32 / 64
魔王への試練
リオンの過去
しおりを挟む
淫魔に襲われ。気がついたら、教会に聖別してもらった懐剣で、淫魔を惨殺していたという。
母の目の前で。
心の支えであった淫魔をも失った母は、日を待たず自殺した。
「あの、汚らわしく、ぬめぬめとおぞましい感触はしばらく肌から消えず。私は狩った。……女の魔族を」
殺すたびに、その感触を忘れられる気がしたという。
リオンはそれから、たくさんの女魔族を殺していった。女殺し・千人斬りの称号を得るまで。
†††
16になった時。リオンはその功績から勇者の称号を与えられ、人々から称賛されるようになった。
魔族を狩るのはあくまでも私怨であり、他人のためではないのに。
いくら魔族を殺しても、人から讃えられても。何も満たされず、空虚なだけの毎日だったという。
「……暴漢に囲まれ、かわいそうなほど震えている、愛らしい小鳥を見つけるまではね」
リオンは微笑んだ。
おいおい、村人を暴漢呼ばわりかよ。俺にとってはそうだったけど。
「だから、あれは、寒くて震えてたんだってば……」
装備、布のローブ一枚だったんだぞ。凍死するかと思った。死なないけど。
「小鳥は、魔族は人間界ではヒトの精気を摂らねば衰弱死してしまう、ということすら知らなかった。……そう。君は、生まれたてのヒナのようだった」
かわいいヒナを、自分の腕の中へ閉じ込めて、放したくなかった。だから枷をつけた。
なのに小鳥は枷はいらないと言い、自分から誘ってきた。
誘ったくせに、挿入されるのは嫌だ、口付けすら嫌だと泣き出す。
精を得なければ生きられない、魔族だというのに。あまりに不条理で、困惑したが。
触れ合うだけでも、幸福を感じた。
薔薇色の人生とはこういうものだとリオンは知った。
「そんな小鳥を、私は。心から愛してしまっていた。生きる世界も、寿命も違うというのにね」
人間と魔族。
ヒトは、100年足らずで寿命を迎える。
リオンは、俺を見ている。
真摯な瞳で。
「……ユウキ。ヒトである故の死が二人を別つならば。私は喜んで魔族と成ろう」
†††
俺と、ずっと一緒にいたいから。魔族に成る、って?
……バカだ。信じらんねえ大バカヤロウだ。
でも。それを止めようともせず、嬉しい、とか思っちまう俺も。同じくらいバカなんだろう。
「君の居ない人間界に未練などないよ。……ふふっ、君が世界征服するのを手助けするのも楽しそうだ。王都も案内できる。勇者を拝命したときに呼ばれたのでね」
襲うならあそこからか、とか呟いてやがる。
まったく。
とんでもねえ勇者サマだな!
「……俺も、」
リオンにしがみつく。
「リオンと。……もう、離れたくねえ」
「嬉しいよ」
ぎゅっと抱き締められて。
「……で。こんな短期間にそんなにレベルが上がるほど、誰に抱かれたのかね?」
えっ?
……うわあ。目が怖いです、勇者サマ。
「挿入は、赦してないし! せ、精を舐めただけだって!」
押し倒されて、ローブを剥かれた。
「こんなえっちな下着をつけといて、目にした男が我慢できるとでも? 有り得ない」
だって。”えっちな下着”しかなかったんだよ!
紐パンが魔界でトレンドだというのは本当の話で。バルトはお年寄りなので、近代の流行を知らなかったんだ。
ノーパンか紐の二択なら、布があるだけマシだと思う。
†††
「側近が、精気提供者に、挿れたらアレが破裂する呪いかけてたんだよ! 指を入れようとしても、破裂してたし……」
「では、まだ処女だというのか!?」
この野郎、嬉しそうにしやがって! お前もやっぱり初物好きか!
「処女言うな! 男だ!」
「……キスは?」
美貌が、間近に迫る。
「キスも、……まだ」
何か、悔しい。
リオンのために、大事にとっといたみたいで。
いや、事実そうなんだけど。
「嬉しいよ」
リオンはにこっと笑って。
ゆっくりと、唇を寄せてきた。
母の目の前で。
心の支えであった淫魔をも失った母は、日を待たず自殺した。
「あの、汚らわしく、ぬめぬめとおぞましい感触はしばらく肌から消えず。私は狩った。……女の魔族を」
殺すたびに、その感触を忘れられる気がしたという。
リオンはそれから、たくさんの女魔族を殺していった。女殺し・千人斬りの称号を得るまで。
†††
16になった時。リオンはその功績から勇者の称号を与えられ、人々から称賛されるようになった。
魔族を狩るのはあくまでも私怨であり、他人のためではないのに。
いくら魔族を殺しても、人から讃えられても。何も満たされず、空虚なだけの毎日だったという。
「……暴漢に囲まれ、かわいそうなほど震えている、愛らしい小鳥を見つけるまではね」
リオンは微笑んだ。
おいおい、村人を暴漢呼ばわりかよ。俺にとってはそうだったけど。
「だから、あれは、寒くて震えてたんだってば……」
装備、布のローブ一枚だったんだぞ。凍死するかと思った。死なないけど。
「小鳥は、魔族は人間界ではヒトの精気を摂らねば衰弱死してしまう、ということすら知らなかった。……そう。君は、生まれたてのヒナのようだった」
かわいいヒナを、自分の腕の中へ閉じ込めて、放したくなかった。だから枷をつけた。
なのに小鳥は枷はいらないと言い、自分から誘ってきた。
誘ったくせに、挿入されるのは嫌だ、口付けすら嫌だと泣き出す。
精を得なければ生きられない、魔族だというのに。あまりに不条理で、困惑したが。
触れ合うだけでも、幸福を感じた。
薔薇色の人生とはこういうものだとリオンは知った。
「そんな小鳥を、私は。心から愛してしまっていた。生きる世界も、寿命も違うというのにね」
人間と魔族。
ヒトは、100年足らずで寿命を迎える。
リオンは、俺を見ている。
真摯な瞳で。
「……ユウキ。ヒトである故の死が二人を別つならば。私は喜んで魔族と成ろう」
†††
俺と、ずっと一緒にいたいから。魔族に成る、って?
