67 / 68
おまけ
猫とマタタビ
運命のツガイであるスオウと出逢うまで。
自分は一生何かに心を動かされることも無い、何の面白みのない人間だと思っていた。
親にすら愛情を持てない。
恋愛など煩わしい。
国民に関心もない。
ただ目の前のことをこなすことで精一杯で。
そんな自分が、いつか国民を統べる立派な国王になれるのか疑問だった。
自分が産まれる前に天空から月が消え。
産まれた後に再び月が現れた。
ただそれだけの理由で”神の愛し子”と称され。
周囲から、実力以上の成果を期待されていると思い込んでいた。
いくら努力をし、何を成し遂げようと。
”神の愛し子”なのだから、出来て当たり前のように見られているものだと。
しかし、”道逢の儀”により異世界の扉が開き。
運命のツガイと出逢ったことにより。
俺はもう一度、産まれ変わったのだ。
*****
愛しいツガイをひと目見て。
様々な感情が身の内に溢れてくるのを感じた。
愛しく思う心。
優しく、大事に可愛がりたい保護欲。
この腕に抱きたい肉欲。
だが、覚えたのは良い感情ばかりでなく。
誰の目にも触れさせず、閉じ込めてしまいたい独占欲。
失うことを思うと胸を去来する寂しさ、孤独感。
嫉妬や、その苦しみなども知ったが。
それにより、また更にスオウへの愛情が深まった。
異世界の英知だけでなく。
スオウは俺に、様々なことを教えてくれたのだ。
思えば、それまでの自分は抜け殻のようなものだった。
俺は、スオウに会うためにこの世に産まれてきたのだと感じた。
実際、俺はスオウと出逢うために。
異世界で眠っていた時間神の魂を迎えに行くため、この世に産まれた人間だった。
スオウが異世界に行った時間神クロノスの魂を持って生まれ。
自分が愛する時間神を失い、その孤独に耐え切れず転生した月神リュカオンであると判明した。
愛しいツガイが腕の中にいても。
またどこかへいなくなってしまいそうで。
気が狂いそうなほど不安になる、この気持ちが。
どこからやって来る感情なのか、ようやく理解できた。
目の前で、スオウが次元の扉を開くのを見た。
その気になれば、いつでもどこにでも行けるのだ。
俺を置いて。
月神であった記憶は無く。
喪失感で不安になる俺の心を、スオウは慰めてくれた。
どこにも行かない、自分の意思で俺の傍に居るのだと。
不安に陥る度に、何度も言ってくれた。
情けない限りだが。
スオウは弱みを見せてくれて嬉しい、と微笑んだ。
夫婦なのだから、足りない部分は補い合い、支え合えばいいと教えてくれたのだ。
自分が、思っていたよりも周囲の愛情に恵まれていた事にも気付いた。
日々の生活を支えてくれた家族、臣下、友人。
皆、何か心が動かされることがあればいいと心配してくれていたこと。
そんな人の心のあたたかさを。
気付かせてくれたのは、スオウだ。
俺は生涯、命が尽きるまで。
スオウを愛し続ける。
*****
最愛のツガイと運命の出会いを果たして、3年の月日が流れた。
スオウのいた世界では、20歳を迎えたら皆、”成人式”というものをして祝うようだ。
酒もやっと解禁だと喜んでいた。
こちらでは16で成人なので、こちらの決まりに合わせても構わないと思うのだが。
俺の可愛いツガイは生真面目な性格なのだ。
そこがまた、愛らしい。
20歳になるのに、スオウは出逢った時と変わらぬ愛らしさだ。
無垢な子猫の瞳で見つめられると。
夫婦の営みだというのに、何かよからぬ行いをしているような、後ろめたい気になってしまう。
スオウの20歳を寿ぐ宴には、全国から王族が集まって来た。
王妃の誕生祝いに国王が直参するなど前代未聞である。
先日ノーティオ国王となったアドニスだけでなく、アナトリコ国王レオニダス、ディティコ国王セルジオスまで。
セルジオスなど、騎士学校時代から俺の命を狙っていた過去など忘れたかのように、旧友の如く声を掛けてくるようになった。
レオニダスはすっかり牙を抜かれてスオウに夢中である。
それも当然か。
俺のツガイはあまりに魅力的過ぎるのだから。
*****
「ゼノン、これは俺から二人へのお祝いだよ」
アドニスが、酒瓶を渡してきた。
素焼きの瓶で、中身は見えないが。
「そろそろ刺激的なのも欲しい頃かなって。ふっふっふっ、猫族には覿面だよ~」
「毒ではないだろうな?」
「俺がそんな物騒なもん渡すと思う? ……アレだよアレ。大丈夫、翌日まで残るものじゃないよ。常用性もない」
意味深な視線を寄越された。
アレ?
媚薬の類か?
慣らすのに使用している香油には、痛み止めやそれらしき作用のものはあるが。
「今までそういった物に手を出したことは無かった」
「だと思った! 真面目だもんな」
背中を叩かれた。
アドニスの遠慮のない態度は出会ってから変わらない。
この親友には随分と助けられてきた。
それに気付けたことを嬉しく思う。
「ま、ゼノンはまだまだ道具を使うより自分でしたいだろうから玩具はまた今度な」
「玩具? 俺はもう30になるし、さすがに玩具などで遊ばんぞ?」
ぶほっ、と噴き出す声が聞こえたと思えば。
会話を盗み聞いていたらしいレオニダスとデメトリが背を震わせて笑っていた。
何だ?
