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転生国王は神の使いを寵愛する
興味津々
隣国との国境には、目印があるのでそこまでは森を拡げないそうだ。
「それじゃ、作るね」
リンは目を閉じて、手の平をリズリーの荒野に向けた。
瞬きをすれば見逃してしまうほどの速度で、左手には森林が現れ。正面は、土でできた広場……おそらく住宅や農地を作る予定地だろう。
そして右手には湖を囲う森と、巨大な湖が発生した。
道路を隔てた背後にも、家を建てられるような広場と、森が出来ていた。
地図を見て、リズリーの領地ギリギリまで、土地を蘇らせたのだ。
森は、隣国の間際まで広がっている。
森の中には、すでに動物の気配も感じられた。
まさか、生命までも”創造”出来るとは。想定以上の能力に、驚愕した。
全知全能。
神に近い能力を与えられたのだろう。
本人は、その力のおそろしさにはまだ気づいていないようだが。
*****
リズリーの森は、完全に復活した。
そして、新たに水源である湖も得た。
これからは、このリズリーにも人が多く集まり、発展していくだろう。
リンは森の再生を終え、次はリンの住む家を作るらしい。
どのような家だろう。城のような、巨大な建築物だろうか?
皆も、期待を込めて見ているのがわかる。
見守っていると、道路よりも少し奥まった場所。そこに、突然一軒家が発生した。
一見、木造住宅のように見えた。そして一瞬、庭が出来たと思ったが。それはすぐに鉄製の楔のついた、仰々しい塀や門で隠されて見えなくなってしまった。
門には侵入禁止の魔法が付与されている。塀の楔にも。
これだけの建築物を創造するのには、相当な専門知識が要るだろう。
やはり、ただの子供ではない。
「神の家は、みなこのような建物なのですか?」
メイヤー師は不思議そうに、壁の向こうに見える建物を見て言った。
先程、教会建設の作業員を引き連れて到着したのだ。
「是非とも、この未知の建物を見学したいのですが。お邪魔しても?」
その場にいた全員が思っていたが遠慮していたことを、真っ先に言ってくれた。
メイヤー師は意外とぐいぐい行くタイプだったのか。ある意味、勇者である。
*****
「ああ。私も見てみたい。いいかね?」
「うん、いいよ。どうぞ」
リンが案内するように手を広げると。
大きな門は、自動扉のように左右に開いた。
馬車のままでも入れるほどの幅がある。かなり計算されて作られているとわかった。
門から家の玄関までは、高低差があり。石でできたなだらかな坂と、白い石が敷き詰められた庭。
庭に砂利が敷かれていると、誰か通った時に音がするので防犯対策になる、というが。この防御魔法を越えて侵入できる賊が、果たして存在するのだろうか……。
「何故、敷地内に坂があるのですか?」
「よく雨が降る土地だって言うから、湿気対策」
家の基礎を上げ、家の中に湿気が入らないように床を高くしたのか。
階段でなく、玄関までなだらかな坂にしたのは、年を取ったら階段の昇り降りがきつくなるからだと言う。
バリアフリーか。まだ10歳だというのに。随分先々のことを考えているものだ。
いや、老人の客が来た時は喜ぶか。
……赤松に、石灯籠? 小さな池もある。
白い石は熊手で掃いたように、波型に整えられている。
どう見ても、これは”日本庭園”だ。
まさか。
リンは、日本人なのか? 私と同じ。
……いや、まだわからない。期待して、違った時の落胆を考えれば、まだ疑いがある、程度で良いだろう。外国には、忍者に憧れる子供もいるだろうし。
外国の忍者映画には、日本を勘違いしたような表現が多いが。それに憧れて自分の家に日本庭園風の庭に作った者もいたらしい。
もし、インドかパキスタン系なら、カレーを作ってもらえるだろうか……。だとしたら非常に有難いのだが。その望みは薄そうだ。
*****
家は、新築の木造住宅のように見えたが。
”鑑定”で見たら、木ではなかった。木のように見える樹脂製か。外観は、日本でよく見かけるような建物に見える。
だが、生前の私……流星は、それほど建築に詳しいわけでもなかったからな。
売れだしてからはずっと、セキュリティ完備のタワーマンション住まいだった。ほぼ寝るだけの部屋に、月百万近くも払っていたのだ。今考えればバカバカしい。厄介なファンが忍び込んだり、マスコミが侵入することがないのだけは良かった。
この家は、窓の数など、外観からして、5LDKくらいはありそうだ。
大きめのウッドデッキもあり、そこにはテーブルや椅子。そこで食事するのだろうか?
ウッドデッキも、木製ではなかった。これも樹脂製だ。
これは、降雨量の多い土地ではウッドデッキの手入れが大変なことを知っていたに違いない。
流星の知り合いにも、別荘地に立派なウッドデッキのあるコテージを建てたのは良いが、雨で腐って台無しになった芸能人がいたのだ。
少なくとも、別荘には向かない。人の住まない家は痛みが早いものだ。
建物の向こうには別棟があった。
馬小屋など、家畜を飼うためのスペースだろうか?
酪農がしたい、とも言っていたな。
牛乳やバター、チーズが安定供給されれば有難い。
……さて。
この家の中を拝見すれば、リンがどこの国の生まれなのか、判明するだろうか?
