ゲーム世界の悪役貴族に転生したけど、原作は無視して自由人キャラになります

芽春

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第32話 尾を踏んだ

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「うぐ……ぐぅ……ここは?」

目を覚ますと、月明かりの差し込む部屋。
ここは……見覚えがある。
村長の家、この前泊まったのと同じ部屋だ。

「何が……僕は気絶していたのか?  
頭がぼんやりして……とりあえず、ステータスオープンだ」


-----------------------------------------------------------------------------------------
名前:リバティー
種族:人間
年齢:13歳
HP:12/22→25
MP:20/19→20
腕力:11→12+7
↳攻撃力:19
体力:10→12
魔力:5
敏捷:21→23(20+3)
頑丈:13→16+15
↳防御力:28
スキル
格闘術Lv2
回復魔法Lv3
補助魔法Lv2
ナイフ術Lv1
縮地法
斬耐性Lv2
麻痺攻撃
光魔法Lv1
鑑定
-----------------------------------------------------------------------------------------

「成長はともかく……MPが回復してるって事は結構長いこと寝てたのか……?」

僕がベットから降りようとした時、部屋に人が入ってきた。

「村長!  僕はどれくらい寝てたんですか?」
「リバティー君……!  良かった、目を覚ましたんだね……。
君をここに担いでから三時間くらい経ったかな」

村長は頭に包帯を巻いている。
そうだ、ソエラに蹴られてた……

「その傷……大丈夫ですか?」
「それは私の言うべき言葉だ。
派手に爆破された君に比べたら蹴り程度大した事じゃないよ」
「何が起きたのか……」

思い出そうとするが、落ちた所で記憶が途切れている。

「吹っ飛ばされた後……牧草の山に落ちたのは本当に運が良かった。
おかげで軽傷で済んだんだよ」

……うん、だんだん頭がハッキリしてきた。
そうだったな、謎の爆発が起きて……

「っ!  そうだ……!  アシュリーは!?」
「この森の外れ、海の近くに彼らが建てた拠点がある……おそらくそこに……」
「……クソっ!  今すぐ助けに……!」

体を動かそうとすると全身に針を刺されたような痛みが走る。

「ぐっ……」
「爆破がほとんど直撃したんだ。安静にした方が良い」
「でも、あの子が……」

そう言われてもなお、僕は起き上がろうとする。
休んでる暇なんて……!

「どうしてアシュリーがこんな事になったのか知りたいかい?」

村長は僕を静止するように話し出す。
確かにそれは聞いておきたいけど……

「彼ら……ホルシド教がこの村にやってきたのはちょうど一年前の事だった」
「!」

……薄々察してはいたけど、やっぱり彼らはホルシド教だったんだな。
ソエラは邪神の使徒降臨とか言ってやがったし……

「最初、彼らは自分達を慈善活動団体と名乗っていたんだ。
ここは小さく、そこまで豊かでもなかった。

彼らはそんな私達に食料や薬を提供してくれていて……
しかも見返りは週に一度神に礼拝をしてくれればそれでいいとまで言っていた」

「……」

僕は黙って、村長の話に耳を傾ける。

「変化が始まったのは九ヶ月前の事だった。
彼らは私達に金銭を要求してきたんだ。

その時は三ヶ月分の恩もあったから喜んで応じたのだけれど……
要求はどんどんエスカレートしていった」

村長は眉を下げて、目を閉じる。

「村の財政に影響が出る程の、大量の金銭……労働力……
動物や魔物の死骸を用意させられた事もあった。

彼らは『神への供物』だと笑いながら言ってたよ。
……私達は耐えられ無くなった」

「じゃあ……なんで今もアイツらはこの村に?」

村長は手で顔を覆った。

「私も含めた村人全員で……抗議したんだ。
そうしたら……ソエラは

『私達の正体は国中から指名手配されている組織、ホルシド教です。
まあ、どこかに訴えでるのは勝手ですが……私達の支援を受け、
あまつさえ私達の邪神崇拝活動を手伝った貴方達が見過ごされるとでも?』

そう言い放った」

「そんな脅迫を……!  自分達が騙した癖に!」

「……それでも。私達がホルシド教を手伝ったのは事実だったから。
村人のほとんどは捕まるのを恐れて……彼らに逆らう事は出来なくなった」

村長は唇を噛み締めている
血が滲んでいる……どれだけ悔しいのか察するに余りあるな。

「……ん?  でも待って下さいよ。
皆さんが逆らえなくなったのは分かりますけど……
じゃあ、アシュリーが攫われた理由は?」

なぜ彼女個人が狙われるような事に……?

「アシュリーの魔力の高さは知ってるかな?」
「……ええ。魔力は僕の数倍あるし、MPなんかは三桁ですし」

初めて彼女に出会った時のステータスを思い出す。

「詳しい事は分からないけど……
どうもその魔力の高さにソエラが目をつけたようなんだ。
アシュリーを使って、なにかの儀式をするのが、彼にとっては余程重要らしい」

村長は遠い目で空を見つめる。

「ホルシド教の儀式は何回か見た事がある……
ハッキリ言ってまともなものじゃない。
信者が自分で自分の腹を裂いていた事もあったくらいだ……
うっ、うぅ……アシュリー……どうか無事に」

村長は声を押し殺して泣き出す。
でもきっと、アシュリーが無事に帰ってくる事なんて……

「今……アシュリーは生きてるんでしょうか」

「生きてるはずだ……どうも相当大掛かりな儀式らしいから。
何せ準備に三ヶ月かかるくらいだ、そんなに早く終わりはしないはず」

だったら今の僕がやるべき事は一つだ。

「村長。この村に魔法の聖水ってあります?」

決意した僕は村長にそう尋ねる。

「……ああ、幾つか倉庫に」
「だったら倉庫に案内してください!」



「『上回復』『上回復』……んくっ……く!  『上回復』……!」
「リバティー君……?  何を……?」

MPが尽きるまで回復魔法を自らにかけ、尽きたら魔法の聖水を飲んでもう一度。
それを繰り返している内に身体の痛みは無くなってきた。
違和感や動かしづらい所はあるけど……さっきより全然マシだ。

「……いまから大勢相手にするってのに体調悪いまま行くのは無謀ですよね」
「!  まさか……乗り込む気なのかい!?」
「ええ、そしてアシュリーを助けてきます」

村長は目を丸くする。

「……気持ちは分かるが無茶だよ!
君まで死なせる訳には……」

僕は村長に笑いかける。

「でも……何もしなかったらアシュリーは絶対に助からない。
それに、僕ってこれでも結構強いんですよ。ゴブリンの時見てたでしょう?」

「……そうだけど。どうしてそこまでしてくれるんだい?」

「彼女は僕の初めての友達だし……」

僕は村長を真っ直ぐ見つめる。

「それに……彼女と一つ約束したんです。
僕達の約束が誰かのせいで果たされない
なんて、僕が、個人的に、許せないんですよ」

完全に嘘という訳では無いけど。
村長に背負わせ過ぎないためにあえてそんな言い方をする。

「分かった。……君がそこまで言うなら止めはしない。
ただ……必ず生きて彼女と帰ってきてくれ」

村長はそう言うと、倉庫にあった地図を渡してきた。

「この辺が彼らの根城になっているはずだ。
……こんなものしか渡せなくてすまない」

「いえ、十分です。……行ってきます!」

僕は倉庫を飛び出した。
待ってろよ……!
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