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魔王様のレベル上げ
悪竜公ドラクⅡ
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ドラクの配下は、人間から最も精を集めやすいという理由で、女魔族が多いという。
女の精霊とか妖精とか、淫魔とか夢魔とか、バンシーとか。
ああ、なるほど……。
それは、相手が悪過ぎた。
いくら美人の姉ちゃんが女の色気を使って誘惑しても、一切効果ねえわ。
だってさあ。
「……あれは、相当な女嫌いだからな……」
†††
思わず遠い目をしてしまう。
サキュバスをめちゃくちゃ嫌悪してた姿を思い出す。
幼く見えていたらしい俺に手を出してたあたり、男好きのショタコンだ。
『さすが魔王様! もう彼奴の素性を把握しておられたのですか!?』
感心しているドラクに、言葉もなく、こくりと頷いてみせた。
ああ、よく知ってるとも。
……身体の隅、ケツのホクロの数までな! いや、ホクロなんて無かったけど。
”女殺し”の称号を得るには、少なくとも五百体は女魔族を狩ってないと駄目だとか。さらに、”千人斬り”だ。
どれだけ女に憎悪抱いてんだ? モテない男でも、そこまでの怨念は溜まってねえぞ?
そういや、あまりのことに忘れてたが。
俺、目の前で同族さっくり殺られてんのに、完全にスルーしてた。
あの子、MP切れてて、俺に助けを求めてたのに。どんだけ薄情な魔王だよ。
魔王だから、冷血でもいいのかもしれないが。落ち込むわー。
我ながらひでえ上司だ。
あの時の俺には、何も出来なかっただろうけど。
†††
『魔族に取り込めば、かなりの戦力になると思うのですが。いかんせん彼奴は手ごわく……』
「取り込む?」
てっきり俺に早いとこレベルを上げて、どうにか勇者を倒して欲しいとかお願いされるのかと思ったが。
聞けば、公爵クラスの魔族になると、人間界に渡るには力が強すぎて。
最低でも百分の一は弱体化した姿にでもならないければ通路から弾かれてしまうらしい。
ああ、だから、俺を迎える側近の役割は公爵家じゃなく、上級魔族のスレイに与えられたのか。
『ええ、殺すのが無理ならば、味方につけたほうが得策かと。魔族であろうと、大量に命を奪えばそれだけの”業”が溜まりますゆえ。一人で千もの命を奪えば、魔族へ成るに足る”業”はもう充分かと存じます。彼奴がこのまま殺戮を繰り返せば、勝手に転化するやもしれませんが。下級といえど、これ以上の犠牲は出したくありませんので……』
紙の上で殺した俺ですら、魔王にされたんだ。
人間から魔族に成ってしまうのは、俺がもう立証済みだ。
……早く止めなきゃ、リオンが魔族に転化しちまうのか。なら、急がないと。
「……時空転移が可能になるレベルになった時点で、俺が直接、勇者と交渉に行く。お前たちはもう、ヤツに手を出すな」
『成りません、危険です! まだ弱かったと言われる先代魔王ですら、レベル999はあったのですよ!? 600では、とても……!』
ドラクは真っ青になった。
「大丈夫だ。……顔見知りなんだ、アイツとは」
説得して。
北から人間界に降りるため、ドラクの領地まで跳び、位置を記録させてもらった。
†††
『堪能させていただきました……。此度の魔王様は、本当に素晴らしい……』
頬を上気させ、ほくほく顔でドラクは立ち去った。
ドラクには申し訳ないが。精気はたっぷり分けてもらったものの、気もそぞろで。
味なんか、さっぱりわからなかった。
「……北の悪竜公ドラクには、領地での待機を命じる」
『え、キープはしないのですか? 悪竜公は、魔王様のお好みではなかったのですね? 了解しました。直ちに!』
スレイはうきうきした様子でドラクに伝言しに走った。
スキップしてんじゃねえよ。
何でお前、そんなに嬉しそうなんだよ……。
まあいい、次だ。
早く、レベルを上げねえと。
女の精霊とか妖精とか、淫魔とか夢魔とか、バンシーとか。
ああ、なるほど……。
それは、相手が悪過ぎた。
いくら美人の姉ちゃんが女の色気を使って誘惑しても、一切効果ねえわ。
だってさあ。
「……あれは、相当な女嫌いだからな……」
†††
思わず遠い目をしてしまう。
サキュバスをめちゃくちゃ嫌悪してた姿を思い出す。
幼く見えていたらしい俺に手を出してたあたり、男好きのショタコンだ。
『さすが魔王様! もう彼奴の素性を把握しておられたのですか!?』
感心しているドラクに、言葉もなく、こくりと頷いてみせた。
ああ、よく知ってるとも。
……身体の隅、ケツのホクロの数までな! いや、ホクロなんて無かったけど。
”女殺し”の称号を得るには、少なくとも五百体は女魔族を狩ってないと駄目だとか。さらに、”千人斬り”だ。
どれだけ女に憎悪抱いてんだ? モテない男でも、そこまでの怨念は溜まってねえぞ?
