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「子供は彼女が産むから」と、ある日夫が愛人を連れて来た
第2話
しおりを挟む夫がお腹の膨らんだ女性を連れて来た。
そして、これからは彼女が子供を産むと…
「………え……? ど…どういう事…なの? シオン!」
う、浮気をしていたの!?
それに…こ、子供!?
彼女のお腹の子は、シオンの子なの!?
次から次へと明らかになる出来事に、私の頭はどうにかなりそうだった。
ただ今理解できるのは、シオンが他の女性と関係を持ち、子供を授かった。
ならば答えは一つ――――…
「そ…それは…私と離縁…するという事なのね…?」
それはある意味当然の判断だろう。
結婚して3年経っても子供を身籠らなかった場合は、それが離婚事由になるのだから。
けれど夫の口から出た言葉は、私の予想に反していた。
「え!? 違うよ! 離縁なんて、そんな訳ないだろ!? 僕は君を愛しているのだから!」
「え…っ? で…でも、彼女は…」
「彼女には子供を産んでもらうだけだ。君は妊娠できない事をずっと悩んでいただろう? だから、他の女性に産んでもらう事にしたんだ」
「……な…にを…」
本当に…彼の言っている事が理解できなかった。
私とは別れない。
彼女は子供を産ませるだけ?!
何を…何を言っているの!?
この人は!!
それにどうしてお義父様もお義母様も黙っているの?
なぜこんなに落ち着いているの?
………お二人は…ご存じだった……!?
夫に愛人がいる事も
愛人が夫の子供を身籠った事も
全て…!?
確かに貴族で愛人を持つ人はいる。
けれど…シオン…あなたは養子を貰おうと…いつもそう言ってたじゃない…っ
なのに…
これからは愛人が子供を作る?
私とは別れない?
今までの苦しみは…悩んできた私の思いは何だったの……?
避妊していないにも関わらず月の物が来る度に落胆し、
子供を望む義両親の言葉に胸を痛め、
友人たちの会話に息苦しさを感じ、
病院まで行っても怖くて受診できずに帰ってきて、養子をもらう事を考え始めていたのに…なのに…っ
そんな私の気持ちは全て…全て無意味だった!!
夫はとっくに私を裏切り、愛人を囲って子供を儲けていた。
義両親もそれを知っていた。
…知らなかったのは私だけ…
「……はは…ははは…っ…」
乾いた笑い声とともに、止めどなく涙が零れた。
「…ア、アンリリー?」
泣きながら笑う私を見て、シオンは引き気味に私の名を呼ぶ。
「…私は正妻のままだから安心しろ? だから、これからも愛人と子供を作る?
そして、それを受け入れろって!? 馬鹿にするのも大概にして!!」
「ど、どうしたんだよ? 何を怒って…」
「何を……? 私がなぜ怒っているのか分からないの!? あなた、本気で聞いてる!?」
「……し、しかたないだろっ ……君が妊娠できなければ、産めるやつに産んでもらうしか…」
「!!!」
!!バシ―――――ン!!
「どこまで人を侮辱すれば気がすむの!!!」
渾身の力を込めて、シオンの頬を打った。
シオンは殴られた頬を押さえて、呆けている。
義両親と愛人も同じ顔をしていた。
子爵家の一人息子の一人っ子。
殴られたのは生まれて初めの事でしょう。
私も人を殴ったのも、声を上げたのも、これが初めてよ!
そして…こんなにも人に怒りを覚えたのも!!
「…離縁します。あなたなんかとこの先、夫婦としてやっていけないし、やっていきたくもない! これからはその愛人に好きなだけ子供を産んでもらえばいいわ!」
「ま、待ってくれ! アンリリー!!」
夫の声には耳を貸さず、私は部屋を出た。
自室に戻り、とりあえず大事な物だけを鞄に詰めるとすぐに馬車に乗り込み実家へ向かった。
残りの私物は実家に送るよう、侍女長に伝えてある。
夫は何度も私を引き留めたが、完全無視した。
家に戻り両親に事情を説明すると、すぐに弁護士に連絡をし、離縁と慰謝料請求の手続きを取ってくれた。
何度か夫がやってきたが、二度と会う気はない。
私は夫を愛していたし、夫も私を愛してくれていると……思っていた。
子供ができなかったら養子をもらう…そう言っていたのはシオン…あなただったのに…
『君が妊娠できなければ、産めるやつに産んでもらうしか…』
本当はあんな風に思っていたのね。
しょせん貴族の結婚で大事なのは、愛情よりも跡継ぎ…
こうして、私たちの結婚生活は終わった―――
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