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転生させてください
しおりを挟む17歳で死んだ俺…。
最後に見たのは病室の天井と医師の姿。もちろん両親の姿はない。きっと仕事なのだろう。
息子のことなんてどうでもいいと思っている最低な奴らだ。最期ぐらいは…とも思ったが…そんなことを考えた俺がバカだった。
生まれた時から体がとても弱く病院生活を送っていた俺は友達との青春も家族や恋人の愛情も知らないまま、このまま死んでいく。
(あぁ…俺死ぬんだなぁ…)
死ぬ時の俺は以外とあっさりしていた。
自分が死ぬのはもうとっくに分かっていた。死ぬのは怖くない…けど、もう少し…もう少しだけ…生きていたかった…。
青春というものを…愛情というものを…俺は知りたかった…この身で感じてみたかった。
(まぁ…そんなの無理だろうけど…)
バカげたことを話していて自分でも笑えてくる。そんな非現実的みたいなこと…あるわけないのに。
俺はす…っと瞳を閉じた。
17歳、田中 棗の短い人生が終わる…
はずだった。
目を開けると…真っ白な世界だった。
「あれ?俺…死んだんじゃ…」
辺りをキョロキョロと見回す。
何もない…ほんとに真っ白な世界。こんな世界が存在してたんだなぁ…ってことは…
ここは天国か…。
「…てか、俺の体…」
俺は自分の足で立っていることに…自由に腕を動かせることにとても感動した。
そこにひとつの光が現れ人の姿へと変わった。
「少年よ。わたくしの姿が見えますか?」
とても綺麗な女性だった。髪は金髪で長く、瞳は蒼色、肌は透き通るように白く…この世のものとは思えない。
きっと女神様だ!
「え?はい…」
俺は恐る恐る答えた。
そういうと女神様は急に泣き出した。
「え!どうしたんですか!?俺何か失礼なことを…」
「違うのです…。先程の貴方を見ていたら…」
なるほど…さっきの俺を見て泣いているのか。
こんな俺のことで泣いてくれるなんて…優しい神様だなぁ(泣)
「ありがとうございます、女神様。…こんな俺のことで泣いてくれて…」
そういうと女神様は言った。
「そんなことを言うんじゃありません!君はとても心の優しい子です。わたくしが何か願いを叶えて差し上げます!」
「何かありますか?」と女神様は笑顔で聞いてくる。
願い事…か、
「なんでもいいのですか…??」
「えぇ、もちろん。貴方が望むのなら…」
俺は考えたあげく、この答えを出した。
「青春と愛情というものを感じてみたいです…」
俺は照れた顔で言う。
こんな子供じみたこと…お願いしてもいいのかな。
それに2個もお願いしちゃって…。
女神様を見るとプルプルと震え出した。
(やばい…やっぱり図々しかったかな…)
俺はしゅん…となる。
「だ、だめですよね…」
「良いに決まってるでしょぉぉおおおおおおう!!」
(可愛い可愛い…食べちゃいたい(?)いや、私じゃダメよ)
「___ッ!?」
(びっくりしたぁ!でもよかった!女神様は良い人だ)
「何か希望の世界はありますか?ないならこちらで手配しますけど…」
(BL…BL…BL…)
(何やら女神様からの圧が…)
「ありません!女神様にお任せします。」
(女神様が決めた世界…どんな世界だろう)
「わかりました。では…こちらにしましょう…(ニヤニヤ)」
「どんな世界なんですか?」
「そうですね…強いていうなら、男同士が恋愛する世界…ヒロインがとても愛される世界ですね!後は…あまり貴方がいた元の世界と差程変わらないです。」
女神様は笑顔で説明する。
(え!?男同士…?)
「恋愛って男同士でもするものなんですか!?」
俺はもちろん恋愛したことがなくそこら辺はよく分からなかった。
「まぁ、、ね!…そういう恋愛もあるんですよ。んふふ♪」
「へ~、そうなんですか!」
女神様が言うなら俺が生きていた世界でも男同士の恋愛は普通だったのだろう。
「それで…貴方はヒロインになりますか?」
「いや!俺はひっそりと過ごしたいです。何だかヒロインは疲れそうなので…」
「モブですね…分かりました!モブもいいな…((ボソッ…」
(モブって何だろう。それより何か言った??よく聞こえなかった…)
「モブってなんですか??」
俺は女神様に聞いた。
「んー、、そうですね…目立たないキャラ?ってとこですかね」
「それがいいです!」
〝目立たないキャラ〟というのは俺の平和な日常生活にもってこいだ!
「分かりました!では名前はそのままで。容姿は私好みにしておきます。たくさん友達を作ってくださいね。それでは…行ってらっしゃい!」
きっとモブに似合ったような地味な顔にしてくれているんだろうな。
「本当にありがとうございました!」
そうお礼をいうと俺は温かい光に包まれいつの間にか眠りについていた…。
❁❁┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈❁❁
「モブもいいけど…。ごめんなさい。やっぱり君には沢山愛されてほしいわ…じゃないと!面白くないものっ!!やっぱりヒロインにしておきましょ♪」
まさか変えられていたなんて棗が知るわけもなかった…。
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