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まるで初めての夜のようです。
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「evviva!」
ヴィットーリオの合図で、祝杯をあげる。
僕は下戸なので、ノンアルコールのソフトドリンクだ。
イタリアの乾杯って、”チンチン”じゃなかったっけ?
あ、でも言ってる人もいた。
色々あるのか。
サルーテとか、アウグーリとも言うようだ。
後はみんな、明け方くらいまでどんちゃん騒ぎをするそうだ。
『では、私達は先に失礼する。皆、めいめいに楽しんでくれたまえ』
ヴィットーリオは、僕をひょいとお姫様抱っこした。
え、また主役が抜けちゃうの?
*****
『ヴィック、ドレス汚すなよ! 後で展示するんだからな! それ、クリーニングは出来ないからな!』
マルチェッロの声に。
ヒュー、とはやし立てるような口笛の音が。
汚すなって。
そういう意味だよな。恥ずかしい……。
宝石が縫いこまれてちゃ、クリーニングも出来ないか。
『念願の初夜おめでとう!』
『やりすぎて腰抜かすなよ!』
おっさん連中から声を掛けられる。
っていうか、みんなお酒飲みすぎじゃないの!?
ジュリアーノはワイン飲んで真っ赤になってるし。
おいおい未成年……。
こっちではアルコール、禁止されてたっけ?
お幸せに、との声に見送られて。
ヴィットーリオはすたすたと足早に会場を後にした。
ドレスだけでも、かなり重いのに。
軽々と持ち上げたまま平然と歩いてる。すごい……。
胸板も厚いし、立派な筋肉してるもんな。
*****
建物内に入ると。
城勤めの人たちからもお祝いの言葉を掛けられた。
ヴィットーリオは両手が塞がっているので。
僕が二人分、手を振った。
リッカルドと南郷さんが、地下室のドアの前まで護衛して。
『二人とも、ご苦労だった。今日はもう、休んで構わん』
ヴィットーリオが二人に声を掛ける。
『それでは、』
『お疲れ様です』
僕も二人にありがとう、と言って。
扉が閉まった。
「えっと、……まず、この化粧を落としたいんだけど」
「食事はいいのか?」
軽食を運ばせてあるらしい。
サンドイッチなら、後でも大丈夫だろう。
「口紅とか気になるし、早く化粧落としたい」
「わかった」
洗面台の椅子に降ろされて。
ヴィットーリオはコットンとメイク落としを手にした。
手早く、メイクを落とされる。
怪我人だから、自分がしてやるとか言って。
いや、ヴィットーリオも同じ場所切ってるんだよね?
え、もう塞がってるの? はやっ。
ナイフ捌きの技量の差だろうか……。
達人に斬られたら切断面が綺麗、みたいな感じで?
*****
「ふふ、私だけの宗司が戻ってきたな?」
メイクを落として素顔になったら、嬉しそうに微笑んだ。
「おかえり、可愛い人」
と言われて。
ちゅっ、と軽くキスをされた。
ちょっと浮かれすぎじゃない?
もう、照れるだろ!
「ご覧、メイクをしなくても、とても似合っているだろう?」
ウイッグも外して。鏡を示して言う。
そ、そうかな……? フィルターかかり過ぎじゃない?
このドレスは普段の僕を見て。
そのイメージでデザインしたそうだ。なら、ちゃんと似合ってるのかな?
自分じゃわかんないけど。
「ん、」
額に、頬にキスをされて。
また、抱き上げられてベッドまで運ばれる。
キスも、それ以上のことも。もう何度もしたはずなのに。
まるで初めてみたいにドキドキしてしまう。
外国で。
それも大聖堂で盛大な結婚式っていう、特別なイベントの後だからかな?
ヴィットーリオも正装で。すごく格好良いし。
だから。
*****
「私は毎日君を見るたびに、恋をしてしまうようだ。昨日より今日の君が愛おしくてしかたがないのだが。この責任は、一生を共にすることでとってもらおうか」
砂を吐きそうに甘いんだけど!!
