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魔王転生
こんなの異世界転生じゃない
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玄関はだだっ広く。両側に、螺旋を描くような大きな階段がある。
足もとは高級そうなふかふかの絨毯。
天井には巨大なシャンデリア。
長い廊下の壁には絵画、通路には彫像やらの美術品とかが飾られている。
まさしく、絵に描いたようなTHE・お城である。
勇者は俺の手を取って、まるで淑女をエスコートでもするように城内を歩いている。
王子様然とした立ち居振る舞いと、ゴージャスな美貌。
さらに強くてお金持ちとくりゃ。スケコマシのニオイがプンプンするぜぇ! さすが女殺し千人斬り。そこに痺れる憧れるってか。
……いや、俺はこまされねえからな?
†††
やたら長くて広い廊下を歩いて。
「とりあえずは、この部屋を使ってくれたまえ」
と、部屋に通された。
え? ひと部屋使わしてくれんの? 地下牢とかじゃなく? 俺、名前も名乗ってねえし、レベル1だが、一応魔王なんだぞ?
勇者、いいやつじゃん。そりゃモテるわ。
案内されたのは、畳で言うと百畳くらいはありそうな、やたら広い部屋だった。
ここも床には転んでも痛くなさそうなふかふか絨毯が敷かれていて。女が見たら喜ぶだろう、天蓋つきのベッド。
鏡台、机、ソファーセットはどれも高級そうな彫刻入りだ。
天井には、お約束のように煌びやかなシャンデリア。暖炉には皿とか飾ってある。
奥の扉は、クローゼットか?
……天蓋つきのベッドとか、リアルでは初めて見たぜおい。シャンデリアもそうだが。これが金持ちのスタンダードなのか?
と。
一瞬、見えた光景が信じられず、二度見して。
「……はあ!?」
思わず、鏡台に駆け寄る。
「なんだそりゃあ!?」
声も上げたくなる。
何故ならば。鏡に映った俺の姿かたちは、転生前と全く変わりなく。
結城是清29歳、そのまんまの姿だったのである。
†††
「嘘だろ……?」
愕然と、自分の姿を見ていた。
おいおい、日本人の、ただのオッサンが異世界で魔王とか、誰得なんだよ……?
29はまだオッサンじゃねえ、とかみっともねえ悪あがきはしない。
むしろ早くジジイになりたかった。
いつまでも若僧に間違われるのが屈辱だったし。大人っぽい恰好をしたら余計子供っぽく見られるという悪循環。
弟と歩いてると、弟がお兄ちゃんに間違われるとか日常茶飯事な人生だった。切ねえ。
それはともかく。
魔王に異世界転生っていったら、普通、アレじゃねえの? ファンタジー全開な感じで。
大魔神も黒だったから、髪はまあ、黒でもいいとしよう。
だが、神秘的な紫水晶の瞳とか、禍々しい紅い瞳とか。大魔神みたいに人間離れした金色の瞳とかが魔族の定番じゃねえの?
何で普通の、日本人の目のままなわけ?
魔王なら、容姿も、禍々しくも見目麗しい美丈夫で。背もすらっと高くてさ。もっと、こう……。
何で前世と同じ姿なんだよ!!!
暗黒大魔神、マジしね!!!!!!!!!
勇者はうっとりとした顔で。
魔神への呪いの言葉を心の中で叫んでいた俺の背後に忍び寄ってきていた。
「おお……そのような、小鳥の囀りを思わせる愛らしい声であったとは。もっと聞かせておくれ」
……寝言ぬかしてんじゃねえ。
†††
「もう鳴くのをやめてしまったのかい? 小鳥」
よしよし、とか。頭を撫でくり回してんじゃねえよコラ!