言いたいことがあれば直接言え。
*****
「これ、美味しいねえ?」
スオウはサンパニア一杯で真っ赤な顔をしていた。
サンパニアは度数も低く、甘くて口当たりが良い発泡酒なので初心者向けにいいかと思い、出したのだが。
ご機嫌な様子で人に酒を薦めている。
「ほら、みんなも飲んで飲んで。えへへ、楽しいねえ」
愛らしい満面の笑みに、皆も笑顔になる。
本日の宴に供されている酒は、豊穣神ファウナの加護をこれでもかというほど受けた果実で作られている。
豊穣神の眷属である酒神ディオニュソスの加護も得、酒も過去最高の出来で、飛ぶように売れた。
今日のスオウの祝いの為に、樽を確保していたのだが。
この勢いではすぐに招待客の胃袋に消えそうだ。
「ゼノン、それ何~?」
スオウが俺が持っている瓶に興味を示した。
酒瓶には入っているが、これは媚薬だ。
ここで飲ませる訳にはいかない。
「おさけ?」
こてん、と小首を傾げる仕草を見て、皆が悶える。
それも宜なるかな。
思わず悶えてしまうほど、スオウは可愛すぎてたまらないのだから。
「うん、お酒。アクティンディアって知ってる? 大人になったお祝いだよ!」
アドニスがいい笑顔で酒瓶の中身を暴露した。
アクティンディアだと!?
*****
「何だ、それは?」
聞いたことがない言葉だが。
南方の特産物だろうか?
アドニスが意味深な言い方をするので、てっきり媚薬の類かと思ったのだが。
それは勘違いで、媚薬ではなかったのか?
スオウが愛らしく、はーい、と手を挙げた。
「俺しってるー。キウイとかの仲間の植物だよ。猫がマタタビのにおいをかぐと、酔っぱらっちゃうんだよ。ね~?」
「よく知ってるねえ、キウイも好き?」
「酸っぱいのはやー」
アドニスはじゃあ甘く実ったのを贈るね、と言ってる。
いつもスオウの好物を送ってもらってありがたいのだが。
奥方が睨んでいるぞ。獅子族の女は嫉妬深いのだ。
「つまり、酒のようなものなのか?」
皆、妙な顔で頷いているので、そういった効用のものらしい。
成程。
植物で作った香草酒の類か。
匂いだけで酔ってしまうとは、かなり強力な効果があるようだ。
酒に漬けられているのでは、更に効果が高まるのでは?
今日はすでに酔っているし、味見はさせない方がいいだろう。
後には残らないと言ったが。
スオウの身は、万が一の危険からも遠ざけたい。
*****
「でも、かいだことないや。どんな匂いなの?」
と好奇心で目をきらきらさせて俺に摺り寄ってくるスオウは。
酒精のせいだろうか。
いつになく色香が漂っている。
うなじから立ちのぼるツガイの匂いに、くらくらしてきた。
「スオウはもう充分酔っているようだし、今日はやめておこう」
これ以上色っぽいスオウの姿を他人に見せたくない。
「別に、匂いを嗅ぐくらいなら大丈夫だよ?」
アドニスは軽く言うが。
自分で試したことがあるのだろうか?
虎族や獅子族にも効果があるのか?
特定の種族にしか効かないとは、不思議な植物だな。
「匂いをかぐぐらい、いいじゃん。何で意地悪すんの?」
愛しいツガイから、子猫のような瞳を潤ませて見上げられると。
罪悪感で胸が痛くなる。
意地悪などではなく。
俺はスオウのためと思い、言っているのだが。
「俺のこと、きらいになったの?」
「そんな訳があるか! スオウを嫌うことなど、万が一にも無い!」
すん、と鼻を鳴らしたスオウを、ぎゅっと抱き締める。
「じゃあ、俺のこと愛してるって言って?」
ふにゃ、と可愛く微笑んだ。
何故そうなる!?
いや、酔っ払いに論理的な発言を望んでも無駄だ。
何故なら、酔っているのだから。
「んな~、言えよぉ~」
胸板に、ぐりぐりと頭を押し付けてくる愛らしいツガイを抱き締めて。
安心させるように言う。
嘘偽りない、心からの言葉を。
「愛している、スオウ。貴方だけが私の生きる糧だ。貴方の他には何もいらぬほど。生涯貴方だけを愛すると誓う」
*****
「スオウ……?」
寝てしまったのか。
すやすやと寝息を立てている。
人に言うだけ言わせておいて。まったく、仕方のないツガイだ。
そこがまた、たまらなく可愛いのだが。
幼子のような寝顔に、思わず笑みがこぼれる。
気付けば皆、にやにやと笑みを浮かべながらこっちを見ていた。
ツガイに愛を告げることを恥じる謂れは無いが。
揶揄われるのは御免だ。
完全に体重を預けてきているスオウを抱え直し。
皆に向け、礼をする。
「本日の主役であるスオウもこの通りだ。今日の宴はこの辺りでお開きとしよう。皆、我が妃のために遠方より御足労かけたこと、心より感謝する」
「え~、もう?」
不満の声を上げたのはアドニスだ。
お前もいい加減酔ってるのではないのか?
飲み足りない者は、このまま飲んでいてかまわない、と告げると。
喜びの声が上がった。
この時点で帰る者は居ないようだ。
城の倉庫にある酒樽が全て空になりそうだが。
最愛の妃であるスオウの誕生祝いだ。
皆にも満足して帰って欲しい。
*****
スオウを寝台に寝かせ。
アクティンディアの瓶を机の上に置いた。
酒を飲んでいるため、風呂には入れられないが。
綺麗好きなスオウのために身体を拭いてやろうと思い、温水を溜めた盥と手拭いを手に戻ってきたら。
いつの間に目が覚めたか。
スオウは両手で酒瓶を持ち、こくこくと中身を飲んでいたのだった。
その様は、大変愛らしかったが。
中身がよくない。
酒も過ぎれば毒になるものだ。
「こら、あまり飲むんじゃない」
たしなめて、酒瓶を取り上げると。
スオウは瞳を潤ませて見上げてきた。
「んにゃー、飲みたりにゃいのに~。ゼノンのけちー。でも好きー」
にゃ?
今、にゃと言ったか。
猫のように。
その上。
でも、好きだと言ったか?
あまりの可愛さに、思考停止しそうになった。
思わず、反射的に猫にするように喉の辺りをくすぐってやると。
可愛らしく、ごろごろと懐いてくるではないか。
アクティンディアで酔うと、猫としての本能が強まるのか?
