終生飼育は原則ですから

保護編

1-6

　昨日は世界の中の日本の位置、気候、人口、政治体制を話して名乗りあったところで眠りました。

　彼には本の部屋で眠ってもらった。布団はコタツ布団兼用で1組使っていないのがある。
　九月でよかった。もっと遅い季節なら寒かっただろう。せめて敷布団は買ったほうがいいのだろうか。冬までいるの？

　私が本の部屋で寝るべきかと思って、言ってはみた。
　本が崩れてこないか心配で眠れないかもしれない。私は本に潰されて死ぬなら本望だと思っているんだけど。
　彼も本は好きみたいだからいいか。しかし自分が読めない本に潰されるのは、私でも勘弁願いたい。

　朝起きて、庭を回りシャワーを浴び、軽く果物を朝食として食べて、録画した番組を見ながら化粧をして出勤、というのがルーティンなのですが、朝食を作ったほうがいいんだろうか。
　そして彼をひとりにしておいていいのかな。

　起きてきた彼に朝食を食べるか聞いてみた。空腹らしいから目玉焼きぐらい作るか。
　パンと一緒に食べてもらい、昼はパンと、昨日の晩に食べようと思っていた作り置きのスープと、冷凍庫から出したハンバーグを焼いて食べてもらう。ガスレンジの使い方はもう学習済みだから大丈夫でしょう。

　ひらがなの対応表とカタカナ版も書き、本の部屋から国語辞典と漢和辞典を持ってきた。
　物持ちのいい私。高校の社会の資料集をまだ持っている。あれを見ていれば勉強になるし時間もつぶれるでしょう。
　時間がないから辞書の使い方はざっとしか説明できなかった。ごめん。だけどひらがなとカタカナを拾えばそれなりにわかるかと。漢字はルビがあるのを拾って。

　仕事中はいつも思うけど、いつも以上に帰りたかった。できるだけ残業は短縮したけれどそれでも残り、食料を買ってから帰る。
　ごめん、遅くなった。って実家にいたときは猫によく言ったなぁ。

　彼は猫より忠実です。きちんと玄関で待ち、私のバッグを受け取ってくれました。おお紳士。
「おかえりなさい」
　おお日本語。
<ただいま帰りました>
　うぅ。イケメンの笑顔は破壊力がある。疲れた身体では抵抗力が下がっているんだよ。

　買ってきた惣菜と、今日はうどんを出してみた。箸はやはり使ったことがないそうだ。麺は短く切ってスプーンを出した。
　出汁としょうゆ味もおいしいそうです。それはよかった。そういえば朝の目玉焼きは塩で食べていました。

　明日明後日は休みだから、みっちり教えることができるな。というか、教えられるのか？
　先に予習しておきたい。いや今はネットという助っ人がいる。だけどどうして繋がるのかとかそもそもなぜこんな画像が出るのかとか、テレビも、まったく説明できる気がしない。

　明日と明後日は休みで、今日より長く眠っていること、先に起きてお腹がすいたらここにあるものを食べていいということは伝えておかないと。