オタク眼鏡が救世主として異世界に召喚され、ケダモノな森の番人に拾われてツガイにされる話。

篠崎笙

文字の大きさ
21 / 74
リヒト

覚悟と決別

しおりを挟む
『さて、私も何か力仕事でも手伝ってくるかな』
なんか腕まくりしてる。

王様なのに、わりと筋肉質だ。
狼だからかな?


そっと自分の貧弱な腕を見る。

『陛下、手つかずの政務が山積みですが?』
渋面をしたアンリが口を挟んだ。

「できれば王様は外に出ないでください。感染の危険もそうですけど。いざという時に伝令を出せる最高責任者に倒れられては困るので」

『これは手痛い。そう言われては、嫌でもおとなしくせねばならなくなった』
ルロイ王は素直に引いた。


アンリは僕に感謝の目を向けてきた。
この自由な王様に、だいぶ振り回されてきたんだろうな……。

まだ若いのに、くっきりと額に刻まれた縦皺が物語っている。


†‡†‡†


『そうそう、明日には診察室が使用可能になるそうだ』

アンリが報告書を手に、教えてくれた。
早いな。

すでに王命で、外出後のうがい手洗いの徹底と、咳や熱のある者は絶対に来るように、と通達したそうなので。
明日からは、診察室で患者を待たないと。


『診察室には俺もついていく。多少なら医療魔法も使える。助手に使え』
ジャンは僕から離れたくないと言った。

診察する人が一番感染の危険にさらされるから。
心配なんだそうだ。

「風邪なら何度か引いたことあるし。僕は大丈夫だよ。むしろ、もしジャンがダウンしたら誰がその巨体を運ぶの?」
僕の腕じゃ、ジャンの片腕すら持ち上げられないと思う。

ジャンはむう、と悩んで。
『診察室の近くに寝台を置かせよう。そこまで、這ってでも行く』

絶対に助手の座は退かない覚悟のようだ。
仕方ない。


「じゃあお願いするね?」
手を差し出すと。

その手を握られて。
逞しい胸板に引き寄せられた。

全く。
握手のつもりで出したのに。


『挿れないから、触らせろ』
もう無精ひげの生えている顔で頬ずりされる。
痛いってば。

『愛している。クロエ』

ストレートな愛情表現に照れて、目を伏せたら。
それが了解の意と取られたようで。


ベッドに運ばれて、押し倒された。


†‡†‡†


ジャンは特に、僕の首の匂いを嗅ぐのが好きみたいだ。
ふんふんと嗅ぎながら、服を脱がされてく。


ジャンに触れられていると。
自分の身体なのに、自分のものじゃないように思えて怖くなる。

性器をちょっと弄られただけで、後ろが勝手に反応してしまう。


『こんなに可愛いのに、年上とはな』
キスの合間に言われる。

まさかアレの大きさとか形状の違いについての感想じゃないだろうな……。
体格が違うんだから当たり前だろ。

「ひゃ、……や、」
乳首をちゅっと吸われて。

舌先でぐりぐりされる。
唾液で濡れたそこが、充血して。紅く色づいている。

ジャンと目が合うと。

ここは自分に愛撫されてこうなったんだぞ、というように、にやりと笑って。
指でつままれた。

それにも感じてしまう。


指で慣らされて、さんざん達かされた後。
僕の太ももで、ジャンが達する。

ぎらぎらと耀く灰青色の目が。
太ももなどではなく、はらわたに挿れたいのだと語ってる。


血の一滴、骨の一かけらも残さず喰い尽くしたい、と願う餓えた肉食獣の瞳だった。

それに恐怖を覚えるより。
ぞくそくしてしまった。


†‡†‡†


朝食の席で。

感染の危険を防ぐため。
僕とジャンの滞在場所を、城内の客室ではなく、診察室の傍に移すことを提案した。


念のため、食事の席も、これからは別々にしておいたほうがいい。

報告や連絡の伝達も。
直接口頭でなく、文書形式にしてもらいたいと。


『そこまで用心せねばならぬほどのことなのか?』
ルロイ王は眉根を寄せた。

のことです。そこまでしても、足りない可能性もありえます」

