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Ⅰ
異世界で、商店街に行く
「夕食まで少々時間があるので、ここ、ロチェスターの街を案内しよう」
ウィリアムが申し出て。
ありがたく、城下町を案内してもらうことにした。
ついでに、取引先候補の商店も紹介してくれるという。
まだ何も作っていないし、狩りもしてないのに。気が早くないか?
移動はなんと、馬車である。至れり尽くせりだ。
オズワルドとオーソンも合流して、一緒に馬車に乗るそうだ。
シルクハットを被り黒いフロックコート姿の御者が、俺が馬車に乗るために階段を恭しく出してくれた。笑い皺の似合うナイスミドルだ。俺もこうなりたい。
「大丈夫? 手を貸そうか?」
ウィリアムが心配そうに、両手をわきわきと持て余している。
俺も、保育園に勤めていた身だ。危なっかしく見える子の手助けをしてやりたくなる気持ちはよくわかるが。
中身はオッサンなので、遠慮したい。
「だいじょうぶ」
御者が気を利かせてくれて、子供でも楽に登れる階段を出してくれたし。……折り畳み式か。便利だな。
今更だが。この世界の人、やたら背が高いようだ。平均身長は180㎝を軽く超えるだろうと思われる。馬のサイズも、恐らく前の世界基準よりもかなり大きい。
そう思うのは、自分が子供になってしまったからだけではないだろう。
年齢よりも若く見えるアジア人の容貌のせいもあって、よけいに世話を焼きたくなってしまうのかもしれない。
この姿は若返っただけで、実年齢は君たちよりも上だ、と言うべきだろうか?
「この世界には、長命種はいますか?」
ファンタジーにありがちなエルフのようなご長寿種族が存在するなら、この見た目で35歳でも納得してくれそうだと思ってウィリアムに訊いてみた。
魔法使いが不老不死の魔法を使う事ならあるが。百年以上生きているのは、神か精霊、魔神や魔物くらいだという。
そして、神や精霊は滅多に人前に姿を現さないそうだ。
じゃあ、本来の年齢は黙っておいたほうがいいか……。
ステータスには10歳、と書いてあるし。
*****
「商店街に着きました」
オーソンの声で、馬車の外を見ると。
商店街、と聞いて想像したのとは全然違う光景が広がっていた。
石造りの、立派な門構えの店がずらりと並び建っていて。
デパートみたいに色々な商品を取り扱う大商店、高級そうな服や家具、武器などを扱う専門店など。どれもお貴族様専門店のようだ。
自分ひとりだったら、絶対に入れない。近寄りもしないだろう。
屋台とか、露店みたいなものは無いのか訊いてみたら、庶民が暮らす下町にはあるという。下町もあるのか。そっちを紹介して欲しかったな。
俺も生まれながらの庶民なので、高級店にはとんと馴染みがない……。
スキート商会、という店を紹介されて。
ヴァンス・スキートという名前の、つぶらな緑の目、くるんとした赤い髪に口髭の、恰幅のいいおっさんが出てきた。名字があるということは、かなり身分の高い商人なんだろう。
白いシャツの上に金モールで刺繍されたダークグリーンのベストを着て。えんじ色のループタイ、チョコレート色のスラックスに革靴はアンバーとベージュのウイングチップ。この服はあんまり中世っぽくないな。
それと、肩まで伸ばした赤い髪にきらきらした緑の目、そばかすが可愛らしい、ピンクのドレスを着た女の子が店主の横に出て来て。ドレスの両裾を持ち上げて、腰を落として挨拶した。何だったか。カーテン……じゃないカーテシー?
「我が商会自慢の看板娘、エッダです」
と店主が笑顔で紹介した。確かに可愛らしい。小学生高学年くらいかな?
ウィリアムは、書類を持ったオーソンと一緒に、店主とこそこそと何やら話をしている。
俺が”神の使い”だという話は、大きな声じゃできないからだろう。
オズワルドはこっちで俺のお守りだ。
ご苦労様です!
