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転生国王は神の使いを寵愛する
信じられない結果
まさかリンを教会に奪われるのでは、と危惧したが。
幸い、メイヤー師は神託により、神の使いがこの世界に召喚され、今現在近くまで来ている、という情報を知ったので、急いで教会を飛び出しただけだという。
”神託”スキルが高いと、日常会話レベルで神の声が聞こえるのだろうか。
それはそれで大変そうだ。
メイヤー師は、新しい教会建設地をリズリーに決定したと言い、その許可を得るため、別れの挨拶もそこそこに慌てて走り去った。
……儀式の時、初めて会ってから、神職らしくストイックで理知的な男だと思っていたのだが。
人の心はわからないものだ。
*****
リンに氷水入りコップの説明を求めると。
何と、リンが授かったのは”創造”の能力だという。自分の知っているものであれば、おそらく何でも作れるだろうと。
では。
リンが望めば、世界をも創れるというのか。ありとあらゆるものを。
それは、神に 比肩するほどの力だ。
「ああ、なるほど。それで、図鑑を買ったのだね?」
この世界と、彼がいた世界にいた生物が、全く違っていた場合。新しい種を作ってしまうと、こちらの生態系が狂う可能性が高い。……そこまで考えて、図鑑を求めたのか。
子供だから、絵の入った図鑑を求めたのではなく。
リンはこくりと頷いた。
「そう。適当な植物や動物を作って、ここの生態系とかめちゃくちゃにしたら駄目だから。調べて、ウィリアムさんに相談してから作ってみようと思った」
はたして10歳の子が、これほど先々のことを慮った考えをするだろうか?
もしかしたら、この子は見た目通りの年齢ではないのでは?
何よりも、私という例もあるのだから。可能性はゼロではない。
「ウィルでいいよ? ……君が、聡明で善なる魂を持った人で本当に良かった。それゆえに、神は君にその能力を授けてくれたのだろうね」
そっと、リンの小さな手を握ると、リンは真っ赤になってしまった。
前世から、ファンサービスをした相手にこういう反応をされることは珍しくはなかったが。精神が青年以上にしては、反応が可愛らしい。
それほど、年齢は高くないのかもしれない。
*****
再び馬車を走らせ、大通りの反対側にあるサハゴーン……冒険者協同組合へ向かう。つい冒険者ギルド、と言いそうになるが。ここは異世界なので、無論通じない。
それに、ここはゲームや物語に出て来る冒険者ギルドとも少々イメージが違う。
「とりあえず、登録だけ先にしておこうか。魔物などを討伐した場合、そのまま丸ごとスキート商会に売ってもいいが。毛皮や肉などの素材が欲しい場合は、組合で解体してもらったほうが楽かな」
冒険者として登録しておけば、この世界全域で通用する身分証明書にもなる。他国へ行った時にも入国税を支払わずに済むのである。
会費は15トーンと庶民には少々高めの設定だが。何かあった時の保証金でもある。
行く場所を報告しておけば、予定より帰還が遅れた場合に増援隊、または遺品、遺体を回収してもらう費用にあてるのだ。
私も冒険者として稼いだり国外へ行くときには”騎士”の身分で登録した身分証を使っている。今はまだ保留しているが、国王になった身では、なかなか気軽に外貨を稼ぎに行けなくなるのが面倒だ。
「こちらにご記入をお願いします」
申込用紙を出されたが。
リンはこちらへ来たばかりだ。字は読めても書けないかもしれない。
恥をかかせてはかわいそうなので、とりあえず代筆しておいて、後で書けるかどうか聞いてみよう。
「……何か、一番得意な魔法などはあるのかい?」
訊くと、首を傾げている。
まだ自分の能力を確かめていなかったようだ。
「じゃあ、ちょっと失礼するよ」
リンのステータス画面を”鑑定”で見せてもらった。
*****
นาม:リン・クレーバーン ขวบ:10歳 เพศ :男 ระดับ:10
พละ:1000 ฤทธ์ :∞
ศักยภาพ 創造 ระดับ:∞
สภาพ 全世界言語理解/魔法攻撃無効/物理攻撃無効/精神攻撃無効/動植物親愛/神の加護/キングスレイ国王の寵愛
……なんだこれは?
思わず二度見したが。見間違いではなかった。
体力は少し高いが、10歳なら四桁台も居ないこともない。魔力は……無限大?
