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8 デート
日曜日、僕は約束の待ち合わせ場所に少し早く到着した。
「えーっと確かこの時計台の下のはず…ん?」
なにやらその場所には人だかりが出来てるようだ。よく見ると女の子数人がアルトを取り囲んでいる。あれは…。
「えー一緒に遊ぼうよ!そのお友達も一緒でいいからさぁ」
「そうそう!私達もこれから映画だし~」
あれってナンパされてるのか?女の子たちからのお誘いに彼は少し困っているようだ。そして一瞬こちらを見た。
しかし、確かに目があったはずなのにアルトはふぃっと視線をそらしてしまった。
え?
そして今度はにこにこしながら女の子たちと会話を始めた。肩なんか触ってる。
てっきり逆ナンされて困ってると思ってたのに、もしかして知り合いなのかな。
正直あそこに割り込むコミュ力はない。話が終わるまで待つか…。
僕は近くのベンチに座って先生への返信を始めた。
またすごい数来てる…。通知20件…。う…。先生は大した用でもないのにしょっちゅう連絡をいれてくる。
この前、自分はあまり携帯見ないからすぐに返事はできませんと伝えてからは即返事を求めることはなくなった。
それでもこちらが返信すれば秒で既読がつくんだ。暇なのかな。
えっと今は買い物にでかけてます…っと。
「先輩」
そのとき背後から僕を呼ぶ声がした。振り返ると案の定アルトだった。
「なにしてるんですか?」
「えっといや…アルトは話し終わったの?」
「はぁ、なんか一方的に絡まれてて…」
やっぱり逆ナンだったんだ。
「イケメンは大変だね」
「そうですよ。俺モテるんです。だから油断してると別の人のところ行っちゃうかもしれませんよ」
彼は俺の頭をポンポン叩く。
「ははっ」
「ははっじゃないです!ほらスマホ見てないで行きましょ」
そして強引に手をひくと歩き出した。
映画館は人が多く混み合っていた。僕たちは評判のいいサスペンス映画を見ることにした。
いつもアニメ映画ばかり見てたからこのジャンルは久しぶりだ。
思えば、僕の休日は推し活ばかりだった。最高に好きな声優さんがいて、彼のイベントや出演映画の鑑賞、CDの購入、イベントへの参加などなど…。
あぁ、はやく元の世界に戻って推しに会いたい。彼は僕のすべてだった。
だめだ。映画に集中しないと…。
そのとき手に温かいものが触れた。隣を見ると、アルトが手を重ねていた。すごいデートっぽい。
スクリーンの光が彼の横顔を照らしていた。
「映画どうでした?」
見終わったあと、カフェに寄ることにした。彼が僕のオレンジジュースを一口飲みながら尋ねる。
「えっと、ラストの伏線回収よかったね」
「確かに!きれいにまとまってましたね」
正直、話の内容よりも声の方に意識が持っていかれてしまった。ふわっとした感想しか言えないのが申し訳ない。
「あと、探偵の俳優さんもかっこよかった」
「俳優?あぁ、」
そのとき彼の表情が曇った。そしてムスッとした表情で呟く。
「先輩ああいうのがいいんですか?」
「え」
「彼、女遊び凄いって評判だし演技も正直微妙でした。あんなの顔だけですよ」
「そ、そっか」
もしかしたらアルトはあの人が嫌いなのかもしれない。
僕はストローを咥えた。このオレンジジュース少し酸っぱい。
「先輩」
すると彼は机の下で長い足を絡めてきた。僕は彼に視線を移す。
「俺、なんか不安なんです」
「不安?」
「先輩が本当に俺のこと好きなのか不安なんです」
「…。」
「だって先輩から好きって言ってくれないし、ナンパされてても嫉妬してくれないし、今日ずっと上の空だし、ジュースだって間接キスでドキドキしてるの俺だけみたいで…」
「…」
ばれてる。
「俺のこと好きですか?」
その言葉は僕に重たくのしかかった。元の世界に帰るためとはいえ、他人の恋愛感情を利用することへの罪悪感がすごい。でもこうしないとクリアできないんだ…。彼はまっすぐ僕を見つめた。
「好き…だよ」
だから僕は絞り出すような声でそう告げた。
「よかった!」
すると彼はホッとした表情で微笑んだ。
「まぁ、正直先輩が俺のこと嫌いでもどうでもいいんですけどね」
そして頬杖を付き僕の瞳を覗き込んだ。
「え」
「俺は先輩を独占したいだけなので」
「だから、もしも別れたいって言われたら考え直してくれるまで何度も話し合います」
「もしも浮気されたら浮気相手を消します」
「付き合っている限り先輩は俺のものです」
「…っ」
僕はゴクリと息を呑んだ。
「絶対離しません」
「俺、独占欲すごい強いんです。わかりましたか?」
そのとき、彼の黒い部分を垣間見た気がして少し怖くなった。あれ?こんなセリフゲームにはなかったよね…?
