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転生国王は神の使いを寵愛する
記念日
リンがこの世界、我が国に来て、もう5年になる。
この5年で、我が国はかなり発展した。
森の復活、そしてその木材で製紙工場では紙が作られ、印刷工場で本を印刷する。それまで本の清書をしていた職人は皆、失業者を出すことなく出版社や印刷工場で活躍している。
ゴムの加工も色々できるようになり、馬車にはゴムタイヤがつけられた。
靴底などの緩衝材だけでなく、雨除けのカバー、ボールや風船などの遊び道具、”浄化”を持たない人用の避妊具なども作られた。
水も豊富に使えるようになり、自宅に風呂やシャワーを取り付ける一般家庭も出てきた。
トイレも水洗に替わり、殺菌消毒後には排泄物を堆肥にするアイデアは他国からも称賛された。衛生環境も良くなり、伝染病もほぼ消えたと言っていいだろう。
牧場では食肉用の牛、豚、鶏だけでなく、乳牛、山羊を多数育て。バターやチーズなどの乳製品も多く出回るようになった。乳牛だけでなく山羊も育てるのは、牛乳でアレルギー反応を起こす者も山羊の乳には起こさないというので取り入れた。
リンの希望で、母体を酷使させないよう、乳牛一匹につき妊娠させるのは年に最大二回までと決め、生まれた仔牛や仔山羊も人気で、繁殖時期にはそれを見に牧場に人が集まるようになった。牧場ではしぼりたてのミルクやソフトクリームも人気である。
サトウキビを栽培したので、塩湖の塩に加え、砂糖も安定供給されるようになり。
リンが様々な料理のレシピをスキート商会を通して発表したため、我が国だけでなく、周辺諸国の食生活も飛躍的に向上した。
最近はテングサを育て初め、あんみつや寒天ゼリーなどのスイーツが大人気だという。
*****
金銭的な問題ならば”創造”で金塊を創ってもらえばすぐに解決するのだが。リンが経済の発展に関する物しか”創造”しないのは、それでは根本的な問題は解決しないと思ってのことだろう。
愚かな為政者であれば、宝物庫いっぱいの金銀財宝を創って身を飾り、私腹を肥やすだけで終わるだけだ。やはりリンは心清く正しい魂を持っている。
リンが”創造”した材料を増やす畑、加工する工場など。魔物との戦いで家や職を失った者の雇用にも役立っている。
スキート商会は毎日忙しく。嬉しい悲鳴を上げている。
ラドクリフがリンを見る目が最近怪しいのが気になるところであるが。
私は4年前、正式にキングスレイ王国の国王を継ぐことにした。リンのお陰で復興もでき、国民も余裕が出て来たため、発表しても大丈夫だと思ったからである。
国王と王太子の死は、すでに気づいていた者もいたようだが。皆、新たな王となった私に期待してくれているようで、戴冠式には多くの国民が集まって祝ってくれた。
リンも祝いに来てくれて嬉しかったが。復興の立役者であるリンを、皆に堂々と紹介できないのは残念に思う。
リン本人は、冒険者協同組合からも一目置かれる最高レベルの冒険者となり、成犬姿のシロと共に森へ狩りに出ては大物を狩ってくる。
昨日も大蛇を討伐したらしく。
その肉で作ったという唐揚げをご馳走になった。皮は、鞄や財布などに加工するため、商会に預けたそうだ。
「旨い。蛇というから、骨っぽくて堅いと思っていたが。思ったよりも柔らかいね。あっさりした鶏肉のようだ」
「うん。あっさりしてるから、濃いめの下味付けて唐揚げにしてみたんだ」
更に肉を柔らかくするため、サッパロットの酵素を使ったという。
さすが調理師として10年以上のキャリア持ちだけある。
相変わらず、料理にこだわりを感じる。招かれざる客であろう私たちに、毎回手の込んだ料理を作ってもてなしてくれる。
「そういえば、リンは5年前の今日、この世界に来たのだよね?」
誕生日はいつなのだろう?