*****
「なんか、ヘンにゃの……」
桃色に頬を染め、色っぽい表情で見上げられて。
どきりとした。
ツガイとなって3年も経つというのに。
毎日の如く、スオウの新たな魅力に気付かされ、魅了されてしまう。
「スオウ? な、何を……、」
ごそごそと、股間を探られて。
ツガイの可愛さに反応してしていたものを取り出され、愛らしい手に握られる。
何と積極的な。
「硬ぁい。俺ね、これでお腹ごりごりされるの、すき」
恥じらいがちで。
理性を飛ばさない限り、普段滅多にそういった言葉を口に出さないスオウが。
俺のものを手に取り。
愛しげに頬ずりするとは……!
何という、視覚的暴力か……!
「あ、またおっきくなった」
嬉しそうに笑った。
まさか。
これが、アクティンディアの効果なのか……!?
アドニスに、心から感謝を贈ろうと思った。
*****
「ゼノンにぺろぺろされるの、だぁい好き。だから、俺もしてあげるね?」
そう言って。
「……うっ、」
その可愛らしい唇ではむ、と先端を食まれた。
ただ触れられるだけでも、充分嬉しいというのに。
そんなことをされてはたまらない。
スオウは大量に噴き出した先走りを、懸命にぺろぺろと舐めている。
俺にとってスオウの精は甘く感じるのだが。
俺のは、どう感じているのだろう?
「きもちい?」
上目遣いでこちらを見上げられ。
「ああ、スオウ……!」
たまらず、スオウを寝台に押し倒した。
下着を引きずり下ろし。
やわらかな双丘の間に指を差し入れる。
「やー、俺がゼノンをきもちよくしてやりたいの~、」
拗ねた顔も、もがく仕草も。
もう、破壊的に可愛い。
これ以上可愛らしいことを言われたら。
なけなしの理性が地平の彼方へと飛んでしまう。
華奢な身体を壊してしまうほど抱いてしまうのはいけない。
これ以上、愛らしい言葉を言わせないように。
ツガイの唇を、己の口で塞いだ。
*****
「にゃあん、」
スオウは甘い声で鳴き。
腰を高く上げて、尾をぴんと立てている。
普段なら恥じらって嫌がり、尾で叩かれるのに。
小さな孔の周囲を舐め、襞を解くように舌を這わせても、素直に快楽を口にするだけだった。
「……は、あん、おしり、きもちいいよぉ、」
淫らに腰をくねらせる。
「ぁん、ゼノン、もっと、ぺろぺろして? 中、舌入れて、くちゅくちゅされるの、好きぃ、」
ああ。舌で愛撫されるのがそんなに好きだったとは。
今まで気付かなくて、悪いことをした。
愛しいツガイが感じてくれて、とても嬉しい。
「ね、もっと奥ぅ、ゼノンのおっきくて硬いので、お腹、ごりごりして?」
甘く誘われて。
可愛いおねだり通り、はち切れそうなそれを、愛撫でしっとりとやわらかく解けた蕾に挿入する。
「んにゃあ!?」
尾がぶわっと膨らむ。
入り口を、きゅっと締め付けられる。
「……あっ、にゃ、あぁん、」
身体をひくひく震わせながら、射精している。
先端を挿入しただけで。
射精してしまうほど、感じているのだ。
初めてスオウと身体を重ねた時の感動を思い出す。
それまで他人に性的な興味を抱くこともなかったし、知識もあまり無かったが。
何故か、ツガイの抱き方は知っていた。
忘れているという、月神の知識だろうか?
神は全ての叡智を備えているという。
……しかし、時間神の全ての記憶を思い出したはずのスオウにもわからないことはあるようなので、神の知識にも限りがあるのかもしれない。
俺は、スオウが良ければそれでいい。
*****
「あ、ああっ、あん、」
細い腰を掴み。スオウの好きなこれで、腹の中を突き上げながら掻き回してやる。
悦すぎるのか、精がぽたぽた垂れ、敷布をしとどに濡らしている。
手を前に回し。
皮から顔を出した、精で濡れた愛らしい性器を、捏ねるように愛撫する。
トゲを逆撫でされると感じるのはわかっている。
口に含むとさすがにチクチクするが。魚の骨よりは硬くないのでそれほど気にならない。
俺の拙い口淫で感じてくれた喜びのほうが上回る。
今までは、ただ求めるまま抱いていたが。
スオウは満足しているのだろうか?
毎夜欲しがってしまうからか、スオウから誘われたことは無かった。
このように積極的に誘われたのは、今日が初めてだ。
記念すべき20歳の誕生日に、スオウから求められるとは。何という幸福だろう。
俺が祝いをもらってどうする。
否、スオウも感じているので、お互い様と思うべきか……?
アドニスは、3年経つのでそろそろ刺激的なのはどうかと言った。
通常ならば、飽きる頃なのかもしれない。
だからアクティンディアを寄越したのだ。
俺は飽きる気が全くしないのだが。
今日のスオウは、素直に感じる場所を教えてくれるので、その通りにすれば気持ち良さそうにしてくれる。
これは喜ばしい。
これからは俺も、スオウに飽きられないよう、世俗の色々を学ばねばならない。
だが、今は。
可愛いツガイを、もっと気持ち良くしてやることに集中しよう。
*****
「はぁん、あん、あっ、い、きもちい、」
可愛く喘ぐ姿。
最高の眺めである。
スオウが俺の腰に跨り、俺のものを奥まで受け入れ。
自ら食むように腰を振っている。
あんな小さな孔。
この少年のように細い身体に俺の全てが収まっているのが不思議でしかたない。
半日経てば、未だに初めての時のようにきつく閉ざされてしまうので、これが収まるくらい慣らすまで、多少時間が掛かるが。
反応が愛らしいので、その行程すら愉しめる。
「ひぁ、あん、にゃあん、」
小刻みに腰を揺らしてやり。
たまにぐい、と突き上げる動きをする。
その度に、甘い声で鳴くのがたまらない。
「ゼノン、ここ、ぐにぐにして?」
背を反り。
胸を突き出すような恰好をして、ねだられる。
桃色で愛らしい乳首は、今は収穫を待つ果実のように紅く熟れ。ぷくりと膨らんでいる。
「どちらの果実を弄ればいい?」
「どっちも、して?」
「どちらもか。欲張りなにゃんこめ」
スオウの腰を掴み。
おねだり通り、親指で乳首を刺激してやれば、きゅうきゅうと中を絞られる。
もはや最高以外の感想が出ない。
己の語彙の少なさが歯がゆい。
ああ、だが。
最高だ……!