……バカだ。信じらんねえ大バカヤロウだ。
でも。それを止めようともせず、嬉しい、とか思っちまう俺も。同じくらいバカなんだろう。
「君の居ない人間界に未練などないよ。……ふふっ、君が世界征服するのを手助けするのも楽しそうだ。王都も案内できる。勇者を拝命したときに呼ばれたのでね」
襲うならあそこからか、とか呟いてやがる。
まったく。
とんでもねえ勇者サマだな!
「……俺も、」
リオンにしがみつく。
「リオンと。……もう、離れたくねえ」
「嬉しいよ」
ぎゅっと抱き締められて。
「……で。こんな短期間にそんなにレベルが上がるほど、誰に抱かれたのかね?」
えっ?
……うわあ。目が怖いです、勇者サマ。
「挿入は、赦してないし! せ、精を舐めただけだって!」
押し倒されて、ローブを剥かれた。
「こんなえっちな下着をつけといて、目にした男が我慢できるとでも? 有り得ない」
だって。”えっちな下着”しかなかったんだよ!
紐パンが魔界でトレンドだというのは本当の話で。バルトはお年寄りなので、近代の流行を知らなかったんだ。
ノーパンか紐の二択なら、布があるだけマシだと思う。
†††
「側近が、精気提供者に、挿れたらアレが破裂する呪いかけてたんだよ! 指を入れようとしても、破裂してたし……」
「では、まだ処女だというのか!?」
この野郎、嬉しそうにしやがって! お前もやっぱり初物好きか!
「処女言うな! 男だ!」
「……キスは?」
美貌が、間近に迫る。
「キスも、……まだ」
何か、悔しい。
リオンのために、大事にとっといたみたいで。
いや、事実そうなんだけど。
「嬉しいよ」
リオンはにこっと笑って。
ゆっくりと、唇を寄せてきた。
7
あなたにおすすめの小説
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
竜の生贄になった僕だけど、甘やかされて幸せすぎっ!【完結】
ぬこまる
BL
竜の獣人はスパダリの超絶イケメン!主人公は女の子と間違うほどの美少年。この物語は勘違いから始まるBLです。2人の視点が交互に読めてハラハラドキドキ!面白いと思います。ぜひご覧くださいませ。感想お待ちしております。
人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました
よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、
前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。
獣人が支配する貴族社会。
魔力こそが価値とされ、
「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、
レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。
そんな彼を拾ったのは、
辺境を治める獣人公爵アルト。
寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。
溺愛され、守られ、育てられる日々。
だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。
学院での出会い。
貴族社会に潜む差別と陰謀。
そして「番」という、深く重い絆。
レオンは学び、考え、
自分にしかできない魔法理論を武器に、
少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。
獣人と人族。
価値観も、立場も、すべてが違う二人が、
それでも選び合い、家族になるまでの物語。
溺愛×成長×異世界BL。
読後に残るのは、
「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。
【完結】義妹(いもうと)を応援してたら、俺が騎士に溺愛されました
未希かずは(Miki)
BL
第13回BL大賞 奨励賞 受賞しました。
皆さまありがとうございます。
「ねえ、私だけを見て」
これは受けを愛しすぎて様子のおかしい攻めのフィンと、攻めが気になる受けエリゼオの恋のお話です。
エリゼオは母の再婚により、義妹(いもうと)ができた。彼には前世の記憶があり、その前世の後悔から、エリゼオは今度こそ義妹を守ると誓う。そこに現れた一人の騎士、フィン。彼は何と、義妹と両想いらしい。まだ付き合えていない義妹とフィンの恋を応援しようとするエリゼオ。けれどフィンの優しさに触れ、気付けば自分がフィンを好きになってしまった。
「この恋、早く諦めなくちゃ……」
本人の思いとはうらはらに、フィンはエリゼオを放っておかない。
この恋、どうなる!? じれキュン転生ファンタジー。ハピエンです。
番外編。
リナルド×ガルディア。王族と近衞騎士の恋。
――忠誠を誓った相手を、愛してはいけないと思っていた。切ない身分差、年の差の恋。恋の自覚は、相手が成人してからになります。
【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件
白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。
最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。
いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。
性技Lv.99、努力Lv.10000、執着Lv.10000の勇者が攻めてきた!
モト
BL
異世界転生したら弱い悪魔になっていました。でも、異世界転生あるあるのスキル表を見る事が出来た俺は、自分にはとんでもない天性資質が備わっている事を知る。
その天性資質を使って、エルフちゃんと結婚したい。その為に旅に出て、強い魔物を退治していくうちに何故か魔王になってしまった。
魔王城で仕方なく引きこもり生活を送っていると、ある日勇者が攻めてきた。
その勇者のスキルは……え!? 性技Lv.99、努力Lv.10000、執着Lv.10000、愛情Max~~!?!?!?!?!?!
ムーンライトノベルズにも投稿しておりすがアルファ版のほうが長編になります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる