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23.推理
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小学校に着く頃には美波さんの機嫌も元に戻ってくれた。どんまいと言ったのがいけなかったわけだが、何度か謝罪をしているうちに顔をそらしていた状態からは治った感じだ。
美波さんの機嫌の問題は解決したと言っても良いけれど、それとは別の問題が俺たちの前に発生していた。想定していたと言えば想定していたのだが、解決方法はこれと言って思い浮かばない。というのも単純な話で、小学校の校門がしっかりと閉められていただけだ。
そろそろ時間は午後六時。児童は完全に下校し終わっているのだろう。小学校は部活があったとしてもあまり遅くなかった記憶がある。校門が閉まっているとはいえ、鍵はかかっていないので入るには入れる。しかし、校門を押し開けて入るのはなんというか……
「流石に抵抗があるなー」
中学校の時のように美波さんを知っている先生が運良く通りすがれば良いけど、そんなラッキーが続くはずもない。
「懐かしくなって母校を見に来たんですが入っていいですかって職員室に言いに行ってみる?」
忍び込んで怒られるくらいなら正々堂々と中に入ることを宣言するのも一つの手だとは思う。ただ、母校だと証明しないといけないだろうとは思うが……
「緊張してちゃんと喋れると思えません」
俺は部外者だし、先頭に立って説明するのは流石にやろうと思わない。よって美波さんが無理だと言うなら却下だ。さて、どうするか……
そうしてしばらくどうするべきか悩んでいたところで美波さんがそーっと手を挙げた。
「はい、美波さんどうぞ」
「小学生から家までの通学路を探すというのはどうでしょうか」
「通学路?」
そんなところに探し物があるのだろうか。今日一日美波さんどうぞ一緒にいて、探し物はいつどこで失くした物かも分かっていない事だけは理解した。いつというのも数日間などではなくもっと長い間隔の話だ。
それにしてもそんな長い期間の中でいつ失くしたか分からない物なんてあるのだろうか。
「はい。もしかしたらそこで失くした物が見つかるかもしれません」
「はあ……」
またしても曖昧な受け答えにため息が漏れる。
「始めの依頼通り、真壁君は私が探し物をしている間にそばにいてくれて、何か気になったことがあれば教えてくれれば良いです。絶対に見つけないといけないというわけでもありませんので」
そうは言われてもせっかく探すのならば見つけたいのが普通の感覚だろう。だが、気になったことを教えることが依頼だと言うのならばその通りに言わせてもらおう。
「気になったことは何でも言った方が良いのか?」
「はい。お願いします」
美波さんは真っ直ぐに俺の目を見てそう答える。さっきまで顔すら見なかったというのに。
「じゃあ言わせてもらおうかな。気になったこと。と言うより分かったこと。それはずばり探し物そのものについてだ」
「えっ」
美波さんはそう言うと不安そうに俺の顔を見た。頑なに隠そうとしていた探し物。それが何なのか分かってしまったかもしれない。美波さん自ら言おうとはしないが、もしかすると俺が答えに気付くことが最終目的だったのかもしれないとすら思う。
俺の推理はこうだ。何を探しているのか言えず、それを俺に知られると嫌われるかもしれない。では他人に探すことを手伝わせることで嫌われる、嫌がられるものとは何か。普通に考えるなら探し物自体が俺にとって何か不利益を与えるものであるということ。例えば俺の黒歴史のようなもの。過去に書いたポエム集や中二病的な設定ノートなどを探されてたのならば嫌われても仕方ないだろう。しかし俺にはそのようなものはない。それに美波さんが探す場所というのが俺にとって縁もゆかりもない場所ばかり。俺に関するものではないのは間違いない。
そこから次に考えたのは、探し物に付き合わせるという行動自体に嫌われる要素がある可能性。探し物が何であった場合、その探し物に付き合わせるという行為に対し嫌な感情を持つのか。自分が付き合わせる側に立つと想像して導き出した答え。それは――