誰が小鳥だ。頭わいてんのか。
いくらアジア人、つうか日本人が欧米人より若く見えるといっても。俺が頭を撫でくりまわされるような年に見えてるわけもないだろうし。
レベルが低いせいか? ネトゲでも、新人を育てるのがシュミとかいう、初心者にやたらサービスしてくれる高レベルプレイヤーがいたっけ。
ギルドに誘って、レベル上げも付き合ってくれた。
そういやあの騎士キャラも、こんな感じのビジュアルだったな。
中の人は大学生っぽかったが。
足もとは高級そうなふかふかの絨毯。
天井には巨大なシャンデリア。
長い廊下の壁には絵画、通路には彫像やらの美術品とかが飾られている。
まさしく、絵に描いたようなTHE・お城である。
勇者は俺の手を取って、まるで淑女をエスコートでもするように城内を歩いている。
王子様然とした立ち居振る舞いと、ゴージャスな美貌。
さらに強くてお金持ちとくりゃ。スケコマシのニオイがプンプンするぜぇ! さすが女殺し千人斬り。そこに痺れる憧れるってか。
……いや、俺はこまされねえからな?
†††
やたら長くて広い廊下を歩いて。
「とりあえずは、この部屋を使ってくれたまえ」
と、部屋に通された。
え? ひと部屋使わしてくれんの? 地下牢とかじゃなく? 俺、名前も名乗ってねえし、レベル1だが、一応魔王なんだぞ?
勇者、いいやつじゃん。そりゃモテるわ。
案内されたのは、畳で言うと百畳くらいはありそうな、やたら広い部屋だった。
ここも床には転んでも痛くなさそうなふかふか絨毯が敷かれていて。女が見たら喜ぶだろう、天蓋つきのベッド。
鏡台、机、ソファーセットはどれも高級そうな彫刻入りだ。
天井には、お約束のように煌びやかなシャンデリア。暖炉には皿とか飾ってある。
奥の扉は、クローゼットか?
……天蓋つきのベッドとか、リアルでは初めて見たぜおい。シャンデリアもそうだが。これが金持ちのスタンダードなのか?
と。
一瞬、見えた光景が信じられず、二度見して。
「……はあ!?」
思わず、鏡台に駆け寄る。
「なんだそりゃあ!?」
声も上げたくなる。
何故ならば。鏡に映った俺の姿かたちは、転生前と全く変わりなく。
結城是清29歳、そのまんまの姿だったのである。
†††
「嘘だろ……?」
愕然と、自分の姿を見ていた。
おいおい、日本人の、ただのオッサンが異世界で魔王とか、誰得なんだよ……?
29はまだオッサンじゃねえ、とかみっともねえ悪あがきはしない。
むしろ早くジジイになりたかった。
いつまでも若僧に間違われるのが屈辱だったし。大人っぽい恰好をしたら余計子供っぽく見られるという悪循環。
弟と歩いてると、弟がお兄ちゃんに間違われるとか日常茶飯事な人生だった。切ねえ。
それはともかく。
魔王に異世界転生っていったら、普通、アレじゃねえの? ファンタジー全開な感じで。
大魔神も黒だったから、髪はまあ、黒でもいいとしよう。
だが、神秘的な紫水晶の瞳とか、禍々しい紅い瞳とか。大魔神みたいに人間離れした金色の瞳とかが魔族の定番じゃねえの?
何で普通の、日本人の目のままなわけ?
魔王なら、容姿も、禍々しくも見目麗しい美丈夫で。背もすらっと高くてさ。もっと、こう……。
何で前世と同じ姿なんだよ!!!
暗黒大魔神、マジしね!!!!!!!!!
勇者はうっとりとした顔で。
魔神への呪いの言葉を心の中で叫んでいた俺の背後に忍び寄ってきていた。
「おお……そのような、小鳥の囀りを思わせる愛らしい声であったとは。もっと聞かせておくれ」
……寝言ぬかしてんじゃねえ。
†††
「もう鳴くのをやめてしまったのかい? 小鳥」
よしよし、とか。頭を撫でくり回してんじゃねえよコラ!
誰が小鳥だ。頭わいてんのか。
いくらアジア人、つうか日本人が欧米人より若く見えるといっても。俺が頭を撫でくりまわされるような年に見えてるわけもないだろうし。
レベルが低いせいか? ネトゲでも、新人を育てるのがシュミとかいう、初心者にやたらサービスしてくれる高レベルプレイヤーがいたっけ。
ギルドに誘って、レベル上げも付き合ってくれた。
そういやあの騎士キャラも、こんな感じのビジュアルだったな。
中の人は大学生っぽかったが。
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