スキルが”創造”しかないのは、火、水、風、土、雷、闇、光のどの魔法も、これがあれば全て賄えるからだろう。むしろ、不可能はない。
最後は、パッシブスキルだ。
言語理解は、私も持っている。……魔法、物理、精神、どのような攻撃も無効? 動物や植物から愛される。確かにナムグンも初見で懐いていた。
神の加護。私にもついているが、レベルが違う気がする。
……しかし。最後のこれは何だ? 寵愛? 人をショタコンみたいに言うんじゃない。それにまだ国王じゃない。身分は第二王子のままである。
さすがにこの結果は、このような場所で口するわけにはいかない。
誤魔化しておこう。
「神の加護により、詳しい情報は秘匿されているようだね」
リンに笑顔を向ける。
見えなかったことにしよう。
……よし、私は何も見なかった。
幸い、メイヤー師は神託により、神の使いがこの世界に召喚され、今現在近くまで来ている、という情報を知ったので、急いで教会を飛び出しただけだという。
”神託”スキルが高いと、日常会話レベルで神の声が聞こえるのだろうか。
それはそれで大変そうだ。
メイヤー師は、新しい教会建設地をリズリーに決定したと言い、その許可を得るため、別れの挨拶もそこそこに慌てて走り去った。
……儀式の時、初めて会ってから、神職らしくストイックで理知的な男だと思っていたのだが。
人の心はわからないものだ。
*****
リンに氷水入りコップの説明を求めると。
何と、リンが授かったのは”創造”の能力だという。自分の知っているものであれば、おそらく何でも作れるだろうと。
では。
リンが望めば、世界をも創れるというのか。ありとあらゆるものを。
それは、神に 比肩するほどの力だ。
「ああ、なるほど。それで、図鑑を買ったのだね?」
この世界と、彼がいた世界にいた生物が、全く違っていた場合。新しい種を作ってしまうと、こちらの生態系が狂う可能性が高い。……そこまで考えて、図鑑を求めたのか。
子供だから、絵の入った図鑑を求めたのではなく。
リンはこくりと頷いた。
「そう。適当な植物や動物を作って、ここの生態系とかめちゃくちゃにしたら駄目だから。調べて、ウィリアムさんに相談してから作ってみようと思った」
はたして10歳の子が、これほど先々のことを慮った考えをするだろうか?
もしかしたら、この子は見た目通りの年齢ではないのでは?
何よりも、私という例もあるのだから。可能性はゼロではない。
「ウィルでいいよ? ……君が、聡明で善なる魂を持った人で本当に良かった。それゆえに、神は君にその能力を授けてくれたのだろうね」
そっと、リンの小さな手を握ると、リンは真っ赤になってしまった。
前世から、ファンサービスをした相手にこういう反応をされることは珍しくはなかったが。精神が青年以上にしては、反応が可愛らしい。
それほど、年齢は高くないのかもしれない。
*****
再び馬車を走らせ、大通りの反対側にあるサハゴーン……冒険者協同組合へ向かう。つい冒険者ギルド、と言いそうになるが。ここは異世界なので、無論通じない。
それに、ここはゲームや物語に出て来る冒険者ギルドとも少々イメージが違う。
「とりあえず、登録だけ先にしておこうか。魔物などを討伐した場合、そのまま丸ごとスキート商会に売ってもいいが。毛皮や肉などの素材が欲しい場合は、組合で解体してもらったほうが楽かな」
冒険者として登録しておけば、この世界全域で通用する身分証明書にもなる。他国へ行った時にも入国税を支払わずに済むのである。
会費は15トーンと庶民には少々高めの設定だが。何かあった時の保証金でもある。
行く場所を報告しておけば、予定より帰還が遅れた場合に増援隊、または遺品、遺体を回収してもらう費用にあてるのだ。
私も冒険者として稼いだり国外へ行くときには”騎士”の身分で登録した身分証を使っている。今はまだ保留しているが、国王になった身では、なかなか気軽に外貨を稼ぎに行けなくなるのが面倒だ。
「こちらにご記入をお願いします」
申込用紙を出されたが。
リンはこちらへ来たばかりだ。字は読めても書けないかもしれない。
恥をかかせてはかわいそうなので、とりあえず代筆しておいて、後で書けるかどうか聞いてみよう。
「……何か、一番得意な魔法などはあるのかい?」
訊くと、首を傾げている。
まだ自分の能力を確かめていなかったようだ。
「じゃあ、ちょっと失礼するよ」
リンのステータス画面を”鑑定”で見せてもらった。
*****
นาม:リン・クレーバーン ขวบ:10歳 เพศ :男 ระดับ:10
พละ:1000 ฤทธ์ :∞
ศักยภาพ 創造 ระดับ:∞
สภาพ 全世界言語理解/魔法攻撃無効/物理攻撃無効/精神攻撃無効/動植物親愛/神の加護/キングスレイ国王の寵愛
……なんだこれは?
思わず二度見したが。見間違いではなかった。
体力は少し高いが、10歳なら四桁台も居ないこともない。魔力は……無限大?
スキルが”創造”しかないのは、火、水、風、土、雷、闇、光のどの魔法も、これがあれば全て賄えるからだろう。むしろ、不可能はない。
最後は、パッシブスキルだ。
言語理解は、私も持っている。……魔法、物理、精神、どのような攻撃も無効? 動物や植物から愛される。確かにナムグンも初見で懐いていた。
神の加護。私にもついているが、レベルが違う気がする。
……しかし。最後のこれは何だ? 寵愛? 人をショタコンみたいに言うんじゃない。それにまだ国王じゃない。身分は第二王子のままである。
さすがにこの結果は、このような場所で口するわけにはいかない。
誤魔化しておこう。
「神の加護により、詳しい情報は秘匿されているようだね」
リンに笑顔を向ける。
見えなかったことにしよう。
……よし、私は何も見なかった。
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