*****
「ゼノン、おく、奥に、いっぱい出して?」
最高最愛のツガイから、愛らしくも淫らにねだられ。
根元が膨らんでゆくのがわかる。
「ああ……奥に、出すぞ、」
「ひぁん!?」
溜め込んだ精が、勢いよく迸った。
子は孕まなくていいが。
俺の精は、この薄い腹が孕むほど注ぎ込みたい。
俺の、俺だけのツガイだと実感したい。
同じ男であるスオウに、こんな歪んだ欲望を押し付けて。
申し訳ない気持ちはあるのだが。
「ふぁ、……ゼノンの、いっぱい出てる」
スオウは幸せそうに微笑んだ。
「ゼノン、愛してるよ」
「ああ。スオウ、愛している。俺の可愛い子猫」
スオウは世界で一番愛らしい上に色っぽく。
最高なのは容姿だけではない。
驚くほど心が広く、慈悲深い。
こんな最高のツガイを得た俺は何と幸せなのか。
昨日より今日、今日より明日。
もっとスオウを好きになるに決まっている。
これ以上好きにさせて。俺をどうするつもりなのだ。
罪作りなにゃんこめ。
*****
世界で一番可愛い寝顔を眺めていたら。
ゆっくりと瞼が開いた。
曖昧であったその視線が、俺の姿を捉える。
とても幸せだ。
「おはよう。愛する王妃、俺のスオウ」
「おはよ。……なんか変な夢見た」
くぁ、と可愛く欠伸をして。
滲んだスオウの涙を舐め取ってやる。
涙も甘い。
スオウは全身砂糖菓子で出来ているのに違いない。
「変な夢とは?」
「んー、マタタビ酒飲んで、ゼノンに甘える夢?」
「それのどこが変なのだ」
「変だよ。普段しないようなことし……、」
スオウの視線が。
ふと、机の上の酒瓶を捉えた。
「にゃ~~~~~~~!?」
べし、と顔面を叩かれた。
痛くは無かったが。
鳴き声も可愛かったが。
何故。
「ゼノンのエロ狼! エッチ! スケベ! バカー!」
上掛けを被って潜り込んでしまった。
エッチ、スケベとは何だ?
あちらの言葉だろうか。
俺がいやらしいのは、否定しない。
相手はスオウのみ限定で事実であるが。
何故、俺が責められねばならないのか。
理不尽である。
*****
結局、スオウが上掛けから出て来るのに半日かかってしまった。
酔っていた時の記憶があり、恥ずかしかったようだ。
可愛いので、理不尽でも許そう。
スオウは、もう酒はこりごりだと言って。
アクティンディアは厳重に封印したのち、地下貯蔵庫に仕舞われた。
可愛いツガイの、珍しく性に 奔放な姿も良かったが。
もうしばらく恥じらう初々しさを愉しみたいので、それはそれで良いと思う。
俺にとっては、どんなスオウでも愛しいのだから。
おしまい
自分は一生何かに心を動かされることも無い、何の面白みのない人間だと思っていた。
親にすら愛情を持てない。
恋愛など煩わしい。
国民に関心もない。
ただ目の前のことをこなすことで精一杯で。
そんな自分が、いつか国民を統べる立派な国王になれるのか疑問だった。
自分が産まれる前に天空から月が消え。
産まれた後に再び月が現れた。
ただそれだけの理由で”神の愛し子”と称され。
周囲から、実力以上の成果を期待されていると思い込んでいた。
いくら努力をし、何を成し遂げようと。
”神の愛し子”なのだから、出来て当たり前のように見られているものだと。
しかし、”道逢の儀”により異世界の扉が開き。
運命のツガイと出逢ったことにより。
俺はもう一度、産まれ変わったのだ。
*****
愛しいツガイをひと目見て。
様々な感情が身の内に溢れてくるのを感じた。
愛しく思う心。
優しく、大事に可愛がりたい保護欲。
この腕に抱きたい肉欲。
だが、覚えたのは良い感情ばかりでなく。
誰の目にも触れさせず、閉じ込めてしまいたい独占欲。
失うことを思うと胸を去来する寂しさ、孤独感。
嫉妬や、その苦しみなども知ったが。
それにより、また更にスオウへの愛情が深まった。
異世界の英知だけでなく。
スオウは俺に、様々なことを教えてくれたのだ。
思えば、それまでの自分は抜け殻のようなものだった。
俺は、スオウに会うためにこの世に産まれてきたのだと感じた。
実際、俺はスオウと出逢うために。
異世界で眠っていた時間神の魂を迎えに行くため、この世に産まれた人間だった。
スオウが異世界に行った時間神クロノスの魂を持って生まれ。
自分が愛する時間神を失い、その孤独に耐え切れず転生した月神リュカオンであると判明した。
愛しいツガイが腕の中にいても。
またどこかへいなくなってしまいそうで。
気が狂いそうなほど不安になる、この気持ちが。
どこからやって来る感情なのか、ようやく理解できた。
目の前で、スオウが次元の扉を開くのを見た。
その気になれば、いつでもどこにでも行けるのだ。
俺を置いて。
月神であった記憶は無く。
喪失感で不安になる俺の心を、スオウは慰めてくれた。
どこにも行かない、自分の意思で俺の傍に居るのだと。
不安に陥る度に、何度も言ってくれた。
情けない限りだが。
スオウは弱みを見せてくれて嬉しい、と微笑んだ。
夫婦なのだから、足りない部分は補い合い、支え合えばいいと教えてくれたのだ。
自分が、思っていたよりも周囲の愛情に恵まれていた事にも気付いた。
日々の生活を支えてくれた家族、臣下、友人。
皆、何か心が動かされることがあればいいと心配してくれていたこと。
そんな人の心のあたたかさを。
