終生飼育は原則ですから

乃浦

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保護編

10-1

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<会社の忘年会があるから、今度の金曜日はご飯はいらないし遅くなるから>

 十二月の初めの週ですが、私の会社の忘年会はいつも早め。ホテルを去年から予約している。
 忘年会のために古着屋で安い服を見つけておきます。今年は五百円五十%OFFのワンピースと、五百円で買ったネックレスと三百円のバングルを二つつけて、千五百円五十%OFFのピアスとハイヒール。
 私は靴フェチなので、ハイヒールはルブタンです。これだけは五万円を超える。それでも中古だから安くは買った。

 結局さ、もういい年の大人だから、背筋を伸ばしてまともな靴を履いていれば、そして最低限のマナーさえ守っていれば、どんな服を着ても非難はされない。
 こちらの態度が大きければ、非難できるほど自分に自信がある人も滅多にいない。だから姿勢は大事だと思う。

 結婚式に呼んでもらえるような友達は結婚したので、ちょっと華やかな格好をできるのはこの忘年会くらい。だから二週間くらい前から組み合わせを考え、試着してみる。居間にいるレイサスには本の部屋に近づかないように伝えた。

 寒い。十二月のうちは寒い。
 レイサスがいるからボイラーは入れているので、これでも例年よりは暖かいんだけど、やっぱり光熱費は節約したい。
 今はレイサスは居間で寝てもらっています。敷布団を厚くしても、やっぱり本の部屋は寒いから。

 着替えて、アクセサリーと靴を履いてバランスを確認。よし、大丈夫。当日髪はちょっとアレンジしよう。髪は顎までの長さしかないから、ちょっと上げるくらいだけどね。

 すぐに家着に着替えなおす。ううあったかい。
 ドアを開けるとレイサスがいた。
<なんでいるの?>
<見たいと思った>
<・・・チェックしてもらった方がよかったかもね>

 そのまま通り過ぎようとすると二の腕をつかまれた。距離が近いというよりゼロ距離が増えた気がするなぁ。
<見たい>
 近寄るのを禁止したい。破壊力が。
<じゃあ金曜の夜帰ったら、着替える前に完成形をお見せするよ>
 後ろからついてきて、一緒にコタツに入る。レイサスは脚が長いからコタツには向かないんだけど、コタツは大変経済的な熱源だから利用しています。

<コタツとみかんというのが日本の冬の風物詩なんだよ>
「このみかん、甘いからともやが食べたらいい」
 房を1つつまんで手を伸ばしてくれた。
<ありがとう。本当に甘いね>
 受け取って食べる。なんかいつもの笑顔じゃない気がする。

「これから日本はクリスマス、お正月と行事が続きます」
「はい」
「クリスマスはキリスト教のイベントですが、大変キャッチーなキャラクターとキャラ設定だったため、キリスト教以外の文化圏にも伝播しました」
 今の時代に遣われている、おそらく理解できない単語で概略を述べ、詳しい説明に入る。詳しい説明はソファイユリス語でね。私も上手くなったもんだ。

 キリスト教が広まる前の土着の宗教の行事が、キリスト教の聖人の姿をとって生き残った。
 こんなに世界中に広まったのはコカコーラの宣伝力。商品の会社は宗教以上の力があるのかもしれない。つまり今は商品=神なのかも。だからプレゼントという「物」をやり取りするのかもね。
 レイサスがプレゼント交換なんてテレビの中の世界の話だと思うように話した。
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