限界オタクだった俺が異世界に転生して王様になったら、何故か聖剣を抜いて勇者にクラスチェンジした元近衛騎士に娶られました。

篠崎笙

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近衛騎士、勇者になる

王太子の近衛騎士

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「ではアルベルト、以後よろしく頼む」

改めて私に挨拶を下した殿下の言葉には、以前の拙さはなかった。
美しく貴族らしい発音、王族らしい尊大な言葉遣い。

少々残念に思ったが。
中庭で、お一人で勉強されていた姿を思い返し。

この方は、幼いながらも相当な努力家であらせられるのだと思い至り、深く感動した。


一国の王太子と産まれ、その一挙手一投足がいやでも注目される存在である。
だからこそ、完璧な王子を演じようと努力されているのだ。

実家での私と同じように。

ならば、せめて私の前では心安らいでいただきたい。
そのように努めよう。


私の唯一の心の癒しが、クリスティアン殿下という存在なのだから。


*****


15時、お茶の時間である。
クリスティアン殿下はいつも妹姫のリーゼロッテ殿下とお茶会をされるとのこと。

殿下の後ろを歩いていたら。
殿下は私の手を引いて案内をしてくださった。

直接王族の肌に触れるのは、本来禁忌とされているのだが。
唯一の例外が、近衛騎士である。

有事の際には、命に代えても殿下の身をお護りせねばならない。
その時は御身に触れる事も想定されている。

故に、貴族の公子でなければ近衛騎士となり、王城を出入りすることすら叶わない。


現在、この私だけが。
殿下に触れることを許されているのだ。

私の手を握っている、小さな手のぬくもりを、嬉しく思った。

どのような怪物が襲って来ようが、絶対に。
私がこの手で護ってみせよう。

そう、強く思った。


中庭には茶会の用意がされており、丁度リーゼロッテ殿下が騎士に案内されていたところだった。

彼女は私の顔を見て頬を染め。
恥ずかしそうにクリスティアン殿下の後ろに隠れた。

情緒が発達しているようなので、そろそろリーゼロッテ殿下には女性の騎士をつける頃合だろう。


お茶の後は、クリスティアン殿下お手製のカルテカードを使った遊びをするようだ。
私も誘われ、参加した。

二人では”ババヌキ”をしても面白くない、とのことだが。

どの遊び方も、良く出来ている。
7つの子供が考案したとは思えない内容であった。”ポーカー”なる遊びなど、大人の遊びとしても通用する。

このカルテは他国にも売れること間違いない、社交界で流行させてはいかがかと打診してみたが。
賭け事は駄目だとすげなく断られてしまった。


成程、充分賭けの対象に成り得る遊びである。
賭博は人心を堕落させる。

目先の利益よりも、世の風俗の混乱を憂いたのだ。


父であるベルトラート陛下に似て、先見の才能を受け継いだのだろうか?

まだ幼い身でありながら、クリスティアン殿下は何と慧眼であらせられるのだ、と。
感心することしきりであった。


*****


賢くも愛らしいクリスティアン殿下と過ごす毎日はいつも新鮮で。
私の生き甲斐となった。


しばらく見ているうちに、殿下は使用人が近くに居ると、心が休まらないと気付き。
世話役の使用人には理由をつけて、他の仕事に回させた。

下手に辞めさせると、責任問題で首が飛ぶので異動は慎重に行った。

代わりに私がお世話をさせていただこうと思ったのだが。
殿下は湯あみも着替えも靴ひもを結うのもお一人でこなされてしまうので、それは残念であった。


しかし。
朝、お声がけをして朝食を運ぶ仕事だけは私に任された。

寝起きの殿下はそれはもう可愛らしく。
毎朝至福の時間を味わった。

たまには休暇を取れ、と陛下からも注意されたほど、毎日、熱心に勤めていた。

だが、この役目は絶対に、誰にも譲る気はなかった。
どんな卑怯な手段をもちいようとも。


それほど幸福であった近衛騎士としての生活だったが。

またしても転機が訪れた。
それは、殿下が12歳になられた7の月のことだった。


早めに来てしまったので、起床時間まで殿下の寝顔を眺めて癒されようと寝室へ入り。
大胆に掛け布団を蹴飛ばされているのを、掛け直そうとした時。

寝間着を押し上げているに気付いた。


私も男である故。
その現象には心当たりがあった。

しかし。
殿下の身に、一般男性のような生理現象が起こっているのが信じられず。

衝撃を受けた。

天使のようにあどけなく、汚れのない愛らしい容姿なのに。
身体は一人前の男性のような反応をしている違和感。


私はひどく混乱していた。


*****


「ん……、」

どのような夢をみられているのか。
もじもじと、膝を摺り合わせ。

寝間着に、染みが拡がってゆく。


私は殿下の寝間着を新しいものに着替えさせ。
子種で濡れた下肢を濡れたで拭い。

証拠隠滅の為、自室に向かい、走っていた。


貴族の公子であれば、誰でも。
精通を迎えればすぐに性指南役の寡婦を向かわされるのは暗黙の了解となっている。

私は。万が一、私によく似た子が産まれれば不幸になるだけだと。
生涯独身を貫く旨を両親に告げ、指南を断っていた。

母には泣かれたが。
自分の血を継いだ子を作るなど、吐き気がする。

第一、そういう行為をしたいとは一度も思ったことがなかった。
自分にはそういった感情は無いのだと。


ふと、誰かが殿下の肌に触れるのかと考え。
目の前が真っ赤になるほどの激しい怒りを覚えた。

もし、殿下の初めての相手を知れば。
憎しみのあまり、その女を手に掛けてしまうだろう。

殿下に触れた場所の皮膚を全て剥ぎ取り、その内臓を抜き出し、四肢を引きちぎっても飽き足らない。
それほどの、残虐なまでに激しい怒りを。


……許せない。
殿下に触れていいのは、この私だけだ。


*****


気付けば。
私はクリスティアン殿下の子種で濡れた寝間着を手に、自らを慰めていた。

不可解な己の行動に、激しく動揺したが。


浅ましくいきり立った陰茎を擦り。
ただ、一刻も早くこの劣情を治めなくてはならない。

それほど時間に余裕は無い。

何事もなかったかのように、普段通りに殿下を起こしに行かねば。
そろそろ巡回をする警備の兵に疑われる。


畏れ多くも、殿下の寝間着を汚してしまった。
綺麗にして、洗濯籠に戻しておかねば。


これから私がなすべき事は何か。

……クリスティアン殿下が大人になられた事実を。
誰にも知られなければいい。

それには、何をすればいいのか。
もう、わかっている。


身形を整え、再び殿下の部屋へ向かった。
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