気付かせてくれたのは、スオウだ。
俺は生涯、命が尽きるまで。
スオウを愛し続ける。
*****
最愛のツガイと運命の出会いを果たして、3年の月日が流れた。
スオウのいた世界では、20歳を迎えたら皆、”成人式”というものをして祝うようだ。
酒もやっと解禁だと喜んでいた。
こちらでは16で成人なので、こちらの決まりに合わせても構わないと思うのだが。
俺の可愛いツガイは生真面目な性格なのだ。
そこがまた、愛らしい。
20歳になるのに、スオウは出逢った時と変わらぬ愛らしさだ。
無垢な子猫の瞳で見つめられると。
夫婦の営みだというのに、何かよからぬ行いをしているような、後ろめたい気になってしまう。
スオウの20歳を寿ぐ宴には、全国から王族が集まって来た。
王妃の誕生祝いに国王が直参するなど前代未聞である。
先日ノーティオ国王となったアドニスだけでなく、アナトリコ国王レオニダス、ディティコ国王セルジオスまで。
セルジオスなど、騎士学校時代から俺の命を狙っていた過去など忘れたかのように、旧友の如く声を掛けてくるようになった。
レオニダスはすっかり牙を抜かれてスオウに夢中である。
それも当然か。
俺のツガイはあまりに魅力的過ぎるのだから。
*****
「ゼノン、これは俺から二人へのお祝いだよ」
アドニスが、酒瓶を渡してきた。
素焼きの瓶で、中身は見えないが。
「そろそろ刺激的なのも欲しい頃かなって。ふっふっふっ、猫族には覿面だよ~」
「毒ではないだろうな?」
「俺がそんな物騒なもん渡すと思う? ……アレだよアレ。大丈夫、翌日まで残るものじゃないよ。常用性もない」
意味深な視線を寄越された。
アレ?
媚薬の類か?
慣らすのに使用している香油には、痛み止めやそれらしき作用のものはあるが。
「今までそういった物に手を出したことは無かった」
「だと思った! 真面目だもんな」
背中を叩かれた。
アドニスの遠慮のない態度は出会ってから変わらない。
この親友には随分と助けられてきた。
それに気付けたことを嬉しく思う。
「ま、ゼノンはまだまだ道具を使うより自分でしたいだろうから玩具はまた今度な」
「玩具? 俺はもう30になるし、さすがに玩具などで遊ばんぞ?」
ぶほっ、と噴き出す声が聞こえたと思えば。
会話を盗み聞いていたらしいレオニダスとデメトリが背を震わせて笑っていた。
何だ?
言いたいことがあれば直接言え。
*****
「これ、美味しいねえ?」
スオウはサンパニア一杯で真っ赤な顔をしていた。
サンパニアは度数も低く、甘くて口当たりが良い発泡酒なので初心者向けにいいかと思い、出したのだが。
ご機嫌な様子で人に酒を薦めている。
「ほら、みんなも飲んで飲んで。えへへ、楽しいねえ」
愛らしい満面の笑みに、皆も笑顔になる。
本日の宴に供されている酒は、豊穣神ファウナの加護をこれでもかというほど受けた果実で作られている。
豊穣神の眷属である酒神ディオニュソスの加護も得、酒も過去最高の出来で、飛ぶように売れた。
今日のスオウの祝いの為に、樽を確保していたのだが。
この勢いではすぐに招待客の胃袋に消えそうだ。
「ゼノン、それ何~?」
スオウが俺が持っている瓶に興味を示した。
酒瓶には入っているが、これは媚薬だ。
ここで飲ませる訳にはいかない。
「おさけ?」
こてん、と小首を傾げる仕草を見て、皆が悶える。
それも宜なるかな。
思わず悶えてしまうほど、スオウは可愛すぎてたまらないのだから。
「うん、お酒。アクティンディアって知ってる? 大人になったお祝いだよ!」
アドニスがいい笑顔で酒瓶の中身を暴露した。
アクティンディアだと!?
*****
「何だ、それは?」
聞いたことがない言葉だが。
南方の特産物だろうか?
アドニスが意味深な言い方をするので、てっきり媚薬の類かと思ったのだが。
それは勘違いで、媚薬ではなかったのか?
スオウが愛らしく、はーい、と手を挙げた。
「俺しってるー。キウイとかの仲間の植物だよ。猫がマタタビのにおいをかぐと、酔っぱらっちゃうんだよ。ね~?」
「よく知ってるねえ、キウイも好き?」
「酸っぱいのはやー」
アドニスはじゃあ甘く実ったのを贈るね、と言ってる。
いつもスオウの好物を送ってもらってありがたいのだが。
奥方が睨んでいるぞ。獅子族の女は嫉妬深いのだ。
「つまり、酒のようなものなのか?」
皆、妙な顔で頷いているので、そういった効用のものらしい。
成程。
植物で作った香草酒の類か。
匂いだけで酔ってしまうとは、かなり強力な効果があるようだ。
酒に漬けられているのでは、更に効果が高まるのでは?
今日はすでに酔っているし、味見はさせない方がいいだろう。
後には残らないと言ったが。
スオウの身は、万が一の危険からも遠ざけたい。
*****
「でも、かいだことないや。どんな匂いなの?」
と好奇心で目をきらきらさせて俺に摺り寄ってくるスオウは。
酒精のせいだろうか。
いつになく色香が漂っている。
うなじから立ちのぼるツガイの匂いに、くらくらしてきた。
「スオウはもう充分酔っているようだし、今日はやめておこう」
これ以上色っぽいスオウの姿を他人に見せたくない。
「別に、匂いを嗅ぐくらいなら大丈夫だよ?」
アドニスは軽く言うが。
自分で試したことがあるのだろうか?
虎族や獅子族にも効果があるのか?
