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被保護編 337年
337年4月1-2
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イスに腰掛けて水を飲んでから質問を始めた。
「なぜ私は異世界に飛ばされ、再び戻れた?」
「コパロファカドだ」
マクシミリアンが答える。
「『王弟疑惑』のか?」
「その魔女は本物だったかは不明だ。生死も不明。だがコパロファカドには魔法があった」
コパロファカドには魔法使いといわれる古い家系があり、王弟疑惑の女もその一族だったようだ。
その魔法は違う世界へ行くというものらしい。
その魔法には代償を要する。一族に連なる者を犠牲にしなければ行使できない。
その家系に連なる者は七ヵ月前までは二人。その一人がソサイゾに囚われ魔法を使わされた。自分の命を犠牲にして王太子を送った。ソサイゾにとってはこの世界から消した。
一族は一人の老人を残して絶えた。
「エンディオが始末しようとしていた者を攫って、ここまで聞き出す事ができた」
「・・・手段を選ばなかったようだな」
「無論」
「今はその一族は本当に絶えたのだな」
あの部屋で、床には乾ききった小さな老人の死体が転がっていた。ともやの目に入っていなかったらしいのが救いだ。
「あの老人の責任感によって、あるべき道に戻った」
ともやを除いて。
「どうやって見つけた。そしてエランはどこだ」
「どちらもエランです」
こちらはシルヴィオが動いたようだ。
エランがコパロファカドに行き、老人を見つけ出し説得した。
エランがソファリスから老人をイユリスまで連れてきた。
王太子は隠密に各国に視察に出ているとしている。エランは護衛としてついている体を取っているのでここにはいない。
「全てエランのお陰だな」
「私の適切な指示にもよります」
「自分で言わなければ感謝も大きいだろうに」
「感謝はいりません。功績を理解してもらえれば」
「わかっている」
「それで、レイはどうやって生きていたんですか?」
「その前に、今は三三七年の四月二十四日か?」
「はい」
「同じなんだな」
「異世界とですか?」
「時間の進み方は同じだ」
「では七ヵ月以上もよく生きていましたね」
「彼女のお陰だ」
「ほう」
二人の声が揃った。
「エランはいつ戻る」
「使いは出したので二日後には」
「では戻ってから説明する。それまで休む」
「ああそうですね。お休み下さい」
立ち上がって、彼女の部屋のドアを静かに開けた。どうしても、様子を確認したい。
毛布から少しだけ顔が出ていた。眉を顰めているが眠っている。眠れれば少しは良くなるだろう。
ドアを開けたままにしていたので、廊下から二人が見ていた。
ドアを閉めてからマクシミリアンに言う。
「彼女の着替えは男性物、パンツを用意してくれ」
「パンツ?」
「彼女はそちらを好む。それから鎮痛薬も何種類か頼む」
解せない顔をしているが、私もそろそろ限界だ。
彼女の隣の部屋に入ってドアを閉めた。
「なぜ私は異世界に飛ばされ、再び戻れた?」
「コパロファカドだ」
マクシミリアンが答える。
「『王弟疑惑』のか?」
「その魔女は本物だったかは不明だ。生死も不明。だがコパロファカドには魔法があった」
コパロファカドには魔法使いといわれる古い家系があり、王弟疑惑の女もその一族だったようだ。
その魔法は違う世界へ行くというものらしい。
その魔法には代償を要する。一族に連なる者を犠牲にしなければ行使できない。
その家系に連なる者は七ヵ月前までは二人。その一人がソサイゾに囚われ魔法を使わされた。自分の命を犠牲にして王太子を送った。ソサイゾにとってはこの世界から消した。
一族は一人の老人を残して絶えた。
「エンディオが始末しようとしていた者を攫って、ここまで聞き出す事ができた」
「・・・手段を選ばなかったようだな」
「無論」
「今はその一族は本当に絶えたのだな」
あの部屋で、床には乾ききった小さな老人の死体が転がっていた。ともやの目に入っていなかったらしいのが救いだ。
「あの老人の責任感によって、あるべき道に戻った」
ともやを除いて。
「どうやって見つけた。そしてエランはどこだ」
「どちらもエランです」
こちらはシルヴィオが動いたようだ。
エランがコパロファカドに行き、老人を見つけ出し説得した。
エランがソファリスから老人をイユリスまで連れてきた。
王太子は隠密に各国に視察に出ているとしている。エランは護衛としてついている体を取っているのでここにはいない。
「全てエランのお陰だな」
「私の適切な指示にもよります」
「自分で言わなければ感謝も大きいだろうに」
「感謝はいりません。功績を理解してもらえれば」
「わかっている」
「それで、レイはどうやって生きていたんですか?」
「その前に、今は三三七年の四月二十四日か?」
「はい」
「同じなんだな」
「異世界とですか?」
「時間の進み方は同じだ」
「では七ヵ月以上もよく生きていましたね」
「彼女のお陰だ」
「ほう」
二人の声が揃った。
「エランはいつ戻る」
「使いは出したので二日後には」
「では戻ってから説明する。それまで休む」
「ああそうですね。お休み下さい」
立ち上がって、彼女の部屋のドアを静かに開けた。どうしても、様子を確認したい。
毛布から少しだけ顔が出ていた。眉を顰めているが眠っている。眠れれば少しは良くなるだろう。
ドアを開けたままにしていたので、廊下から二人が見ていた。
ドアを閉めてからマクシミリアンに言う。
「彼女の着替えは男性物、パンツを用意してくれ」
「パンツ?」
「彼女はそちらを好む。それから鎮痛薬も何種類か頼む」
解せない顔をしているが、私もそろそろ限界だ。
彼女の隣の部屋に入ってドアを閉めた。
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