40 / 71
Ⅷ
異世界で、将来を考える
ウィリアムが手綱を繰るナムグンに乗って、ロチェスターへ向かう。
向こうで使うものとかの荷物はスキート商会の出張所に預けたので、後で城まで届けてもらうことになってる。
シロにとっては住み慣れた家から引っ越すことになるけど。俺の腕の中で嬉しそうにハフハフ言ってる。
湖や畑を見ながら馬を走らせて。
農作業中の人たちから手を振られて、振り返したり。
ロチェスターの城壁外に作った貯水池も問題なく、水を巡らせているようだ。
水道もかなり普及したし。上下水道もほぼ行き渡ったという。
「ああそうだ。君のために、城内に広めの風呂を設置したよ」
水道工事をする際、かなりお城の大改造をしたみたいだ。
塔があった場所には、噴水を設置したそうだ。最近ロチェスターには行ってないから知らなかった。
「ベッドも、寝心地良くなってる?」
「勿論だ」
かなり奮発したって? それは楽しみだ。
……何でそんなにやにやしてるんだよ。
ベッドのことは、変な意味で訊いたんじゃないからな⁉ 全く、えっちなんだから!
男はみんなスケベなものだって? 俺も男だけど、そんな考えなかったってば!
……ウィリアム、笑い過ぎ!
*****
ロチェスターの城門前に到着すると。
城門前には、沢山の人が集まっていた。城壁の上にいるのは、兵士たちかな? 武装してるようには見えないが。魔物の襲撃とか、何かあったのかな?
普通に、帰還する王様をお出迎えするため、というには居並ぶメンツが妙に偏っているように見えるんだが……。
よく見れば、スキート商会の店主にラドクリフ。すっかり看板娘が板についたエッダ。冒険者協同組合の職員や、顔見知りの冒険者たち。
昨日もうちにお祝いに来てくれた、見知った顔が多く並んでいた。
何だろう? と不思議に思ってたら。
こちらに気づくなり、皆、嬉しそうに手を振って。
「陛下、無事求婚成功されたようで、おめでとうございます!」
「陛下、リン様、どうかお幸せに!」
「……この場合、ご婚約祝いになるのかね?」
「まあいいや、とにかくおめでとう! 結婚式はいつですか?」
皆から祝いの声を掛けられた。
おいおい。
何で皆、ウィリアムが俺にプロポーズしたことを知ってるの? 昨日の今日だよ⁉ ここには居ないけど、オズワルドかオーソンの仕業か? それともプレストン?
*****
魔物との長期にわたる戦いで疲弊したキングスレイ王国を立ち直らせ、前以上に発展させた若く美しい国王陛下が、辺境リズリーを再生し、そこに住み着いた少年にご執心だという噂は、ここロチェスターではかなり有名な話だったようだ。
そりゃそうか。
ウィリアム、暇さえあればこっちに通って来てたもんな。よく仕事する暇あったなってレベルで。
皆して、俺が15歳……成人になったらすぐにウィリアムから求婚されるだろう、と当然のように思っていて。二人の恋の行方をあたたかく見守っていたそうだ。
誕生日の宴会を早めに切り上げて帰ったのも、これから大事なプロポーズを控えているだろうウィリアムに気を遣ってのことだった……らしい。
そんな空気、全然気が付いてなかったよ⁉
そして。
皆から、俺がウィリアムのことを好きだということは知ってた、と言われた。
プレストンとかが俺に触れようとした時は思いっきり避けてたけど。ウィリアムの場合はノーガードで、べったりくっつかれていても嬉しそうだったって?
え? 俺、そんなにあからさまな態度だった?
でも俺、別にプレストンのことが嫌いなわけじゃないよ? 子供じゃないのに、いい歳した男からベタベタくっつかれるのが嫌だったからで。誰が相手でもそんな感じ。
唯一、ウィリアムだけが、特別だったんだ。
さすが抱かれたい男ナンバーワン常連オーラが出てるというか。抱き締められると、何というか安心感があるし。いい匂いするし。
全身芸術品みたいに完璧な造作で、見ててうっとりしちゃうし。
……そうだね! 俺ってばウィリアムのこと、大好きすぎ!