「それじゃ、作るね」
リンは目を閉じて、手の平をリズリーの荒野に向けた。
瞬きをすれば見逃してしまうほどの速度で、左手には森林が現れ。正面は、土でできた広場……おそらく住宅や農地を作る予定地だろう。
そして右手には湖を囲う森と、巨大な湖が発生した。
道路を隔てた背後にも、家を建てられるような広場と、森が出来ていた。
地図を見て、リズリーの領地ギリギリまで、土地を蘇らせたのだ。
森は、隣国の間際まで広がっている。
森の中には、すでに動物の気配も感じられた。
まさか、生命までも”創造”出来るとは。想定以上の能力に、驚愕した。
全知全能。
神に近い能力を与えられたのだろう。
本人は、その力のおそろしさにはまだ気づいていないようだが。
*****
リズリーの森は、完全に復活した。
そして、新たに水源である湖も得た。
これからは、このリズリーにも人が多く集まり、発展していくだろう。
リンは森の再生を終え、次はリンの住む家を作るらしい。
どのような家だろう。城のような、巨大な建築物だろうか?
皆も、期待を込めて見ているのがわかる。
見守っていると、道路よりも少し奥まった場所。そこに、突然一軒家が発生した。
一見、木造住宅のように見えた。そして一瞬、庭が出来たと思ったが。それはすぐに鉄製の楔のついた、仰々しい塀や門で隠されて見えなくなってしまった。
門には侵入禁止の魔法が付与されている。塀の楔にも。
これだけの建築物を創造するのには、相当な専門知識が要るだろう。
やはり、ただの子供ではない。
「神の家は、みなこのような建物なのですか?」
メイヤー師は不思議そうに、壁の向こうに見える建物を見て言った。
先程、教会建設の作業員を引き連れて到着したのだ。
「是非とも、この未知の建物を見学したいのですが。お邪魔しても?」
その場にいた全員が思っていたが遠慮していたことを、真っ先に言ってくれた。
メイヤー師は意外とぐいぐい行くタイプだったのか。ある意味、勇者である。
*****
「ああ。私も見てみたい。いいかね?」
「うん、いいよ。どうぞ」
リンが案内するように手を広げると。
大きな門は、自動扉のように左右に開いた。
馬車のままでも入れるほどの幅がある。かなり計算されて作られているとわかった。
門から家の玄関までは、高低差があり。石でできたなだらかな坂と、白い石が敷き詰められた庭。
庭に砂利が敷かれていると、誰か通った時に音がするので防犯対策になる、というが。この防御魔法を越えて侵入できる賊が、果たして存在するのだろうか……。
「何故、敷地内に坂があるのですか?」
「よく雨が降る土地だって言うから、湿気対策」
家の基礎を上げ、家の中に湿気が入らないように床を高くしたのか。
階段でなく、玄関までなだらかな坂にしたのは、年を取ったら階段の昇り降りがきつくなるからだと言う。
バリアフリーか。まだ10歳だというのに。随分先々のことを考えているものだ。
いや、老人の客が来た時は喜ぶか。
……赤松に、石灯籠? 小さな池もある。
白い石は熊手で掃いたように、波型に整えられている。
どう見ても、これは”日本庭園”だ。
まさか。
リンは、日本人なのか? 私と同じ。
……いや、まだわからない。期待して、違った時の落胆を考えれば、まだ疑いがある、程度で良いだろう。外国には、忍者に憧れる子供もいるだろうし。
外国の忍者映画には、日本を勘違いしたような表現が多いが。それに憧れて自分の家に日本庭園風の庭に作った者もいたらしい。
もし、インドかパキスタン系なら、カレーを作ってもらえるだろうか……。だとしたら非常に有難いのだが。その望みは薄そうだ。
*****
家は、新築の木造住宅のように見えたが。
”鑑定”で見たら、木ではなかった。木のように見える樹脂製か。外観は、日本でよく見かけるような建物に見える。
だが、生前の私……流星は、それほど建築に詳しいわけでもなかったからな。
売れだしてからはずっと、セキュリティ完備のタワーマンション住まいだった。ほぼ寝るだけの部屋に、月百万近くも払っていたのだ。今考えればバカバカしい。厄介なファンが忍び込んだり、マスコミが侵入することがないのだけは良かった。
この家は、窓の数など、外観からして、5LDKくらいはありそうだ。
大きめのウッドデッキもあり、そこにはテーブルや椅子。そこで食事するのだろうか?
ウッドデッキも、木製ではなかった。これも樹脂製だ。
これは、降雨量の多い土地ではウッドデッキの手入れが大変なことを知っていたに違いない。
流星の知り合いにも、別荘地に立派なウッドデッキのあるコテージを建てたのは良いが、雨で腐って台無しになった芸能人がいたのだ。
少なくとも、別荘には向かない。人の住まない家は痛みが早いものだ。
建物の向こうには別棟があった。
馬小屋など、家畜を飼うためのスペースだろうか?
酪農がしたい、とも言っていたな。
牛乳やバター、チーズが安定供給されれば有難い。
……さて。
この家の中を拝見すれば、リンがどこの国の生まれなのか、判明するだろうか?
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