何せ、この世界では未知の病気だ。
万が一のことを考え、用心しておくのが大事だ。

ルロイ王、アンリ、メイベルは不安そうな表情を浮かべ、こちらを見ている。


「後で過剰に用心しすぎたと笑い話にできることを願ってください。騒動が収まったら、またご一緒に食事が出来るのを楽しみにしてますから」
あえて明るく言った。

『ああ、一日でも早くそうなるよう、その日を待とう』
ルロイ王は頷いて。

アンリもそれに同意した。

『うん。一緒にお菓子食べようね。異世界のお菓子、楽しみにしてるよ』
メイベルは涙をこらえて微笑んでくれた。


†‡†‡†


”解析”という魔法を覚えた。

これで相手の細かいステータスとかを見られるようになったので、素人でも診察が楽になるし。
分子構造もわかる。


午前中のうちに、国中の牧場を回って。

具合の悪い家畜がいないかをジャンにチェックしてもらって。
ついでに牧場主の健康も確認。

牧場主には、家畜小屋に入る前に手洗いや靴を殺菌することを徹底してもらう。
一匹が病気に感染すれば、舎の動物全てを処分しなくてはいけなくなる。

そうならないための予防である。

これは王命だ、とジャンに言ってもらった。
見知らぬ人間が注意喚起するよりも、森林管理人であるジャンが言ったほうが説得力があるだろうし。


午後から診療所を開放した。

白衣を作ってもらったので、本物の医者になったみたいな気分だ。
汚れもわかりやすいし。

ちなみに外科医の手術着が緑色なのは、飛んだ血がよく見えるようにらしい。
物事には理由があるものだ。


患者に対して、ジャンは僕を、若く見えるが王が国民のために他の国から呼んだ名医であると紹介した。
ついでに、自分のツガイだということも。

みんな、手が早いと言って笑っていた。


最初の患者は、咳が出るというので”解析”したら、喉を少々傷めていた。
風邪ではない。

仕事柄、声を張り上げることが多いようだ。
蜂蜜とカリンでシロップを作って渡した。甘くておいしいけど、飲みすぎないように。


次は、喉に小骨が刺さっていたので。
鍛冶屋の作成してくれたピンセットで抜いてあげる。

今までは、原因である骨を取り除かないまま傷を塞いでいたため、炎症が再発したものと思われる。


その次は、喉にデキモノがあったので、メスで切開して膿を出した後、治療魔法で塞いだ。
口内炎もあったので、再発防止のためにもビタミンB類やビタミンCの多く含む果物を教えて、積極的に食べるように言った。

初日の患者は3人か。
まだ風邪の症状が出た患者は来てない、と報告書に記入する。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【本編完結】転生したら、チートな僕が世界の男たちに溺愛される件

表示されませんでした
BL
ごく普通のサラリーマンだった織田悠真は、不慮の事故で命を落とし、ファンタジー世界の男爵家の三男ユウマとして生まれ変わる。 病弱だった前世のユウマとは違い、転生した彼は「創造魔法」というチート能力を手にしていた。 この魔法は、ありとあらゆるものを生み出す究極の力。 しかし、その力を使うたび、ユウマの体からは、男たちを狂おしいほどに惹きつける特殊なフェロモンが放出されるようになる。 ユウマの前に現れるのは、冷酷な魔王、忠実な騎士団長、天才魔法使い、ミステリアスな獣人族の王子、そして実の兄と弟。 強大な力と魅惑のフェロモンに翻弄されるユウマは、彼らの熱い視線と独占欲に囲まれ、愛と欲望が渦巻くハーレムの中心に立つことになる。 これは、転生した少年が、最強のチート能力と最強の愛を手に入れるまでの物語。 甘く、激しく、そして少しだけ危険な、ユウマのハーレム生活が今、始まる――。 本編完結しました。 続いて閑話などを書いているので良かったら引き続きお読みください

