そう言って、てっちゃんを連れて塔の外へ消えた。
あたしは座り込んでいるキリちゃんに抱きつき、静かに泣いている。その様子はまるで蹲っているかのようにも見えた。
「懐かしいなぁ・・・」
キリちゃんがあたしを撫でながら呟く。
「最初あなたを見た時もこうだった。蹲って泣いていた。ついこの間のことなのに・・・凄く懐かしい。拠点についてからも、あなたは私が鬱陶しがってるのに何度も絡んできてさ・・・。」
「とても・・・美しいと思ったの・・・」
「え?」
「最初は月夜に照らされて輝くその白い髪と紅い瞳に心を奪われたんだ。こんなに綺麗な人が居るのかって。その後は正直怖かったけど・・・」
あたしは『たはは・・・』と涙を溜めながら苦笑いする。
「けれども、あの食堂の事件の後、徐々に懐いてくれるキリちゃんが可愛くてたまらなかった。」
「懐いてないわ。」
キリちゃんは口を尖らせ、顔を赤らめて、そっぽを向いてそう言う。
「カルディア、あなたはいつも私を助けてくれた。私がどんなにきつく当たっても、酷いことしても、ずっとついてきてくれた。私はお兄ちゃんしか見なかったのに・・・あなたを見ていなかったのに・・・」
「あはは・・・。でも幼いキリちゃんはあたしのこと見てくれたよ。すごく嬉しかった。あれがあったからあなたと向き合えたのかもしれない。頑張れたのかもしれない。」
「そう・・・そうなのね。」
キリちゃんが瞳を伏せ、
「・・・服ごめんね。プレゼントしてくれたのに・・・。私はお兄ちゃん以外全てを捨てないと、勝てないと思っていた。だから・・・」
あたしは首を振る。
「キリちゃんは正しい。・・・正しかったよ。結局あたしが足を引っ張ったんだ。あたしを切り捨てていたらキリちゃんは勝っていた。ごめんね・・・・あたしのせいで・・・キリちゃんの願いが・・・。」
「・・・いいのよ。これで良かったのよ。」
キリちゃんが空中の映像を見る。
キリちゃんのお兄さんの瞳には横たわるピンク色の女の子しか映っていなかった。儀式が発動したのだろう。映像ではピンク色の女の子が淡く光出している。
「キリちゃん・・・」
「結局、お兄ちゃんの中に私はもう居ない・・・私の独りよがりだったんだ・・・。本当はあなただけだった。あなただけが傍にいてくれた。あの時、あなたを捨てなくて良かった。今は心の底からそう思っている。」
ついにキリちゃんの身体が光始める。もう時間は殆ど残されていないだろう。
「ねぇ・・・カルディア。お願いがあるの。」
「何でも!何でも言って!」
「お兄ちゃんに会ったら殴っておいて。『バカ』って、『幸せになれ』って・・・お願いね。」
「うん・・・・うん・・・・」
「それと・・・」
キリちゃんが涙ぐむ。
「忘れないで・・・覚えていて・・・」
「忘れないよ!絶対・・・絶対忘れないよ!記憶がダメでも・・・私の心が忘れない!」
あたしも泣いていた。あたしはキリちゃんを強く抱きしめる。どこにも逃がさないように、腕の中に隠してしまうように・・・。その温もりを強く包み込んだ。
「ありがとう・・・カルディア・・・ありがとう。」
あたしに抱きつき屈託のない笑顔を向けてくれる。それはいつか見た、あの懐いてくれていたときに見たキリちゃんの笑顔を彷彿とさせた。
その笑顔も束の間、キリちゃんはあたしの肩越しに、あたしの背後を無表情でじっと見据えていた。
「キリちゃん?」
キリちゃんから発せられる光はどんどん強くなり、その光が最高潮になる。
あたしはキリちゃんのその様子が気になり、続けて声をかけようとしたが先に耳元でキリちゃんが呟く。
「ばいばい・・・”エクレアさん”。」
その言葉を最期にあたしの手から温もりが消えた。
殴られて吹っ飛んだクズも、キリちゃんも呆気に取られている。
「いててて・・・驚いた・・・。本当に驚いたわ、カルディア。あなたを作った甲斐があったわ!凄い誤算だ!結界張ったのに・・・。素手でこれだから武器なら確実に死んでいたわ・・・てか、ちょっ・・・本当に痛いわ。足も腕もバキバキに折れてるんだけど。神じゃなかったら死んでるってこれ!」
顔を腫らしながら、がれきから浮き上がり、折れた歯を吐き出してクズは嬉しそうにそう言った。
「人の心を模倣するように作ったが、まさか他者の心、精神を共感覚で模倣し能力までコピーするとは・・・完璧に”ジャイアントキリング”を模倣しよった。いや・・・もしかしてオリジナルを上回った・・・?