とりあえず、毎年リンがこの世界に来た日には、贈り物を持ってきているのだが。
*****
「どれどれ。わあ、レベル76だって」
リンはステータス画面を確認しているようだ。
「5年でそれは早いね」
「えへへ。……ウィルはレベルいくつ?」
リンは冒険者レベルのようだが。私の場合、魔物や盗賊の討伐だけでなく、国王としての功績でもレベルが上がるからな。
「私? 先日169になったよ」
「ええ、倍以上差があるじゃん……」
拗ねているリンも可愛い。
成長して、30センチほど背が伸びたが。相変わらず可愛い。
「あ、15歳になってた。こっちじゃ今日が誕生日みたい」
「何だと⁉」
思わず腰を浮かしかけたが。まだ食事中なので、おとなしく座る。
「お酒解禁だ。わーい」
あっちじゃまだあと5年はダメだった、と喜んでいる。リンは決まりはきちんと守る真面目な性質である。そこも好ましい。
「誕生日だと教えてくれれば、祝いの品を用意したのに……」
「ウィルのは知ってる。1月1日だよね。リューセーもそうだった」
覚えていてくれるのは嬉しいが。新年の祝いとともに国王の生誕も祝うため、毎年お祭り騒ぎになるので、忘れようにも忘れられないだろう。
流星については、そろそろもう忘れて欲しいのだが。私にとっては黒歴史のようなものだ。
「あ、じゃあお祝いに歌って欲しいな。ウィルは声も良いし。”forever~星降る夜に、君と~”がいい」
そんな無邪気な笑顔で。
よりによって、作詞作曲榊原流星のラブソングをリクエストするとは。
「とんだ拷問だ!」
*****
どこから聞いたのか。……神託を下されたメイヤー師だろうが……リンが今日で成人だと聞きつけたスペンサー夫妻は、奮発して豚の丸焼きと、奥方はケーキを焼いて祝いに来た。
当のメイヤー師は教会の神職たちを連れ、冒険者協同組合からは本部から組合長と副組合長、リンの顔見知りの冒険者たちがそれぞれ祝いの品を手に訪れ。スキート商会からはラドクリフが代表として酒や料理を持って来た。
今日はリンの誕生日である。
なるべく主役は働かせないようにしよう、との気遣いから、皆がこぞってリンから教わった料理を作ったのだが。
料理好きなリンは、我慢できなかったようで。プリンやゼリーなどのデザートを出していた。
この5年で、我が国はかなり発展した。
森の復活、そしてその木材で製紙工場では紙が作られ、印刷工場で本を印刷する。それまで本の清書をしていた職人は皆、失業者を出すことなく出版社や印刷工場で活躍している。
ゴムの加工も色々できるようになり、馬車にはゴムタイヤがつけられた。
靴底などの緩衝材だけでなく、雨除けのカバー、ボールや風船などの遊び道具、”浄化”を持たない人用の避妊具なども作られた。
水も豊富に使えるようになり、自宅に風呂やシャワーを取り付ける一般家庭も出てきた。
トイレも水洗に替わり、殺菌消毒後には排泄物を堆肥にするアイデアは他国からも称賛された。衛生環境も良くなり、伝染病もほぼ消えたと言っていいだろう。
牧場では食肉用の牛、豚、鶏だけでなく、乳牛、山羊を多数育て。バターやチーズなどの乳製品も多く出回るようになった。乳牛だけでなく山羊も育てるのは、牛乳でアレルギー反応を起こす者も山羊の乳には起こさないというので取り入れた。
リンの希望で、母体を酷使させないよう、乳牛一匹につき妊娠させるのは年に最大二回までと決め、生まれた仔牛や仔山羊も人気で、繁殖時期にはそれを見に牧場に人が集まるようになった。牧場ではしぼりたてのミルクやソフトクリームも人気である。
サトウキビを栽培したので、塩湖の塩に加え、砂糖も安定供給されるようになり。
リンが様々な料理のレシピをスキート商会を通して発表したため、我が国だけでなく、周辺諸国の食生活も飛躍的に向上した。
最近はテングサを育て初め、あんみつや寒天ゼリーなどのスイーツが大人気だという。
*****
金銭的な問題ならば”創造”で金塊を創ってもらえばすぐに解決するのだが。リンが経済の発展に関する物しか”創造”しないのは、それでは根本的な問題は解決しないと思ってのことだろう。