女の子じゃなくても、甘い口説き文句にはときめいてしまうものなんだと知った。
まだ、服装だけは女の子みたいだけど。
さすが自分でデザインしただけあってか、やたら器用にドレスを脱がされていく。
「はあ、」
ブラジャーとコルセットを外されて。
やっと解放された気分だ。
ドレスを部屋に用意してあったトルソーに着せ掛けて、こちらに戻ってくる。
さすがに放り投げるわけにはいかないからね、と苦笑してる。
そうだね。
金額がとんでもないしね。
ガーターストッキングと下着だけって格好も、かなり恥ずかしい。
ストッキングを脱ごうとした手を止められて。
「全部、私がしたい」
ベッドに乗り上げてきて。
そのまま押し倒された。
「心臓の鼓動が、早鐘のようだ。緊張してるのかな? どうして?」
花婿のままのヴィットーリオは、僕の胸に手を当てて。
やたら色っぽく笑った。
そりゃ、ドキドキしちゃうよ。
だって、結婚式の夜だし。
ヴィットーリオはいつもよりなんか、イケメンだし。
そのタキシード姿、格好良すぎて卑怯だと思う!
*****
「ん、」
親指の腹で、乳首をぐにぐにと弄られて。
そっちの指、誓いで切ったほうじゃないの!? 傷開かない!? と気を取られていたら、後ろに指が潜り込んできた。
怪我したほうの指で慣らされるよりはいいか、と思いなおす。
いつの間に、ジェルを塗ったんだろう。
指、ぬるぬるしてる。
ガチガチに勃ったのをゴリゴリ押し付けられて。
相当興奮しているのがわかる。
もう、すぐにでも入れたいんだろう。中の指は性急に、拡げるように動いてる。
前を愛撫する余裕もないみたい。
ぐちゅぐちゅと、中を掻き回すいやらしい水音と。
ジッパーを下ろす音。
足を抱え上げられて。
「丁寧にしたかったが……挿れたい。いい?」
耳元に、甘い声で囁かれる。
吐息は熱くて。
耳が融けてしまいそうだ。
頷く間もなく。
ぐっ、と頭の部分が入ってくる。
「は、……あっ、待っ、……何で、」
ヴィットーリオは、何で頑なにストッキングを脱がさないんだろうか。
邪魔なんだけど!
ヴィットーリオの合図で、祝杯をあげる。
僕は下戸なので、ノンアルコールのソフトドリンクだ。
イタリアの乾杯って、”チンチン”じゃなかったっけ?
あ、でも言ってる人もいた。
色々あるのか。
サルーテとか、アウグーリとも言うようだ。
後はみんな、明け方くらいまでどんちゃん騒ぎをするそうだ。
『では、私達は先に失礼する。皆、めいめいに楽しんでくれたまえ』
ヴィットーリオは、僕をひょいとお姫様抱っこした。
え、また主役が抜けちゃうの?
*****
『ヴィック、ドレス汚すなよ! 後で展示するんだからな! それ、クリーニングは出来ないからな!』
マルチェッロの声に。
ヒュー、とはやし立てるような口笛の音が。
汚すなって。
そういう意味だよな。恥ずかしい……。
宝石が縫いこまれてちゃ、クリーニングも出来ないか。
『念願の初夜おめでとう!』
『やりすぎて腰抜かすなよ!』
おっさん連中から声を掛けられる。
っていうか、みんなお酒飲みすぎじゃないの!?
ジュリアーノはワイン飲んで真っ赤になってるし。
おいおい未成年……。
こっちではアルコール、禁止されてたっけ?
お幸せに、との声に見送られて。
ヴィットーリオはすたすたと足早に会場を後にした。
ドレスだけでも、かなり重いのに。
軽々と持ち上げたまま平然と歩いてる。すごい……。
胸板も厚いし、立派な筋肉してるもんな。
*****
建物内に入ると。
城勤めの人たちからもお祝いの言葉を掛けられた。
ヴィットーリオは両手が塞がっているので。
僕が二人分、手を振った。
リッカルドと南郷さんが、地下室のドアの前まで護衛して。
『二人とも、ご苦労だった。今日はもう、休んで構わん』
ヴィットーリオが二人に声を掛ける。
『それでは、』
『お疲れ様です』
僕も二人にありがとう、と言って。
扉が閉まった。
「えっと、……まず、この化粧を落としたいんだけど」
「食事はいいのか?」
軽食を運ばせてあるらしい。
サンドイッチなら、後でも大丈夫だろう。
「口紅とか気になるし、早く化粧落としたい」
「わかった」
洗面台の椅子に降ろされて。
ヴィットーリオはコットンとメイク落としを手にした。
手早く、メイクを落とされる。
怪我人だから、自分がしてやるとか言って。
いや、ヴィットーリオも同じ場所切ってるんだよね?
