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Ⅶ
美しき伯爵、王になる
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ロロの前世。
ヘンリー ・ドイル、享年36歳。身長は178cm。細マッチョ。
イギリスのバークシャー州生まれ。先祖は爵位を持ってた? へえ、そう。馬主で牧場を持ってて、人材派遣会社を経営。
男女どちらも試した上で、自分はゲイだと認識してカミングアウトしたそうだ。
何人かと付き合ってみたけど、どれもこれもピンと来なかったので未婚。
自分じゃ言わないけど。イケメンだった気配がするぜ。
その上、社長さんだしな……。
生まれながらの勝ち組じゃん! おいおい、本来なら俺なんて、接点ゼロの超セレブじゃねえか……。
*****
『ふ~ん、』
「……前世では年も年だし、それなりに経験はあったが。この身体は、あんたしか知らないからな?」
妬いたのかと思ったようで、焦った様子で弁明した。
それは、41歳童貞で死んだ前世の俺に対して刺さるんですけど!
妬いてないし。
そんな前世から選ばれし勝ち組であったセレブ様に対して嫉妬を抱くような身の程知らずじゃないですし。
『いや、そんなモテモテだったのに、何で俺なんかに惚れたのかなって思っただけ』
着替えも終わったし、扉に向かって歩こうとしたら。
後ろから、ぐいっと腕を引かれて。
「んんっ、」
仰け反ったような体勢で、キスをされた。
朝にするには濃厚すぎるキスに、腰が抜けそうになったところで唇が離された。
「俺の”最愛の人”を、”なんか”だとか、二度と言うな」
と、怒ったような顔で言って。
ロロは脱力した俺をお姫様抱っこした状態で、食堂まで連れて行ったのだった。
愛が重すぎる……。
*****
国王選考の結果。
大方の予想通りに、俺が次期国王に決定した。
今回、大臣などに大幅な入れ替えはないので、そのまま優秀な臣下たちが国政を支えてくれる。
国としても、大きな混乱は避けられそうで良かった。
でも、黒髪黒目の国王誕生に、国内外は大騒ぎだという。悪い意味じゃなく。
新国王を報せる号外と俺の絵姿が、飛ぶように売れて、巷は大混乱だそうだ。
絵姿って。
そんなの、いつの間に描かれてたんだ? 描かせた覚えはないんだけど。
ロロは「俺のアンリを妄想の対象にされてたまるか! 回収だ!」って怒ってた。揺るぎねえ。
ベリエ領の城に仕えていた使用人は、馴染みがある面々の方がいいので、そのまま王城へ上がることになっている。
当然アンドレも来る。側近として。
ちなみに元国王は、先々代も住んでいた元国王用の別荘地みたいなところで隠居生活を送るそうだ。
他の王子や親族たちは侯爵や公爵としてそれぞれ領地を与えられて王城を出るので、追い払われたように感じる親族もいたようだ。
これまで幽霊扱いだった第七王子が一番出世したな、と陰口を言われていたとか。
それに対し、アンドレは「麗しき新国王の身の回りの世話係を長年していたことを羨ましがってるんでしょう、散々自慢してやりましたよ」とか嬉しそうに言ってた。
こいつも大概だな。
*****
っていうか。本当に俺、国王になっちゃったよ。
前国王オーレリアンから王杓と王冠を譲り受けて。
無事戴冠式も終えて。
今、まさに王座についているわけだが。
未だ信じられないというか。
これ、夢じゃないよね?
目が覚めたら、病院の集中治療室だったとかないよね?
