終生飼育は原則ですから

保護編

18-2

　そういうわけで、あちらも付き合うとかは考えていないので、仕事の帰りに行ってくるかな。
　誘われた瞬間レイサスの顔がちらついたのは、レイサスに失礼だから言わずにおこう。
　もっと若いころに、実家にいた時代に誘われたときは、猫の顔がちらついた。私の帰りが遅くなると猫のご飯が遅くなるってね。
　レイサスは猫じゃないから、自分で作って食べられるから大丈夫でしょう。

「明後日、帰りが遅くなるから。ご飯もいらないから用意しなくていいよ」
「仕事の会合？」
「ええ～と、仕事関係の人と会ってくる」
　レイサスを見てはいなかったけれど、なんか雰囲気が変わった感じがする気がする。

<仕事？>
「仕事とは関係ないかな。だけど仕事関係だからまったくないとも言えない」
<相手は男？>
「うん」
<誘われた？>
「うん」
<付き合うのか？>
「付き合うには意味が二つあるけど、どちらの意味？」
<交際するのか？>
<しないしない。それはない。相手に失礼だから誤解しないで。スポーツの話を時間を気にせずにしたいだけ>
<時間を気にせずに>
<会社だとあんまり無駄話で時間を取れないからね。社外でだらだら話してくる>
　レイサスは不満そうで不安そうで寂しそうに見える。捨てないって言ってるんだから心配しなくていいのに。

<女性が一人で夜に男性と会うのは、しかも長時間会うのは良くない>
　ああそっちの心配？　女性として扱ってくれてるんだなぁ。レイサスの場合は危機管理意識が強すぎるせいだけど。
<心配しないで。日本は安全。車だからお酒も飲まないしね。そういえば、レイサスはこの世界の酒を飲んでないね>
　いけない。大事なことを忘れていた。王子様に酒の一つも献上していないとは。
<近いうちに買ってくるわ。あまり高いのは買えないけど>
<・・・ではお願いする>
「うん」