え、もう塞がってるの? はやっ。
ナイフ捌きの技量の差だろうか……。
達人に斬られたら切断面が綺麗、みたいな感じで?
*****
「ふふ、私だけの宗司が戻ってきたな?」
メイクを落として素顔になったら、嬉しそうに微笑んだ。
「おかえり、可愛い人」
と言われて。
ちゅっ、と軽くキスをされた。
ちょっと浮かれすぎじゃない?
もう、照れるだろ!
「ご覧、メイクをしなくても、とても似合っているだろう?」
ウイッグも外して。鏡を示して言う。
そ、そうかな……? フィルターかかり過ぎじゃない?
このドレスは普段の僕を見て。
そのイメージでデザインしたそうだ。なら、ちゃんと似合ってるのかな?
自分じゃわかんないけど。
「ん、」
額に、頬にキスをされて。
また、抱き上げられてベッドまで運ばれる。
キスも、それ以上のことも。もう何度もしたはずなのに。
まるで初めてみたいにドキドキしてしまう。
外国で。
それも大聖堂で盛大な結婚式っていう、特別なイベントの後だからかな?
ヴィットーリオも正装で。すごく格好良いし。
だから。
*****
「私は毎日君を見るたびに、恋をしてしまうようだ。昨日より今日の君が愛おしくてしかたがないのだが。この責任は、一生を共にすることでとってもらおうか」
砂を吐きそうに甘いんだけど!!
女の子じゃなくても、甘い口説き文句にはときめいてしまうものなんだと知った。
まだ、服装だけは女の子みたいだけど。
さすが自分でデザインしただけあってか、やたら器用にドレスを脱がされていく。
「はあ、」
ブラジャーとコルセットを外されて。
やっと解放された気分だ。
ドレスを部屋に用意してあったトルソーに着せ掛けて、こちらに戻ってくる。
さすがに放り投げるわけにはいかないからね、と苦笑してる。
そうだね。
金額がとんでもないしね。
ガーターストッキングと下着だけって格好も、かなり恥ずかしい。
ストッキングを脱ごうとした手を止められて。
「全部、私がしたい」
ベッドに乗り上げてきて。
そのまま押し倒された。
「心臓の鼓動が、早鐘のようだ。緊張してるのかな? どうして?」
花婿のままのヴィットーリオは、僕の胸に手を当てて。
やたら色っぽく笑った。
そりゃ、ドキドキしちゃうよ。
だって、結婚式の夜だし。
ヴィットーリオはいつもよりなんか、イケメンだし。
そのタキシード姿、格好良すぎて卑怯だと思う!
*****
「ん、」
親指の腹で、乳首をぐにぐにと弄られて。
そっちの指、誓いで切ったほうじゃないの!? 傷開かない!? と気を取られていたら、後ろに指が潜り込んできた。
怪我したほうの指で慣らされるよりはいいか、と思いなおす。
いつの間に、ジェルを塗ったんだろう。
指、ぬるぬるしてる。
ガチガチに勃ったのをゴリゴリ押し付けられて。
相当興奮しているのがわかる。
もう、すぐにでも入れたいんだろう。中の指は性急に、拡げるように動いてる。
前を愛撫する余裕もないみたい。
ぐちゅぐちゅと、中を掻き回すいやらしい水音と。
ジッパーを下ろす音。
足を抱え上げられて。
「丁寧にしたかったが……挿れたい。いい?」
耳元に、甘い声で囁かれる。
吐息は熱くて。
耳が融けてしまいそうだ。
頷く間もなく。
ぐっ、と頭の部分が入ってくる。
「は、……あっ、待っ、……何で、」
ヴィットーリオは、何で頑なにストッキングを脱がさないんだろうか。
邪魔なんだけど!
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