そういや、あまりのことに忘れてたが。
俺、目の前で同族さっくり殺られてんのに、完全にスルーしてた。
あの子、MP切れてて、俺に助けを求めてたのに。どんだけ薄情な魔王だよ。
魔王だから、冷血でもいいのかもしれないが。落ち込むわー。
我ながらひでえ上司だ。
あの時の俺には、何も出来なかっただろうけど。
†††
『魔族に取り込めば、かなりの戦力になると思うのですが。いかんせん彼奴は手ごわく……』
「取り込む?」
てっきり俺に早いとこレベルを上げて、どうにか勇者を倒して欲しいとかお願いされるのかと思ったが。
聞けば、公爵クラスの魔族になると、人間界に渡るには力が強すぎて。
最低でも百分の一は弱体化した姿にでもならないければ通路から弾かれてしまうらしい。
ああ、だから、俺を迎える側近の役割は公爵家じゃなく、上級魔族のスレイに与えられたのか。
『ええ、殺すのが無理ならば、味方につけたほうが得策かと。魔族であろうと、大量に命を奪えばそれだけの”業”が溜まりますゆえ。一人で千もの命を奪えば、魔族へ成るに足る”業”はもう充分かと存じます。彼奴がこのまま殺戮を繰り返せば、勝手に転化するやもしれませんが。下級といえど、これ以上の犠牲は出したくありませんので……』
紙の上で殺した俺ですら、魔王にされたんだ。
人間から魔族に成ってしまうのは、俺がもう立証済みだ。
……早く止めなきゃ、リオンが魔族に転化しちまうのか。なら、急がないと。
「……時空転移が可能になるレベルになった時点で、俺が直接、勇者と交渉に行く。お前たちはもう、ヤツに手を出すな」
『成りません、危険です! まだ弱かったと言われる先代魔王ですら、レベル999はあったのですよ!? 600では、とても……!』
ドラクは真っ青になった。
「大丈夫だ。……顔見知りなんだ、アイツとは」
説得して。
北から人間界に降りるため、ドラクの領地まで跳び、位置を記録させてもらった。
†††
『堪能させていただきました……。此度の魔王様は、本当に素晴らしい……』
頬を上気させ、ほくほく顔でドラクは立ち去った。
ドラクには申し訳ないが。精気はたっぷり分けてもらったものの、気もそぞろで。
味なんか、さっぱりわからなかった。
「……北の悪竜公ドラクには、領地での待機を命じる」
『え、キープはしないのですか? 悪竜公は、魔王様のお好みではなかったのですね? 了解しました。直ちに!』
スレイはうきうきした様子でドラクに伝言しに走った。
スキップしてんじゃねえよ。
何でお前、そんなに嬉しそうなんだよ……。
まあいい、次だ。
早く、レベルを上げねえと。
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