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HARU:一日目
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私は夕飯を済ませて、自室のベッドで携帯を眺めていた。携帯小説家KAZU。彼の小説はいつも私の心を揺さぶり、現実を忘れて物語の世界に連れて行ってくれる。短編だから普段小説なんて読まない私でも熱中して楽しむことができた。
昨日の作品も四回も読み直してしまうほどにハマり、夢にまで出てくるほど。今からもう一回読み直そうかと思っていたところだったが、そうもいかなかった。
「ハルー。お風呂入っちゃいなさーい」
リビングからお父さんが二階の部屋に聞こえるように大きな声で私を呼ぶ。私も負けじとテニス部で鍛えた大声で返事をして階段を下りる。お父さんは台所の換気扇の下で煙草を吹かしながら、遠目にテレビで野球中継を見ていた。私が中学時代の反抗期に煙草のことを怒ったのを今も気にしてくれているみたいだ。今では私が嫌な気分にならないように気を遣ってくれるお父さんが可愛く思える瞬間もある。
「お父さんも一緒に入る?」
「馬鹿言ってないでさっさと行ってきなさい」
「はーい」
体を洗い湯船いっぱいに溜まったお湯に浸かると、KAZUの小説のことが頭に浮かぶ。どんなことを考えながら執筆をしているのだろうかとか、次は一体どんな物語で私を楽しませてくれるのだろうかとか。
長湯をして体が温まると、軽くシャワーで身体を流してから脱衣所へ出た。それからリビングでビールを飲みながらニュースを見ているお父さんにおやすみと言って部屋に戻る。部屋に入るとほぼ時間を同じくして携帯の着信音が鳴った。それは小説サイトからのメール。KAZUの小説が更新されたことの通知だった。
「え? 早い!」
まだ夜の十一時にもなっていない。私ははやる気持ちを抑えることも無く小説サイトを開いてベッドに飛び込んだ。KAZUの小説の世界に飛び込んだ。
意外な角度から描かれた癒される物語。まるで女の子が書いたのではないかと思うような優しいタッチの作品。今日の新作は特に登場人物に共感してしまって心が温かくなった。それと共に私は自然と感想を書き込んでいた。
『とても優しい作品。心が温かくなりました。好きです』
無意識に書いてしまった好きですという言葉。もちろん作品のことだけど、メッセージを送信した直後に恥ずかしくなった。送るんじゃなかったと後悔していたのも束の間、すぐにKAZUから返信が届いた。
『HARUさん、感想ありがとうございます。俺の作品にしては珍しく平和な作品でしたが、楽しんでいただけたようで何よりです。好きって言って貰えて良かったです』
好きって言って貰えて良かった――。その言葉を見て顔から火が出るほど恥ずかしくなった。枕に顔を埋めて音にならない叫びを上げて落ち着くと、もう一度だけ返信をした。
『KAZUの作品は色々な作風が見られて飽きません。また新しい作品が出来たら感想書きます』
儀礼的なメッセージを最後に、私は携帯を閉じて眠りに就いた。
昨日の作品も四回も読み直してしまうほどにハマり、夢にまで出てくるほど。今からもう一回読み直そうかと思っていたところだったが、そうもいかなかった。
「ハルー。お風呂入っちゃいなさーい」
リビングからお父さんが二階の部屋に聞こえるように大きな声で私を呼ぶ。私も負けじとテニス部で鍛えた大声で返事をして階段を下りる。お父さんは台所の換気扇の下で煙草を吹かしながら、遠目にテレビで野球中継を見ていた。私が中学時代の反抗期に煙草のことを怒ったのを今も気にしてくれているみたいだ。今では私が嫌な気分にならないように気を遣ってくれるお父さんが可愛く思える瞬間もある。
「お父さんも一緒に入る?」
「馬鹿言ってないでさっさと行ってきなさい」
「はーい」
体を洗い湯船いっぱいに溜まったお湯に浸かると、KAZUの小説のことが頭に浮かぶ。どんなことを考えながら執筆をしているのだろうかとか、次は一体どんな物語で私を楽しませてくれるのだろうかとか。
長湯をして体が温まると、軽くシャワーで身体を流してから脱衣所へ出た。それからリビングでビールを飲みながらニュースを見ているお父さんにおやすみと言って部屋に戻る。部屋に入るとほぼ時間を同じくして携帯の着信音が鳴った。それは小説サイトからのメール。KAZUの小説が更新されたことの通知だった。
「え? 早い!」
まだ夜の十一時にもなっていない。私ははやる気持ちを抑えることも無く小説サイトを開いてベッドに飛び込んだ。KAZUの小説の世界に飛び込んだ。
意外な角度から描かれた癒される物語。まるで女の子が書いたのではないかと思うような優しいタッチの作品。今日の新作は特に登場人物に共感してしまって心が温かくなった。それと共に私は自然と感想を書き込んでいた。
『とても優しい作品。心が温かくなりました。好きです』
無意識に書いてしまった好きですという言葉。もちろん作品のことだけど、メッセージを送信した直後に恥ずかしくなった。送るんじゃなかったと後悔していたのも束の間、すぐにKAZUから返信が届いた。
『HARUさん、感想ありがとうございます。俺の作品にしては珍しく平和な作品でしたが、楽しんでいただけたようで何よりです。好きって言って貰えて良かったです』
好きって言って貰えて良かった――。その言葉を見て顔から火が出るほど恥ずかしくなった。枕に顔を埋めて音にならない叫びを上げて落ち着くと、もう一度だけ返信をした。
『KAZUの作品は色々な作風が見られて飽きません。また新しい作品が出来たら感想書きます』
儀礼的なメッセージを最後に、私は携帯を閉じて眠りに就いた。
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