愚かな為政者であれば、宝物庫いっぱいの金銀財宝を創って身を飾り、私腹を肥やすだけで終わるだけだ。やはりリンは心清く正しい魂を持っている。
リンが”創造”した材料を増やす畑、加工する工場など。魔物との戦いで家や職を失った者の雇用にも役立っている。
スキート商会は毎日忙しく。嬉しい悲鳴を上げている。
ラドクリフがリンを見る目が最近怪しいのが気になるところであるが。
私は4年前、正式にキングスレイ王国の国王を継ぐことにした。リンのお陰で復興もでき、国民も余裕が出て来たため、発表しても大丈夫だと思ったからである。
国王と王太子の死は、すでに気づいていた者もいたようだが。皆、新たな王となった私に期待してくれているようで、戴冠式には多くの国民が集まって祝ってくれた。
リンも祝いに来てくれて嬉しかったが。復興の立役者であるリンを、皆に堂々と紹介できないのは残念に思う。
リン本人は、冒険者協同組合からも一目置かれる最高レベルの冒険者となり、成犬姿のシロと共に森へ狩りに出ては大物を狩ってくる。
昨日も大蛇を討伐したらしく。
その肉で作ったという唐揚げをご馳走になった。皮は、鞄や財布などに加工するため、商会に預けたそうだ。
「旨い。蛇というから、骨っぽくて堅いと思っていたが。思ったよりも柔らかいね。あっさりした鶏肉のようだ」
「うん。あっさりしてるから、濃いめの下味付けて唐揚げにしてみたんだ」
更に肉を柔らかくするため、サッパロットの酵素を使ったという。
さすが調理師として10年以上のキャリア持ちだけある。
相変わらず、料理にこだわりを感じる。招かれざる客であろう私たちに、毎回手の込んだ料理を作ってもてなしてくれる。
「そういえば、リンは5年前の今日、この世界に来たのだよね?」
誕生日はいつなのだろう?
とりあえず、毎年リンがこの世界に来た日には、贈り物を持ってきているのだが。
*****
「どれどれ。わあ、レベル76だって」
リンはステータス画面を確認しているようだ。
「5年でそれは早いね」
「えへへ。……ウィルはレベルいくつ?」
リンは冒険者レベルのようだが。私の場合、魔物や盗賊の討伐だけでなく、国王としての功績でもレベルが上がるからな。
「私? 先日169になったよ」
「ええ、倍以上差があるじゃん……」
拗ねているリンも可愛い。
成長して、30センチほど背が伸びたが。相変わらず可愛い。
「あ、15歳になってた。こっちじゃ今日が誕生日みたい」
「何だと⁉」
思わず腰を浮かしかけたが。まだ食事中なので、おとなしく座る。
「お酒解禁だ。わーい」
あっちじゃまだあと5年はダメだった、と喜んでいる。リンは決まりはきちんと守る真面目な性質である。そこも好ましい。
「誕生日だと教えてくれれば、祝いの品を用意したのに……」
「ウィルのは知ってる。1月1日だよね。リューセーもそうだった」
覚えていてくれるのは嬉しいが。新年の祝いとともに国王の生誕も祝うため、毎年お祭り騒ぎになるので、忘れようにも忘れられないだろう。
流星については、そろそろもう忘れて欲しいのだが。私にとっては黒歴史のようなものだ。
「あ、じゃあお祝いに歌って欲しいな。ウィルは声も良いし。”forever~星降る夜に、君と~”がいい」
そんな無邪気な笑顔で。
よりによって、作詞作曲榊原流星のラブソングをリクエストするとは。
「とんだ拷問だ!」
*****
どこから聞いたのか。……神託を下されたメイヤー師だろうが……リンが今日で成人だと聞きつけたスペンサー夫妻は、奮発して豚の丸焼きと、奥方はケーキを焼いて祝いに来た。
当のメイヤー師は教会の神職たちを連れ、冒険者協同組合からは本部から組合長と副組合長、リンの顔見知りの冒険者たちがそれぞれ祝いの品を手に訪れ。スキート商会からはラドクリフが代表として酒や料理を持って来た。
今日はリンの誕生日である。
なるべく主役は働かせないようにしよう、との気遣いから、皆がこぞってリンから教わった料理を作ったのだが。
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