特定の種族にしか効かないとは、不思議な植物だな。
「匂いをかぐぐらい、いいじゃん。何で意地悪すんの?」
愛しいツガイから、子猫のような瞳を潤ませて見上げられると。
罪悪感で胸が痛くなる。
意地悪などではなく。
俺はスオウのためと思い、言っているのだが。
「俺のこと、きらいになったの?」
「そんな訳があるか! スオウを嫌うことなど、万が一にも無い!」
すん、と鼻を鳴らしたスオウを、ぎゅっと抱き締める。
「じゃあ、俺のこと愛してるって言って?」
ふにゃ、と可愛く微笑んだ。
何故そうなる!?
いや、酔っ払いに論理的な発言を望んでも無駄だ。
何故なら、酔っているのだから。
「んな~、言えよぉ~」
胸板に、ぐりぐりと頭を押し付けてくる愛らしいツガイを抱き締めて。
安心させるように言う。
嘘偽りない、心からの言葉を。
「愛している、スオウ。貴方だけが私の生きる糧だ。貴方の他には何もいらぬほど。生涯貴方だけを愛すると誓う」
*****
「スオウ……?」
寝てしまったのか。
すやすやと寝息を立てている。
人に言うだけ言わせておいて。まったく、仕方のないツガイだ。
そこがまた、たまらなく可愛いのだが。
幼子のような寝顔に、思わず笑みがこぼれる。
気付けば皆、にやにやと笑みを浮かべながらこっちを見ていた。
ツガイに愛を告げることを恥じる謂れは無いが。
揶揄われるのは御免だ。
完全に体重を預けてきているスオウを抱え直し。
皆に向け、礼をする。
「本日の主役であるスオウもこの通りだ。今日の宴はこの辺りでお開きとしよう。皆、我が妃のために遠方より御足労かけたこと、心より感謝する」
「え~、もう?」
不満の声を上げたのはアドニスだ。
お前もいい加減酔ってるのではないのか?
飲み足りない者は、このまま飲んでいてかまわない、と告げると。
喜びの声が上がった。
この時点で帰る者は居ないようだ。
城の倉庫にある酒樽が全て空になりそうだが。
最愛の妃であるスオウの誕生祝いだ。
皆にも満足して帰って欲しい。
*****
スオウを寝台に寝かせ。
アクティンディアの瓶を机の上に置いた。
酒を飲んでいるため、風呂には入れられないが。
綺麗好きなスオウのために身体を拭いてやろうと思い、温水を溜めた盥と手拭いを手に戻ってきたら。
いつの間に目が覚めたか。
スオウは両手で酒瓶を持ち、こくこくと中身を飲んでいたのだった。
その様は、大変愛らしかったが。
中身がよくない。
酒も過ぎれば毒になるものだ。
「こら、あまり飲むんじゃない」
たしなめて、酒瓶を取り上げると。
スオウは瞳を潤ませて見上げてきた。
「んにゃー、飲みたりにゃいのに~。ゼノンのけちー。でも好きー」
にゃ?
今、にゃと言ったか。
猫のように。
その上。
でも、好きだと言ったか?
あまりの可愛さに、思考停止しそうになった。
思わず、反射的に猫にするように喉の辺りをくすぐってやると。
可愛らしく、ごろごろと懐いてくるではないか。
アクティンディアで酔うと、猫としての本能が強まるのか?
*****
「なんか、ヘンにゃの……」
桃色に頬を染め、色っぽい表情で見上げられて。
どきりとした。
ツガイとなって3年も経つというのに。
毎日の如く、スオウの新たな魅力に気付かされ、魅了されてしまう。
「スオウ? な、何を……、」
ごそごそと、股間を探られて。
ツガイの可愛さに反応してしていたものを取り出され、愛らしい手に握られる。
何と積極的な。
「硬ぁい。俺ね、これでお腹ごりごりされるの、すき」
恥じらいがちで。
理性を飛ばさない限り、普段滅多にそういった言葉を口に出さないスオウが。
俺のものを手に取り。
愛しげに頬ずりするとは……!
何という、視覚的暴力か……!
「あ、またおっきくなった」
嬉しそうに笑った。
まさか。
これが、アクティンディアの効果なのか……!?
アドニスに、心から感謝を贈ろうと思った。
*****
「ゼノンにぺろぺろされるの、だぁい好き。だから、俺もしてあげるね?」
そう言って。
「……うっ、」
その可愛らしい唇ではむ、と先端を食まれた。
ただ触れられるだけでも、充分嬉しいというのに。
そんなことをされてはたまらない。
スオウは大量に噴き出した先走りを、懸命にぺろぺろと舐めている。
俺にとってスオウの精は甘く感じるのだが。
俺のは、どう感じているのだろう?
「きもちい?」
上目遣いでこちらを見上げられ。
「ああ、スオウ……!」
たまらず、スオウを寝台に押し倒した。
下着を引きずり下ろし。
やわらかな双丘の間に指を差し入れる。
「やー、俺がゼノンをきもちよくしてやりたいの~、」
拗ねた顔も、もがく仕草も。
もう、破壊的に可愛い。
これ以上可愛らしいことを言われたら。
なけなしの理性が地平の彼方へと飛んでしまう。
華奢な身体を壊してしまうほど抱いてしまうのはいけない。
これ以上、愛らしい言葉を言わせないように。
ツガイの唇を、己の口で塞いだ。
*****
「にゃあん、」
スオウは甘い声で鳴き。
腰を高く上げて、尾をぴんと立てている。
普段なら恥じらって嫌がり、尾で叩かれるのに。
小さな孔の周囲を舐め、襞を解くように舌を這わせても、素直に快楽を口にするだけだった。
「……は、あん、おしり、きもちいいよぉ、」
淫らに腰をくねらせる。
「ぁん、ゼノン、もっと、ぺろぺろして? 中、舌入れて、くちゅくちゅされるの、好きぃ、」
ああ。舌で愛撫されるのがそんなに好きだったとは。
今まで気付かなくて、悪いことをした。
愛しいツガイが感じてくれて、とても嬉しい。
「ね、もっと奥ぅ、ゼノンのおっきくて硬いので、お腹、ごりごりして?」
甘く誘われて。
可愛いおねだり通り、はち切れそうなそれを、愛撫でしっとりとやわらかく解けた蕾に挿入する。
「んにゃあ!?」
尾がぶわっと膨らむ。
入り口を、きゅっと締め付けられる。
「……あっ、にゃ、あぁん、」
身体をひくひく震わせながら、射精している。
先端を挿入しただけで。
射精してしまうほど、感じているのだ。
初めてスオウと身体を重ねた時の感動を思い出す。
それまで他人に性的な興味を抱くこともなかったし、知識もあまり無かったが。
何故か、ツガイの抱き方は知っていた。
忘れているという、月神の知識だろうか?
