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第7話 違和感
しおりを挟むその後もレナード様はカレリアと時々会っていたみたいだけれど、必ずアンディ様も一緒らしい。
なぜ知っているか?
それはレナード様自身が教えて下さるから。
「俺の友人のアンディがカレリア嬢と仲良くなりたいっていうものだから、紹介したんだ。なかなか二人の予定が合わないものだから、時々ブロンシュとの約束をキャンセルしてしまって本当にすまない」
「いえ、お気になさらないで下さい。カレリアにも親しい友人が出来れば喜ばしいことですわ」
レナード様がカレリアに男性を紹介?
今回カレリアとの関係はどうなっているのかしら?
というよりも、前回はカレリアに会った事を逐一私に話す事はなかったのに…
「そうそう、今度我が家でパーティーが行われるんだ。ブロンシュも出席してくれるよね?」
「パーティー?」
これも前回はなかった。
何だろう…違和感ばかりが募る。
****
「パーティーに行くの久しぶりだから、とても楽しみだわ」
カレリアも招待を受けていた。
私たちは同じ馬車に乗り、グリジオン家へ向かっていた。
「レナード様がぜひ出席して欲しいって、招待状を手渡されたのよ。ふふふ」
含みのある笑い方が鬱陶しい。
「そうなの」
何か理由をつけて、別々の馬車で来ればよかった…と思っても後の祭りね。
パーティー会場であるグリジオン家は、すでにたくさんの方々で賑わっていた。
「いらっしゃい、今夜は楽しんでいって。はい、どうぞ」
レナード様はそう言うと、私にはぶどうジュースをカレリアに赤ワインを手渡して下さった。
「「ありがとうございます」」
私とカレリアはそれを受け取りながらお礼を申し上げた。
「ブロンシュ、申し訳ないけれど、まだ挨拶して回らなければならないんだ」
「ええ。大丈夫です」
「あと、ドラジェには気をつけて」
「え…っ」
そう言うとレナード様は忙しそうにご招待した方々に挨拶をしに席を外した。
「あれ? ブロンシュもドラジェ苦手だった?」
レナード様と私の会話を聞いていたカレリアが尋ねてきた。
「…いいえ」
私は、テーブルの上に並んでいた目の前のコンフィズリーの中にあるドラジェを見つめた。
しばらくするとカレリアが手で首辺りを扇ぎ始めた。
「どうしたの? 大丈夫?」
「何だか暑いわね。少し酔ったかな? 風に当たってくるわ」
「一人で大丈夫?」
「大丈夫よ」
カレリアはふらつきながら、庭園へ続く出入り口へと向かって行った。
私はお皿に何種類かの食べ物を載せ、何となくカレリアが向かった方向に目を向けた。
すると、レナード様がカレリアを支えながら外に出る姿が目に入った。
「何でレナード様が!?」
私は手にしていたお皿をテーブルに置き、足早に二人を追いかけた。
人が多くて、思うように進めない。
その時、二人が向かった庭園の方向から騒めく声が聞こえてきた。
声のする方に向かうと小さな人だかりが見え、その間を掻い潜って行くとそこには、噴水の近くにあるベンチで服装が乱れたカレリアと……知らない男性が抱き合うように寝ていた。
カレリアの胸元ははだけ、スカートは太ももまでめくり上がり、まさにあられもない姿。
「アンディッ カレリア嬢!」
レナード様が私の後ろから現れて、二人に駆け寄った。
“アンディ”あの方が?
でもさっきカレリアは、レナード様といたはず…
彼は自分の上着を脱いで、カレリアにかけた。
「お客様を広間に戻るよう誘導してくれ。あと父上を呼んできてくれ。それとヴェリタス伯爵家に早馬を」
レナード様は執事に、矢継ぎ早に指示を出していた。
まるでこうなる事が分かっていたかのように…
伝令を聞いて急いでやってきたであろう父は、今まで見た事もないような形相で、烈火のごとくカレリアを叱責した。
しかし酩酊状態のカレリアには何も届いていない様子だった。
数日後、カレリアとアンディ様は急遽籍を入れ、辺境地へと追いやられた。
カレリアは最後まで嫌がっていたけれど…
何だか嵐が去ったような気分だった。
****
「ブロンシュが突然来るなんて珍しいね」
私はグリシオン家の応接室にいた。
「申し訳ありません。どうしてもお聞きしたい事があったもので」
「何かな?」
「レナード様も過去に戻ってきたんですか?」
私はレナード様に向かってさらっと問いかけた。
「……な…にを言って…」
明らかに動揺している様子だった。
「実は私、階段から落ちて目が覚めたら、過去に戻っていたんです」
「!! き、君も!?」
“君も”
やはりレナード様も過去に戻っていらしたのね。
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