底辺オタクがチート性能ガチ盛りなフタナリ美形に転生~魔法王国の王様に俺はなる!

篠崎笙

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ローラン・ロートレック・ド・デュランベルジェの人生

Que la lumière soit.(光あれ)

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完全体だと知られていたら、どんな手を使ってでもアンリに手を出そうとする輩が現れ、穏便にはいかなかっただろう。
皆で秘密を守って来たからこそ、今まで無事だったようなものだ。


城の前に集まっていた国民たちの反応は、驚いていた者もいたが。
概ね好意的なものだった。

完全体の国王は歴史上初めてであるが、その子もまた魔素が強いというのは約束されているからだ。

成人してから何年も経つというのにいつまでも華奢で、男らしくならないアンリに対し、もしかしたら”完全体”なのでは? と、前々から疑問を抱いていた者もいたようだ。


*****


この後、王佐である俺と結婚式を挙げる、との発表をした直後。

周囲から、物凄い嘆きの声が上がった。前の世界の言葉で言えば、ブーイングである。
国民の不満は置いといて。

貴族らの文句の理由はよくわかる。
先日の舞踏会で俺たちの関係に気づき、このことを察していた者もいたが。

アンリが完全体と知り、あわよくば、と思っていたのだろう。
残念だったな。アンリはすでに俺のものだ。


アンリは、国民たちから結婚を祝ってもらえない、と勘違いして落ち込んでいるようなので。
仕方ない。
あまり大勢の人間には見せたくなかったが。大サービスだ。


「なお、結婚式の様子は魔法石で中継する」
と宣言したら。

不満の声が一転して、喜びの声に変わった。
現金な奴らめ。


皆、アンリの美しい結婚衣装姿が見たかったのだ。


*****


後は新国王となったアンリが国民へ”祝福”の魔法をかけて、新国王お披露目の儀式は終わる。


「わが国民に、祝福を」

アンリが大空に向かい、手を広げ。
とんでもない規模の魔法円を描いている。

これも魔素の多い者しか視認できないもので、あまりの大きさに驚いている姿が散見される。
魔素の多い者でも莫大な魔力が必要な神聖魔法だが。生まれながらに神の庇護を受けているアンリには負担は無さそうだ。

こうして見比べると、他の者たちよりオーラの輝きが桁外れに違うのがわかる。
悪い”氣”など近寄れもしない。内なる魂の輝き。


やがて魔法円から、”奇跡”。光の粒が舞い降りてくる。
この粒には神の奇跡が付与されているため、これに触れれば病気や怪我の治癒、幸運などの奇跡が得られる。

”祝福”と呼ばれるこの奇跡魔法を唱える儀式は、この国の王の最も重要な義務である。
こういった慶事や、年の初めにやることが決まっている。


前王は、魔力の衰えた近年は城の前に集まった、ごく一部の者にしか”奇跡”を与えられなかったものの。全盛期は城内の皆に与えることができたという。
それでも、素晴らしいと称賛されていたのだが。

アンリはあっさりと、この国全てを覆うほどの魔法円を描き、その範囲にまんべんなく”奇跡”を振らせたのだ。

前王はどんな気持ちでこれを見ていることか。
少々憐れになる。


*****


アンリは自分の凄さに全く気付かない様子で俺に「この光、自分でやって自分で当たっても効果あるのかな?」などと呑気なことを言っている。
他の者には聞かれていない距離だが。


「ここまで大規模な”祝福”は、歴史上、初めてでしょうね」
アンドレが空を見上げて言った。

「だいたい、いつもは城に一番近い人だけしか掛からないので、早い者勝ちみたいなものだったらしいぞ」
教えてやると、「まずかったか?」と首を傾げた。

アンリは単に、できるだけ多くの人に”祝福”を与えたかったから、大きく展開させた。
ただそれだけだ。

その純粋さ、素朴な優しさを神は好んでいる。


「いいえ。これでアンリ様……いえ、陛下の偉大なる御力を皆に知らしめることができたと思います」
アンドレは誇らしげに言った。

あんたの親父がディスられてもいいのか、と突っ込みたくなったが。
アンドレはあくまでもアンリ派だった。
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