神は全ての叡智を備えているという。
……しかし、時間神の全ての記憶を思い出したはずのスオウにもわからないことはあるようなので、神の知識にも限りがあるのかもしれない。
俺は、スオウが良ければそれでいい。
*****
「あ、ああっ、あん、」
細い腰を掴み。スオウの好きなこれで、腹の中を突き上げながら掻き回してやる。
悦すぎるのか、精がぽたぽた垂れ、敷布をしとどに濡らしている。
手を前に回し。
皮から顔を出した、精で濡れた愛らしい性器を、捏ねるように愛撫する。
トゲを逆撫でされると感じるのはわかっている。
口に含むとさすがにチクチクするが。魚の骨よりは硬くないのでそれほど気にならない。
俺の拙い口淫で感じてくれた喜びのほうが上回る。
今までは、ただ求めるまま抱いていたが。
スオウは満足しているのだろうか?
毎夜欲しがってしまうからか、スオウから誘われたことは無かった。
このように積極的に誘われたのは、今日が初めてだ。
記念すべき20歳の誕生日に、スオウから求められるとは。何という幸福だろう。
俺が祝いをもらってどうする。
否、スオウも感じているので、お互い様と思うべきか……?
アドニスは、3年経つのでそろそろ刺激的なのはどうかと言った。
通常ならば、飽きる頃なのかもしれない。
だからアクティンディアを寄越したのだ。
俺は飽きる気が全くしないのだが。
今日のスオウは、素直に感じる場所を教えてくれるので、その通りにすれば気持ち良さそうにしてくれる。
これは喜ばしい。
これからは俺も、スオウに飽きられないよう、世俗の色々を学ばねばならない。
だが、今は。
可愛いツガイを、もっと気持ち良くしてやることに集中しよう。
*****
「はぁん、あん、あっ、い、きもちい、」
可愛く喘ぐ姿。
最高の眺めである。
スオウが俺の腰に跨り、俺のものを奥まで受け入れ。
自ら食むように腰を振っている。
あんな小さな孔。
この少年のように細い身体に俺の全てが収まっているのが不思議でしかたない。
半日経てば、未だに初めての時のようにきつく閉ざされてしまうので、これが収まるくらい慣らすまで、多少時間が掛かるが。
反応が愛らしいので、その行程すら愉しめる。
「ひぁ、あん、にゃあん、」
小刻みに腰を揺らしてやり。
たまにぐい、と突き上げる動きをする。
その度に、甘い声で鳴くのがたまらない。
「ゼノン、ここ、ぐにぐにして?」
背を反り。
胸を突き出すような恰好をして、ねだられる。
桃色で愛らしい乳首は、今は収穫を待つ果実のように紅く熟れ。ぷくりと膨らんでいる。
「どちらの果実を弄ればいい?」
「どっちも、して?」
「どちらもか。欲張りなにゃんこめ」
スオウの腰を掴み。
おねだり通り、親指で乳首を刺激してやれば、きゅうきゅうと中を絞られる。
もはや最高以外の感想が出ない。
己の語彙の少なさが歯がゆい。
ああ、だが。
最高だ……!
*****
「ゼノン、おく、奥に、いっぱい出して?」
最高最愛のツガイから、愛らしくも淫らにねだられ。
根元が膨らんでゆくのがわかる。
「ああ……奥に、出すぞ、」
「ひぁん!?」
溜め込んだ精が、勢いよく迸った。
子は孕まなくていいが。
俺の精は、この薄い腹が孕むほど注ぎ込みたい。
俺の、俺だけのツガイだと実感したい。
同じ男であるスオウに、こんな歪んだ欲望を押し付けて。
申し訳ない気持ちはあるのだが。
「ふぁ、……ゼノンの、いっぱい出てる」
スオウは幸せそうに微笑んだ。
「ゼノン、愛してるよ」
「ああ。スオウ、愛している。俺の可愛い子猫」
スオウは世界で一番愛らしい上に色っぽく。
最高なのは容姿だけではない。
驚くほど心が広く、慈悲深い。
こんな最高のツガイを得た俺は何と幸せなのか。
昨日より今日、今日より明日。
もっとスオウを好きになるに決まっている。
これ以上好きにさせて。俺をどうするつもりなのだ。
罪作りなにゃんこめ。
*****
世界で一番可愛い寝顔を眺めていたら。
ゆっくりと瞼が開いた。
曖昧であったその視線が、俺の姿を捉える。
とても幸せだ。
「おはよう。愛する王妃、俺のスオウ」
「おはよ。……なんか変な夢見た」
くぁ、と可愛く欠伸をして。
滲んだスオウの涙を舐め取ってやる。
涙も甘い。
スオウは全身砂糖菓子で出来ているのに違いない。
「変な夢とは?」
「んー、マタタビ酒飲んで、ゼノンに甘える夢?」
「それのどこが変なのだ」
「変だよ。普段しないようなことし……、」
スオウの視線が。
ふと、机の上の酒瓶を捉えた。
「にゃ~~~~~~~!?」
べし、と顔面を叩かれた。
痛くは無かったが。
鳴き声も可愛かったが。
何故。
「ゼノンのエロ狼! エッチ! スケベ! バカー!」
上掛けを被って潜り込んでしまった。
エッチ、スケベとは何だ?