*****
っていうか。
俺、男なのに。結婚式はいつだとか。普通に結婚を前提にお祝いされてるんだけど。
男同士でお世継ぎとかどうするつもりなのか、ウィリアムに訊いてみたら。
この世界は、同性……男同士や女同士で結婚しても、普通に子供が作れるという。
……初耳なんですが?
「ああ、すまなかった。そういえば君にそのことを説明するのを忘れていた。こちらでは、それが常識だったのでね」
15歳までは普通にここで過ごしていたのもあって、たまに元の世界での常識との違いを忘れてしまうようだ。
「ええっ、同性同士で子供? どうやって? 魔法で?」
ウィリアムの説明によると。
愛し合う二人が、教会で子供が欲しい、と祈りを捧げれば、すぐにコウノトリならぬ狛犬が、二人の遺伝子を持った赤ん坊を届けてくれるという。
ここの神様、サービス精神旺盛すぎじゃないか?
「じゃあ、俺たちの場合、神様にお願いしたら、シロが赤ん坊を届けてくれるのかな?」
「キャウン」
嬉しそうに、任せろ、とばかりにいい返事をして。シロを抱いている腕を、もふもふな手で、たしたし叩かれる。
かなり張り切ってる様子だけど。俺たちまだ、結婚もしてないからな?
そうかー。
すごいな異世界。
……この世界において、生殖器の存在意義について考えるのは無意味だろう。野暮というものだ。
だって、ウィリアムとするの、すごく気持ち良かったし。
*****
「そうなんだ。ウィルは王様だから。世継ぎが必要だと思って。”創造”でお腹に子宮とか作るべきかどうか悩んでたけど。お祈りすれば、出来るのか……」
「そうか。私のために、そこまで考えてくれていたのか。……私は、本当に幸せ者だね」
後ろから、ぎゅっと抱き締められる。
「おーい、独り身には目の毒だよー」
「お熱いねえ」
冷やかすような声が上がって。
ここは城門前で。
沢山の人目があったことに、今更ながら気づいたのだった。
うわあ、恥ずかしい!
向こうで使うものとかの荷物はスキート商会の出張所に預けたので、後で城まで届けてもらうことになってる。
シロにとっては住み慣れた家から引っ越すことになるけど。俺の腕の中で嬉しそうにハフハフ言ってる。
湖や畑を見ながら馬を走らせて。
農作業中の人たちから手を振られて、振り返したり。
ロチェスターの城壁外に作った貯水池も問題なく、水を巡らせているようだ。
水道もかなり普及したし。上下水道もほぼ行き渡ったという。
「ああそうだ。君のために、城内に広めの風呂を設置したよ」
水道工事をする際、かなりお城の大改造をしたみたいだ。
塔があった場所には、噴水を設置したそうだ。最近ロチェスターには行ってないから知らなかった。
「ベッドも、寝心地良くなってる?」
「勿論だ」
かなり奮発したって? それは楽しみだ。
……何でそんなにやにやしてるんだよ。
ベッドのことは、変な意味で訊いたんじゃないからな⁉ 全く、えっちなんだから!
男はみんなスケベなものだって? 俺も男だけど、そんな考えなかったってば!
……ウィリアム、笑い過ぎ!
*****
ロチェスターの城門前に到着すると。
城門前には、沢山の人が集まっていた。城壁の上にいるのは、兵士たちかな? 武装してるようには見えないが。魔物の襲撃とか、何かあったのかな?