「探し物。もしかしてそんなものは存在しないんじゃないか?」
美波さんの機嫌の問題は解決したと言っても良いけれど、それとは別の問題が俺たちの前に発生していた。想定していたと言えば想定していたのだが、解決方法はこれと言って思い浮かばない。というのも単純な話で、小学校の校門がしっかりと閉められていただけだ。
そろそろ時間は午後六時。児童は完全に下校し終わっているのだろう。小学校は部活があったとしてもあまり遅くなかった記憶がある。校門が閉まっているとはいえ、鍵はかかっていないので入るには入れる。しかし、校門を押し開けて入るのはなんというか……
「流石に抵抗があるなー」
中学校の時のように美波さんを知っている先生が運良く通りすがれば良いけど、そんなラッキーが続くはずもない。
「懐かしくなって母校を見に来たんですが入っていいですかって職員室に言いに行ってみる?」
忍び込んで怒られるくらいなら正々堂々と中に入ることを宣言するのも一つの手だとは思う。ただ、母校だと証明しないといけないだろうとは思うが……
「緊張してちゃんと喋れると思えません」
俺は部外者だし、先頭に立って説明するのは流石にやろうと思わない。よって美波さんが無理だと言うなら却下だ。さて、どうするか……
そうしてしばらくどうするべきか悩んでいたところで美波さんがそーっと手を挙げた。
「はい、美波さんどうぞ」
「小学生から家までの通学路を探すというのはどうでしょうか」
「通学路?」
そんなところに探し物があるのだろうか。今日一日美波さんどうぞ一緒にいて、探し物はいつどこで失くした物かも分かっていない事だけは理解した。いつというのも数日間などではなくもっと長い間隔の話だ。
それにしてもそんな長い期間の中でいつ失くしたか分からない物なんてあるのだろうか。
「はい。もしかしたらそこで失くした物が見つかるかもしれません」
「はあ……」
またしても曖昧な受け答えにため息が漏れる。
「始めの依頼通り、真壁君は私が探し物をしている間にそばにいてくれて、何か気になったことがあれば教えてくれれば良いです。絶対に見つけないといけないというわけでもありませんので」
そうは言われてもせっかく探すのならば見つけたいのが普通の感覚だろう。だが、気になったことを教えることが依頼だと言うのならばその通りに言わせてもらおう。
「気になったことは何でも言った方が良いのか?」
「はい。お願いします」
美波さんは真っ直ぐに俺の目を見てそう答える。さっきまで顔すら見なかったというのに。
「じゃあ言わせてもらおうかな。気になったこと。と言うより分かったこと。それはずばり探し物そのものについてだ」
「えっ」
美波さんはそう言うと不安そうに俺の顔を見た。頑なに隠そうとしていた探し物。それが何なのか分かってしまったかもしれない。美波さん自ら言おうとはしないが、もしかすると俺が答えに気付くことが最終目的だったのかもしれないとすら思う。
俺の推理はこうだ。何を探しているのか言えず、それを俺に知られると嫌われるかもしれない。では他人に探すことを手伝わせることで嫌われる、嫌がられるものとは何か。普通に考えるなら探し物自体が俺にとって何か不利益を与えるものであるということ。例えば俺の黒歴史のようなもの。過去に書いたポエム集や中二病的な設定ノートなどを探されてたのならば嫌われても仕方ないだろう。しかし俺にはそのようなものはない。それに美波さんが探す場所というのが俺にとって縁もゆかりもない場所ばかり。俺に関するものではないのは間違いない。
そこから次に考えたのは、探し物に付き合わせるという行動自体に嫌われる要素がある可能性。探し物が何であった場合、その探し物に付き合わせるという行為に対し嫌な感情を持つのか。自分が付き合わせる側に立つと想像して導き出した答え。それは――
「探し物。もしかしてそんなものは存在しないんじゃないか?」
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