あちらの言葉だろうか。
俺がいやらしいのは、否定しない。
相手はスオウのみ限定で事実であるが。
何故、俺が責められねばならないのか。
理不尽である。
*****
結局、スオウが上掛けから出て来るのに半日かかってしまった。
酔っていた時の記憶があり、恥ずかしかったようだ。
可愛いので、理不尽でも許そう。
スオウは、もう酒はこりごりだと言って。
アクティンディアは厳重に封印したのち、地下貯蔵庫に仕舞われた。
可愛いツガイの、珍しく性に 奔放な姿も良かったが。
もうしばらく恥じらう初々しさを愉しみたいので、それはそれで良いと思う。
俺にとっては、どんなスオウでも愛しいのだから。
おしまい
あなたにおすすめの小説
ストーカーから逃げ切ったのも束の間、転移後はヤンデレ騎士団に殺されかけている現実!
由汰のらん
ファンタジー
ストーカーから逃げていたある日、ハルは異世界に召喚されてしまう。
しかし神官によれば、どうやらハルは間違って召喚された模様。さらに王子に盾ついてしまったことがきっかけで、ハルは国外追放されてしまう。さらに連行されている道中、魔族に襲われ、ハルの荷馬車は置き去りに。
そのさなか、黒い閃光を放つ騎士が、ハルに取引を持ちかけてきた。
「貴様の血を差し出せ。さすれば助けてやろう。」
やたら態度のでかい騎士は、なんとダンピールだった。しかしハルの血が特殊だと知ったダンピールはハルを連れ帰って?
いっそ美味しい『血』(治癒)と『体液』(バフ)と『癒し』を与えるダンピール騎士団のセラピストを目指します!
処刑エンドの悪役公爵、隠居したいのに溺愛されてます
ひなた翠
BL
目が覚めたら、やり込んだBLゲームの悪役公爵になっていた。
しかも手には鞭。目の前には涙を浮かべた美少年。
——このままじゃ、王太子に処刑される。
前世は冴えない社畜サラリーマン。今世は冷徹な美貌を持つ高位貴族のアルファ。
中身と外見の落差に戸惑う暇もなく、エリオットは処刑回避のための「隠居計画」を立てる。
囚われのオメガ・レオンを王太子カイルに引き渡し、爵位も領地も全部手放して、ひっそり消える——はずだった。
ところが動くほど状況は悪化していく。
レオンを自由にしようとすれば「傍にいたい」と縋りつかれ、
カイルに会えば「お前の匂いは甘い」と迫られ、
隠居を申し出れば「逃げるな」と退路を塞がれる。
しかもなぜか、子供の頃から飲んでいた「ビタミン剤」を忘れるたび、身体がおかしくなる。
周囲のアルファたちの視線が絡みつき、カイルの目の色が変わり——
自分でも知らなかった秘密が暴かれたとき、逃げ場はもう、どこにもなかった。
誰にも愛されなかった男が、異世界で「本当の自分」を知り、運命の番と出会う——
ギャップ萌え×じれったさ×匂いフェチ全開の、オメガバース転生BL。
運命の番は僕に振り向かない
ゆうに
BL
大好きだったアルファの恋人が旅先で運命の番と出会ってしまい、泣く泣く別れた経験があるオメガの千遥。
それ以来、ずっと自分の前にも運命の番があらわれることを切に願っていた。
オメガひとりの生活は苦しく、千遥は仕方なく身体を売って稼ぐことを決心する。
ネットで知り合った相手と待ち合わせ、雑踏の中を歩いている時、千遥は自分の運命の番を見つけた。
ところが視線が確かに合ったのに運命の番は千遥を避けるように去っていく。彼の隣には美しいオメガがいた。
ベータのような平凡な見た目のオメガが主人公です。
ふんわり現代、ふんわりオメガバース、設定がふんわりしてます。
完結しました!ありがとうございました。
人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました
よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、
前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。
獣人が支配する貴族社会。
魔力こそが価値とされ、
「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、
レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。
そんな彼を拾ったのは、
辺境を治める獣人公爵アルト。
寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。
溺愛され、守られ、育てられる日々。
だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。
学院での出会い。
貴族社会に潜む差別と陰謀。
そして「番」という、深く重い絆。
レオンは学び、考え、
自分にしかできない魔法理論を武器に、
少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。
獣人と人族。
価値観も、立場も、すべてが違う二人が、
それでも選び合い、家族になるまでの物語。
溺愛×成長×異世界BL。
読後に残るのは、
「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。
【本編完結済】巣作り出来ないΩくん
こうらい ゆあ
BL
発情期事故で初恋の人とは番になれた。番になったはずなのに、彼は僕を愛してはくれない。
悲しくて寂しい日々もある日終わりを告げる。
心も体も壊れた僕を助けてくれたのは、『運命の番』だと言う彼で…
転生先は猫でした。
秋山龍央
BL
吾輩は猫である。
名前はまだないので、かっこよくてキュートで、痺れるような名前を絶賛募集中である。
……いや、本当になんでこんなことになったんだか!
転生した異世界で猫になった男が、冒険者に拾われて飼い猫になるほのぼのファンタジーコメディ。
人間化あり、主人公攻め。
ゲーム世界の貴族A(=俺)
猫宮乾
BL
妹に頼み込まれてBLゲームの戦闘部分を手伝っていた主人公。完璧に内容が頭に入った状態で、気がつけばそのゲームの世界にトリップしていた。脇役の貴族Aに成り代わっていたが、魔法が使えて楽しすぎた! が、BLゲームの世界だって事を忘れていた。
【完】心配性は異世界で番認定された狼獣人に甘やかされる
おはぎ
BL
起きるとそこは見覚えのない場所。死んだ瞬間を思い出して呆然としている優人に、騎士らしき人たちが声を掛けてくる。何で頭に獣耳…?とポカンとしていると、その中の狼獣人のカイラが何故か優しくて、ぴったり身体をくっつけてくる。何でそんなに気遣ってくれるの?と分からない優人は大きな身体に怯えながら何とかこの別世界で生きていこうとする話。
知らない世界に来てあれこれ考えては心配してしまう優人と、優人が可愛くて仕方ないカイラが溺愛しながら支えて甘やかしていきます。