普通に、帰還する王様をお出迎えするため、というには居並ぶメンツが妙に偏っているように見えるんだが……。
よく見れば、スキート商会の店主にラドクリフ。すっかり看板娘が板についたエッダ。冒険者協同組合の職員や、顔見知りの冒険者たち。
昨日もうちにお祝いに来てくれた、見知った顔が多く並んでいた。
何だろう? と不思議に思ってたら。
こちらに気づくなり、皆、嬉しそうに手を振って。
「陛下、無事求婚成功されたようで、おめでとうございます!」
「陛下、リン様、どうかお幸せに!」
「……この場合、ご婚約祝いになるのかね?」
「まあいいや、とにかくおめでとう! 結婚式はいつですか?」
皆から祝いの声を掛けられた。
おいおい。
何で皆、ウィリアムが俺にプロポーズしたことを知ってるの? 昨日の今日だよ⁉ ここには居ないけど、オズワルドかオーソンの仕業か? それともプレストン?
*****
魔物との長期にわたる戦いで疲弊したキングスレイ王国を立ち直らせ、前以上に発展させた若く美しい国王陛下が、辺境リズリーを再生し、そこに住み着いた少年にご執心だという噂は、ここロチェスターではかなり有名な話だったようだ。
そりゃそうか。
ウィリアム、暇さえあればこっちに通って来てたもんな。よく仕事する暇あったなってレベルで。
皆して、俺が15歳……成人になったらすぐにウィリアムから求婚されるだろう、と当然のように思っていて。二人の恋の行方をあたたかく見守っていたそうだ。
誕生日の宴会を早めに切り上げて帰ったのも、これから大事なプロポーズを控えているだろうウィリアムに気を遣ってのことだった……らしい。
そんな空気、全然気が付いてなかったよ⁉
そして。
皆から、俺がウィリアムのことを好きだということは知ってた、と言われた。
プレストンとかが俺に触れようとした時は思いっきり避けてたけど。ウィリアムの場合はノーガードで、べったりくっつかれていても嬉しそうだったって?
え? 俺、そんなにあからさまな態度だった?
でも俺、別にプレストンのことが嫌いなわけじゃないよ? 子供じゃないのに、いい歳した男からベタベタくっつかれるのが嫌だったからで。誰が相手でもそんな感じ。
唯一、ウィリアムだけが、特別だったんだ。
さすが抱かれたい男ナンバーワン常連オーラが出てるというか。抱き締められると、何というか安心感があるし。いい匂いするし。
全身芸術品みたいに完璧な造作で、見ててうっとりしちゃうし。
……そうだね! 俺ってばウィリアムのこと、大好きすぎ!
*****
っていうか。
俺、男なのに。結婚式はいつだとか。普通に結婚を前提にお祝いされてるんだけど。
男同士でお世継ぎとかどうするつもりなのか、ウィリアムに訊いてみたら。
この世界は、同性……男同士や女同士で結婚しても、普通に子供が作れるという。
……初耳なんですが?
「ああ、すまなかった。そういえば君にそのことを説明するのを忘れていた。こちらでは、それが常識だったのでね」
15歳までは普通にここで過ごしていたのもあって、たまに元の世界での常識との違いを忘れてしまうようだ。
「ええっ、同性同士で子供? どうやって? 魔法で?」
ウィリアムの説明によると。
愛し合う二人が、教会で子供が欲しい、と祈りを捧げれば、すぐにコウノトリならぬ狛犬が、二人の遺伝子を持った赤ん坊を届けてくれるという。
ここの神様、サービス精神旺盛すぎじゃないか?
「じゃあ、俺たちの場合、神様にお願いしたら、シロが赤ん坊を届けてくれるのかな?」
「キャウン」
嬉しそうに、任せろ、とばかりにいい返事をして。シロを抱いている腕を、もふもふな手で、たしたし叩かれる。
かなり張り切ってる様子だけど。俺たちまだ、結婚もしてないからな?
そうかー。
すごいな異世界。
……この世界において、生殖器の存在意義について考えるのは無意味だろう。野暮というものだ。
だって、ウィリアムとするの、すごく気持ち良かったし。
*****
「そうなんだ。ウィルは王様だから。世継ぎが必要だと思って。”創造”でお腹に子宮とか作るべきかどうか悩んでたけど。お祈りすれば、出来るのか……」
「そうか。私のために、そこまで考えてくれていたのか。……私は、本当に幸せ者だね」
後ろから、ぎゅっと抱き締められる。
「おーい、独り身には目の毒だよー」
「お熱いねえ」
冷やかすような声が上がって。
ここは城門前で。
沢山の人目があったことに、今更ながら気づいたのだった。
うわあ、恥ずかしい!