この傷、この痛みは回復で治さないでおくわ。あなたに・・・いえ・・・あなた達に敬意を評して。」
あたしはブツブツ言ってる糞神そっちのけでキリちゃんに抱きつき『わんわん』泣いた。
「キリちゃん・・・キリちゃん。ごめんね・・・足引っ張ってばかりで、ごめんね。」
「ううん・・・ありがとう、カルディア・・・スカッとしたわ。私こそごめんね・・・いっぱい酷いことした。結局最後まで居てくれたのはあなただった。」
キリちゃんが優しくそう言ってくれる。その顔は泣き腫らし目は腫れぼったく、でも優しい微笑みを携えていた。
「いててて・・・いや~。感動の場面ね~。一発入れたご褒美でもあげようかと思ったんだけど。」
ふわふわと浮きながら寄ってきたクズが平然と言う。
「ラ・イ・ブ・ラ・様~。・・・ペインコントロール。」
ずっと遠くで見守っていたアーカイブさんが寄ってきて、手を掲げ満面の笑みでライブラ神に向かって能力を使う。口調もとてもウキウキとしていた。
「ちょ!お前!せこい!い゛だい゛、い゛だい゛、い゛だい゛!!!!オリジナルだったら痛みでショック死してるって!!!」
涙目になって痛がるライブラ神。
「私たち~。ここから出たいんですよ~。」
ニコニコしながら能力を使い続けるアーカイブさん。あ、アーカイブ・・・さん?なんか・・・怖い?
「分かった!分かった!何とか・・・!何とかするって!」
その言葉を聞いてようやく手を下ろし能力を止めるアーカイブさん。
「ふぅ・・・。私も客側として、この場所には不満があるの。”窮鼠猫を噛む”って言う言葉があるのに、この場所に押し込められたネズミ達が我々を噛む機会が無い事わね~。それは我々神側にスリルが無さすぎる。だからこの塔に逆転の一手を設置してあげる。あいつらにバレないようにこっそりね。もうこれ以上は譲歩出来ないわ。運営にバレちゃう。」
ライブラ神はため息をつきながらそう言う。
アーカイブさんはライブラ神に向かって静かに頭を下げた。
「で、カルディア?アンタはなんかないわけ?この私に一発入れたんだし。」
後ろでアーカイブさんが「一発どころじゃないですけどね~。」と言う言葉を無視してライブラ神は私を見据える。
「だったら・・・褒美をくれるならキリちゃんを!キリちゃんを助けて!」
あたしは神様にすがる。
「それは無理ね。報酬には対価よ。妹ちゃんはあそこのピンク髪の子の命と言う報酬の対価として消費されるのよ。そこは私でもねじ曲がらない。」
「そんな・・・」
「ま、違う方法で何とかしてあげるわ~。」
「やめなさい。この子に関わるな。」
キリちゃんが鋭い目で神様を牽制する。
「カルディアも聞いちゃダメ。こんな奴の褒美なんてロクでもないわ。受け取っちゃダメ。」
「でも・・・でも・・・」
「もういいの・・・もう充分だから。ありがとうね。」
そう言って優しく頭を撫でてくれる。
「忘れたくない・・・忘れたくないよ!・・・うう~~~~~~!!」
キリちゃんの胸に顔を埋めてあたしはボロボロ泣いた。
「ま~。一先ずご褒美は保留っちゅうことで・・・私、帰るわ~。暫く、この塔の工事も中止ね。・・・いててててて・・・」
そう言って神様は浮いていき天井へと消えていった。
アーカイブさんは能力でてっちゃんを応急処置してくれて、
「先に出ていますね。あなた達はゆっくりとお別れを・・・」
そう言って、てっちゃんを連れて塔の外へ消えた。
あたしは座り込んでいるキリちゃんに抱きつき、静かに泣いている。その様子はまるで蹲っているかのようにも見えた。