宣言通り王佐の座に収まったロロは、俺が座っている王座の横で、満面の笑みを浮かべている。
これから国民の前で俺たちの結婚を発表をするってのもあるけど。
俺がこの国の王様になったら、この世界にジャパニーズオタクカルチャーを広めるつもりだという野望を聞いて、大喜びしてた。
取材の為にわざわざ日本語を勉強するくらいだし。
元々漫画やアニメに興味あったんだって。
俺の住んでた社員寮から荷物を引き取った時、俺の部屋にあった漫画や薄い本を読んで、更にハマったらしい。
ヘンリー ・ドイル、享年36歳。身長は178cm。細マッチョ。
イギリスのバークシャー州生まれ。先祖は爵位を持ってた? へえ、そう。馬主で牧場を持ってて、人材派遣会社を経営。
男女どちらも試した上で、自分はゲイだと認識してカミングアウトしたそうだ。
何人かと付き合ってみたけど、どれもこれもピンと来なかったので未婚。
自分じゃ言わないけど。イケメンだった気配がするぜ。
その上、社長さんだしな……。
生まれながらの勝ち組じゃん! おいおい、本来なら俺なんて、接点ゼロの超セレブじゃねえか……。
*****
『ふ~ん、』
「……前世では年も年だし、それなりに経験はあったが。この身体は、あんたしか知らないからな?」
妬いたのかと思ったようで、焦った様子で弁明した。
それは、41歳童貞で死んだ前世の俺に対して刺さるんですけど!
妬いてないし。
そんな前世から選ばれし勝ち組であったセレブ様に対して嫉妬を抱くような身の程知らずじゃないですし。
『いや、そんなモテモテだったのに、何で俺なんかに惚れたのかなって思っただけ』
着替えも終わったし、扉に向かって歩こうとしたら。
後ろから、ぐいっと腕を引かれて。
「んんっ、」
仰け反ったような体勢で、キスをされた。
朝にするには濃厚すぎるキスに、腰が抜けそうになったところで唇が離された。
「俺の”最愛の人”を、”なんか”だとか、二度と言うな」
と、怒ったような顔で言って。
ロロは脱力した俺をお姫様抱っこした状態で、食堂まで連れて行ったのだった。
愛が重すぎる……。
*****
国王選考の結果。
大方の予想通りに、俺が次期国王に決定した。
今回、大臣などに大幅な入れ替えはないので、そのまま優秀な臣下たちが国政を支えてくれる。
国としても、大きな混乱は避けられそうで良かった。
でも、黒髪黒目の国王誕生に、国内外は大騒ぎだという。悪い意味じゃなく。
新国王を報せる号外と俺の絵姿が、飛ぶように売れて、巷は大混乱だそうだ。
絵姿って。
そんなの、いつの間に描かれてたんだ? 描かせた覚えはないんだけど。
ロロは「俺のアンリを妄想の対象にされてたまるか! 回収だ!」って怒ってた。揺るぎねえ。
ベリエ領の城に仕えていた使用人は、馴染みがある面々の方がいいので、そのまま王城へ上がることになっている。
当然アンドレも来る。側近として。
ちなみに元国王は、先々代も住んでいた元国王用の別荘地みたいなところで隠居生活を送るそうだ。
他の王子や親族たちは侯爵や公爵としてそれぞれ領地を与えられて王城を出るので、追い払われたように感じる親族もいたようだ。
これまで幽霊扱いだった第七王子が一番出世したな、と陰口を言われていたとか。
それに対し、アンドレは「麗しき新国王の身の回りの世話係を長年していたことを羨ましがってるんでしょう、散々自慢してやりましたよ」とか嬉しそうに言ってた。
こいつも大概だな。
*****
っていうか。本当に俺、国王になっちゃったよ。
前国王オーレリアンから王杓と王冠を譲り受けて。
無事戴冠式も終えて。
今、まさに王座についているわけだが。
未だ信じられないというか。
これ、夢じゃないよね?
目が覚めたら、病院の集中治療室だったとかないよね?
宣言通り王佐の座に収まったロロは、俺が座っている王座の横で、満面の笑みを浮かべている。
これから国民の前で俺たちの結婚を発表をするってのもあるけど。
俺がこの国の王様になったら、この世界にジャパニーズオタクカルチャーを広めるつもりだという野望を聞いて、大喜びしてた。
取材の為にわざわざ日本語を勉強するくらいだし。
元々漫画やアニメに興味あったんだって。
俺の住んでた社員寮から荷物を引き取った時、俺の部屋にあった漫画や薄い本を読んで、更にハマったらしい。
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