あなたにおすすめの小説
人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました
よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、
前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。
獣人が支配する貴族社会。
魔力こそが価値とされ、
「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、
レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。
そんな彼を拾ったのは、
辺境を治める獣人公爵アルト。
寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。
溺愛され、守られ、育てられる日々。
だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。
学院での出会い。
貴族社会に潜む差別と陰謀。
そして「番」という、深く重い絆。
レオンは学び、考え、
自分にしかできない魔法理論を武器に、
少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。
獣人と人族。
価値観も、立場も、すべてが違う二人が、
それでも選び合い、家族になるまでの物語。
溺愛×成長×異世界BL。
読後に残るのは、
「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。
呪われた辺境伯は、異世界転生者を手放さない
波崎 亨璃
BL
ーーー呪われた辺境伯に捕まったのは、俺の方だった。
異世界に迷い込んだ駆真は「呪われた辺境伯」と呼ばれるレオニスの領地に落ちてしまう。
強すぎる魔力のせいで、人を近づけることができないレオニス。
彼に触れれば衰弱し、最悪の場合、命を落とす。
しかしカルマだけはなぜかその影響を一切受けなかった。その事実に気づいたレオニスは次第にカルマを手放さなくなっていく。
「俺に触れられるのは、お前だけだ」
呪いよりも重い執着と孤独から始まる、救済BL。
となります。
小悪魔系世界征服計画 ~ちょっと美少年に生まれただけだと思っていたら、異世界の救世主でした~
朱童章絵
BL
「僕はリスでもウサギでもないし、ましてやプリンセスなんかじゃ絶対にない!」
普通よりちょっと可愛くて、人に好かれやすいという以外、まったく普通の男子高校生・瑠佳(ルカ)には、秘密がある。小さな頃からずっと、別な世界で日々を送り、成長していく夢を見続けているのだ。
史上最強の呼び声も高い、大魔法使いである祖母・ベリンダ。
その弟子であり、物腰柔らか、ルカのトラウマを刺激しまくる、超絶美形・ユージーン。
外見も内面も、強くて男らしくて頼りになる、寡黙で優しい、薬屋の跡取り・ジェイク。
いつも笑顔で温厚だけど、ルカ以外にまったく価値を見出さない、ヤンデレ系神父・ネイト。
領主の息子なのに気さくで誠実、親友のイケメン貴公子・フィンレー。
彼らの過剰なスキンシップに狼狽えながらも、ルカは日々を楽しく過ごしていたが、ある時を境に、現実世界での急激な体力の衰えを感じ始める。夢から覚めるたびに強まる倦怠感に加えて、祖母や仲間達の言動にも不可解な点が。更には魔王の復活も重なって、瑠佳は次第に世界全体に疑問を感じるようになっていく。
やがて現実の自分の不調の原因が夢にあるのではないかと考えた瑠佳は、「夢の世界」そのものを否定するようになるが――。
無自覚小悪魔ちゃん、総受系愛され主人公による、保護者同伴RPG(?)。
(この作品は、小説家になろう、カクヨムにも掲載しています)
転生?憑依? 中身おっさんの俺は異世界で無双しない。ただし予想の斜め上は行く!
くすのき
BL
最初に謝っておきます!
漬物業界の方、マジすまぬ。
&本編完結、番外編も!
この話は――三十路の男が、ある日突然、ラシェル・フォン・セウグとして異世界におりたち、ひょんな事から助けた8歳の双子と婚約して、ゴ◯チュウもどきから授かった力で回復薬(漬物味)を作って、なんか頑張るコメディーBLです!
中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています
浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】
ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!?
激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。
目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。
もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。
セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。
戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。
けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。
「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの?
これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、
ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。
※小説家になろうにも掲載中です。
最強賢者のスローライフ 〜転生先は獣人だらけの辺境村でした〜
なの
BL
社畜として働き詰め、過労死した結城智也。次に目覚めたのは、獣人だらけの辺境村だった。
藁葺き屋根、素朴な食事、狼獣人のイケメンに介抱されて、気づけば賢者としてのチート能力まで付与済み!?
「静かに暮らしたいだけなんですけど!?」
……そんな願いも虚しく、井戸掘り、畑改良、魔法インフラ整備に巻き込まれていく。
スローライフ(のはず)なのに、なぜか労働が止まらない。
それでも、優しい獣人たちとの日々に、心が少しずつほどけていく……。
チート×獣耳×ほの甘BL。
転生先、意外と住み心地いいかもしれない。
魔力ゼロの無能オメガのはずが嫁ぎ先の氷狼騎士団長に執着溺愛されて逃げられません!
松原硝子
BL
これは魔法とバース性のある異世界でのおはなし――。
15歳の魔力&バース判定で、神官から「魔力のほとんどないオメガ」と言い渡されたエリス・ラムズデール。
その途端、それまで可愛がってくれた両親や兄弟から「無能」「家の恥」と罵られて使用人のように扱われ、虐げられる生活を送ることに。
そんな中、エリスが21歳を迎える年に隣国の軍事大国ベリンガム帝国のヴァンダービルト公爵家の令息とアイルズベリー王国のラムズデール家の婚姻の話が持ち上がる。
だがヴァンダービルト公爵家の令息レヴィはベリンガム帝国の軍事のトップにしてその冷酷さと恐ろしいほどの頭脳から常勝の氷の狼と恐れられる騎士団長。しかもレヴィは戦場や公的な場でも常に顔をマスクで覆っているため、「傷で顔が崩れている」「二目と見ることができないほど醜い」という恐ろしい噂の持ち主だった。
そんな恐ろしい相手に子どもを嫁がせるわけにはいかない。ラムズデール公爵夫妻は無能のオメガであるエリスを差し出すことに決める。
「自分の使い道があるなら嬉しい」と考え、婚姻を大人しく受け入れたエリスだが、ベリンガム帝国へ嫁ぐ1週間前に階段から転げ落ち、前世――23年前に大陸の大戦で命を落とした帝国の第五王子、アラン・ベリンガムとしての記憶――を取り戻す。
前世では戦いに明け暮れ、今世では虐げられて生きてきたエリスは前世の祖国で平和でのんびりした幸せな人生を手に入れることを目標にする。
だが結婚相手のレヴィには驚きの秘密があった――!?
「きみとの結婚は数年で解消する。俺には心に決めた人がいるから」
初めて顔を合わせた日にレヴィにそう言い渡されたエリスは彼の「心に決めた人」を知り、自分の正体を知られてはいけないと誓うのだが……!?
銀髪×碧眼(33歳)の超絶美形の執着騎士団長に気が強いけど鈍感なピンク髪×蜂蜜色の目(20歳)が執着されて溺愛されるお話です。
温泉旅館の跡取り、死んだら呪いの沼に転生してた。スキルで温泉郷を作ったら、呪われた冷血公爵がやってきて胃袋と心を掴んで離さない
水凪しおん
BL
命を落とした温泉旅館の跡取り息子が転生したのは、人々から忌み嫌われる「呪いの沼」だった。
終わりなき孤独と絶望の中、彼に与えられたのは【万物浄化】と【源泉開発】のスキル。
自らを浄化し、極上の温泉を湧き出させた彼の前に現れたのは、呪いにより心と体を凍てつかせた冷血公爵クロード。
半信半疑で湯に浸かった公爵は、生まれて初めての「安らぎ」に衝撃を受ける。
「この温泉郷(ばしょ)ごと、君が欲しい」
孤独だった元・沼の青年アオイと、温もりを知らなかった冷血公爵クロード。
湯けむりの向こうで出会った二人が、最高の温泉郷を作り上げながら、互いの心の傷を癒やし、かけがえのない愛を見つけていく。
読む者の心まですべて解きほぐす、極上の癒やしと溺愛のファンタジーロマンス、ここに開湯。