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土の王国編
え、私乗り換えられた?
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アリスお付きの執事はクロードという名前で使用人にしておくにはもったいないほどのイケメンだ。そんな彼が怒りを込めた瞳で私を見た。クロードは私のことが嫌いだから何を言われるのか緊張する。
「パーティの途中でたまたま目にしたのですが、アレクサンダー様は何やらパーティで顔を合わせた女性に一目惚れをしたご様子でした。熱心に口説いていらしたので間違いないかと。アリス様に婚約破棄の話をし始めたのはそれから」
「要するに、他に好きな人ができたから私を捨てたってこと?」
クロードは声で返事をせずに深々と頭を下げて肯定した。私のことを嫌っているとはいえそんな嘘をつくとも思えない。クロードが言っていることは真実なのだろう。
「ですからレジーナ様に非はございません」
「あ、慰めてくれてたのね。ありがとうクロード。私は大丈夫よ」
クロードの気遣いについ嬉しくなってしまった。私はなんてちょろい女なのだろう。とはいえ顔も合わせていない男から乗り換えられる形で婚約破棄されたことは正直言って腹立たしい。別に私のことを何一つ知らない上での話なので気にする必要はないといえばそうなのだけど。ただ……
「酷い男ですね」
私の心の声を代弁するかのようにメアリーが呟く。
「ふふ、そうね」
私もついついそう言って笑ってしまった。
「どんな結婚生活になるか想像して不安になったりもしてたけど、いらない心配だったみたいね」
「お姉さま、なんだか嬉しそうですね」
「そう? でも確かにそうかも」
決められた線路がなくなった。つまりは自分で今後を決めていいということだ。ゲーム内で動いていたレジーナの運命とは別に私らしく進む運命を決めていいということだ。
悪役令嬢ではない。ヒロインアリスの普通の姉として。ちゃんとした姉として生きるルートを選べる。ゲーム内では悲惨な運命が待っていたレジーナだけど、私がそんな運命からレジーナというキャラクターを救う。そんなのもアリだと思う。
「これが本当の独身貴族ってやつかしら」
ちょっとした自虐ネタのつもりで言ってみたが、3人には通じなかったようで首をかしげられた。とはいえこれからどうしよう。……そうだ!
「私、旅に出ようと思うんだけどどうかしら?」
私のそんな提案に3人は開いた口が塞がらない様子。
「そんな変なこと言ったかしら?」
「だってお姉さま。お姉さまがいなくなったら執務はどうするんですか? 私一人でやるには荷が重すぎます!」
必死な訴えのアリス。しかし、私がフルハイム領からいなくなっても仕事が回ることは知っている。なぜならゲームでは早い段階からレジーナはアレクサンダーのところへ行き、アリスも屋敷から出るのだから。ゲームだとその後は使用人たちだけで仕事を回していた。現実の仕事と違ってどうにかなるものだ。
「アリスも一緒に行くのよ? あとそうね……。クロードとメアリーも一緒に行きましょ。4人で世界を冒険するの!」
「そんな無茶苦茶な!」
そう言ったのはメアリーだった。ずっと丁寧な言葉遣いだったのが崩れるほど衝撃だったのか、その後深々と頭を下げて謝罪の言葉を並べている。その様子も可愛いけどこれからはもっとフランクな感じで一緒に遊んで欲しい。
「メアリー大丈夫よ。楽しい旅にするから! クロードも大丈夫ね?」
「アリス様が行くとおっしゃるのならば」
そう言ってクロードがアリスの顔を見ると、アリスはそれに連なるように私の顔を見る。
「お姉ちゃんと冒険しましょ!」
私がそう言って両手を広げるとアリスはパッと明るい表情を浮かべて飛びついてきた。胸の中でアリスは嬉しそうな声でうんと言ってくれた。
「パーティの途中でたまたま目にしたのですが、アレクサンダー様は何やらパーティで顔を合わせた女性に一目惚れをしたご様子でした。熱心に口説いていらしたので間違いないかと。アリス様に婚約破棄の話をし始めたのはそれから」
「要するに、他に好きな人ができたから私を捨てたってこと?」
クロードは声で返事をせずに深々と頭を下げて肯定した。私のことを嫌っているとはいえそんな嘘をつくとも思えない。クロードが言っていることは真実なのだろう。
「ですからレジーナ様に非はございません」
「あ、慰めてくれてたのね。ありがとうクロード。私は大丈夫よ」
クロードの気遣いについ嬉しくなってしまった。私はなんてちょろい女なのだろう。とはいえ顔も合わせていない男から乗り換えられる形で婚約破棄されたことは正直言って腹立たしい。別に私のことを何一つ知らない上での話なので気にする必要はないといえばそうなのだけど。ただ……
「酷い男ですね」
私の心の声を代弁するかのようにメアリーが呟く。
「ふふ、そうね」
私もついついそう言って笑ってしまった。
「どんな結婚生活になるか想像して不安になったりもしてたけど、いらない心配だったみたいね」
「お姉さま、なんだか嬉しそうですね」
「そう? でも確かにそうかも」
決められた線路がなくなった。つまりは自分で今後を決めていいということだ。ゲーム内で動いていたレジーナの運命とは別に私らしく進む運命を決めていいということだ。
悪役令嬢ではない。ヒロインアリスの普通の姉として。ちゃんとした姉として生きるルートを選べる。ゲーム内では悲惨な運命が待っていたレジーナだけど、私がそんな運命からレジーナというキャラクターを救う。そんなのもアリだと思う。
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ちょっとした自虐ネタのつもりで言ってみたが、3人には通じなかったようで首をかしげられた。とはいえこれからどうしよう。……そうだ!
「私、旅に出ようと思うんだけどどうかしら?」
私のそんな提案に3人は開いた口が塞がらない様子。
「そんな変なこと言ったかしら?」
「だってお姉さま。お姉さまがいなくなったら執務はどうするんですか? 私一人でやるには荷が重すぎます!」
必死な訴えのアリス。しかし、私がフルハイム領からいなくなっても仕事が回ることは知っている。なぜならゲームでは早い段階からレジーナはアレクサンダーのところへ行き、アリスも屋敷から出るのだから。ゲームだとその後は使用人たちだけで仕事を回していた。現実の仕事と違ってどうにかなるものだ。
「アリスも一緒に行くのよ? あとそうね……。クロードとメアリーも一緒に行きましょ。4人で世界を冒険するの!」
「そんな無茶苦茶な!」
そう言ったのはメアリーだった。ずっと丁寧な言葉遣いだったのが崩れるほど衝撃だったのか、その後深々と頭を下げて謝罪の言葉を並べている。その様子も可愛いけどこれからはもっとフランクな感じで一緒に遊んで欲しい。
「メアリー大丈夫よ。楽しい旅にするから! クロードも大丈夫ね?」
「アリス様が行くとおっしゃるのならば」
そう言ってクロードがアリスの顔を見ると、アリスはそれに連なるように私の顔を見る。
「お姉ちゃんと冒険しましょ!」
私がそう言って両手を広げるとアリスはパッと明るい表情を浮かべて飛びついてきた。胸の中でアリスは嬉しそうな声でうんと言ってくれた。
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