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42.遺伝
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美波さんのお父さんは話題を変えてそう聞いてきた。懺悔の話や俺に知っておいて欲しいという話はまた違う機会にでも聞くとしよう。今話し込んでいるといつ美波さんが戻ってくるか分からないし、おそらく聞かれたくない話もあるだろう。
「そうですね。昨日も寮の食堂に入ったら新歓パーティが開かれてて驚きました」
「懐かしいな。寮の食堂で新歓パーティを始めたのは俺たちが生徒だった頃なんだよ。当時は設立されて間もなかったから色々と始めやすかったっていうのもあるけどね」
「やっぱり親子揃ってサイコゲノム持ちなんですね」
「遺伝性が高いからね。真壁君は違うのかい?」
「俺は遺伝じゃないんです。親族には誰もいなくて」
サイコゲノムはほぼ百パーセントが遺伝性だ。俺みたいに突然サイコゲノムを持って産まれることはほぼない。十五歳にもなって能力が未確定な人間が百人に一人いるかどうかという話だったが、親族にサイコゲノム持ちが誰もいない特殊能力者なんて十年に一人いるかどうかだろう。それは両親から何度も聞かされていた。
「そうなのか。それなら特殊能力の情報があまり手に入らなくて困ったりもするだろう」
「そうですね。何も知らなかったから登校初日の自己紹介で普通だと思って能力未確定って言ったくらいです」
もし親が特殊能力者だったなら、そのあたりの普通も教わっていたかもしれない。とはいえ未確定なのは仕方ないし、それを理由にいじめられたりもしていないので困ってはいないが。
「ああ、それが聖奈と仲良くなったきっかけか。あの子も未確定だからね。記憶を失くす前も無欲な子だったから」
「心配だったりはしないんですか?」
「心配か……。あの子なら大丈夫だよ。悪い能力にはならない。俺だって能力が確定したのは聖奈が産まれてからだし。十二年前の二十八歳の頃かな」
「二十八歳ですか?」
「俺より能力発現が遅かった人は聞いたことないけどね。でもだからこそあまり焦る必要はないと思ってる。真壁君も焦る必要はないよ」
小西先生から珍しいと言われて不安に思っていたのはある。発現が遅くなると危険な能力になる可能性が高いとも聞いて身構えていたのもある。しかし美波さんのお父さんから、実際に発現が遅かったという人から話を聞けてその不安は少し和らいだ。
「俺の能力が良い能力だとは言い難いけどね」
「せっかく安心したところなのに不安になるようなこと言わないでくださいよ」
「はははは。ごめんごめん」
美波さんのお父さんが悪戯っ子のように笑ったとき、病室の扉が開いて美波さんが帰ってきた。美波さんはニコニコとしているお父さんと俺を見比べて小首を傾げると、ゆっくり俺の隣にまでやってくる。
「私がいなくても楽しそうですね」
「そうですね。昨日も寮の食堂に入ったら新歓パーティが開かれてて驚きました」
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「やっぱり親子揃ってサイコゲノム持ちなんですね」
「遺伝性が高いからね。真壁君は違うのかい?」
「俺は遺伝じゃないんです。親族には誰もいなくて」
サイコゲノムはほぼ百パーセントが遺伝性だ。俺みたいに突然サイコゲノムを持って産まれることはほぼない。十五歳にもなって能力が未確定な人間が百人に一人いるかどうかという話だったが、親族にサイコゲノム持ちが誰もいない特殊能力者なんて十年に一人いるかどうかだろう。それは両親から何度も聞かされていた。
「そうなのか。それなら特殊能力の情報があまり手に入らなくて困ったりもするだろう」
「そうですね。何も知らなかったから登校初日の自己紹介で普通だと思って能力未確定って言ったくらいです」
もし親が特殊能力者だったなら、そのあたりの普通も教わっていたかもしれない。とはいえ未確定なのは仕方ないし、それを理由にいじめられたりもしていないので困ってはいないが。
「ああ、それが聖奈と仲良くなったきっかけか。あの子も未確定だからね。記憶を失くす前も無欲な子だったから」
「心配だったりはしないんですか?」
「心配か……。あの子なら大丈夫だよ。悪い能力にはならない。俺だって能力が確定したのは聖奈が産まれてからだし。十二年前の二十八歳の頃かな」
「二十八歳ですか?」
「俺より能力発現が遅かった人は聞いたことないけどね。でもだからこそあまり焦る必要はないと思ってる。真壁君も焦る必要はないよ」
小西先生から珍しいと言われて不安に思っていたのはある。発現が遅くなると危険な能力になる可能性が高いとも聞いて身構えていたのもある。しかし美波さんのお父さんから、実際に発現が遅かったという人から話を聞けてその不安は少し和らいだ。
「俺の能力が良い能力だとは言い難いけどね」
「せっかく安心したところなのに不安になるようなこと言わないでくださいよ」
「はははは。ごめんごめん」
美波さんのお父さんが悪戯っ子のように笑ったとき、病室の扉が開いて美波さんが帰ってきた。美波さんはニコニコとしているお父さんと俺を見比べて小首を傾げると、ゆっくり俺の隣にまでやってくる。
「私がいなくても楽しそうですね」
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