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華麗なる少年王の半生

麗しき少年王の華麗なる寸止め

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「お前は私を、辱めるつもりなのか?」

「いえ、そのつもりはありませんが。元臣下ごときに身体を自由にされるなど、陛下にとっては耐えられない屈辱でしょう?」
自分が傷ついたみたいな、痛々しい顔で訊かれたが。


うーん。どうしたものか。
アルベルトにチューされても抱きしめられてもフェラされても、全然気持ち悪くなかったんだよな。

むしろ、人生で一番気持ち良かったくらいで。不思議なくらい、嫌悪感は無かった。
俺はゲイじゃないのに。


試しに、相手がヴァルターだったらと考え……うええ、キモッ!
駄目だ。

ちょっと想像しただけでダメージを食らった。
これが顔面偏差値の力か。

美形っょぃ。


*****


「痛かったり、拘束されるのは嫌だが。お前に触れられるのは嫌ではない」


「……えっ!?」
アルベルトは信じられない、という表情のまま固まった。

「私は、お前の花嫁になる、と言ったのだぞ。二言はない。世を儚み、自決するなど有り得ん」

「ああ……陛下……、何と、広いお心か……。愛しています」
アルベルトは、喜びとも困惑とも泣き顔ともいえない顔で愛を告げた。

面と向かって愛してる、なんて言えるメンタルは日本男児にはないでごわす。
恥ずかしいなあもう!


「愛しているというなら、優しく扱え」

心の中だけは、ガラスの十代なのだから。
あ、今は外見年齢も十代だった。

「はい。ガラス細工のように大切に扱います。……神と、陛下に誓って」
そっと俺の手を取って、手の甲にキスをした。


ガラス、と言われて。
一瞬、貴様、俺の心を読んだか! とビビってしまったが。

繊細な物のイメージで出しただけだろう。
心臓に悪いな!


俺の手を優しく包むように握りながら、例の完璧な微笑みを浮かべているアルベルトだが。

俺の太ももに、アルベルトの股間のアルベルト・ジュニアが当たっている。
勃起した状態で。


やだ、何これ。
やたらおっきくない? アナコンダかカミツキガメでも潜んでない?


くそ、何もかも優秀で完璧超人な上に、巨根の持ち主でもあったとは。
実は性格がアレだったなんてマイナスにならないくらいアピールポイント高くね?

天は二物を与えずというが。
アルベルトには二物以上与えた上に、立派なイチモツを与えたもうたのか。
ずるい!


*****


ふにゃあ、こんなおっきいの突っ込まれたらアニャルローズが咲いちゃうよぉ……。
などとショタごっこしてる場合ではない。

この雰囲気だと、このままガンガン掘られかねない。
いのちだいじに!


漫画とかじゃないので朝チュンでは済まされず、イベントスキップできずにリアルタイムでガッツリ犯られるだろう。
何か、回避手段はないか!?

……あっ、そうだ。


「ところで、私は前王の遺言……予言により、結婚までは清らかな身でいないといけない。……その、夫婦の営みは、式の後にして欲しい」

ヨシ! 我ながらグッジョブ! と心の中で拳を突き上げる。
とりあえず、今のところは回避できるだろう。


アルベルトは、そういえば、という顔をした。

「すぐに式の準備を進めますので、こちらで少々お待ちください」
すぐに身体を起こし、ベッドから降りて。
結婚式の準備の打合せをするため、速足で寝室を出て行った。

お前、己の欲望に忠実過ぎない? そんなキャラだったの? 猫被ってただけで。


若干前屈みだったのがかわいそうだが。
前王の予言だし。予言は絶対だし。しょうがないよネ!

これで少しは時間稼ぎ……もとい心の準備が出来る、とほっとする。


俺も、国王として式の打ち合わせに参加しないと、と思い。
ベッドから降りようとして。

足に力が入らず、危うく転びかけ。
腰が抜けてしまっていたことに気付いた。

自分では、わりと冷静でいたつもりだったが。
肉体に影響が出るくらいのショックを受けていたようだ。


まさか、あのアルベルトが。
リーゼロッテではなく、俺のことが好きだったとは。

しかも、俺が精通してから毎晩夜這いしたり。誰も俺に触れないよう、周囲に牽制してたり。
色々裏工作してたなんて、思いもしなかった。


……あーびっくりした。


*****


気を取り直して。

深呼吸とか柔軟体操などをして。
脱がされてしまった服を身に着け、王の間へ行こうとしたら。

ちょうど、アルベルトがこっちに向かって速足で歩いてくるところだった。
俺に気づき、笑顔になった。

「陛下。式の日取りが決まりました。明後日の昼に大聖堂の予約と近隣国の招待客への出欠確認、諸々の手続きを済ませました」
書類を手に、いそいそと寄ってくる。

もう手続き終えたのか。

行動はやっ!
優秀なのはわかっていたが。手回しが良すぎる。

まさか、ずっと前から準備してたんじゃないだろうな……?

国王のサインが無いといけない書類があるので、ちょうどサインを貰いに来たところだったようだ。
一緒に王の間へ行った。


警備や予算などを考えなければいけない大臣たちばかりでなく、兵や使用人も慌ただしく走り回っているのは、式の準備のためだろうか。

明後日とか、いくら何でも急ぎすぎだろう。


「本当は今日にでも挙げたかったのですが。さすがに国王の結婚式には準備不足だろうということで断念しました」
アルベルトは心底残念そうに溜息を吐いた。
憂い顔も美しいが。


いくら一刻も早くヤりたいからって、昨日の今日で挙式とか、無茶を言うな。
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