邪神の嫁として勝手に異世界召喚されたけど、邪神がもろタイプだったので満更でもないです

我利我利亡者
BL
椎葉 譲(しいば ゆずる)は突然異世界に召喚された。折角就活頑張って内定もらえてこれからって時に、冗談じゃない! しかも、召喚理由は邪神とやらの神子……という名の嫁にする為だとか。こっちの世界の人間が皆嫌がるから、異世界から神子を召喚した? ふざけんな! そんなの俺も嫌だわ! 怒り狂って元の世界に戻すよう主張する譲だったが、騒ぎを聞き付けて現れた邪神を一目見て、おもわず大声で叫ぶ。「きゃわいい!」。なんと邪神は猫の獣人で、何を隠そう譲は重度のケモナーだった。邪神は周囲からあまりいい扱いを受けていないせいかすっかり性格が捻くれていたが、そんな事は一切気にせず熱烈にラブコールする譲。「大好き! 結婚しよ!」「早く元の世界に帰れ!」。今日もそんな遣り取りが繰り返される。果たして譲は、邪神とフォーリンラブできるのか!? 孤独な邪神でもある黒猫獣人×重度のケモナーでもあるおチャラけ根明

【完】心配性は異世界で番認定された狼獣人に甘やかされる

おはぎ
BL
起きるとそこは見覚えのない場所。死んだ瞬間を思い出して呆然としている優人に、騎士らしき人たちが声を掛けてくる。何で頭に獣耳…?とポカンとしていると、その中の狼獣人のカイラが何故か優しくて、ぴったり身体をくっつけてくる。何でそんなに気遣ってくれるの?と分からない優人は大きな身体に怯えながら何とかこの別世界で生きていこうとする話。 知らない世界に来てあれこれ考えては心配してしまう優人と、優人が可愛くて仕方ないカイラが溺愛しながら支えて甘やかしていきます。

竜の生贄になった僕だけど、甘やかされて幸せすぎっ!【完結】

ぬこまる
BL
竜の獣人はスパダリの超絶イケメン!主人公は女の子と間違うほどの美少年。この物語は勘違いから始まるBLです。2人の視点が交互に読めてハラハラドキドキ!面白いと思います。ぜひご覧くださいませ。感想お待ちしております。

獣人将軍のヒモ

kouta
BL
巻き込まれて異世界移転した高校生が異世界でお金持ちの獣人に飼われて幸せになるお話 ※ムーンライトノベルにも投稿しています

異世界転移した元コンビニ店長は、獣人騎士様に嫁入りする夢は……見ない!

めがねあざらし
BL
過労死→異世界転移→体液ヒーラー⁈ 社畜すぎて魂が擦り減っていたコンビニ店長・蓮は、女神の凡ミスで異世界送りに。 もらった能力は“全言語理解”と“回復力”! ……ただし、回復スキルの発動条件は「体液経由」です⁈ キスで癒す? 舐めて治す? そんなの変態じゃん! 出会ったのは、狼耳の超絶無骨な騎士・ロナルドと、豹耳騎士・ルース。 最初は“保護対象”だったのに、気づけば戦場の最前線⁈ 攻めも受けも騒がしい異世界で、蓮の安眠と尊厳は守れるのか⁉ -------------------- ※現在同時掲載中の「捨てられΩ、癒しの異能で獣人将軍に囲われてます!?」の元ネタです。出しちゃった!

異世界で勇者をやったら執着系騎士に愛された

よしゆき
BL
平凡な高校生の受けが異世界の勇者に選ばれた。女神に美少年へと顔を変えられ勇者になった受けは、一緒に旅をする騎士に告白される。返事を先伸ばしにして受けは攻めの前から姿を消し、そのまま攻めの告白をうやむやにしようとする。

【完結】第三王子は、自由に踊りたい。〜豹の獣人と、第一王子に言い寄られてますが、僕は一体どうすればいいでしょうか?〜

N2O
BL
気弱で不憫属性の第三王子が、二人の男から寵愛を受けるはなし。 表紙絵 ⇨元素 様 X(@10loveeeyy) ※独自設定、ご都合主義です。 ※ハーレム要素を予定しています。

処理中です...