*****
「あなたはウィリアム様のお知り合いなの? お名前は?」
好奇心旺盛そうなエッダに訊かれて。
「…………知り合い……?」
つい、首を大きく傾げてしまった。
知り合いも何も。今日、つい数時間前に会ったばかりだ。
俺が神の使いの証である名字を名乗ったので、半ば強引にここまで連れて来られただけで。どんな関係か訊かれても困る。
「名前はリン。この国には今日一人で来たばかりで、偶然出会ったウィリアムさんたちのお世話になってるんだ」
この返答が一番無難だと思う。
名字も、名乗らない方がいいだろう。
ちらりとオズワルドのほうを伺うと、頷いている。
やはりこの返答で正解だったようだ。
こんな子供が、一人でこの国に来たの? と思ったようで、エッダには不思議そうな顔をされたが。身の上に何か不幸があったのだろう、と事情があることを察したのか。それについて質問をされることはなかった。
なかなか賢い子なようだ。
外国の子はちょっと年齢がわかりにくいが、エッダは小学生高学年から中学生くらいの年齢かな? 話し方がまだ子供っぽい。
ウィリアムは、名前を聞いて俺が”神の使い”だとわかったから、子供が荒野に一人でいても疑問に思わなかったのだろうか?
危うく城で手厚く保護されそうにはなったが。
「わたしはエッダ。12歳よ。あそこにいるお兄ちゃんは、ラドクリフよ。13歳なの」
向こうで仕事を手伝っている少年を指差した。
ひと目で店主の身内だとわかる、くるっと巻いた赤い短髪に、緑色の目。少しそばかすの散った整った顔。服装は店主とお揃いで、こっちはシャツの袖をまくっているので腕の筋肉が見えている。
もう高校生くらいに見える容姿のお兄ちゃんは、ラドクリフという名前だそうだ。
あれで13歳? やはり外国人の子供は年齢がわかりにくいな……。言われてみれば、まだ幼さが残る顔だとわかるが。
12歳と13歳の子供が、もう家業を手伝っているのか。偉いなぁ。
ほっこりする。
ウィリアムが申し出て。
ありがたく、城下町を案内してもらうことにした。
ついでに、取引先候補の商店も紹介してくれるという。
まだ何も作っていないし、狩りもしてないのに。気が早くないか?
移動はなんと、馬車である。至れり尽くせりだ。
オズワルドとオーソンも合流して、一緒に馬車に乗るそうだ。
シルクハットを被り黒いフロックコート姿の御者が、俺が馬車に乗るために階段を恭しく出してくれた。笑い皺の似合うナイスミドルだ。俺もこうなりたい。
「大丈夫? 手を貸そうか?」
ウィリアムが心配そうに、両手をわきわきと持て余している。
俺も、保育園に勤めていた身だ。危なっかしく見える子の手助けをしてやりたくなる気持ちはよくわかるが。
中身はオッサンなので、遠慮したい。
「だいじょうぶ」
御者が気を利かせてくれて、子供でも楽に登れる階段を出してくれたし。……折り畳み式か。便利だな。
今更だが。この世界の人、やたら背が高いようだ。平均身長は180㎝を軽く超えるだろうと思われる。馬のサイズも、恐らく前の世界基準よりもかなり大きい。
そう思うのは、自分が子供になってしまったからだけではないだろう。
年齢よりも若く見えるアジア人の容貌のせいもあって、よけいに世話を焼きたくなってしまうのかもしれない。
この姿は若返っただけで、実年齢は君たちよりも上だ、と言うべきだろうか?
