救世の神子として異世界に召喚されたと思ったら呪い解除の回復アイテムだった上にイケメン竜騎士のツガイにされてしまいました。

篠崎笙

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天才剣士、異世界へ

突然のプロポーズ

『おお、ヒトガタになれた!』
トカゲは、赤い髪にアイスブルーの瞳の美男子に変身した。

健康的な小麦色の肌。海辺が似合いそうなイケメンだ。
しかし全裸。


……ご立派ですね。ドラゴンだから?

ああ、下の毛も赤いけど、ちょっと黒っぽいんだー。
いや、知りたくなかった。そんな個人情報。

ゲオルギオスはもっとジャングルでご立派だったな、とかどうでもいいことを考えてる場合でもない。

あんたらそんなモン、いつまでもぶらぶらさせてんじゃない。
つい見ちゃうだろ!?


『やったあ! マジだこれ。本物の救世の神子様だ!』
オリオンは嬉しそうにユージンに飛びついていった。全裸で。

男前なのに、子供みたいな言動だ……。

『オーリン、人間形態そんなだったのか……』
仲が良さそうなユージンまで驚いている。


皆、人間形態のオリオンを初めて見たようなリアクションだが。
生まれてからずっと、あの姿だったのか? どういう呪いなんだ?


*****


『失礼、』
クリストファーは、天使のような笑顔を浮かべつつ俺に近寄ると。

俺の口に指を突っ込み、その指を舐めた。電光石火の早業だった。


ふむ、とか言って。
テイスティングしているような感じだった。

うわあ……。

ドン引きだが。
いきなりチューするよりは、まだ紳士か?

……いや、人の口に指突っ込んで唾液舐めるのも、充分変態っぽい。

いかん、異世界に毒されてきているようだ。
こんな当たり前は嫌だ。慣れたくない。

早く家に帰って、道場の床だけじゃなく、自宅の床も磨きたい。一心不乱に磨きたい。


『……なるほど。さすがは神子。軽いものであれば、唾液だけでも呪いは解けそうですね。残念ながら、私達に掛かっているは、唾液のみですと一度だけで解くのは難しそうですが……』

え、今のでわかったの?
鑑定したの?

舐めただけでわかるもんなのか? 凄いな。


オリオンが現在人間型になれているのも一時的なもので。しばらくしたらまたドラゴンに戻ってしまうだろうとのこと。
何回か舐めれば、完全に解けるかもしれないそうだ。

しつこい油汚れみたいな、頑固な呪いだな……。


*****


人間型になれて、すごく喜んでたし。別に涙くらいなら、舐めさせてもいいんじゃないかと思えてきた。
泣くの、難しいけど。

トカゲとチューするか? ……トカゲ形態であれば、何とか我慢できるかもしれない。

猫とかとすると思えば平気平気。
……いや、いやだ! 圧倒的に毛皮成分が足りねえ!!


『やはり、精をいただくのが一番有益だと思うのですが』

クリストファーは、何でそんな麗しい美貌でそんなに精液推しをするんだよ!?
俺は他人のそんなの舐めたくないぞ!?

あ、俺は別に舐めなくて良いのか。俺の体液が特効薬なんだもんな。

いや、他人に舐められるのも普通に嫌だっての!
汗の匂いとか気になる年頃なんだぞ!


『よし。では責任を取って、俺が勝利を嫁に貰おう』

『は?』
『え?』

「……何で?」


何やらずっと長考していたゲオルギオスの突飛な発言に。
皆、呆れた声を出したのだった。


*****


ゲオルギオスの、あまりにいきなりすぎるプロポーズは。

さっきの俺の、「ファーストキスが男でショック」発言を受けての答えだったそうだ。
……何でそうなる?


『俺は仲間といえど、俺のツガイを他人に触れさせたくは無い。結婚相手なら、普通に性行為をするだろう? その時に出た精を皆に分けてやるのなら、許容範囲だ』

体液は、魔法でカプセル錠みたいにして皆に渡す、とか言ってるけど。
ちょっと待って欲しい。

『しょうがねえな。ゲオルグがそこまで惚れ込んでんなら、涙を呑んで譲るぜ』
『ゲオルグがここまで執着するなんて、はじめてですからねえ』

オリオンもクリストファーも、ゲオルギオスに譲るムードなんだが。


おい、何で結婚するのが決定事項になってるんだ?
しかも、セックス込みが当然みたいに。


『僕は認めない。それに、彼は君との結婚を承諾していないだろう?』

四面楚歌な気分の中。
引っ込み思案のユージン、まさかの反対発言。

よくぞ言ってくれた!


ユージンは金髪碧眼で、まるで王子様のような容姿だ。
水竜だっていうが、水色のドラゴンなのだろうか? マントは青だから、青いのか?

あ、見てたら真っ赤になって、またそっぽ向いてしまった。
ユージン、本当に照れ屋なんだな……。


*****


『……あんたは、他の男にも唇を許すような軽い神子だというのか?』
いつの間にか、ゲオルギオスに抱き寄せられていた。

ぎゃあ、と情けない悲鳴を上げそうになったが、何とか飲み込んだ。
だってマントのすぐ下は全裸なんだよ、この人。

ひええ、大きいの、当たってるんですが!
通常でこれなら、臨戦状態になったらさぞかし……といった感じだ。


ゲオルギオスは俺の耳元で、こそっと『齧られたくなかったら、結婚を受け入れる振りをしろ』と言った。

ええっ? 誰が俺を齧ろうとしてるんだよ!?
少なくともゲオルギオスではない、と何故か確信していた。

俺のことを護りたい、って気持ちを、強く感じたからだ。


『この唇は、俺だけのものだ。そうだな?』
思わず、こくこくと頷いてしまった。

っていうか。
何でそんな無駄に男の色気を出してるんだよ。

何だかドキドキしてきたじゃないか。


『ほら、勝利はちゃんと、結婚を承諾してるだろうが』
ゲオルギオスは得意げな顔をして言った。
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