「懐かしいなぁ・・・」
キリちゃんがあたしを撫でながら呟く。
「最初あなたを見た時もこうだった。蹲って泣いていた。ついこの間のことなのに・・・凄く懐かしい。拠点についてからも、あなたは私が鬱陶しがってるのに何度も絡んできてさ・・・。」
「とても・・・美しいと思ったの・・・」
「え?」
「最初は月夜に照らされて輝くその白い髪と紅い瞳に心を奪われたんだ。こんなに綺麗な人が居るのかって。その後は正直怖かったけど・・・」
あたしは『たはは・・・』と涙を溜めながら苦笑いする。
「けれども、あの食堂の事件の後、徐々に懐いてくれるキリちゃんが可愛くてたまらなかった。」
「懐いてないわ。」
キリちゃんは口を尖らせ、顔を赤らめて、そっぽを向いてそう言う。
「カルディア、あなたはいつも私を助けてくれた。私がどんなにきつく当たっても、酷いことしても、ずっとついてきてくれた。私はお兄ちゃんしか見なかったのに・・・あなたを見ていなかったのに・・・」
「あはは・・・。でも幼いキリちゃんはあたしのこと見てくれたよ。すごく嬉しかった。あれがあったからあなたと向き合えたのかもしれない。頑張れたのかもしれない。」
「そう・・・そうなのね。」
キリちゃんが瞳を伏せ、
「・・・服ごめんね。プレゼントしてくれたのに・・・。私はお兄ちゃん以外全てを捨てないと、勝てないと思っていた。だから・・・」
あたしは首を振る。
「キリちゃんは正しい。・・・正しかったよ。結局あたしが足を引っ張ったんだ。あたしを切り捨てていたらキリちゃんは勝っていた。ごめんね・・・・あたしのせいで・・・キリちゃんの願いが・・・。」
「・・・いいのよ。これで良かったのよ。」
キリちゃんが空中の映像を見る。
キリちゃんのお兄さんの瞳には横たわるピンク色の女の子しか映っていなかった。儀式が発動したのだろう。映像ではピンク色の女の子が淡く光出している。
「キリちゃん・・・」
「結局、お兄ちゃんの中に私はもう居ない・・・私の独りよがりだったんだ・・・。本当はあなただけだった。あなただけが傍にいてくれた。あの時、あなたを捨てなくて良かった。今は心の底からそう思っている。」
ついにキリちゃんの身体が光始める。もう時間は殆ど残されていないだろう。
「ねぇ・・・カルディア。お願いがあるの。」
「何でも!何でも言って!」
「お兄ちゃんに会ったら殴っておいて。『バカ』って、『幸せになれ』って・・・お願いね。」
「うん・・・・うん・・・・」
「それと・・・」
キリちゃんが涙ぐむ。
「忘れないで・・・覚えていて・・・」
「忘れないよ!絶対・・・絶対忘れないよ!記憶がダメでも・・・私の心が忘れない!」
あたしも泣いていた。あたしはキリちゃんを強く抱きしめる。どこにも逃がさないように、腕の中に隠してしまうように・・・。その温もりを強く包み込んだ。
「ありがとう・・・カルディア・・・ありがとう。」
あたしに抱きつき屈託のない笑顔を向けてくれる。それはいつか見た、あの懐いてくれていたときに見たキリちゃんの笑顔を彷彿とさせた。
その笑顔も束の間、キリちゃんはあたしの肩越しに、あたしの背後を無表情でじっと見据えていた。
「キリちゃん?」
キリちゃんから発せられる光はどんどん強くなり、その光が最高潮になる。
あたしはキリちゃんのその様子が気になり、続けて声をかけようとしたが先に耳元でキリちゃんが呟く。
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