「この世界には、長命種はいますか?」
ファンタジーにありがちなエルフのようなご長寿種族が存在するなら、この見た目で35歳でも納得してくれそうだと思ってウィリアムに訊いてみた。
魔法使いが不老不死の魔法を使う事ならあるが。百年以上生きているのは、神か精霊、魔神や魔物くらいだという。
そして、神や精霊は滅多に人前に姿を現さないそうだ。
じゃあ、本来の年齢は黙っておいたほうがいいか……。
ステータスには10歳、と書いてあるし。
*****
「商店街に着きました」
オーソンの声で、馬車の外を見ると。
商店街、と聞いて想像したのとは全然違う光景が広がっていた。
石造りの、立派な門構えの店がずらりと並び建っていて。
デパートみたいに色々な商品を取り扱う大商店、高級そうな服や家具、武器などを扱う専門店など。どれもお貴族様専門店のようだ。
自分ひとりだったら、絶対に入れない。近寄りもしないだろう。
屋台とか、露店みたいなものは無いのか訊いてみたら、庶民が暮らす下町にはあるという。下町もあるのか。そっちを紹介して欲しかったな。
俺も生まれながらの庶民なので、高級店にはとんと馴染みがない……。
スキート商会、という店を紹介されて。
ヴァンス・スキートという名前の、つぶらな緑の目、くるんとした赤い髪に口髭の、恰幅のいいおっさんが出てきた。名字があるということは、かなり身分の高い商人なんだろう。
白いシャツの上に金モールで刺繍されたダークグリーンのベストを着て。えんじ色のループタイ、チョコレート色のスラックスに革靴はアンバーとベージュのウイングチップ。この服はあんまり中世っぽくないな。
それと、肩まで伸ばした赤い髪にきらきらした緑の目、そばかすが可愛らしい、ピンクのドレスを着た女の子が店主の横に出て来て。ドレスの両裾を持ち上げて、腰を落として挨拶した。何だったか。カーテン……じゃないカーテシー?
「我が商会自慢の看板娘、エッダです」
と店主が笑顔で紹介した。確かに可愛らしい。小学生高学年くらいかな?
ウィリアムは、書類を持ったオーソンと一緒に、店主とこそこそと何やら話をしている。
俺が”神の使い”だという話は、大きな声じゃできないからだろう。
オズワルドはこっちで俺のお守りだ。
ご苦労様です!
*****
「あなたはウィリアム様のお知り合いなの? お名前は?」
好奇心旺盛そうなエッダに訊かれて。
「…………知り合い……?」
つい、首を大きく傾げてしまった。
知り合いも何も。今日、つい数時間前に会ったばかりだ。
俺が神の使いの証である名字を名乗ったので、半ば強引にここまで連れて来られただけで。どんな関係か訊かれても困る。
「名前はリン。この国には今日一人で来たばかりで、偶然出会ったウィリアムさんたちのお世話になってるんだ」
この返答が一番無難だと思う。
名字も、名乗らない方がいいだろう。
ちらりとオズワルドのほうを伺うと、頷いている。
やはりこの返答で正解だったようだ。
こんな子供が、一人でこの国に来たの? と思ったようで、エッダには不思議そうな顔をされたが。身の上に何か不幸があったのだろう、と事情があることを察したのか。それについて質問をされることはなかった。
なかなか賢い子なようだ。
外国の子はちょっと年齢がわかりにくいが、エッダは小学生高学年から中学生くらいの年齢かな? 話し方がまだ子供っぽい。
ウィリアムは、名前を聞いて俺が”神の使い”だとわかったから、子供が荒野に一人でいても疑問に思わなかったのだろうか?
危うく城で手厚く保護されそうにはなったが。
「わたしはエッダ。12歳よ。あそこにいるお兄ちゃんは、ラドクリフよ。13歳なの」
向こうで仕事を手伝っている少年を指差した。
ひと目で店主の身内だとわかる、くるっと巻いた赤い短髪に、緑色の目。少しそばかすの散った整った顔。服装は店主とお揃いで、こっちはシャツの袖をまくっているので腕の筋肉が見えている。
もう高校生くらいに見える容姿のお兄ちゃんは、ラドクリフという名前だそうだ。
あれで13歳? やはり外国人の子供は年齢がわかりにくいな……。言われてみれば、まだ幼さが残る顔だとわかるが。
12歳と13歳の子供が、もう家業を手伝っているのか。偉いなぁ。
ほっこりする。
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