「さあ次は二人になれるところ行きましょ」
「えーっと確かこの時計台の下のはず…ん?」
なにやらその場所には人だかりが出来てるようだ。よく見ると女の子数人がアルトを取り囲んでいる。あれは…。
「えー一緒に遊ぼうよ!そのお友達も一緒でいいからさぁ」
「そうそう!私達もこれから映画だし~」
あれってナンパされてるのか?女の子たちからのお誘いに彼は少し困っているようだ。そして一瞬こちらを見た。
しかし、確かに目があったはずなのにアルトはふぃっと視線をそらしてしまった。
え?
そして今度はにこにこしながら女の子たちと会話を始めた。肩なんか触ってる。
てっきり逆ナンされて困ってると思ってたのに、もしかして知り合いなのかな。
正直あそこに割り込むコミュ力はない。話が終わるまで待つか…。
僕は近くのベンチに座って先生への返信を始めた。
またすごい数来てる…。通知20件…。う…。先生は大した用でもないのにしょっちゅう連絡をいれてくる。
この前、自分はあまり携帯見ないからすぐに返事はできませんと伝えてからは即返事を求めることはなくなった。
それでもこちらが返信すれば秒で既読がつくんだ。暇なのかな。
えっと今は買い物にでかけてます…っと。
「先輩」
そのとき背後から僕を呼ぶ声がした。振り返ると案の定アルトだった。
「なにしてるんですか?」
「えっといや…アルトは話し終わったの?」
「はぁ、なんか一方的に絡まれてて…」
やっぱり逆ナンだったんだ。
「イケメンは大変だね」
「そうですよ。俺モテるんです。だから油断してると別の人のところ行っちゃうかもしれませんよ」
彼は俺の頭をポンポン叩く。
「ははっ」
「ははっじゃないです!ほらスマホ見てないで行きましょ」
そして強引に手をひくと歩き出した。
映画館は人が多く混み合っていた。僕たちは評判のいいサスペンス映画を見ることにした。
いつもアニメ映画ばかり見てたからこのジャンルは久しぶりだ。
思えば、僕の休日は推し活ばかりだった。最高に好きな声優さんがいて、彼のイベントや出演映画の鑑賞、CDの購入、イベントへの参加などなど…。
あぁ、はやく元の世界に戻って推しに会いたい。彼は僕のすべてだった。
だめだ。映画に集中しないと…。
そのとき手に温かいものが触れた。隣を見ると、アルトが手を重ねていた。すごいデートっぽい。
スクリーンの光が彼の横顔を照らしていた。
「映画どうでした?」
見終わったあと、カフェに寄ることにした。彼が僕のオレンジジュースを一口飲みながら尋ねる。
「えっと、ラストの伏線回収よかったね」
「確かに!きれいにまとまってましたね」
正直、話の内容よりも声の方に意識が持っていかれてしまった。ふわっとした感想しか言えないのが申し訳ない。
「あと、探偵の俳優さんもかっこよかった」
「俳優?あぁ、」
そのとき彼の表情が曇った。そしてムスッとした表情で呟く。
「先輩ああいうのがいいんですか?」
「え」
「彼、女遊び凄いって評判だし演技も正直微妙でした。あんなの顔だけですよ」
「そ、そっか」
もしかしたらアルトはあの人が嫌いなのかもしれない。
僕はストローを咥えた。このオレンジジュース少し酸っぱい。
「先輩」
すると彼は机の下で長い足を絡めてきた。僕は彼に視線を移す。
「俺、なんか不安なんです」
「不安?」
「先輩が本当に俺のこと好きなのか不安なんです」
「…。」
「だって先輩から好きって言ってくれないし、ナンパされてても嫉妬してくれないし、今日ずっと上の空だし、ジュースだって間接キスでドキドキしてるの俺だけみたいで…」
「…」
ばれてる。
「俺のこと好きですか?」
その言葉は僕に重たくのしかかった。元の世界に帰るためとはいえ、他人の恋愛感情を利用することへの罪悪感がすごい。でもこうしないとクリアできないんだ…。彼はまっすぐ僕を見つめた。
「好き…だよ」
だから僕は絞り出すような声でそう告げた。
「よかった!」
すると彼はホッとした表情で微笑んだ。
「まぁ、正直先輩が俺のこと嫌いでもどうでもいいんですけどね」
そして頬杖を付き僕の瞳を覗き込んだ。
「え」
「俺は先輩を独占したいだけなので」
「だから、もしも別れたいって言われたら考え直してくれるまで何度も話し合います」
「もしも浮気されたら浮気相手を消します」
「付き合っている限り先輩は俺のものです」
「…っ」
僕はゴクリと息を呑んだ。
「絶対離しません」
「俺、独占欲すごい強いんです。わかりましたか?」
そのとき、彼の黒い部分を垣間見た気がして少し怖くなった。あれ?こんなセリフゲームにはなかったよね…?
「さあ次は二人になれるところ行きましょ」
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